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僕と君のリング
7.約束
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"今日の全体練習はここまでにしよう!後は各自で練習!"
振付け師のひと声で練習は解散となった。
僕は汗を流すため、取りあえずシャワーを浴びに行く予定だけどミンジェはどうするのだろう。
目線だけ動かしてミンジェを探すと、練習室のドアを一人で開けてそっと出ていく後ろ姿が見えた。
多分振付けで納得出来ない所を、一人で煮詰めたいんだろう。また倒れてしまわないか心配なので、後で覗いてみよう。
皆で使う大きな練習室とは違い、そのこじんまりとした部屋はほとんどミンジェ専用の個人部屋。
灯りは点いてるけど、音楽は聞こえてこないのでどうかしたのか慌てて部屋に入ったら、床に丸くなって眠るミンジェを見つけた。
練習生の頃からよく見る光景。
眠っているミンジェを起こさないように、ゆっくりと近づく僕も慣れたもの。
ミンジェの傍に音を立てないように腰を降ろすと、しばらく寝顔を堪能した。唇が少し突き出ているのが可愛くて、思わずにやける。
携帯で写真を撮って確認すると、まだ目元が赤いような気がした。
ミンジェの隣に添い寝の形で横になり、
頭を少し持ち上げて腕を下にすべり込ませた。
腕まくら、成功!
「……っふふ、ヨング!起きないと学校遅刻しちゃうよ……」
「え?学校?」
うわぁ、可愛い!なんか夢見てる?
寝惚けてるのかな?
「うぅぅ、遅刻しちゃうよ……」
朝の事がトラウマになってしまったのか?明らかにうなされている。
思わず、ぎゅっと抱きしめてしまった。
「……ヨング?」
ミンジェの小さな手が、弱々しく僕の胸を叩いた。慌てて腕を弛める。
今日のダンス練習、遅刻はしていないけど、いつも一番最初に練習室に入るミンジェは集合時間ギリギリだったから、自己嫌悪ぎみなのだろう。
朝、二人でシャワーを浴びて、ミンジェからスヒョンの匂いも、僕の匂いもすっかり洗い流されて、なんだか寂しくなったけれど、
" 今日はヨングのベッドに行くから…"
と約束出来て、僕はあっという間に機嫌が直ってしまった。
嬉しくて、シャワーを浴びながら何度もキスしていたら、時間がどんどん過ぎて……。
本当にギリギリになってしまい、ミンジェに怒られた。
その時は、こういうとこお兄さんだなぁって思った。
「今日は一緒に寝てくれる約束ですよ?」
「うん…そうだったね。ごめんね、こんなとこで寝てて…あれ?ヨング、シャワー浴びたのに床に寝ちゃったの ?! 」
ミンジェは僕に頭を預けたまま、目をゴシゴシと擦った。
ミンジェの仔犬のような、可愛らしい黒目を近くで見ると愛おしくて、堪らなくなってくる。
ミンジェは、"よっ"という感じで起き上がって、そのまま脚を伸ばして軽いストレッチを始めた。
なんとなく話があるのかなと思い、僕も起き上がった。
「……ヨング…あのさ、結婚の話ね。今すぐは難しいと思うんだ。僕たちはチームの目標があって、必ず叶えたい夢があるじゃん。」
「はい」
「だから今まで頑張ってきたし、これからも頑張っていかなきゃだよね。 …… だから僕たち……しばらく結婚出来ないと思うんだ」
「……はい」
「僕たちは、愛で繋がってるでしょ。ふふっ何か改めて言うと恥ずかしいな。愛と夢とチームと、沢山繋がってるから絶対に離れる事は、ないよね」
「……はい」
「ヨングは?結婚しなくても離れない?」
「離れません。……結婚は僕の我が儘です。ミンジェと一緒にいたくて、貴方を独占したくて…」
「ふふっ独占してるじゃん!まだ足りないのぉ?」
「 …… 足りてるけど、足らないんです…」
「ヨングは欲張りだなぁ。僕、もうぜ~んぶヨングにあげちゃってあげられるもの、ないんだけど?」
「…………未来を、貴方の未来を全部下さい」
僕は、前屈したミンジェの腕を引っ張り、
床を滑って来たところを抱き止めた。
小さな手を取って、左手の薬指にポケットから出した指輪を通す。
びっくりした顔のミンジェの可愛い黒目を覗き込んで、
「今度、お揃いのちゃんとしたやつ、 一緒に買いに行ってくれますか? 」
「……うん。もちろん」
「言いましたね?行きますよ、東京まで!」
「………………え?と、東京?」
TO BE CONTINUE…
Next Story♡
"今日の全体練習はここまでにしよう!後は各自で練習!"
振付け師のひと声で練習は解散となった。
僕は汗を流すため、取りあえずシャワーを浴びに行く予定だけどミンジェはどうするのだろう。
目線だけ動かしてミンジェを探すと、練習室のドアを一人で開けてそっと出ていく後ろ姿が見えた。
多分振付けで納得出来ない所を、一人で煮詰めたいんだろう。また倒れてしまわないか心配なので、後で覗いてみよう。
皆で使う大きな練習室とは違い、そのこじんまりとした部屋はほとんどミンジェ専用の個人部屋。
灯りは点いてるけど、音楽は聞こえてこないのでどうかしたのか慌てて部屋に入ったら、床に丸くなって眠るミンジェを見つけた。
練習生の頃からよく見る光景。
眠っているミンジェを起こさないように、ゆっくりと近づく僕も慣れたもの。
ミンジェの傍に音を立てないように腰を降ろすと、しばらく寝顔を堪能した。唇が少し突き出ているのが可愛くて、思わずにやける。
携帯で写真を撮って確認すると、まだ目元が赤いような気がした。
ミンジェの隣に添い寝の形で横になり、
頭を少し持ち上げて腕を下にすべり込ませた。
腕まくら、成功!
「……っふふ、ヨング!起きないと学校遅刻しちゃうよ……」
「え?学校?」
うわぁ、可愛い!なんか夢見てる?
寝惚けてるのかな?
「うぅぅ、遅刻しちゃうよ……」
朝の事がトラウマになってしまったのか?明らかにうなされている。
思わず、ぎゅっと抱きしめてしまった。
「……ヨング?」
ミンジェの小さな手が、弱々しく僕の胸を叩いた。慌てて腕を弛める。
今日のダンス練習、遅刻はしていないけど、いつも一番最初に練習室に入るミンジェは集合時間ギリギリだったから、自己嫌悪ぎみなのだろう。
朝、二人でシャワーを浴びて、ミンジェからスヒョンの匂いも、僕の匂いもすっかり洗い流されて、なんだか寂しくなったけれど、
" 今日はヨングのベッドに行くから…"
と約束出来て、僕はあっという間に機嫌が直ってしまった。
嬉しくて、シャワーを浴びながら何度もキスしていたら、時間がどんどん過ぎて……。
本当にギリギリになってしまい、ミンジェに怒られた。
その時は、こういうとこお兄さんだなぁって思った。
「今日は一緒に寝てくれる約束ですよ?」
「うん…そうだったね。ごめんね、こんなとこで寝てて…あれ?ヨング、シャワー浴びたのに床に寝ちゃったの ?! 」
ミンジェは僕に頭を預けたまま、目をゴシゴシと擦った。
ミンジェの仔犬のような、可愛らしい黒目を近くで見ると愛おしくて、堪らなくなってくる。
ミンジェは、"よっ"という感じで起き上がって、そのまま脚を伸ばして軽いストレッチを始めた。
なんとなく話があるのかなと思い、僕も起き上がった。
「……ヨング…あのさ、結婚の話ね。今すぐは難しいと思うんだ。僕たちはチームの目標があって、必ず叶えたい夢があるじゃん。」
「はい」
「だから今まで頑張ってきたし、これからも頑張っていかなきゃだよね。 …… だから僕たち……しばらく結婚出来ないと思うんだ」
「……はい」
「僕たちは、愛で繋がってるでしょ。ふふっ何か改めて言うと恥ずかしいな。愛と夢とチームと、沢山繋がってるから絶対に離れる事は、ないよね」
「……はい」
「ヨングは?結婚しなくても離れない?」
「離れません。……結婚は僕の我が儘です。ミンジェと一緒にいたくて、貴方を独占したくて…」
「ふふっ独占してるじゃん!まだ足りないのぉ?」
「 …… 足りてるけど、足らないんです…」
「ヨングは欲張りだなぁ。僕、もうぜ~んぶヨングにあげちゃってあげられるもの、ないんだけど?」
「…………未来を、貴方の未来を全部下さい」
僕は、前屈したミンジェの腕を引っ張り、
床を滑って来たところを抱き止めた。
小さな手を取って、左手の薬指にポケットから出した指輪を通す。
びっくりした顔のミンジェの可愛い黒目を覗き込んで、
「今度、お揃いのちゃんとしたやつ、 一緒に買いに行ってくれますか? 」
「……うん。もちろん」
「言いましたね?行きますよ、東京まで!」
「………………え?と、東京?」
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