最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる

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ハインツ伝

ハインツ調査団2

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 調査二日目、夕べ遅かったせいか、姫はまだ寝ているようで先にハインツとヘーラが朝食を取っていると、同じ席に男が座り同じ食事を頼み

「ご報告です、地下にはスラムの住人が押し込められておりました、それと・・・どうやら近い内に大規模なスラム掃討作戦があるようです」

「ふむ、地下に押し込めておいていまさら掃討作戦など・・・何かあると言っている様な物ですね」

「行って見るのか?わらわもいくぞ」

「助かります」

 それ以外は報告書にまとめられており、やはりスラム対策費を不正に取得し、かなりの私服を肥やしていたようである。
 
「そろそろスラムに行ってみましょうか」

 二人は地下に続く入り口に着くとあたりを観察るすると、怪しい動きの人間が数人ズタ袋のような物を抱えては地下入り口に放り込んでいく。
 暫く観察して男達が来ないことを確認するとするりと地下入り口に入り込む。
 中には4つのズタ袋が残っており、後は消えていた。
 袋の中には年端のいかないボコボコにされた少女が気を失った状態で入っていた。

「胸糞の悪い事じゃ・・・」

「そうですね、おや?」

 物陰から数人の男が出てくると、腰のショートソードを抜いて威嚇するように構えると。

「おいニーちゃん、それ置いてさっさと消えな」

 ヘーラの胸の辺りを見ながらニヤニヤとからかう様に笑う男に

”プチ”

と音が聞こえた気がした。

「・・・誰に命令しておるのじゃ?わらわはしたい様にするのじゃ
 気にしておることを・・・」

 そう言い放つヘーラの両手には男の仲間2人が頭を握られていた。

「な!歯向かうつもりか?」

「ヘーラ様」

「解っておるわ、ちゃんと実験材料は生かしておくのじゃ」

 ヘーラはそう言うと高速で男達を制圧していく、あまりの速さに誰も反応できないままであった。

「こいつらは・・・あそこから来たようですね」

 二人が建物の中を覗くと数個のズタ袋が床に転がされて他に何も無いのが確認できた。
 中に入り中を確認すると同じような少女が入っていて、ヘーラの機嫌が見る見る悪くなっていく。
 ハインツは男達を建物の一室に運び込むと「私は肉体労働派では無いのですがね」と呟いて鞄も室内に運び込んで

「ヘーラ様、私は少し情報収集をするので、ここをお願いいたします」

「解ったのじゃ」

 そう言って少女達を床に優しく横たえながら返事を返してきた。

~数刻後~

「解りましたよ」

 ハインツが尋問を終えて出てくると少女達は治療を終えてヘーラと楽しそうに遊んでいた。

「おお、早かったのう」

「ええ、ここは一時的に運び込む場所らしく、アジトはここから東に行った所に有るようです」

「では、行くかの?」

 ハインツが手を上げると尋問された男達が部屋から出て来て、頭を下げる

「リーダー以外は少女を西区のフローラの宿へ連れて行きなさい」

 そう指示を出すと男たちは頷いて少女達を連れて行く。

「凄い手際じゃな」

「いえいえ、まだまだですよ」

 
 東にあるアジトにたどり着いた二人は入り口の扉を蹴り破ると

「地獄を宅配じゃ!」

 凶悪な笑みを浮かべると指を鳴らしつつアジトに入っていく、ハインツは入り口の辺りで立ち止まると「後はお任せします」と呟くとリーダを護衛に近くにあったイスを持ってこさせ座って待つことにした。

 一通り蹂躙が終わり解ったことは、ここは奴隷ギルド本部で有る事、これは予想道理であった。

「で?黒幕は誰です?」

「ここの代官ネザルード様だ、さあ言ったぞ、見逃してくれ」

 懇願してくる男にハインツはニッコリと笑い返すと

「私そんな約束してないですよね?」

「そんな・・・」

 愕然とする男にハインツはポソリと

「今回の事は国王陛下も、ブラウン様もご存知ですよ」

「ひぃ・・・断罪陛下と最強・・・」

 顔を真っ青にして震え上がる。
 かつて国王とブラウン、ハインツの三人は違法ギルド狩りをしていた頃がある、未だに裏ギルドで語られる恐ろしい伝説・・・もしその二人が出てきたらと考えると空恐ろしく感じていた。
 裏ギルドには幾つかの制約があるがその最たる物の一つが断罪、最強、狂気の三人には触れるなである。

「それに・・・こちらのヘーラ様はブラウン様の関係者ですよ」

 声も無くへたり込むと大人しくなり協力的になった。

「さて、これである程度証拠も集まりましたし、後はご本人を潰させていただきますか。
 丁度痛みに関する実験材料も必要でしたし」

「そうじゃのう、こんなにイラつくのも久しぶりじゃし、もう一暴れしたい所じゃ。
それと、その実験わらわも参加するからの」

「喜んで」

 好戦的な笑みを浮かべる二人は次の獲物を狩るために、その場から姿を消した。
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