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龍人の国
村人の進化
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ある日の昼下がり、結がふとした疑問をりゅーちゃんに聞いたことから始まった。
「ねね、りゅーちゃんは空を飛んだりするよね?」
「ああ、俺の頃の龍人族は空を飛んでいたからな」
りゅーちゃんは何が言いたいのか解らないと首を捻る。
「って事は龍人は飛び方がわかったらみんな飛べるんだよね?」
「何を当たり前・・・そうか!面白いな」
そう言ってニヤリと笑うと、りゅーちゃんは龍人の冒険者達の所に向かっていった。
「もう、私も行く~」
そう言って結は追いかけていった。
「よーし!お前達、龍翼は出せるな」
龍人族を集めて翼を出すように指示して自分の翼を出す。
龍人族の者たちはその翼を見て拍手して驚く。
「え?お前達翼出せないの?」
「えっと翼の出し方なんて習ったこと無いですし・・・」
オズオズと答える龍人族にりゅーちゃんは何かとてつもなく不味い物でも食べたかのような顔をし、
「ま、まさか龍角を出す奴も居ないのか?」
震えるような声で問いかけると、龍人の女性は怯えたように頷いた。
それを震えながら確認すると、崩れ落ちるように膝から地面に倒れた。
「りゅーちゃん!」
やっと追いついてきた結がりゅーちゃんに駆け寄ると
「ゆい~龍人族が~龍人の誇りを忘れてる~」
「え?どういうこと?」
結の問いかけにりゅーちゃんは立ち上がり、巨大な翼を広げ額から7本の立派な角を出す。
「龍人は龍の末裔だから、最低でも龍翼が出せる事が龍人の証だったんだ。
その中でも龍角が出せる者を属性龍人と言って、角の大きさで使える龍魔法の強さが決まるほど大切な物だったんだ」
地面にのの字を書きながら説明するりゅーちゃんを可愛いなっと思いつつ、りゅーちゃんの頭をなでる。
「そうなんだ、りゅーちゃんの角は7本もあって立派だね」
結が慰めるようにりゅーちゃんの角を褒めて撫でると
「そうだろう、そうだろう、ちなみにその角は時空属性の角だぞ」
「そうなんだ~そうだ、何か翼を出す練習とか無いの?」
りゅーちゃんはう~んとうなると、
「昔は翼に似た物で何回か飛ぶと自然と出たんだが・・・」
それを聞いて、結は地面に絵を書いていくと
「そうそう、そんな感じで、確か風の魔石をここらへんに嵌め込んで魔力を流すと何処からでも飛べるんだったな」
思い出すように結の書いた絵に書き足していくと、結いはふむむと今度は図面を引き始める。
取り残された龍人にりゅーちゃんが向き直ると。
「先ずは村に居る龍人全員が空を飛べるようになる事!それと結の加護があるんだから全員龍角が出せるはずだ!そこまで行くぞ!」
「はい!」
そう話している間に設計図を書き終えた結が
「りゅーちゃん、この材料だして~」
と、手帳にメモした材料を要求した。
次の日
結が10機の風の魔石付きハングライダーを作り上げた。
「良し!結が折角作ってくれたんだ!全員飛べるようになるぞ!」
その日誰一人飛べるようになれた者は居なかった。
だが、その次の日には2人、その次の日には1人と徐々に龍翼で飛べる者が増えていった。
そして使わなくなったハングライダーを人族が使い空を飛ぶものが増えていった。
そんなある日
「りゅーちゃ~ん」
結の声に顔を上げたとたんりゅーちゃんは顎が外れそうなほど口を開けて驚いた。
結は龍翼を広げ空を舞っていた。
「お、おまおま・・・お前龍人族だったのか!!」
「え?ちがうよ」
「だ、だって龍翼出てるじゃないか!」
「う~ん皆やってるし出来るかな?って思ったら出たよ。
これも」
そう言って結が顔を赤くして力を込めると、8本の光り輝く角が額にあわられた。
その瞬間、また顎が外れそうなほど口を開いて驚くと。
「俺より多い・・・」
地面に両手両膝をついて動かなくなった。
「りゅ、りゅーちゃん?」
「あ、あはははは、結やっぱお前はすげぇわ
流石俺の主だ、所で8本目はなに属性なんだ?」
「えっとね・・・神だって」
「あはは、やっぱすげぇな」
こうして、結の村人は飛行移動を手に入れた。
更に龍人族は最低一本は龍角を出すことが出来、かなりの戦闘力アップに繋がった。
一方セアキワ国では
セアキワ王国にとって今までに無いピンチを迎えていた。
大干ばつが起こり、しかも井戸まで枯れる始末。
それに合わせる様にサク王子が率いた兵士の家族が各地から姿を消した。
更に不満が募った他の村人達は各地で暴動を起こし、その鎮圧に奔走する騎士達の後ろ姿が哀愁漂っていた。
「どうなっているのだ!」
次々に届く反乱、暴動の報告にいらだった様に声を上げる王は、書類を宰相に投げつけるとイスに腰を降ろし。
「見せしめに村の一つでも潰せば恐れて止まるだろう」
「陛下・・・それは悪手かと」
諌める宰相をにらみつけると
「騎士団長!何処か適当な村を見せしめに潰して来い」
「は!」
こうしてセアキワ王国破滅が始まった。
「ね~サク王子。雪ね、この間見たドレスが欲しいなぁ」
サクにしな垂れかかっておねだりをする。
「いいともいいとも、ところで前に雪が言っていたギロチンだったか?
あれを作ろうと思うんだが協力してもらえるか?」
いい笑顔を浮かべて頷く雪、サク王子も楽しそうに笑い。
「愚民共が恐怖に歪むのが楽しみだな」
静かに雨が降る町並みを眺め、うっとりと笑う二人が居た。
この二人には民の声も聞こえず、自分の楽しみだけを追求する欲だけが映っているようであった。
「ねね、りゅーちゃんは空を飛んだりするよね?」
「ああ、俺の頃の龍人族は空を飛んでいたからな」
りゅーちゃんは何が言いたいのか解らないと首を捻る。
「って事は龍人は飛び方がわかったらみんな飛べるんだよね?」
「何を当たり前・・・そうか!面白いな」
そう言ってニヤリと笑うと、りゅーちゃんは龍人の冒険者達の所に向かっていった。
「もう、私も行く~」
そう言って結は追いかけていった。
「よーし!お前達、龍翼は出せるな」
龍人族を集めて翼を出すように指示して自分の翼を出す。
龍人族の者たちはその翼を見て拍手して驚く。
「え?お前達翼出せないの?」
「えっと翼の出し方なんて習ったこと無いですし・・・」
オズオズと答える龍人族にりゅーちゃんは何かとてつもなく不味い物でも食べたかのような顔をし、
「ま、まさか龍角を出す奴も居ないのか?」
震えるような声で問いかけると、龍人の女性は怯えたように頷いた。
それを震えながら確認すると、崩れ落ちるように膝から地面に倒れた。
「りゅーちゃん!」
やっと追いついてきた結がりゅーちゃんに駆け寄ると
「ゆい~龍人族が~龍人の誇りを忘れてる~」
「え?どういうこと?」
結の問いかけにりゅーちゃんは立ち上がり、巨大な翼を広げ額から7本の立派な角を出す。
「龍人は龍の末裔だから、最低でも龍翼が出せる事が龍人の証だったんだ。
その中でも龍角が出せる者を属性龍人と言って、角の大きさで使える龍魔法の強さが決まるほど大切な物だったんだ」
地面にのの字を書きながら説明するりゅーちゃんを可愛いなっと思いつつ、りゅーちゃんの頭をなでる。
「そうなんだ、りゅーちゃんの角は7本もあって立派だね」
結が慰めるようにりゅーちゃんの角を褒めて撫でると
「そうだろう、そうだろう、ちなみにその角は時空属性の角だぞ」
「そうなんだ~そうだ、何か翼を出す練習とか無いの?」
りゅーちゃんはう~んとうなると、
「昔は翼に似た物で何回か飛ぶと自然と出たんだが・・・」
それを聞いて、結は地面に絵を書いていくと
「そうそう、そんな感じで、確か風の魔石をここらへんに嵌め込んで魔力を流すと何処からでも飛べるんだったな」
思い出すように結の書いた絵に書き足していくと、結いはふむむと今度は図面を引き始める。
取り残された龍人にりゅーちゃんが向き直ると。
「先ずは村に居る龍人全員が空を飛べるようになる事!それと結の加護があるんだから全員龍角が出せるはずだ!そこまで行くぞ!」
「はい!」
そう話している間に設計図を書き終えた結が
「りゅーちゃん、この材料だして~」
と、手帳にメモした材料を要求した。
次の日
結が10機の風の魔石付きハングライダーを作り上げた。
「良し!結が折角作ってくれたんだ!全員飛べるようになるぞ!」
その日誰一人飛べるようになれた者は居なかった。
だが、その次の日には2人、その次の日には1人と徐々に龍翼で飛べる者が増えていった。
そして使わなくなったハングライダーを人族が使い空を飛ぶものが増えていった。
そんなある日
「りゅーちゃ~ん」
結の声に顔を上げたとたんりゅーちゃんは顎が外れそうなほど口を開けて驚いた。
結は龍翼を広げ空を舞っていた。
「お、おまおま・・・お前龍人族だったのか!!」
「え?ちがうよ」
「だ、だって龍翼出てるじゃないか!」
「う~ん皆やってるし出来るかな?って思ったら出たよ。
これも」
そう言って結が顔を赤くして力を込めると、8本の光り輝く角が額にあわられた。
その瞬間、また顎が外れそうなほど口を開いて驚くと。
「俺より多い・・・」
地面に両手両膝をついて動かなくなった。
「りゅ、りゅーちゃん?」
「あ、あはははは、結やっぱお前はすげぇわ
流石俺の主だ、所で8本目はなに属性なんだ?」
「えっとね・・・神だって」
「あはは、やっぱすげぇな」
こうして、結の村人は飛行移動を手に入れた。
更に龍人族は最低一本は龍角を出すことが出来、かなりの戦闘力アップに繋がった。
一方セアキワ国では
セアキワ王国にとって今までに無いピンチを迎えていた。
大干ばつが起こり、しかも井戸まで枯れる始末。
それに合わせる様にサク王子が率いた兵士の家族が各地から姿を消した。
更に不満が募った他の村人達は各地で暴動を起こし、その鎮圧に奔走する騎士達の後ろ姿が哀愁漂っていた。
「どうなっているのだ!」
次々に届く反乱、暴動の報告にいらだった様に声を上げる王は、書類を宰相に投げつけるとイスに腰を降ろし。
「見せしめに村の一つでも潰せば恐れて止まるだろう」
「陛下・・・それは悪手かと」
諌める宰相をにらみつけると
「騎士団長!何処か適当な村を見せしめに潰して来い」
「は!」
こうしてセアキワ王国破滅が始まった。
「ね~サク王子。雪ね、この間見たドレスが欲しいなぁ」
サクにしな垂れかかっておねだりをする。
「いいともいいとも、ところで前に雪が言っていたギロチンだったか?
あれを作ろうと思うんだが協力してもらえるか?」
いい笑顔を浮かべて頷く雪、サク王子も楽しそうに笑い。
「愚民共が恐怖に歪むのが楽しみだな」
静かに雨が降る町並みを眺め、うっとりと笑う二人が居た。
この二人には民の声も聞こえず、自分の楽しみだけを追求する欲だけが映っているようであった。
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