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第四章
第33話 現場検証
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現場を見た片岡はすぐに鑑識を手配した。
「やっぱり洋介は事件に巻き込まれたんですね」
涼子は覚悟を決めた表情で片岡に尋ねた。
「血痕とか事件を直接裏付ける確証は何も見つからなかったんだが、どうにも嫌な予感がする」
片岡の表情からは何も読み取れなかったが、涼子は片岡の勘を信じた。涼子も同じように胸の中にザワザワと蠢く黒い塊を感じていたからだ。
鑑識の人たちが隅々まで調べたが、手がかりとなりそうなものは涼子が見つけた洋介の腕時計と何かを引きずった跡だけだった。血痕は見つからなかったが、それは洋介が無事だという証拠にはならない。
「こんな時に限って猛は……まったく使えない奴」
涼子はポツリと呟いた。
腹部を刺されて入院中の猛には洋介が行方不明になっていることを知られてはいけないと涼子は思った。この事を知ったら、猛はなりふり構わず洋介を探し回る。先週手術したばかりの傷口が開いて血を流しながらでも洋介を見つけるまで絶対止めないことは火を見るよりも明らかだ。
「まったく、うちの男どもは世話ばっかりかけてくれる。猛の奴、こんな時に刺されて入院している場合じゃないっての。それに洋介も猛が入院している時に拉致られてんじゃないわよ。この涼子お姉さんが一人で頑張るしかないじゃない」
独り言のつもりで呟いていたのだが、片岡にはしっかり聞かれてしまっていた。
「水臭いな、涼子ちゃん。一人じゃないよ、俺も寺嶋もいる。新宿署の奴らも全力で手がかりを探している。真木先生は必ず見つける。心配するな」
片岡は、執念にも似た決意を穏やかな表情の裏に隠しながら涼子の肩をポンと叩いた。
「片岡さんのこの根拠のない自信は不思議と当たるんです。我々を信用してください」
寺嶋も片岡に続いた。
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
涼子は二人に深々と頭を下げた。
「やっぱり洋介は事件に巻き込まれたんですね」
涼子は覚悟を決めた表情で片岡に尋ねた。
「血痕とか事件を直接裏付ける確証は何も見つからなかったんだが、どうにも嫌な予感がする」
片岡の表情からは何も読み取れなかったが、涼子は片岡の勘を信じた。涼子も同じように胸の中にザワザワと蠢く黒い塊を感じていたからだ。
鑑識の人たちが隅々まで調べたが、手がかりとなりそうなものは涼子が見つけた洋介の腕時計と何かを引きずった跡だけだった。血痕は見つからなかったが、それは洋介が無事だという証拠にはならない。
「こんな時に限って猛は……まったく使えない奴」
涼子はポツリと呟いた。
腹部を刺されて入院中の猛には洋介が行方不明になっていることを知られてはいけないと涼子は思った。この事を知ったら、猛はなりふり構わず洋介を探し回る。先週手術したばかりの傷口が開いて血を流しながらでも洋介を見つけるまで絶対止めないことは火を見るよりも明らかだ。
「まったく、うちの男どもは世話ばっかりかけてくれる。猛の奴、こんな時に刺されて入院している場合じゃないっての。それに洋介も猛が入院している時に拉致られてんじゃないわよ。この涼子お姉さんが一人で頑張るしかないじゃない」
独り言のつもりで呟いていたのだが、片岡にはしっかり聞かれてしまっていた。
「水臭いな、涼子ちゃん。一人じゃないよ、俺も寺嶋もいる。新宿署の奴らも全力で手がかりを探している。真木先生は必ず見つける。心配するな」
片岡は、執念にも似た決意を穏やかな表情の裏に隠しながら涼子の肩をポンと叩いた。
「片岡さんのこの根拠のない自信は不思議と当たるんです。我々を信用してください」
寺嶋も片岡に続いた。
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
涼子は二人に深々と頭を下げた。
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