迷宮に捨てられた○○、世界を震わせる

たぬまる

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エルフの国

プロローグ

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霧が立ち込める朝、りゅーちゃんと結が対峙していた。
 
「はぁ!」

 気合と共にりゅーちゃんが拳を突き出すと、結は正拳に対して潜り込むように身体を下にさげ、左腕をりゅーちゃんの伸び切った腕に当て、引き上げるとともに更に一歩踏み込み、背中をりゅーちゃんの下腹部に突っ込む形で当てた。

「ぐ、の!」

 たまらず一歩後ろに下がるが、置き土産に結の膝裏を蹴りつける。バランスを崩した一撃は威力も何も無いように見えたが、追撃を放とうとしていた結はバランスを崩してしまう。
 その間にりゅーちゃんは転がりながら距離を取ると、片膝をついて息を吐き出した。

「やはり、前よりかなり強くなったな・・・」

 りゅーちゃんは油断無く結を見ていたはずだが、結の姿がぶれると後頭部に思い切り肘を叩き付けられた。

「が!」

 この瞬間、決着がついた。
 伝説の絶対龍王が生まれて初めて正面から闘って敗北した。

「勝った~」

「ちぇ、一瞬意識を失ったか・・・結、強くなったな」
 
 りゅーちゃんは起き上がると、頭を掻きながら結の方へ歩いていく。

「へへへ、なんだか最近身体が思うように動くんだよね♪」

「そりゃレベルが上がったんだろう?」

 言われて結はステータスをチェックしてみた。

 吉川 結

LV:999 

力 897 知 978 精 999 技 999 神 ???  速 958 運 ????

魔歌 LV99/99

職業スキル 武道家LV99

パンチ系 LV50/50

受け系 LV50/50

キック系 LV50/50

奥義虎狼乱舞 LV10/10

気配察知 LV5/5

神速 LV60/60

▼後で読んでね


「・・・なにこれ!!!!」

 結がりゅーちゃんにステータスの説明をすると、流石のりゅーちゃんも驚いたように頭を抱えて考え込むと

「俺の1.5倍か・・・前からおかしいと思ってたんだが此処までとは・・・」

「後で読んでねって如何したら良いんだろう?」

 そう言ってステータスの▼の所をポチポチ押したりしていると。
 文字が出てきた。

”神だよ。
 君におススメのコスを準備したよ、異次元自宅に入れておいたよ。
 それと、少し問題が発生したから、出来ればエルフの国レルディアンに向かっておくれ。
 ああ、これ以上僕に近くなってもらっても困るんだけど、りゅーちゃんに結君が神意開放と言ってごらん”

「だって・・・」

「ふむ、神からのお願いね・・・あいつ何考えてるんだ」

 りゅーちゃんが長考に入ったので、最後に言っていた神意開放と唱えると、りゅーちゃんが白い光に包まれ、悲鳴を上げてそのまま倒れた。

「りゅーちゃん、大丈夫!」

 結がりゅーちゃんに駆け寄ると、りゅーちゃんはばね仕掛けの人形のように飛び起き、結と頭をぶつけ合う。
 頭を軽く振りながらりゅーちゃんを見ると、翼を広げて空に浮かび両手を見ていた。

「な、何だこれは・・・結から物凄い力が流れ込んでくる・・・」

 りゅーちゃんが力を少し込めて龍鱗の鎧を纏い、両腕を円を描くように回すと、気がドンドン集まり、それを両手で押し出すように空に放った。
 青白い光が力の濁流となって空を貫き、遥か彼方に消えていった。

「こ、これは・・・」

「りゅーちゃん大丈夫?」

 りゅーちゃんのそばまで飛んできた結の肩をつかむと

「結・・・何をしたんだ?
 この力は明らかに結の力だ」

 結が神のメッセージについていたことを伝えると、りゅーちゃんは思い切り邪笑し、空に向かって声を張り上げた。

「こら!チュウボウ!今ならお前の居場所まで転移できる気がするぞ!
 一回殴りに行くから待ってろや!」

 その直後、雲が文字の形になり

”ごめんよ~許して”

 となった。

 それを見てりゅーちゃんは「ふっ」と笑い

「バカが・・・仕方ねぇな。結、準備してエルフの国に行くぞ」

 そう言って微笑むりゅーちゃんが結には光り輝いて見えて。
 きっと、かつて世界中が憧れた美君主の姿そのものなんだろうなと思ってしまった。


――――――――――――――――――――

ども、たぬまるです。

息抜き短編のローレンス シリーズを書きました。
一話完結のコメディーファンタジーです。
もしよろしければご覧ください。
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