7 / 26
第一章
6.
しおりを挟む
ジミルはトイレに行くついでに本国へと、王子である僕と合流し任務に就いた報告をしたようだ。
まさかと思うがその際、僕にキスされた事を報告して助言してもらったのだろうか。本国の補佐官人事府へその事が知られてしまったのは、めちゃくちゃ恥ずかしい!けど一つ間違えばセクハラで訴えられる……。
だけど向こうでも、派遣されたばかりの付き人にいきなり手を出すと思わないだろうから、かなり戸惑ったに違いない。
「ジミル、ごめん……」
「謝る必要はございません。僕は殿下からのキス……嬉しかったんです。でも調子に乗って、上司に報告してしまったから叱られたんです。初日から殿下を惑わすな!身の程をわきまえろ!と言われ、目が覚めました」
「僕を慕って今まで頑張ってきたあなたの気持ちを考えると、あんな事をするべきじゃなかった」
桜色に染まった目元、僕が吸って桜桃色に色付いた唇。確かにそれらは僕を惑わしたけれど、この胸のトキメキは惑わされたからではない。
「ジミルを可愛いと思ったのは事実だし、キスしたくてキスしたんだ」
僕は腕を伸ばして彼の腕を掴み、手繰り寄せた。ジミルのなめらかな頬に触れ、言い訳を並べる。
「それにさ?さっき言っていた『それなりの教育』っていうのが、僕の『パートナー』としての教育なら、ジミルが叱られる理由なんて無いんじゃないかな?」
「それもそうですね。殿下は普段こういった色事には慣れておられるでしょうし、男性である僕とキスしたからといって、どうなることもないでしょう。つまり、何も問題はないと考えて大丈夫ですね!」
色事には慣れて……?!
ジミルは僕にとんでもない先入観を持っているようだ。これでは、さき程のキスが『ファーストキス』だと言い出せない……!
この話題はさらに墓穴を掘る事になるような気がして、切り上げた方が良さそうだと判断した。
「ジミル!長旅で疲れただろう。身体もまだ本調子ではないのだから、お風呂で温まって今日はもう休みなさい」
ジミルはスーツケースにとりあえずの洗面用具や3日分の着替え、公務用のスーツと夜着を入れて来ていた。必要な物はこっちに来てから買おうと思ったのだろう。
バスタオルなどは貸して、アメニティも自由に使えとバスルームへ押し込んだ。殿下よりも先にお風呂に入るなんて!と抵抗していたけれど、命令だ!と言うと渋々従った。
ジミルは突然やって来たので、付き人用の部屋はキムさんが出ていってから掃除をしていない。
部屋を見に行くと、何か黒い物が部屋の角でフヨフヨと動いていた。驚いて近寄ってみると、黒い羽毛のような物が吹き込んだ風に舞い上がっていただけだった。
" キムさん、鳥でも飼ってたのかな"
布団も干していないし、シーツを替えるだけではジミルが可哀想だ。
仕方ない。今日は僕のベッドで一緒に眠ってもらおう。これは、ジミルにとってあくまでも不可抗力なんだ。決して僕の邪な気持ちから提案するわけではない。
あぁ、そうだ。業務連絡だからといっても、僕のベッドで一緒に眠った事は秘密にしてもらわないと……。
まさかと思うがその際、僕にキスされた事を報告して助言してもらったのだろうか。本国の補佐官人事府へその事が知られてしまったのは、めちゃくちゃ恥ずかしい!けど一つ間違えばセクハラで訴えられる……。
だけど向こうでも、派遣されたばかりの付き人にいきなり手を出すと思わないだろうから、かなり戸惑ったに違いない。
「ジミル、ごめん……」
「謝る必要はございません。僕は殿下からのキス……嬉しかったんです。でも調子に乗って、上司に報告してしまったから叱られたんです。初日から殿下を惑わすな!身の程をわきまえろ!と言われ、目が覚めました」
「僕を慕って今まで頑張ってきたあなたの気持ちを考えると、あんな事をするべきじゃなかった」
桜色に染まった目元、僕が吸って桜桃色に色付いた唇。確かにそれらは僕を惑わしたけれど、この胸のトキメキは惑わされたからではない。
「ジミルを可愛いと思ったのは事実だし、キスしたくてキスしたんだ」
僕は腕を伸ばして彼の腕を掴み、手繰り寄せた。ジミルのなめらかな頬に触れ、言い訳を並べる。
「それにさ?さっき言っていた『それなりの教育』っていうのが、僕の『パートナー』としての教育なら、ジミルが叱られる理由なんて無いんじゃないかな?」
「それもそうですね。殿下は普段こういった色事には慣れておられるでしょうし、男性である僕とキスしたからといって、どうなることもないでしょう。つまり、何も問題はないと考えて大丈夫ですね!」
色事には慣れて……?!
ジミルは僕にとんでもない先入観を持っているようだ。これでは、さき程のキスが『ファーストキス』だと言い出せない……!
この話題はさらに墓穴を掘る事になるような気がして、切り上げた方が良さそうだと判断した。
「ジミル!長旅で疲れただろう。身体もまだ本調子ではないのだから、お風呂で温まって今日はもう休みなさい」
ジミルはスーツケースにとりあえずの洗面用具や3日分の着替え、公務用のスーツと夜着を入れて来ていた。必要な物はこっちに来てから買おうと思ったのだろう。
バスタオルなどは貸して、アメニティも自由に使えとバスルームへ押し込んだ。殿下よりも先にお風呂に入るなんて!と抵抗していたけれど、命令だ!と言うと渋々従った。
ジミルは突然やって来たので、付き人用の部屋はキムさんが出ていってから掃除をしていない。
部屋を見に行くと、何か黒い物が部屋の角でフヨフヨと動いていた。驚いて近寄ってみると、黒い羽毛のような物が吹き込んだ風に舞い上がっていただけだった。
" キムさん、鳥でも飼ってたのかな"
布団も干していないし、シーツを替えるだけではジミルが可哀想だ。
仕方ない。今日は僕のベッドで一緒に眠ってもらおう。これは、ジミルにとってあくまでも不可抗力なんだ。決して僕の邪な気持ちから提案するわけではない。
あぁ、そうだ。業務連絡だからといっても、僕のベッドで一緒に眠った事は秘密にしてもらわないと……。
1
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
淫紋付けたら逆襲!!巨根絶倫種付けでメス奴隷に堕とされる悪魔ちゃん♂
朝井染両
BL
お久しぶりです!
ご飯を二日食べずに寝ていたら、身体が生きようとしてエロ小説が書き終わりました。人間って不思議ですね。
こういう間抜けな受けが好きなんだと思います。可愛いね~ばかだね~可愛いね~と大切にしてあげたいですね。
合意のようで合意ではないのでお気をつけ下さい。幸せラブラブエンドなのでご安心下さい。
ご飯食べます。
俺は成人してるんだが!?~長命種たちが赤子扱いしてくるが本当に勘弁してほしい~
アイミノ
BL
ブラック企業に務める社畜である鹿野は、ある日突然異世界転移してしまう。転移した先は森のなか、食べる物もなく空腹で途方に暮れているところをエルフの青年に助けられる。
これは長命種ばかりの異世界で、主人公が行く先々「まだ赤子じゃないか!」と言われるのがお決まりになる、少し変わった異世界物語です。
※BLですがR指定のエッチなシーンはありません、ただ主人公が過剰なくらい可愛がられ、尚且つ主人公や他の登場人物にもカップリングが含まれるため、念の為R15としました。
初投稿ですので至らぬ点が多かったら申し訳ないです。
投稿頻度は亀並です。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる