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第二章 自重を知らない回り
動き出す王国の面々
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「あんた達これを頼むということはどういう事か解ってるのかい?」
クロバが自分の目の前に座る2人の青年と女性に問いかける。
青年は青い目、たれ目をした金髪の肩までの髪、色白の色気のある感じで、女性の方は青い目は同じだが気の強そうな目で、金髪を頭でお団子を結って日に焼けている。
「勿論です!おばば、私達は聖ガラパコスの教えは素晴らしいと思いますが、際兵の横暴や財務官の豪遊などは良いと思いません」
「私も同意見です、最高教師様には腰を上げていただかないとこのままでは・・・」
二人の訴えにクロバは苦い顔をしつつも、若い二人がそんな苦労を背負う必要が有るのか悩んでいた。
「はぁ、最高教師・・・モンブランに一回あたしから手紙を出してみようじゃないか、そこから考えてもいいんじゃないかい?」
クロバはもう少し待つように提案するが、二人は頑として譲らない。
「確かにモンブラン様も元奥様のクロバ様から言われれば動かれるかもしれないですが・・・最近のモンブラン様からは覇気が感じられないのです」
その言葉にクロバはイスにもたれる様に座りなおすと、鋭い目で二人を見据えて
「それは勘違いだよ、モンブランは鳴りを潜めても内側は熱い男さ、あたしを捨てても戦うことを選ぶぐらいにね」
「つまり、何時か動かれると?」
その問いに鷹揚にうなずく、二人に「もう少しお待ちと」伝えて机で手紙を書くとそれを渡して。
「モンブランにこの手紙をお渡し、それとたまには顔を見せろとも伝えておくれ」
「「はい」」
二人は手紙をしまうと退出した。
「わかいね、でもその若さが必要なのかもね」
窓から見える青空に呟く言葉は室内に消えていった。
二人の名前はエスパーダ・エストンとシャローラ・エストンと言った。
二人の父親は最高教師モンブランが際兵枢機卿時代に副官を務めたパンデリン・エストンであり、現在の際兵枢機卿の弟妹で聖ガラパコス教際兵であった。
現在の際兵の今の状態に心を痛めた二人は、父親に訴えたが、兄を呼び出した次の日に消息を絶った。
二人はモンブランの執務室をたずねると、息をのむ事になった。
ノックをして入室すると、覇気を纏った伝説で聞くモンブランがそこに居た。
「なにようじゃ?」
「は!クロバ様よりの手紙でございます」
何時もと違うモンブランの姿に緊張しつつ手紙を差し出す。
「ふむ・・・」
手紙を受け取り封を開け読み進めると更に濃密な覇気が室内に充満していく、二人は息が詰まる感じを受けつつも身動き一つ出来ないでいた。
「バンテリンは此方で保護しておる、重症だったが回復魔法で回復して戦支度を始めておる」
ふと緩んだ覇気に息を大きく吸い込む二人を優しい目で見るモンブランは手を差し伸べ、
「二人もよく動いてくれた、もはや猶予はならん!狩りの始まりじゃ」
そこにはかつての英雄、SS級狩りの鉄拳モンブランの姿がそこにあった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
際兵枢機卿ジャマー・エストンの場合
際兵とは元々祭司兵と言い、司祭の祭事を無事終わらせるために守護するために立ち上げられた役職だ、つまりは祭事の守護者でありエリートが行うものであるし、信者や市民など俺達に従っていればいい。
だと言うのに親父は俺達は奉仕者であり、信者や市民を尊重する事が大事だと抜かしやがる。
財務枢機卿に相談したら、次の日に親父は行方が消えた、死んだのだろう。
これで俺の目の上のタンコブが消えた、これで俺は自由だ、何が伝説の際兵団副長だ!俺様は際兵枢機卿だ!モンブランも腑抜けている今、財務枢機卿と二人で支配も出来るだろう。
笑いが止まらん。
”コンコン”
「入れ」
「し、失礼いたします、大変です!際兵の半分が退職願を出し姿を消しました!!」
「ふん、補充など幾らでも居る、ほおっておけ」
「しかし!」
「良いからほおっておけ、報告はそれだけか?」
「は、はい」
「なら下がれ」
不満そうな顔の副官を無理やり下がらせたが、あいつもついでに外すか。
この時の俺は自分の栄光以外考えていなかった、際兵になりたいやつは五万居て俺に逆らうやつは皆殺しだと。
過去に戻れるなら俺自身をぶん殴りたい。
まさに勘違いの極地に居た。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
トッポの場合
クロバに呼び出しを受けて、トッポは王城近くのカフェに来ていた。
「おまたせっす」
「いやいやあたしから呼び出したんだ、すまないがこれを調べてもらえないかい?」
クロバがそっと差し出した紙を受け取り素早く目を通すと、暗号を頭の中で解読していく。
「大丈夫っす、これなら明後日には報告できると思うっすよ」
「思ったより早いね、やっつけだと困るよ」
トッポはニヤリと笑うと。
「実は結構強い伝があって、兄貴の関係で丁度この後会う予定なんっすよ」
「ほう、それは助かる」
「しかし、こんな所にも手を伸ばしてたんすね、あのおっさん・・・兄貴に火の粉がかかる前に消しておくとするっす」
そう言ってニッコリと笑う姿にクロバは計画が上手くいく確信を得ることが出来て、満足そうに紅茶に口をつけたのだった。
クロバが自分の目の前に座る2人の青年と女性に問いかける。
青年は青い目、たれ目をした金髪の肩までの髪、色白の色気のある感じで、女性の方は青い目は同じだが気の強そうな目で、金髪を頭でお団子を結って日に焼けている。
「勿論です!おばば、私達は聖ガラパコスの教えは素晴らしいと思いますが、際兵の横暴や財務官の豪遊などは良いと思いません」
「私も同意見です、最高教師様には腰を上げていただかないとこのままでは・・・」
二人の訴えにクロバは苦い顔をしつつも、若い二人がそんな苦労を背負う必要が有るのか悩んでいた。
「はぁ、最高教師・・・モンブランに一回あたしから手紙を出してみようじゃないか、そこから考えてもいいんじゃないかい?」
クロバはもう少し待つように提案するが、二人は頑として譲らない。
「確かにモンブラン様も元奥様のクロバ様から言われれば動かれるかもしれないですが・・・最近のモンブラン様からは覇気が感じられないのです」
その言葉にクロバはイスにもたれる様に座りなおすと、鋭い目で二人を見据えて
「それは勘違いだよ、モンブランは鳴りを潜めても内側は熱い男さ、あたしを捨てても戦うことを選ぶぐらいにね」
「つまり、何時か動かれると?」
その問いに鷹揚にうなずく、二人に「もう少しお待ちと」伝えて机で手紙を書くとそれを渡して。
「モンブランにこの手紙をお渡し、それとたまには顔を見せろとも伝えておくれ」
「「はい」」
二人は手紙をしまうと退出した。
「わかいね、でもその若さが必要なのかもね」
窓から見える青空に呟く言葉は室内に消えていった。
二人の名前はエスパーダ・エストンとシャローラ・エストンと言った。
二人の父親は最高教師モンブランが際兵枢機卿時代に副官を務めたパンデリン・エストンであり、現在の際兵枢機卿の弟妹で聖ガラパコス教際兵であった。
現在の際兵の今の状態に心を痛めた二人は、父親に訴えたが、兄を呼び出した次の日に消息を絶った。
二人はモンブランの執務室をたずねると、息をのむ事になった。
ノックをして入室すると、覇気を纏った伝説で聞くモンブランがそこに居た。
「なにようじゃ?」
「は!クロバ様よりの手紙でございます」
何時もと違うモンブランの姿に緊張しつつ手紙を差し出す。
「ふむ・・・」
手紙を受け取り封を開け読み進めると更に濃密な覇気が室内に充満していく、二人は息が詰まる感じを受けつつも身動き一つ出来ないでいた。
「バンテリンは此方で保護しておる、重症だったが回復魔法で回復して戦支度を始めておる」
ふと緩んだ覇気に息を大きく吸い込む二人を優しい目で見るモンブランは手を差し伸べ、
「二人もよく動いてくれた、もはや猶予はならん!狩りの始まりじゃ」
そこにはかつての英雄、SS級狩りの鉄拳モンブランの姿がそこにあった。
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際兵枢機卿ジャマー・エストンの場合
際兵とは元々祭司兵と言い、司祭の祭事を無事終わらせるために守護するために立ち上げられた役職だ、つまりは祭事の守護者でありエリートが行うものであるし、信者や市民など俺達に従っていればいい。
だと言うのに親父は俺達は奉仕者であり、信者や市民を尊重する事が大事だと抜かしやがる。
財務枢機卿に相談したら、次の日に親父は行方が消えた、死んだのだろう。
これで俺の目の上のタンコブが消えた、これで俺は自由だ、何が伝説の際兵団副長だ!俺様は際兵枢機卿だ!モンブランも腑抜けている今、財務枢機卿と二人で支配も出来るだろう。
笑いが止まらん。
”コンコン”
「入れ」
「し、失礼いたします、大変です!際兵の半分が退職願を出し姿を消しました!!」
「ふん、補充など幾らでも居る、ほおっておけ」
「しかし!」
「良いからほおっておけ、報告はそれだけか?」
「は、はい」
「なら下がれ」
不満そうな顔の副官を無理やり下がらせたが、あいつもついでに外すか。
この時の俺は自分の栄光以外考えていなかった、際兵になりたいやつは五万居て俺に逆らうやつは皆殺しだと。
過去に戻れるなら俺自身をぶん殴りたい。
まさに勘違いの極地に居た。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
トッポの場合
クロバに呼び出しを受けて、トッポは王城近くのカフェに来ていた。
「おまたせっす」
「いやいやあたしから呼び出したんだ、すまないがこれを調べてもらえないかい?」
クロバがそっと差し出した紙を受け取り素早く目を通すと、暗号を頭の中で解読していく。
「大丈夫っす、これなら明後日には報告できると思うっすよ」
「思ったより早いね、やっつけだと困るよ」
トッポはニヤリと笑うと。
「実は結構強い伝があって、兄貴の関係で丁度この後会う予定なんっすよ」
「ほう、それは助かる」
「しかし、こんな所にも手を伸ばしてたんすね、あのおっさん・・・兄貴に火の粉がかかる前に消しておくとするっす」
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