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第二章 自重を知らない回り
日常のひとこま
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「あ、はいんつ」
蜂蜜色の髪の少女がトテトテと音がしそうな感じでハインツに駆け寄ってくる。
「殿下、お久しぶりですね」
流石のハインツも少女を見る目は優しい、この王女に対してだけはハインツはデレルようで国王の子供は3人居るが一番穏やかに接している、
少女はひまわりの様な笑顔を浮かべると、ハインツの足にまとわり付くように駆け回る。
上2人は何故だかハインツを怖がり中々近づいてこないので珍しい光景とも言えた。
この二人がまれに紅茶を楽しんでいる姿を見かけることがあれば、その日幸運が訪れると言われているほどだ。
「はいんつ、はいんつ、なにかいいことあったの?」
「はい、新しいじっけ、ゴホン新しい人員が補充されましてね、新たな試みに挑戦出来そうなんですよ」
膝を屈めて王女の目の高さに合わせると嬉しそうに話すハインツを、その鳶色の瞳に写す王女もまた嬉しそうに体を揺らしていた。
ハインツも王女に合わせて楽しそうに揺れる。
王女はハインツの耳にささやく様に口を寄せると。
「へ~そうなんだ、たのしそうだね」
嬉しそうな声にハインツも答える様に声を弾ませて。
「はい、特に今回の補充は前回よりも戦闘向きなのでこれからが楽しみなんです」
「よかった~たのしんでね」
「勿論ですよ、ではこれから受け取りが有るので失礼いたしますね」
そう言うとハインツは地下牢に向かって歩いていく姿を王女は手を振り見送る。
王女はよく解っていないのかハインツの楽しそうな姿を喜んでいると思いたい。
その日、ブラウンの引退事件で引き渡されたジェイクの姿が消え、ハインツの部屋に連行されたと噂がたった。
この王国は死刑反対国であり、無論、死刑は存在しない。
公には死刑の変わりに無給労働や、終身開拓兵従事が極刑とされているが、城の中では真の極刑は死刑より怖いハインツの部屋行きであると実しやかに言われている。
今日もハインツは楽しそうに部屋にきえていくのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
クロバの場合
「では、こちらで取引成立でやね」
にこやかな笑みを浮かべつつ書類を鞄になおす男はただでさえ細い目を今だけは更に細くしている。
「しかし物好きだね、帝国からこんな所まで来るとはね」
「何をおっしゃいますん、ドラゴニックメタルは魔道具との親和性も高く希少、どこにでも出向いて手に入れたくなるのも当然やないですか」
「なるほどね、しかしきな臭い帝国の商人に売るんだ、契約は厳密に守ってもらうよ」
「勿論です、ドラゴニックメタルを兵器に使わない、ドラゴニアには戦争を仕掛けない、料金は前払い、戦争が始まったら取引中止、前払い金の払い戻しなし。
勿論守りますよ、むしろ戦争を仕掛けたりしたらうちの商会が帝国を見捨てますわ」
これほどの不平等契約を結んでも今回の契約は逃したくなかったナベシマ商会は、ほぼほぼ言いなりの契約を結び、クロバを驚かせる事になった。
しかしながら、それだけ帝国の信用は低くそれを十分に知っているナベシマ自体抵抗する気がなかったようだ。
帝国は現在魔道具が不足しており、今現在でも帝城でも蝋燭を使い夜を過ごしている、そのため街も薄暗く治安が悪い、稚拙ながらも明かりの魔道具が広まれば、確実に治安が良くなる、そのための投資を惜しむ気がないのがよく解るほど必死な姿に、クロバも気おされほぼ断られると思いつつ条件を提示したのだったが、想像に反してあっさりと条件は飲まれた。
お互いに顔には出さないがかなりの腹芸であったと思われる。
「帝国の7割をしめるナベシマ商会が見捨てたら色々と大変な事になりかねないね」
「無謀な戦争をしかけるアホゥなら、つぶれた方が良いと思います」
「なら、あんたの所もドラゴニアに支店でも出したらどうだい?わざわざ帝国と往復するのも大変だろう?」
クロバの提案にピクリと眉を動かすと、何も無かったかのようにニコリと笑うと。
「いいですなぁ、早速手続きをしてもらえますか?」
そう言ってにこやかに告げる、この男ナオシゲ ナベシマと言い帝国の南端の出身で一代で帝国一の商会を作り上げた男である。
こうして、ナベシマ商会はドラゴニアに伝手と支店を持つことに成功した。
この後異種格闘技戦が行われることを知ったナオシゲは本店に手紙を書いて、ある男を呼び寄せて参加させることにした。
これを期にナベシマ商会を確りと根付かせるための動きを素早く見せたのには流石のクロバも驚き舌をまくのだった。
蜂蜜色の髪の少女がトテトテと音がしそうな感じでハインツに駆け寄ってくる。
「殿下、お久しぶりですね」
流石のハインツも少女を見る目は優しい、この王女に対してだけはハインツはデレルようで国王の子供は3人居るが一番穏やかに接している、
少女はひまわりの様な笑顔を浮かべると、ハインツの足にまとわり付くように駆け回る。
上2人は何故だかハインツを怖がり中々近づいてこないので珍しい光景とも言えた。
この二人がまれに紅茶を楽しんでいる姿を見かけることがあれば、その日幸運が訪れると言われているほどだ。
「はいんつ、はいんつ、なにかいいことあったの?」
「はい、新しいじっけ、ゴホン新しい人員が補充されましてね、新たな試みに挑戦出来そうなんですよ」
膝を屈めて王女の目の高さに合わせると嬉しそうに話すハインツを、その鳶色の瞳に写す王女もまた嬉しそうに体を揺らしていた。
ハインツも王女に合わせて楽しそうに揺れる。
王女はハインツの耳にささやく様に口を寄せると。
「へ~そうなんだ、たのしそうだね」
嬉しそうな声にハインツも答える様に声を弾ませて。
「はい、特に今回の補充は前回よりも戦闘向きなのでこれからが楽しみなんです」
「よかった~たのしんでね」
「勿論ですよ、ではこれから受け取りが有るので失礼いたしますね」
そう言うとハインツは地下牢に向かって歩いていく姿を王女は手を振り見送る。
王女はよく解っていないのかハインツの楽しそうな姿を喜んでいると思いたい。
その日、ブラウンの引退事件で引き渡されたジェイクの姿が消え、ハインツの部屋に連行されたと噂がたった。
この王国は死刑反対国であり、無論、死刑は存在しない。
公には死刑の変わりに無給労働や、終身開拓兵従事が極刑とされているが、城の中では真の極刑は死刑より怖いハインツの部屋行きであると実しやかに言われている。
今日もハインツは楽しそうに部屋にきえていくのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
クロバの場合
「では、こちらで取引成立でやね」
にこやかな笑みを浮かべつつ書類を鞄になおす男はただでさえ細い目を今だけは更に細くしている。
「しかし物好きだね、帝国からこんな所まで来るとはね」
「何をおっしゃいますん、ドラゴニックメタルは魔道具との親和性も高く希少、どこにでも出向いて手に入れたくなるのも当然やないですか」
「なるほどね、しかしきな臭い帝国の商人に売るんだ、契約は厳密に守ってもらうよ」
「勿論です、ドラゴニックメタルを兵器に使わない、ドラゴニアには戦争を仕掛けない、料金は前払い、戦争が始まったら取引中止、前払い金の払い戻しなし。
勿論守りますよ、むしろ戦争を仕掛けたりしたらうちの商会が帝国を見捨てますわ」
これほどの不平等契約を結んでも今回の契約は逃したくなかったナベシマ商会は、ほぼほぼ言いなりの契約を結び、クロバを驚かせる事になった。
しかしながら、それだけ帝国の信用は低くそれを十分に知っているナベシマ自体抵抗する気がなかったようだ。
帝国は現在魔道具が不足しており、今現在でも帝城でも蝋燭を使い夜を過ごしている、そのため街も薄暗く治安が悪い、稚拙ながらも明かりの魔道具が広まれば、確実に治安が良くなる、そのための投資を惜しむ気がないのがよく解るほど必死な姿に、クロバも気おされほぼ断られると思いつつ条件を提示したのだったが、想像に反してあっさりと条件は飲まれた。
お互いに顔には出さないがかなりの腹芸であったと思われる。
「帝国の7割をしめるナベシマ商会が見捨てたら色々と大変な事になりかねないね」
「無謀な戦争をしかけるアホゥなら、つぶれた方が良いと思います」
「なら、あんたの所もドラゴニアに支店でも出したらどうだい?わざわざ帝国と往復するのも大変だろう?」
クロバの提案にピクリと眉を動かすと、何も無かったかのようにニコリと笑うと。
「いいですなぁ、早速手続きをしてもらえますか?」
そう言ってにこやかに告げる、この男ナオシゲ ナベシマと言い帝国の南端の出身で一代で帝国一の商会を作り上げた男である。
こうして、ナベシマ商会はドラゴニアに伝手と支店を持つことに成功した。
この後異種格闘技戦が行われることを知ったナオシゲは本店に手紙を書いて、ある男を呼び寄せて参加させることにした。
これを期にナベシマ商会を確りと根付かせるための動きを素早く見せたのには流石のクロバも驚き舌をまくのだった。
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