1 / 1
宛名のない手紙
しおりを挟む
ある冬の日。かじかんだ手をこすりあわせながら、自宅である家に帰ると、ポストに変わったスタンプの押された封筒が入っていた。親は出張でおらず私しかいないのでとりあえずリビングに帰り暖房をつけてその封筒を外からしげしげと眺めてみる。
宛先も差出人もない、配達でなく直入れされたかのようなものだ。
うわぁ。これは多分ヤバい。開けない方がいい。しかし、封筒はうすべったく、振ってみても特にしゃかしゃかとか、しゃらしゃらという音はしない。カミソリや砂が入っていることがあるという話をうっすら聞いたこともあるが…そんな様子もない。
うー…ん…まぁもしかしたら謎なクーポンかもしれないな。開けよう。
見た目、感触からも上質そうな真っ黒な紋様以外真っ白な封筒から出てきたのは、一枚の手紙のようだ。なになに。
『拝啓 双堂蓮花様へ』
私は一行目で頭を抱えて読むのをやめた。双堂蓮花は何を隠そう私の名前だ。
やっぱり、見るんじゃなかった…と後悔した。見なければこんな怖い思いせずに済んだのに…。いやマテ。でも見なかったこれを知らずにいたんだからそれはそれで怖いよね…。 それにまだ、手紙読んでるだけだし。それだけだったら何も起こらない。少し胸がキュウっとしてしまったが、落ち着いて続きを読むことにした。
『突然このような形でお手紙を差し上げる無礼をお許しください。
実はあなたにどうしても伝えなければならないことがありまして、こうして手紙を送らせていただきました。
単刀直入に言います。あなたの命はとても危険な状態に陥っていて、このまま放っておくと確実に死に至るでしょう』
うわっ…これって…いわゆる呪いの手紙とかいうやつでは…?誰だこんな手紙入れたの!
身内では思い当たらないが…。もしかすると…変わった趣味の人間の犯行だろうか?
いややっぱり、ドッキリ!てなこともあるかも?もしそうだとしたらただ誰かの思うツボである。悪趣味だなとは思うけど、いたずらならまぁ……。私は続きに目を這わせた。
『そこで、私が考えた最善策についてお知らせしたいと思います。
まず最初に、あなたは今すぐ学校に行く準備をしてください。そして、登校中に事故に遭うつもりで行動するようにして下さい。
次に、通学路の途中にある公園に立ち寄り、そこにいる少年に声をかけるのです。すると彼はきっとこう言うはずです。「僕と一緒に来てくれませんか?」と。もし彼がそう言ったら、迷わず付いて行ってあげてください。 ただし、決して彼の手を振り払おうとしてはいけません。絶対に離さないように注意しながら付いて行くのです。
そうすれば、あなたは必ず助かります。どうか信じてついてきて下さい。敬具』
手紙の内容は以上である。割と具体的な内容だ。入れたのは誰か分からないが、見ず知らずの誰かがわざわざ書くとは思いにくい。けど世間には色んな人がいるわけで、こういう都市伝説のような話を一方的に送り付けて悦に浸る人もいるのかもれない…いるのかな…まあとにかく怪しすぎるし、気にする必要はない。スルー安定かな。
宛先も差出人もない、配達でなく直入れされたかのようなものだ。
うわぁ。これは多分ヤバい。開けない方がいい。しかし、封筒はうすべったく、振ってみても特にしゃかしゃかとか、しゃらしゃらという音はしない。カミソリや砂が入っていることがあるという話をうっすら聞いたこともあるが…そんな様子もない。
うー…ん…まぁもしかしたら謎なクーポンかもしれないな。開けよう。
見た目、感触からも上質そうな真っ黒な紋様以外真っ白な封筒から出てきたのは、一枚の手紙のようだ。なになに。
『拝啓 双堂蓮花様へ』
私は一行目で頭を抱えて読むのをやめた。双堂蓮花は何を隠そう私の名前だ。
やっぱり、見るんじゃなかった…と後悔した。見なければこんな怖い思いせずに済んだのに…。いやマテ。でも見なかったこれを知らずにいたんだからそれはそれで怖いよね…。 それにまだ、手紙読んでるだけだし。それだけだったら何も起こらない。少し胸がキュウっとしてしまったが、落ち着いて続きを読むことにした。
『突然このような形でお手紙を差し上げる無礼をお許しください。
実はあなたにどうしても伝えなければならないことがありまして、こうして手紙を送らせていただきました。
単刀直入に言います。あなたの命はとても危険な状態に陥っていて、このまま放っておくと確実に死に至るでしょう』
うわっ…これって…いわゆる呪いの手紙とかいうやつでは…?誰だこんな手紙入れたの!
身内では思い当たらないが…。もしかすると…変わった趣味の人間の犯行だろうか?
いややっぱり、ドッキリ!てなこともあるかも?もしそうだとしたらただ誰かの思うツボである。悪趣味だなとは思うけど、いたずらならまぁ……。私は続きに目を這わせた。
『そこで、私が考えた最善策についてお知らせしたいと思います。
まず最初に、あなたは今すぐ学校に行く準備をしてください。そして、登校中に事故に遭うつもりで行動するようにして下さい。
次に、通学路の途中にある公園に立ち寄り、そこにいる少年に声をかけるのです。すると彼はきっとこう言うはずです。「僕と一緒に来てくれませんか?」と。もし彼がそう言ったら、迷わず付いて行ってあげてください。 ただし、決して彼の手を振り払おうとしてはいけません。絶対に離さないように注意しながら付いて行くのです。
そうすれば、あなたは必ず助かります。どうか信じてついてきて下さい。敬具』
手紙の内容は以上である。割と具体的な内容だ。入れたのは誰か分からないが、見ず知らずの誰かがわざわざ書くとは思いにくい。けど世間には色んな人がいるわけで、こういう都市伝説のような話を一方的に送り付けて悦に浸る人もいるのかもれない…いるのかな…まあとにかく怪しすぎるし、気にする必要はない。スルー安定かな。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ひとりごと
栗須帳(くりす・とばり)
ライト文芸
名士の家に嫁いだ母さんは、お世辞にも幸せだったとは言えない人生だった。でも母さんは言った。「これが私の選択だから」と。こんな人生私は嫌だ、そう言って家を出た姉さんと私。それぞれの道を選んだ私たちの人生は、母さんの死によって再び交差した。
表紙、Irisさんのイラストから生まれた物語です。
全4話です。
海外ドラマにありそうな展開を詰め込んだ小説 ANDREW PARKER
kate
ライト文芸
海外ドラマの中でも大好きな刑事ドラマやサスペンスドラマにありそうな展開を詰め込んだ小説です。もはや私の性癖みたいなものが詰め込まれている物語です。ぜひお楽しみ下さい。
*この作品は5年前に書いたものをリライトしたものです。
あらすじ
ある日起きたら指名手配犯。主人公アンドリュー・パーカーは事件を解決するため、奔走する。
残り四回の嘘
戸部家尊
ライト文芸
高校生・藤川翔太は下校途中に、不思議なお婆さんに自動販売機でウーロン茶ををおごるはめになった。その見返りにともらったのが、四回分の「他人に嘘をつかせる能力」だった。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる