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サーシャは静かに暮らしたい
家出117日目 オオサカ
しおりを挟む 家出117日目
キクマロは主神が与えたと言われるニジョウジョウに呼び出されていた。
「キクマロ、ご苦労である」
上座から声をかけるヨシテルの声は怒りに満ちており、顔を上げるのも恐ろしいと思えるほどの威圧感が溢れていた。
「さて、密偵の報告によると・・・貴様主神であらせられるサーシャ様を事もあろうに殺せとぬかしたそうだな」
「ひぃ、知らなかったのでおじゃる、麻呂を馬鹿にしたクズ女だと思ったのでおじゃ・・・」
最後まで言い終わる前に、雷を纏った男が降り立った。
「てぇめぇ!いい加減にしろよ!創造神様を止めるのが大変なんだよ!
しかも今回は大地母神様もお怒りでなぁ!
おめぇはちょっと地獄までお出かけだぜ」
そう言ってキクマロを連れて男は姿を消した。
「ぬぅ・・・この手で打ちたかったが」
”心配すんな、オシオキが終れば戻すからな”
キクマロが姿を消して一年後、白髪の年老いたような姿でフジの樹海で発見されたと言う。
その頃にはヨシテルも存在を忘れており、静かな余生を過ごしたと言う。
一方その頃サーシャは
オオサカの街に足を伸ばしていた。
センニチマエでたこ焼きを買い食いしながら、たこ焼き屋さんにおススメと言われたお好み焼き屋を目指していた。
この地域は南にあることからミナミと呼ばれていた。
たこ焼き屋の隣がお笑い劇場でその反対を行くと地下にある賭博場が右に見える。
その路地を右に進むと二階建ての建物の二階にその店が有った。
「雰囲気があるね~」
「個室な所が良いですね」
自分で焼くのがあれだが、二人はノンビリ出来ると、焼き方を見ながら焼いていくと
「ねね、これをこうしたらもっと扱いやすくない?」
「凄いよ、他の事にも応用できそうだね」
サーシャの提案した魔道具を見て感動したように、同意するセドリック。
サーシャが考えた魔道具は魔石のエネルギーを使って一定の強さの火を起こし、その上に鉄板やたこ焼き器を載せるものだった。
今は鉄板の下に炭火を使っているのだが、炭代が高く値段も高くなりがちである。
値段が下がればもっと広まるだろうと考えたのだった。
「しかし、この世界に来てこれだけ小麦を使ったものを食べたのは初めてだね」
「セドリックが初めてなら私もそうだよ」
穏やかな時間を過ごす二人の横の部屋で、カークスとミーが護衛をしつつお好み焼きを食べていた。
「これは出汁が効いていますね・・・ソースの複雑さもあって・・・」
「たしかに、ミー殿であれば作れるような気がする」
少し顔を赤くして言ったカークスの言葉に、耳まで赤くしたミーは「今度食べてくださいね」と呟いた。
カークスもミーもそんな甘い空気を醸し出しながら、二人は確りとサーシャとセドリックの部屋に不穏が無いかはチェックしていた。
カークス達と反対側の部屋に居るナナヤとスーケはいかげそを摘みながら、お笑い劇場の話をしていた。
「あれは面白そうね」
「ああ、今日は俺達が夜は休みだ、行ってみるか?」
スーケの言葉に嬉しそうに微笑むと、ナナヤが頬に手を当て
「じゃあ、おしゃれしないとね」
「楽しみにしてる」
その後はナナヤが声をかけると、スーケが答える。
そんな時間をゆっくりと過ごしていた。
「お~なんだ~兄ちゃん達もりあがってねえな~」
「なんだい?あんた達」
「せっかくだからよ~こっち着て一緒に飲もうぜねぇちゃん」
赤ら顔の男がナナヤに手を伸ばそうとしたが、スーケがその手を掴んで止めた。
「止めておけ・・・」
「な、てめぇ・・・離せ」
男は必死に離そうとするがビクともしない。
「てめぇ」
慌てた男は、スーケの顔を殴るが、真っ直ぐな目を向けられ、男は怯んでしまう。
「気が済んだか?帰れ」
男は慌てたように、部屋を出て行き、静けさが戻った。
「馬鹿だね」
そう言ってスーケの口に滲んでいる血をハンカチで拭うと、殴られた頬をそっと触った。
「ほれた女のためなら・・・な」
そう言ってゲソを摘み始めるスーケの背中を抱きしめたナナヤは
「私も好きだよ」
そう言って唇を合わせた。
スーケはナナヤに膝枕をしてもらい、穏やかな時間を過ごした。
ナナヤもとても幸せそうな顔をして、スーケの髪をなでていた。
「スーケさんとナナヤさんが先にくっついたね」
そう言って楽しそうに笑うセドリックを柔らかい笑みを浮かべて見つめると
「カークスも頑張ってくれたら良いのにね」
「まだかかりそうだよ」
キクマロは主神が与えたと言われるニジョウジョウに呼び出されていた。
「キクマロ、ご苦労である」
上座から声をかけるヨシテルの声は怒りに満ちており、顔を上げるのも恐ろしいと思えるほどの威圧感が溢れていた。
「さて、密偵の報告によると・・・貴様主神であらせられるサーシャ様を事もあろうに殺せとぬかしたそうだな」
「ひぃ、知らなかったのでおじゃる、麻呂を馬鹿にしたクズ女だと思ったのでおじゃ・・・」
最後まで言い終わる前に、雷を纏った男が降り立った。
「てぇめぇ!いい加減にしろよ!創造神様を止めるのが大変なんだよ!
しかも今回は大地母神様もお怒りでなぁ!
おめぇはちょっと地獄までお出かけだぜ」
そう言ってキクマロを連れて男は姿を消した。
「ぬぅ・・・この手で打ちたかったが」
”心配すんな、オシオキが終れば戻すからな”
キクマロが姿を消して一年後、白髪の年老いたような姿でフジの樹海で発見されたと言う。
その頃にはヨシテルも存在を忘れており、静かな余生を過ごしたと言う。
一方その頃サーシャは
オオサカの街に足を伸ばしていた。
センニチマエでたこ焼きを買い食いしながら、たこ焼き屋さんにおススメと言われたお好み焼き屋を目指していた。
この地域は南にあることからミナミと呼ばれていた。
たこ焼き屋の隣がお笑い劇場でその反対を行くと地下にある賭博場が右に見える。
その路地を右に進むと二階建ての建物の二階にその店が有った。
「雰囲気があるね~」
「個室な所が良いですね」
自分で焼くのがあれだが、二人はノンビリ出来ると、焼き方を見ながら焼いていくと
「ねね、これをこうしたらもっと扱いやすくない?」
「凄いよ、他の事にも応用できそうだね」
サーシャの提案した魔道具を見て感動したように、同意するセドリック。
サーシャが考えた魔道具は魔石のエネルギーを使って一定の強さの火を起こし、その上に鉄板やたこ焼き器を載せるものだった。
今は鉄板の下に炭火を使っているのだが、炭代が高く値段も高くなりがちである。
値段が下がればもっと広まるだろうと考えたのだった。
「しかし、この世界に来てこれだけ小麦を使ったものを食べたのは初めてだね」
「セドリックが初めてなら私もそうだよ」
穏やかな時間を過ごす二人の横の部屋で、カークスとミーが護衛をしつつお好み焼きを食べていた。
「これは出汁が効いていますね・・・ソースの複雑さもあって・・・」
「たしかに、ミー殿であれば作れるような気がする」
少し顔を赤くして言ったカークスの言葉に、耳まで赤くしたミーは「今度食べてくださいね」と呟いた。
カークスもミーもそんな甘い空気を醸し出しながら、二人は確りとサーシャとセドリックの部屋に不穏が無いかはチェックしていた。
カークス達と反対側の部屋に居るナナヤとスーケはいかげそを摘みながら、お笑い劇場の話をしていた。
「あれは面白そうね」
「ああ、今日は俺達が夜は休みだ、行ってみるか?」
スーケの言葉に嬉しそうに微笑むと、ナナヤが頬に手を当て
「じゃあ、おしゃれしないとね」
「楽しみにしてる」
その後はナナヤが声をかけると、スーケが答える。
そんな時間をゆっくりと過ごしていた。
「お~なんだ~兄ちゃん達もりあがってねえな~」
「なんだい?あんた達」
「せっかくだからよ~こっち着て一緒に飲もうぜねぇちゃん」
赤ら顔の男がナナヤに手を伸ばそうとしたが、スーケがその手を掴んで止めた。
「止めておけ・・・」
「な、てめぇ・・・離せ」
男は必死に離そうとするがビクともしない。
「てめぇ」
慌てた男は、スーケの顔を殴るが、真っ直ぐな目を向けられ、男は怯んでしまう。
「気が済んだか?帰れ」
男は慌てたように、部屋を出て行き、静けさが戻った。
「馬鹿だね」
そう言ってスーケの口に滲んでいる血をハンカチで拭うと、殴られた頬をそっと触った。
「ほれた女のためなら・・・な」
そう言ってゲソを摘み始めるスーケの背中を抱きしめたナナヤは
「私も好きだよ」
そう言って唇を合わせた。
スーケはナナヤに膝枕をしてもらい、穏やかな時間を過ごした。
ナナヤもとても幸せそうな顔をして、スーケの髪をなでていた。
「スーケさんとナナヤさんが先にくっついたね」
そう言って楽しそうに笑うセドリックを柔らかい笑みを浮かべて見つめると
「カークスも頑張ってくれたら良いのにね」
「まだかかりそうだよ」
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