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いっぽうそのころ
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七つ丘は遥か上空にあると言われる神の宮のレプリカとも言われ、6つの丘が更に高い丘を囲む形にそびえる地形である。
中央の丘が龍帝の住処であり、どの王も立ち入る事が許されない場所である。
その一角風の丘、風龍宮
「あ~どうしたら良いんだ」
翡翠髪の美青年が玉座に肘を乗せ頭を抱え込んでかなりの時間うなり続けている。
「王よ、いいかげんうっとうしいです、諦めてください」
そばに控えていた緑色髪の女性が心底疲れたように、冷めた目で見つめる。
「だって、だって、エリュスちゃんがあの化け物の所に行きたいって言うんだよ、そんなの駄目に決まってるじゃないか」
「はぁ、失礼を承知で申し上げますが、先代龍帝が決められた婚姻です、姫様も是非にとお望みなのですよ。」
彼女は眼鏡の右端を人差し指で押し上げ子犬のような目をした風龍王を見捨てるような事実を言って捨てる。
「いやだ、駄目だよ、エリュスちゃんは昔パパのお嫁さんになるって言ってたんだよ」
めんどくさくなったのか、女性は言葉を発する事無く黙って手元の資料を読み始めた。
その直後、扉が開くと豊かな緑翠髪の長い髪を靡かせて、美しい女性が入ってきた。
「貴方、外まで聞こえていますよ」
「だってエリュスちゃんが出て行っちゃうんだよ、しかも人間なんかの所に」
「お黙りなさい、お父様がお決めになった事です、それに彼は龍帝に望めばなれる状態なのですよ、貴方と違って」
「うぐぅ、いやだ~」
カーペットの上に寝ころがって、ジタバタする風龍王の腹を踏みつけてとても良い笑顔で
「いいから、お・し・ご・とをなさい」
「あう、セーラはそれでいいの」
プチっという音が聞こえそうなほど奥歯を食いしばった怖い笑顔をしたセーラが、さらに力を込めると流石にやばいと思ったのか
「姉さん、死んじゃうわよ」
「大丈夫よ、頑丈だし」
止める女性に答えを返したと同時に風龍王の手が力なく地面に落ちた。
「あら?意外ともたなかったわね」
「また、仕事が遅れますね」
「あら?寝ずにすれば直ぐ終わるわよ」
「夜9時過ぎるとグズッて進まなくなるんですよ」
こうして風の宮の昼は過ぎていく。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一方その頃盗賊達
荒れ果てた村に盗賊たちが到着したのは日も高くなった頃だった。
家は壊され畑は育てる物も無く荒れていた。
住人も痩せこけて、絶望が村を包んでいるようであった。
「ひ、酷い・・・」
「魔物除けの壁も効果が切れて2週間ぐらい経ってる、そのせいで夜な夜な小型の魔物に襲われてこんな状態だ」
「あらかじめ用意していたらよかったのに」
「魔物除けの壁は高いからな、ギリギリで買う予定だったがSS級のモンスターが出て買いに行くことも出来なかったらしい」
「お頭、準備が出来やした」
赤いバンダナの男が声をかけると、手下を見回して
「おめぇら!今日中にやってずらかるぞ!」
「「「おおおお!」」」
盗賊たちは手際よく荷車から木の板やら石材など降ろし、手際よく行動を開始する。
「お嬢ちゃんは俺達と森で狩りだ」
「え?」
サリーに簡素な槍を持たせると、そのまま森へとつれて出て行った。
「無理です、駄目です、きゃ~」
サリーは森の中でゴブリンやワイルドドッグなどを狩る盗賊達にまぎれて、弱ったモンスターたちにトドメをさす役割をさせられていた。
始めて生き物を殺す事に何度も吐き、涙を流しつつもお頭に励まされ、自分がなんでやらないといけないのかも解らずも続け日が傾く頃には村に戻ることになった。
「何で私がこんな事しないと駄目なんですか?」
少し落ち着いてきたサリーがお頭に問いかけると
「お嬢ちゃんは力仕事出来ないだろうし、料理もあれだからな。
俺達は何かしら仕事をしないと一緒に居れない、わかるだろう?」
「うう、解りますけど・・・」
「もう暫くやってみて、合わなければ他の仕事を考えよう」
盗賊団に参加して4日、サリーは最初の仕事は家事だったが、料理は炭にする出来てもまずい、家事は壊滅的。
会計を任せるほど信用はないし、入ったばかりがやる雑用は力が足りず出来ない。
仕方なくスパルタでモンスター狩りに連れ出し、鍛えることにしたのだった。
モンスターを狩ると人によりまちまちだが、力が少しづつ上がっていく。
もし合わなくても雑用が出来るぐらい力が付けば良いと思いつれて出ているのだった。
「やります、少しでも出来るように頑張ります」
ポソリとサリーが呟いた言葉に、お頭は楽しそうに笑うと
「嫌な事は忘れて帰ったら飲もうや」
村に帰ると畑は手付かずだが、魔物除けの壁が出来、家の壁や屋根の修復が終わっていた。
村人は涙を流しながら感謝を述べている所だった。
「すごい・・・」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
「おいおい、当然金はもらうから感謝はいらない、それに俺達は今日ここに泊まるからな」
「も、もちろんでございます、ここまでして頂いてお金をお支払いしないわけにはいきません」
平身低頭な村長や村人を巻き込んで夜には宴会が始まり夜が更けていく
盗賊ってこんな感じだっけ?そんなわけないよね、この人たちが良い人なんだとサリーは感じつつ疲れから目を閉じたのだった。
―――――――――――――――――――
たぬまるです
何時も楽しんでいただいてありがとうございます
盗賊ってこんなんだっけ?ってご意見も有ると思いますが、ちょっと先で理由がわかると思うのでもう暫くお待ちください^^
中央の丘が龍帝の住処であり、どの王も立ち入る事が許されない場所である。
その一角風の丘、風龍宮
「あ~どうしたら良いんだ」
翡翠髪の美青年が玉座に肘を乗せ頭を抱え込んでかなりの時間うなり続けている。
「王よ、いいかげんうっとうしいです、諦めてください」
そばに控えていた緑色髪の女性が心底疲れたように、冷めた目で見つめる。
「だって、だって、エリュスちゃんがあの化け物の所に行きたいって言うんだよ、そんなの駄目に決まってるじゃないか」
「はぁ、失礼を承知で申し上げますが、先代龍帝が決められた婚姻です、姫様も是非にとお望みなのですよ。」
彼女は眼鏡の右端を人差し指で押し上げ子犬のような目をした風龍王を見捨てるような事実を言って捨てる。
「いやだ、駄目だよ、エリュスちゃんは昔パパのお嫁さんになるって言ってたんだよ」
めんどくさくなったのか、女性は言葉を発する事無く黙って手元の資料を読み始めた。
その直後、扉が開くと豊かな緑翠髪の長い髪を靡かせて、美しい女性が入ってきた。
「貴方、外まで聞こえていますよ」
「だってエリュスちゃんが出て行っちゃうんだよ、しかも人間なんかの所に」
「お黙りなさい、お父様がお決めになった事です、それに彼は龍帝に望めばなれる状態なのですよ、貴方と違って」
「うぐぅ、いやだ~」
カーペットの上に寝ころがって、ジタバタする風龍王の腹を踏みつけてとても良い笑顔で
「いいから、お・し・ご・とをなさい」
「あう、セーラはそれでいいの」
プチっという音が聞こえそうなほど奥歯を食いしばった怖い笑顔をしたセーラが、さらに力を込めると流石にやばいと思ったのか
「姉さん、死んじゃうわよ」
「大丈夫よ、頑丈だし」
止める女性に答えを返したと同時に風龍王の手が力なく地面に落ちた。
「あら?意外ともたなかったわね」
「また、仕事が遅れますね」
「あら?寝ずにすれば直ぐ終わるわよ」
「夜9時過ぎるとグズッて進まなくなるんですよ」
こうして風の宮の昼は過ぎていく。
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一方その頃盗賊達
荒れ果てた村に盗賊たちが到着したのは日も高くなった頃だった。
家は壊され畑は育てる物も無く荒れていた。
住人も痩せこけて、絶望が村を包んでいるようであった。
「ひ、酷い・・・」
「魔物除けの壁も効果が切れて2週間ぐらい経ってる、そのせいで夜な夜な小型の魔物に襲われてこんな状態だ」
「あらかじめ用意していたらよかったのに」
「魔物除けの壁は高いからな、ギリギリで買う予定だったがSS級のモンスターが出て買いに行くことも出来なかったらしい」
「お頭、準備が出来やした」
赤いバンダナの男が声をかけると、手下を見回して
「おめぇら!今日中にやってずらかるぞ!」
「「「おおおお!」」」
盗賊たちは手際よく荷車から木の板やら石材など降ろし、手際よく行動を開始する。
「お嬢ちゃんは俺達と森で狩りだ」
「え?」
サリーに簡素な槍を持たせると、そのまま森へとつれて出て行った。
「無理です、駄目です、きゃ~」
サリーは森の中でゴブリンやワイルドドッグなどを狩る盗賊達にまぎれて、弱ったモンスターたちにトドメをさす役割をさせられていた。
始めて生き物を殺す事に何度も吐き、涙を流しつつもお頭に励まされ、自分がなんでやらないといけないのかも解らずも続け日が傾く頃には村に戻ることになった。
「何で私がこんな事しないと駄目なんですか?」
少し落ち着いてきたサリーがお頭に問いかけると
「お嬢ちゃんは力仕事出来ないだろうし、料理もあれだからな。
俺達は何かしら仕事をしないと一緒に居れない、わかるだろう?」
「うう、解りますけど・・・」
「もう暫くやってみて、合わなければ他の仕事を考えよう」
盗賊団に参加して4日、サリーは最初の仕事は家事だったが、料理は炭にする出来てもまずい、家事は壊滅的。
会計を任せるほど信用はないし、入ったばかりがやる雑用は力が足りず出来ない。
仕方なくスパルタでモンスター狩りに連れ出し、鍛えることにしたのだった。
モンスターを狩ると人によりまちまちだが、力が少しづつ上がっていく。
もし合わなくても雑用が出来るぐらい力が付けば良いと思いつれて出ているのだった。
「やります、少しでも出来るように頑張ります」
ポソリとサリーが呟いた言葉に、お頭は楽しそうに笑うと
「嫌な事は忘れて帰ったら飲もうや」
村に帰ると畑は手付かずだが、魔物除けの壁が出来、家の壁や屋根の修復が終わっていた。
村人は涙を流しながら感謝を述べている所だった。
「すごい・・・」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
「おいおい、当然金はもらうから感謝はいらない、それに俺達は今日ここに泊まるからな」
「も、もちろんでございます、ここまでして頂いてお金をお支払いしないわけにはいきません」
平身低頭な村長や村人を巻き込んで夜には宴会が始まり夜が更けていく
盗賊ってこんな感じだっけ?そんなわけないよね、この人たちが良い人なんだとサリーは感じつつ疲れから目を閉じたのだった。
―――――――――――――――――――
たぬまるです
何時も楽しんでいただいてありがとうございます
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