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ダークエルフ

エルフの王決着

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 雨季も近いため暗雲が空を覆う平原に、エルフの王が望み4精将がエルフ側の立会人となり、ヘーラ、レオナ、パンダヌキがダークエルフ側の立会人となった。

「ふ、あの獣が相手ではないのなら、私の勝ちだ」

 エルフの王は尊大な態度でブラウンに目を向け、ブラウンはその目をまるで気にした様子も無く拳を鳴らしていた。

「では、一騎打ち始め!」

 エルフの王は火炎球を20個浮かべると、勝ち誇ったようにニヤニヤと笑みを浮かべた。

「どうだ、人族には到底真似できまい。さっさと降伏するが良い」

「なぜだ?さっさと来い」

 ブラウンが右手の指をそろえ、クイクイと挑発した。

「ならばさっさと消し炭になれ!」

 顔を真っ赤にしたエルフの王が火炎球を全てブラウンに殺到させた。
 ブラウンに火炎球が当たるたびに爆発を起こし、土煙が舞い上がり、エルフの王はニヤリと笑い、立会人に向き直ると。

「これで私の勝ちが決まったな」

「は?何を言ってるんだ?」

「相手を倒せたかも解らぬとは・・・ぼんくらじゃな」

「何言ってんだい、あの爆発の中ではとても・・・」

 エンジュは反論しようとしたが、土煙が晴れ、無傷のブラウンが立っていた事に顔を青ざめさせる。

「さて・・・攻撃はこれだけか?」

「化け物か!ならばこれでも食らえ!」
 
 エルフの王の周りに風が巻き、右手に集い始める。

「我が最強の魔法エックスカリバー」

 右手を振りぬくと真空の刃がブラウンに向かって突き進む。
 ブラウンは左手を軽く振るうと同じく真空の刃が生まれ相殺してしまう。

「なぁ!高貴なるエルフの王たる私と同じ魔法だと!」

「いや、手を振っただけだ。魔法じゃない」

「ならこれならどうだ!!」

 エルフの王の周りを水が渦巻き、巨大な槍の形になる。

「メイルランス!」

 ブラウンは足元に落ちていた小石を拾い上げ、指で弾くと水の槍は弾けて消えてしまう。
 
 それを見たエルフの王は崩れ落ちるように跪いた。

「バカなぁばかなばかなばかな・・・」

「王よ、あんな化け物には勝てない。あの砂漠の土地に帰るしか・・・」

 そっとエルフの王の背中に手を置いたウィドの胸にエルフの王が腕を突き刺し、ズルリと胸の緑色の疑似魔石を引き抜き飲み込んだ。

「ふふふふふ、はひゃひゃひゃひゃ」

 エルフの王は目を魚のようにして、首からウーパールーパーの突起のようなものが生えてきた。

「これだ、これなら奴に勝てる!」

 七本の風の槍が生み出され、ブラウンに向かって飛んでいく。
 しかし、ブラウンに槍は当たる事無く、エルフの王の両手太腿、足の甲に突き刺さり、地面に縫い付ける。
 ブラウンはウィドの胸に、自分が持っていた魔道具のコアの魔石を当て一気に傷を癒した。
 代わりの魔石のお陰で小康状態になったのを確認して、ブラウンは残りの4精将の元においた。

「あ、ありがとう」

 振り向いたブラウンは鬼のような形相をして振り返った。

「自分の部下に何をしている」

「ぐげげげげげ、部下だから好きにして良いのだ、さっさと・・・・・・ぷげ」

 刹那、距離を詰めたブラウンの拳がエルフの王の顔面を捕え吹き飛んだ。
 更に追撃をするべく、ブラウンは後ろに回り、回し蹴りと次々に攻撃し、思い切り浮き上がったところに闘気の巨大な球をミゾオチに叩き込み、遥かかなたに10バウンドして止まった。

「ぼ、暴風・・・」

 ポツリとエンジュが呟いた瞬間に、エルフの王が地面に落ちて決着がついた。

 エルフの王の行動を見ていた4精将が他のエルフにもその話を伝えると、渋々ながらに元の大陸に戻ることを了承した。

「おぬし達の大陸の自然はある程度戻してやるのじゃ。
 ただし、ちゃんと計画を立てて自然を大切にせねば元の砂漠に戻るのじゃ」

「自然を戻して頂けるのですか?もちろんエルフ達にはこの話を語り続けましょう。
 これからは真摯に生きていきます」

 エンジュは顔を引き締め頷くと、ヘーラに心から感謝を伝えた。
 これにより聖地アブラキルが生まれ、エルフとダークエルフがその土地を奪い合うほど豊かな土地と多数の飛び地の森が生まれた。

「どうかしら、ブラウンちゃんも私達と元の大陸に♥」

 上腕二頭筋を見せながらカマーがブラウンを誘うが、ヘーラとレオナがダメだと速攻反対した。

 こうして思いがけなかった夏のバカンスは一先ず終息したように見えた。
 だが、エルフや過激派ダークエルフにはまだまだ苦難は続くのだった。


――――――――――――――――――――――――――――

 たぬまるです

 何時もごらん下さりありがとうございます

 この章はは後2話ほど後日談があります。
 元の大陸に戻った後のお話です^^
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