僕たちのこじれた関係

柏葉 結月

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僕と君のピアス

6.突然の……

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「…うぅん、……今…何時?」

「起きました?おはよう、ミンジェ。もうすぐ8時です」

僕たち、いつの間に寝たんだろう。
起きたというか、ヨングに起こされた。僕を後ろから抱いてるヨングが後頭部に鼻先を入れてスンスンと嗅いでいるのが、なんだか大型犬みたいだ。

「ヨング…ワンちゃんみたい」

くすぐったくて身を捩ると、今度は首を甘噛みしてくる。それを止めさせようと手を動かすけれど、力が入らずまるで仔猫のネコパンチにしかならなかった。

「寝起きのミンジェ…かわい。また襲いたくなっちゃうけど、ちょっと待ってて下さいね」

「うん?」


ヨングが寝返りをうってベッドから出ようとするので、慌てて後を追おうとしたけど身体は重く腰には鈍い痛みが。

「いたた……。ま、待って、ヨング。何処行くの?」

「何処って…トイレですけど」

「あ、ああ…そう」

そういえば。
昨夜の僕の醜態の結末は、どうなったのか?ヨングが僕の身体を拭いて綺麗にしてくれたとしか考えられない。
おまけに、ヨングの物らしいTシャツとパンツまで履かせられていた。

えっと。ヨングはどんな気持ちで世話を焼いてくれたんだろう。こんなの、恥ずかしくて…顔が合わせられないじゃん。

ヨングがトイレから帰ってきたら、なんて話せば……。
僕は布団の端を握りしめて、鼻先まで被るしかなかった。


ヨングが中々戻らないので少し心配になりかけた頃。

「ミンジェ?寝ちゃいましたか?」

戻ってきたヨングに声をかけられ、そっと布団から顔だけ出すと、食欲をそそる胡麻油の美味しそうな匂いが、ふわりと漂ってきた。

「朝ごはん持って来ましたよ?食べられそうですか?」

「え、えぇーっ?ヨング優しい!」

「いつも優しいでしょ。……ミンジェが起きられないかと思って。まぁ、僕のせいですからね。ちょっと無理をさせたし」

言われた途端、耳が熱くなった。
合わせる顔がないと思ったけれど、ヨングがせっかく作ってくれたんだし食べよう!
僕が被っていた布団を畳んでいる間に、ヨングは僕のためにお粥をよそっていた。

鶏の胸肉がたくさん入った朝粥は胃腸にやさしそうだし、僕の身体を労ってくれるような、そんな気遣いの隠ったもの。

スプーンで掬い、熱いのでフゥフゥと息を吹きかける。恐る恐る口にすると、お米がホロッと崩れ咥内に自然な甘みと塩味が広がった。出汁が利いていてあっさりなのにコクがある。

「……おいし。ヨング、ありがと」

「どういたしまして」

ヨングは、自分の分もよそってベッドに腰掛けた。しかし、中々食べようとせず、お粥をぐるぐるとかき回していた。

「あの、ミンジェ……」

「ん?どうしたの、改まって」

「け」

「け?」

「けっ、こう美味しそうなアイスクリームを、ソクヒョンたちが買ってきてくれてあって」

「わぁ!後で食べよ!」

僕が、やったー!何味かな?とテンション上げてるのに対して、ヨングは、何か深刻な表情で深呼吸をし始め、お粥の入った椀をお盆に戻した。

「あの、ミンジェ!」

そして、僕の手からも椀を取り上げて、僕の手を両手で包み込んだ。

「け、」

「け?」

「結婚、して下さい!」

「………は、い?」


ヨングの突然のプロポーズに、僕の右手から持っていたスプーンがポロッと落ちた…………。




*TO BE CONTINUE…*
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