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第十九話 一方その頃王城では
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くすくすと女の笑う声がする。
振り向くと、そこには栗毛に空色の瞳の少女が立っていた。黄色いドレスを揺らし、扇で口を隠すその姿はとても美しい。
「何を笑っているんだ?」
こちらが問いかけると、彼女は答えた。
「ハドムン殿下。あなたの知らない場所で、あなたに牙を剥く用意はすでに整ってきつつあります。お覚悟はできているでしょうか」
柔らかな声。しかしその目は、少しも笑っていなかった。
それにわずかな恐怖を覚え――その瞬間、世界が破裂した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はっ」
――ここは王城。
朝の光が差し込む一室で目を覚まし、彼――王太子ハドムンは荒い呼吸を繰り返す。
先ほどまでのあれは夢か、と思い安堵する。どうしてかわからないが心底恐ろしい夢だった。
夢に出て来たあの少女の名は、グレース・アグリシエ。正確に言えば貴族籍から抜けているのでただのグレースなる少女だ。
彼女はかつてハドムンの婚約者であったが、義妹を虐げた罪で家を追い出された。なんと馬鹿で哀れなことだろう。
あの時あのパーティーで、グレースとは婚約を破棄し、別れたはずだ。いいや別れたのだ。
しかし別れ際に汚らわしい唾をかけられてからというもの、まるで呪いのように毎夜毎夜彼女が夢に現れる。そしてハドムンへと冷たい視線を向けてくるのだ。
それが言葉にできない恐ろしさを伴ってハドムンの胸を掴んでいた。
「……たかが夢だ。何を怯えている。あいつに私をどうこうできる力があるはずないだろうに」
いつまでもあんな女のことを気にしているとは、なんと情けないことか。
そうだ、とハドムンは思い出す。自分には新たな婚約者が……ジェイミーがいるではないか、と。
その時ちょうど扉が開いて彼女が現れた。
「ハドムン様、おはようございます。今日もいい朝ですわね」
そう微笑むのは、ネイビーブルーの髪をした可憐な少女。忌々しき悪女の妹でありながらハドムンにとっての天使である、ジェイミーだった。
彼女はハドムンの婚約者に任命されて以来、王妃教育があるからというのと彼女の希望があり、この王城で一緒に過ごしている。つまりまあ、同棲中というわけだ。
「ジェイミー、おはよう」
「あらあらハドムン様、顔色が悪うございますわ。また、何かおかしな夢でも見ましたの?」
「――ああ、それは気にするな。大したことではない」
ハドムンは誤魔化しの笑顔を浮かべながらベッドから降り、迎えに来てくれたジェイミーを抱きしめる。
彼女はなんて温かいのだろう。まるで氷のようだったグレースとは大違いだと改めて思った。
けれど唯一、彼女の丸っこい空色の瞳を愛してやれないことが残念でならない。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
朝食を終えてから、ジェイミーと戯れる時間を設ける。
彼女といるだけでハドムンの心はとても晴れやかになった。ああ、楽しい。彼女とならば一生過ごしていられる。
しかしそんな時間は長続きしなかった。
王宮の庭園を散歩していると、慌てた様子で文官がやって来て言ったのだ。
「ハドムン王太子殿下。これは一体どうしたことですか!」
「何だ、お前は。私たちの時間を邪魔するな」
「そうですわ。今、ハドムン様と楽しいお話の最中でしたのに」
不満げに唇を突き出すジェイミー。ハドムンにはそれがとても愛らしく思える。
しかしそんなことなど意に介さず、愚かな文官は言った。
「処理しなければならない書類が千枚以上も溜まっております。下の者たちは誰も彼も苦情ばかり。いちゃつくのはお仕事が終わってからにされたらどうですか。これでは国が回りません」
「何を言うか。今は自由時間のはずだろう。くだらない公務はお前らに一任すると、言ったではないか」
そう言って追い払おうとするが、文官は引き下がる様子がない。
それどころか恐ろしい量の紙束を見せ、それ全てに目を通せなどと言い始めた。
ジェイミーとの憩いの時間を邪魔されたハドムンは激昂した。
「あの悪女が仕事の七割を受け持っていたからどうした。どうしたというのだ。あの悪女にできることくらいお前たちにできず何が文官だ。脳みそが腐った奴らだ、今すぐに解雇してやる!」
グレースが王太子がこなすべき仕事の七割を代わりに勤めていたのは、彼女と婚約破棄をしてからすぐに明らかになったこと。
正直驚きはしたが、確かに彼女は時間を持て余していたのだろう。当然だ。わざわざ義妹を虐げるほどの暇があったのだから。
その分の仕事くらい文官に任せればいい。ずっとそう思っていたが、文官はそんなこともできないのか。
使えない。全く使えない。
誰もハドムンとジェイミーの二人を邪魔する奴は許さない、とハドムンは心に誓っている。とりあえず文官たちを一斉解雇し、まともな奴に入れ替える必要があるだろう。立場を弁えて口答えしない程度の人材を選ばなければ……。
ハドムンは、「そうですか」と冷たくこちらを睨みつける文官を見ながら思う。
ああまたその目か、と。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
婚約破棄の直後、母からも同じ目を向けられたのを思い出す。
『ハドムン、あなたには失望しました』確かそう言っていた。
どうして失望されなければならないのか。
ハドムンは至って正しいことをしている。貴族にあるまじき行為をした悪女を断罪し、そしてジェイミーを王妃となるべく婚約した。
それで政略としての意味は果たされるはずだ。なのに何の問題がある?
だが、従者や教育係など皆が皆、ハドムンを嘲笑った。
自分のどこがいけないのか理解できない。侯爵は受け入れてくれた。ジェイミーは喜んでいるし自分は幸せだ。これだけで充分ではないのか?
しかし、夢で現れる少女はハドムンをさらに追い詰める。
決して許さないと。復讐の牙を向けてやるのだと、笑って。
ハドムンはジェイミーが好きだ。だから他に何もいらない。
なのにどうして彼女のことが忘れられないのか。あの悪女はまだ自分の心を虜にし続けているのか。
ああ、やはり殺した方が良かった。きっとグレースは今でもハドムンのことを呪い、苦しめ続けているに違いない。
そして今日もまた、夢を見る。
かつての婚約者が、自分には絶対に向けなかった明るい笑顔で他の男に微笑みかける夢を。
振り向くと、そこには栗毛に空色の瞳の少女が立っていた。黄色いドレスを揺らし、扇で口を隠すその姿はとても美しい。
「何を笑っているんだ?」
こちらが問いかけると、彼女は答えた。
「ハドムン殿下。あなたの知らない場所で、あなたに牙を剥く用意はすでに整ってきつつあります。お覚悟はできているでしょうか」
柔らかな声。しかしその目は、少しも笑っていなかった。
それにわずかな恐怖を覚え――その瞬間、世界が破裂した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はっ」
――ここは王城。
朝の光が差し込む一室で目を覚まし、彼――王太子ハドムンは荒い呼吸を繰り返す。
先ほどまでのあれは夢か、と思い安堵する。どうしてかわからないが心底恐ろしい夢だった。
夢に出て来たあの少女の名は、グレース・アグリシエ。正確に言えば貴族籍から抜けているのでただのグレースなる少女だ。
彼女はかつてハドムンの婚約者であったが、義妹を虐げた罪で家を追い出された。なんと馬鹿で哀れなことだろう。
あの時あのパーティーで、グレースとは婚約を破棄し、別れたはずだ。いいや別れたのだ。
しかし別れ際に汚らわしい唾をかけられてからというもの、まるで呪いのように毎夜毎夜彼女が夢に現れる。そしてハドムンへと冷たい視線を向けてくるのだ。
それが言葉にできない恐ろしさを伴ってハドムンの胸を掴んでいた。
「……たかが夢だ。何を怯えている。あいつに私をどうこうできる力があるはずないだろうに」
いつまでもあんな女のことを気にしているとは、なんと情けないことか。
そうだ、とハドムンは思い出す。自分には新たな婚約者が……ジェイミーがいるではないか、と。
その時ちょうど扉が開いて彼女が現れた。
「ハドムン様、おはようございます。今日もいい朝ですわね」
そう微笑むのは、ネイビーブルーの髪をした可憐な少女。忌々しき悪女の妹でありながらハドムンにとっての天使である、ジェイミーだった。
彼女はハドムンの婚約者に任命されて以来、王妃教育があるからというのと彼女の希望があり、この王城で一緒に過ごしている。つまりまあ、同棲中というわけだ。
「ジェイミー、おはよう」
「あらあらハドムン様、顔色が悪うございますわ。また、何かおかしな夢でも見ましたの?」
「――ああ、それは気にするな。大したことではない」
ハドムンは誤魔化しの笑顔を浮かべながらベッドから降り、迎えに来てくれたジェイミーを抱きしめる。
彼女はなんて温かいのだろう。まるで氷のようだったグレースとは大違いだと改めて思った。
けれど唯一、彼女の丸っこい空色の瞳を愛してやれないことが残念でならない。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
朝食を終えてから、ジェイミーと戯れる時間を設ける。
彼女といるだけでハドムンの心はとても晴れやかになった。ああ、楽しい。彼女とならば一生過ごしていられる。
しかしそんな時間は長続きしなかった。
王宮の庭園を散歩していると、慌てた様子で文官がやって来て言ったのだ。
「ハドムン王太子殿下。これは一体どうしたことですか!」
「何だ、お前は。私たちの時間を邪魔するな」
「そうですわ。今、ハドムン様と楽しいお話の最中でしたのに」
不満げに唇を突き出すジェイミー。ハドムンにはそれがとても愛らしく思える。
しかしそんなことなど意に介さず、愚かな文官は言った。
「処理しなければならない書類が千枚以上も溜まっております。下の者たちは誰も彼も苦情ばかり。いちゃつくのはお仕事が終わってからにされたらどうですか。これでは国が回りません」
「何を言うか。今は自由時間のはずだろう。くだらない公務はお前らに一任すると、言ったではないか」
そう言って追い払おうとするが、文官は引き下がる様子がない。
それどころか恐ろしい量の紙束を見せ、それ全てに目を通せなどと言い始めた。
ジェイミーとの憩いの時間を邪魔されたハドムンは激昂した。
「あの悪女が仕事の七割を受け持っていたからどうした。どうしたというのだ。あの悪女にできることくらいお前たちにできず何が文官だ。脳みそが腐った奴らだ、今すぐに解雇してやる!」
グレースが王太子がこなすべき仕事の七割を代わりに勤めていたのは、彼女と婚約破棄をしてからすぐに明らかになったこと。
正直驚きはしたが、確かに彼女は時間を持て余していたのだろう。当然だ。わざわざ義妹を虐げるほどの暇があったのだから。
その分の仕事くらい文官に任せればいい。ずっとそう思っていたが、文官はそんなこともできないのか。
使えない。全く使えない。
誰もハドムンとジェイミーの二人を邪魔する奴は許さない、とハドムンは心に誓っている。とりあえず文官たちを一斉解雇し、まともな奴に入れ替える必要があるだろう。立場を弁えて口答えしない程度の人材を選ばなければ……。
ハドムンは、「そうですか」と冷たくこちらを睨みつける文官を見ながら思う。
ああまたその目か、と。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
婚約破棄の直後、母からも同じ目を向けられたのを思い出す。
『ハドムン、あなたには失望しました』確かそう言っていた。
どうして失望されなければならないのか。
ハドムンは至って正しいことをしている。貴族にあるまじき行為をした悪女を断罪し、そしてジェイミーを王妃となるべく婚約した。
それで政略としての意味は果たされるはずだ。なのに何の問題がある?
だが、従者や教育係など皆が皆、ハドムンを嘲笑った。
自分のどこがいけないのか理解できない。侯爵は受け入れてくれた。ジェイミーは喜んでいるし自分は幸せだ。これだけで充分ではないのか?
しかし、夢で現れる少女はハドムンをさらに追い詰める。
決して許さないと。復讐の牙を向けてやるのだと、笑って。
ハドムンはジェイミーが好きだ。だから他に何もいらない。
なのにどうして彼女のことが忘れられないのか。あの悪女はまだ自分の心を虜にし続けているのか。
ああ、やはり殺した方が良かった。きっとグレースは今でもハドムンのことを呪い、苦しめ続けているに違いない。
そして今日もまた、夢を見る。
かつての婚約者が、自分には絶対に向けなかった明るい笑顔で他の男に微笑みかける夢を。
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