迷宮に捨てられた○○、世界を震わせる

たぬまる

文字の大きさ
上 下
4 / 26
龍人の国

鍛冶と結、ブタ狩りと嵐

しおりを挟む
 結とりゅーちゃんが外で暴れまわっている頃、異次元自宅でお留守番をしているピーちゃんは。

「じんかできるとごしゅじんといられる」

 必死に人化をするために修行をしていた。


一方その頃冒険者ギルドの受付で今日は二手に分かれることになっていた。

「今日は私は鍛治の手伝いをするわね」

「ったく、それがお前のためになるんなら良いが、暴れてねぇと俺はイライラするんだよ」

「だったら確り暴れて来てね」

 その日、結は鍛冶の手伝い、りゅーちゃんはオーク1体の討伐を受けることにした。
 例によってバンブーオークの討伐でも良いため、りゅーちゃんは楽しみにしていた。


 ギルドで分かれた後、結は鍛冶やに向かった。

「なんだ?ちっこいのが来たのう、重いものを運んでもらうが大丈夫か?」

「大丈夫ですよ、こう見えて私力持ちなんで」

 そう言ってマッチョポーズをする結を微笑ましそうに見つめ、自慢のあごひげを撫でる男

「じゃあ頼もうかのう、わしはカンショじゃ」

「私は結、宜しくね」

 柔らかい握手をすると

「では、早速この鉱石を製鉄場に運んでくれや」

「これ全部?」

「ああ、それが今日の分だ」

 確認すると箱を全部積み上げて一気に持ち上げて見せた。

「ぬぁ!」

 驚いて目を見開いたカンショを置いたまま結は製鉄場に運んでいく。
 製鉄場には筋肉質な美しい女性が汗だくになり炉の温度を上げていた。

「新人さん?お疲れ様、鉱石はそこら辺に置いておいて」

 炉から目を離さずにそう言う。

”ずん”

「今回の新人さんは力持ちね・・・あれ?新人さんは?」

 振り向いた女性は不思議そうに首を傾けた。

「あ、私です」

 自分を指差す結を見て驚愕の顔をする。
”あ、美人さんでもこんな顔の時はかなり崩れるんだね”

 結がそう思っていたのは内緒。

「えぇぇぇぇぇ!!」

 驚きのあまり座っていたイスから転がり落ちた。

「あう、す、凄いのね、アタシはバクヤ旦那と同じ鍛冶師さ」

 そう言って握手を確りとした。

「アンタかなり力が強いね、アタシが鍛冶を教えてやろうか?」

「え?良いんですか?嬉しい♪」

 こうして、結は鍛冶の師と呼べる人と縁を結ぶことが出来た。
 
 その後復活したカンショにも色々と教えてもらい、記憶力も相まって物凄い勢いで技術を吸収していった。


一方りゅーちゃんは

 ガゴスと音を立ててバンブーオークの頭を砕き、悦に入ったように体を抱きしめていた。

「ああぁ、良いな、やっぱ戦いはこうじゃねぇとな♪」

 そう言って次々とバンブーオークを叩きのめして行くと、集落の奥まった所にある小屋からうめき声が聞こえた。

「うん?だれかいんのか?」

 そう言って小屋の扉を蹴り破り中に入ると、裸の数人の女性が囚われていた。

「ち、襲われた奴はいるか?」

「き、昨日私達は運ばれてきたから、無事だけど・・・前から居た人がみんな外に連れて行かれて・・・」

 そう言って震える短髪の女性。
 忌々しそうに顔をしかめるりゅーちゃんは

「おめぇら、今ブタどもを処理中だ、そこで大人しく待ってろ」

 そう言い残すと集落中のバンブーオークを潰して回る、逃げ出すものも膝を砕かれて動けなくされ、這いずり回ると腕を砕かれ、バンブーオーク達にとって地獄が続いた。

 一方的な虐殺が終わり、女性達を出すと。

「あんたらは、「運ばれてきた」と言ってたな、誰に運ばれた?」

 一瞬バツの悪そうな顔をすると

「私達の村の男どもさ・・・」

「ふぅん、そうか、あんたらはそれを許す気はあるか?」

 意地悪そうな笑顔で問いかけるりゅーちゃんに掴みかかり

「許せるわけがないだろ!殺してやりたいよ!!でも、あたしらは弱い!」

 そう言ってりゅーちゃんの胸で泣き崩れる女性の顎を持ち上げ、強烈な笑みを浮かべると

「じゃあ、俺が殺ってやるよ。
 ただし、ただじゃぁ無い、俺には主が居るんだが、それの身の回りの世話と、お守りをしてもらう。
 給料もくれてやろう、悪い話じゃないだろう」

「殺ってくれるのかい?なら私は条件を飲むよ!
 皆はどうする?」

「私も」

 次々に賛同の声が上がり、全員が賛同した所でりゅうちゃんは契約魔法を施して、村の場所を聞き出すと一旦女性達を連れてセイトの街に戻って行った。

「で、ではこの方達はバンブーオークの集落に居た人たちなんですね」

「ああ、貞操は無事だよ。俺はちょっと出かけてくるから、ここで暫く面倒を見てやってくれ。
 金貨2枚あればお釣りが来るだろう?」

 そう言って、カウンターの上に金貨を2枚置くと出て行こうとするが、受付嬢がりゅーちゃんの服を掴んで止めると

「ちょっとだけ待ってください、上司と相談して依頼に出来るかもしれません」

「早くしろよ」

 その後ギルドからの正式依頼で山龍人の捕縛がりゅーちゃんに出され、街を出てりゅーちゃんは空を飛んで村に向った。

 減った女性をセイトに奪いに行く相談を男達がしていた時、ふと影が走り、男達が宙を舞った。

 結果的に言うと30人の男達は一瞬で意識を刈り取られた。
 しかし、目が覚めると体中に激痛が走り、気絶しては目を覚ます事を繰り返し、発狂も出来ず身体にかかる振動すら痛みに変わる。

 こうして男達は犯罪奴隷として売られ、残った女性はセイトで保護された。


「ではりゅー様討伐、捕獲依頼の報酬と、犯罪奴隷の買取金合わせて金貨2500枚となります」

「おー」

 そう言って金貨の入った袋を受け取ると、気だるそうに鞄に直した。

「それとりゅー様はFランクに特例で上がって頂くことになりました」

「あん?いらねーよ、普通で良いわ、どうせ結と同じじゃねぇとうるせぇだろしな」

 その返事に一瞬で顔色が変わり

「こ、こまります、りゅーさまには是非上がっていただかないと」

「煩せえな、俺は結と上げてくからいいんだよ」

「な、なら結ちゃんもFに上げます、私の判断でそこまでは許可されていますから」

 半泣きの受付嬢をジド目で見ると

「お前、幾らもらえるんだ?」

「う、き、金貨5枚ほど・・・」

「今日はお前の奢りな」

「解りました・・・それと、私リンファです」

「おう、リンファな。結の仕事が終ったら飯だからな、準備しておけよ」

 

一方その頃の結

「凄いよ!この折り返しと硬さの違う鉄を使って剣を作るなんて」

 そう言って打ち上がった剣を感動的に見ているバクヤ、声もなく震えるカンショ。
 なれてきた頃に、ギャンブルによく来ていた話好きの鍛冶師から聞いた技術を混ぜて作った剣があまりの出来に二人が感動に震えてしまった。

「俺は、これを超える剣を作る!」

「アタシもだよ!」

 二人に何か火がついてしまったようで、それに触発されたように結も、後一振り作ろうと思い立ち

”職業を鍛冶師に”

 それからの三人は凄いの一言であった。

 バクヤが黒い刀身のインを打ち上げるとカンショは輝くような刀身のヤオを打ち上げた。

「出来たね」

「ああ、今までで一番の出来た・・・」

「私も出来た!」

 結の打ち上げた剣はその場にあるだけで、全てを切ってしまう様なたたずまいの迫力のある剣を
「ケンエン」となずられた。

「可愛くない」

「何を言う剣の深遠の一端という意味だぞ」

 いつかこの剣を目指すと誓う二人はいつでも来いと結に言うとその日の仕事は終わりを告げた。


 その日の夜、

 リンファは泣きそうになっていた。思った以上に食べる二人、それを見るだけで胸焼けをしてしまって、リンファはご飯を食べれなかった。

 自棄酒のようにお酒をあおり、酔い潰れるまで飲み続けたという。

 結の手元の剣にりゅーちゃんは興味津々で、明日使わせてもらおうと、こっそりと思っていた。
しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

そう
ファンタジー
ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

無才印の大聖女 〜聖印が歪だからと無能判定されたけど、実は規格外の実力者〜

Josse.T
ファンタジー
子爵令嬢のイナビル=ラピアクタは聖印判定の儀式にて、回復魔法が全く使えるようにならない「無才印」持ちと判定されてしまう。 しかし実はその「無才印」こそ、伝説の大聖女の生まれ変わりの証であった。 彼女は普通(前世基準)に聖女の力を振るっている内に周囲の度肝を抜いていき、果てはこの世界の常識までも覆し——

デュアルワールド

たぬまる
ファンタジー
 体感式VRMMORPG「オリンポスファンタジー」1位ランカー「アレス」その妹で双子のニケとパラスは「オリンポスファンタジー」NO1のアイドルユニット「アテナ」はある日アテナと常に一緒に居るアレスに嫉妬した男に謎のアイテムを使われアレスは右腕を残して消えてしまう。  兄アレスは異世界に転移し、妹アテナは兄を探しオリンポスファンタジー内を探し始める。  異世界アレス編と元の世界アテナ編の2部構成で進んでいく、不思議なファンタジー  異世界では異常なぶっ壊れ性能のアレスと絶対アイドルアテナはどんな冒険を魅せてくれるのだろうか?

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

元勇者の俺と元魔王のカノジョがダンジョンでカップル配信をしてみた結果。

九条蓮@㊗再重版㊗書籍発売中
ファンタジー
異世界から帰還した元勇者・冴木蒼真(さえきそうま)は、刺激欲しさにダンジョン配信を始める。 異世界での無敵スキル〈破壊不可(アンブレイカブル)〉を元の世界に引き継いでいた蒼真だったが、ただノーダメなだけで見栄えが悪く、配信者としての知名度はゼロ。 人気のある配信者達は実力ではなく派手な技や外見だけでファンを獲得しており、蒼真はそんな〝偽者〟ばかりが評価される世界に虚しさを募らせていた。 もうダンジョン配信なんて辞めてしまおう──そう思っていた矢先、蒼真のクラスにひとりの美少女転校生が現れる。 「わたくし、魔王ですのよ」 そう自己紹介したこの玲瓏妖艶な美少女こそ、まさしく蒼真が異世界で倒した元魔王。 元魔王の彼女は風祭果凛(かざまつりかりん)と名乗り、どういうわけか蒼真の家に居候し始める。そして、とあるカップルのダンジョン配信を見て、こう言った。 「蒼真様とカップル配信がしてみたいですわ!」 果凛のこの一言で生まれた元勇者と元魔王によるダンジョン配信チャンネル『そまりんカップル』。 無敵×最強カップルによる〝本物〟の配信はネット内でたちまち大バズりし、徐々にその存在を世界へと知らしめていく。 これは、元勇者と元魔王がカップル配信者となってダンジョンを攻略していく成り上がりラブコメ配信譚──二人の未来を知るのは、視聴者(読者)のみ。 ※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

処理中です...