迷宮に捨てられた○○、世界を震わせる

たぬまる

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プロローグ

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 光神暦1999年9月9日、世界各地にある神殿は恐怖と混乱に包まれた。
 世界各国には光、炎、水、土、金、風、闇、時の神を祭るそれぞれの神殿があり、世界の危機を監視していたが、その全ての神殿が混乱するほどの危機は未だかつて訪れたことが無かった。

「それぞれの神殿のキンカチョウが一斉に死んだだと!」

「は!それも声を上げる間も無く」

「まさか勇者召喚が・・・」

「時間的に考えますと、例の不用品を迷宮に捨てて少し経ってからです」

「ま、まさかあの不用品が、世界を守る鍵であったと・・・」

「可能性はございます」

 セアキワ国は世界各国に内緒で禁忌とされた勇者召喚を行った。
 それは魔王討伐の後他国を攻めるための戦力として期待も込めて2000人ものイケニエを捧げ4人の勇者を呼び出すはずだった。
 呼び出されたのは5人の少年少女達、誰かがハズレでそれ以外がアタリと踏んで調べた結果

和賀 健人 蛮勇者

意地 康人 非導師

大路 雪  大蛮勇者

再邸 氷雨 金僧侶

吉川 結  無し

 これを見た瞬間に王は結を帰らずの迷宮まで騎士に連行させた。
 勇者と大勇者、導師、僧侶のような上級職を持ったものが召喚できたことは喜ばしいことだった。
 まさか、その直後全ての神殿のキンカチョウが死ぬほどの不幸が起こるとは夢にも思っていなかった。


 召喚前の吉川 結

 結はこの世界の情報を転移前に神々から確りと聞いていた。
 転移者それぞれに、別の場所で神々は同じ条件を提示した。
 それは転移ボーナスを6面ダイス10個を振った合計数をポイントとして与える。
 それをステータスとスキルに振ることが出来ると。
 しかし、結はそれを蹴った。

「え?なんで?」

「提案なんですが、私は6面ダイス5個で良いです、その代わり星を付けてください」

 困惑する神に更に続けて言う。

「ステータスMAX分のポイントを星が出たらください。ダメですか?」

「あははは、面白い!良いよ、では君のダイズは6面体5個星付き、それだけだと面白くないから、君が星を2つ以上出せたらLACはその幸運を祝してMAXにしてあげるよ」

 そう言って茶色い肩まである髪を揺らして笑う神に、にやりと笑いかけて

「そんな事言って、後で泣いても知りませんよ」

 結の挑発的な笑みに答えるように

「神に二言は無いさ、さあ振っておくれ」

 そういって手を広げると、ギリシャ風の服の隙間から見える胸に少し羨ましいなと思いながらも、ダイスを振る。
 結には勝つ自信があった。なぜなら今までサイコロ勝負で負けたことが無い、親の借金のため身体を売れとは言われなかったが、壷振りと言われるギャンブルの振り子をさせられて、自在にサイコロの目を操っていた。
 当然投げ方にはコツがあるのだが、神はそんな事を気にはしていない。

 結果星が3つ、5が2つ確実な勝利だった。

「な!す、凄い!君は凄いよ!僕の前でキッチリと自分の技を出せるなんて!」

「なんだ、知ってたの?」

「勿論僕は神だよ!感動した!」

 そう言って興奮冷めやらない神は結の頭に手を当てて、膨大な知識を送り込んだ。
 
「それはスキルの知識と必要ポイントが解る知識だよ、転移後には勝手に消える。
 君はポイントが膨大だから好きな物を選びたまえ。
 僕自身忘れてるスキルもあるからね。
 口で言うより良いでしょ?」

「転移後の世界のモンスターは可愛いのが居るのかな」

「居るよ。猫型とか、スライムもかわいいよ、鳥型にも居たような」

 じゃあ、ティム優先と考えると

 テイマー技能 必要ポイント 10 下級モンスターを8%の確立でティムできる

 ハイテイマー技能  必要ポイント 100 中級モンスターを10%で、下級モンスターを30%でティム出来る

 LUCテイマー 必要ポイント 1000 LUCの確立であらゆるモンスターをティム出来る。


 SP3002

と出てきた テイマーもハイテイマーも低いな・・・私LAC高いって言う話だからLAC一択だけど高い・・・でも可愛いモンスターのためだ・・・そう決めてドンドン必要なスキルを取っていく。

鑑定         0
LUCテイマー  1000
異次元自宅     80
アイテムボックス  22
魔法の才能     100
武芸の才能     100
転職        100

合計        1402

と成った、その後ステータスにポイントを振ってこうなった

力 266 知 266 精 266 技 266 神 266 速 266 運 999

と成った。

因みに

和賀 健人

力 7 知 1 精 1 技 7 神 1 速 7 運 5

斧術 5

これほどの違いが出た。

 そして職業は向こうで決めるとして転移した結果、無職と出たため城を追い出されたが、結にとってはラッキーだった。

「ダンジョンってことは、モンスターが居るはずよね♪」

 置いていかれたことに怒りを覚えず、気楽にダンジョンの奥へと進んで行った。
 

「あの王様達オヤジやヤクザと同じ目をしてたから、逃げれてよかったよ」

 そう言いつつ転職と意識すると目の前に幾つもの職業が現れる。

「よし、職業:武道家」

 職業を武道家に変えることでスキルに

職業スキル 武道家LV1

正拳突き LV1/10

ローキック LV1/10

回し受け LV1/10

気配察知 LV1/5

が増えた。

「さって、可愛いモンスターは何処かな」

 そう言って、ウキウキと進んで行くのだった。


 結は奥に進むにつれてだんだんと強くなる魔物の気配を感じていた。

「これが、魔物の気配か、コッチだね」

 そう言ってわき道を進むと、ちょっと進んだ所に緑色の小さい魔物がナイフを振ってピンク色の可愛らしいスライムを傷つけていた。

「こんのぉ」

 素早く魔物に近づくとローキックを背中に叩き込みスライムを自分の後ろに庇うと、正拳突きを顔面に叩き込んだ。

 その一撃で緑色の魔物は息絶え、錆びたナイフと緑色の小さな石を落とした。

「グロ無しで助かった~
 ねえ君、私にティムされない?」

 そう言って手を伸ばすと、スライムは身体を伸ばして手を握った。

”LUCティムに成功しました、ピュアスライムをティムしました。”

「可愛い♪貴方これからピーちゃんね」

「は~いますた~」

「頭の中に声が聞こえる」

「ぱすがつながったからね~」

 結はそんなものなんだと、大雑把に理解して、ピーちゃんを鑑定してみた。

”ピュアスライム LV1

 超レアなスライムで、回復、浄化を得意とする。
 サイズは手のひらサイズから1メートルまで変えられる”

 なるほどと納得すると、手のひらサイズになってもらったピーちゃんを肩に乗せて奥に進んで行った。

 少し奥に進むとピーちゃんが

「ますた~ここたたいて」

 と身体を伸ばして壁を指した。

「何かあるの?」

「うん、せきかののろいのけはいがするの」

 それを聞いて壁を思いっきり殴りつけると、ガラガラと音を立てて天井部分から崩れ落ちる壁。
 その中に大きな龍の顔があった。

「でか!ってか顔で2メーター越えるってドンだけでかいのよ!」

「ますた~てぃむして、したらのろいをとくよ」

「え?可愛くないんだけど・・・」

 渋る結にピーちゃんが

「ここは、とうはしないとそとにでれないよ?
つよいなかまひつようだよ」

「う~仕方ないか・・・ティム!」

”絶対龍王 をティムしました”

「はいぱ~あんちか~す」

 シュピンと音がしたとたん光が溢れ収まると、そこに小さなドラゴンが浮かんでいた。

「貴様が俺をティムしたのか、俺は絶対龍王、全ての龍族の・・・むごぁ」

「きゃ~可愛い♪私好みになってくれたのね」

「あの大きさだと迷宮が崩壊するから丁度いい大きさに・・・おい、やめろ、頬ずりを・・・」

 この瞬間にキンカチョウが全滅したとはとうの結はかけらも思っていなかった。

 こうして、結は知らないうちに、大魔王すら恐れる最強のドラゴンをティムしてしまった。
 
「俺の入ってた後の穴に入れば最下層に行けるぞ」

「そっか・・・って落ちて死ぬわ!」

「俺が抱えて飛べば大丈夫だ」

「わたしもくっしょんになるよ」

「みんな」

 そう言って感動する結は二人を抱きしめて

「わかった、行こう、その前に・・・・君りゅーくんね」

「俺は女だ!くんは男だろう、しかも安易な」

「そうなの?じゃありゅーちゃんね、それと私にネーミングセンスを求めたらダメだよ」

「く、仕方ない・・・行くぞ」

 りゅーちゃんを背中にピーちゃんを頭に乗せて穴に飛び込んだ。
 穴は思ったよりも深くて、物凄い勢いで降りていく。

「あ、見えた」

 りゅーちゃんは翼をはためかせる事無くホバーリンクして柔らかく着地した。

「あれがこのダンジョンのラスボスだ」

「きも!」

 そこには筋肉ムキムキのよだれをたらしたミノタウロスが巨大な斧を持って立っていた。

「狂牛病にでもかかってるんじゃないの?」

「俺が消滅させてやる」

「みんなでやろうよ」

 そう言って結が駆け出し素早くラッシュをかける。

「はやい!」

 りゅーちゃんが唖然と見ているうちに結が声を上げ

「はあああああ!」

 ドンと巨大な音を立ててミノタウロスの腹を貫いた。
 同時にミノタウロスの居た後にはハルバートと宝箱が2個巨大な茶色い石が落ちていた。

「すご~い」

「ありゃあ人間辞めてるな・・・」

 呆然としているりゅーちゃんをよそに、ピーちゃんは飛び上がって喜んでいた。

「ねね、宝箱なんだろうね?」

 そう言って無防備に宝箱を開ける。

「馬鹿!罠チェックしろよ!」

「罠チェック?罠無かったけど?」

 そう言って夕日色のナックルガードを取り出していた。

「おま、それヒヒイロカネの武器」

「そうなの?攻撃力上がりそうだし、素手よりは良いかな?」

 そう言って腕に付けると光が溢れ結のサイズに合った大きさになる。

「これは何?」

「もうおどろかねぇぞ、それは光神のレッグアーマーだ」

 ふ~んっと言って足に付けると同じようにサイズが合う。

 この日、ヘルの迷宮が始めて踏破された。
 
「さて、ここを出たらこの国以外に行きたいなぁ」

「そんじゃあ、転移の魔法陣に入る時にドーラって思えばいいぞ」

「なんで?」

「俺が知っててまだ反応がある国だからだよ」

「ふ~ん、ま、いいか。
 違う国にいけるんなら」

 そう言って緑色に光る転移の魔方陣に入っていった。
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