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第3話 結婚して親にならないと人としてダメなの?

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 私の両親はとても仲がいい。いわゆるおしどり夫婦だ。
 友人の紹介で知り合って、恋をして、結婚したらしい。
「らしい」というのは両親から詳しい馴れ初めを聞いたことがないからだ。親の恋愛に興味がない私は特に知りたいと思ったことがなく、尋ねたこともない。

 長い結婚生活の間にはそれなりのいざこざもあっただろうが、今でも一緒に旅行を楽しんだりしているので幸せな結婚なのだろう。そして私はそんな両親に愛されて育った。
 虐待もネグレクトもなくスクスクと育ち、大切に育ててもらったと感謝している。

 母からは再三「年を取ってから独り身は寂しいよ」と言われるが、自分の寂しさを埋めるために伴侶や子を持つことが正しいことなのだろうか。愛情を注ぎ続ける自信も覚悟もない私は家族を持つべきではないのではないだろうかと疑問を持ち続けている。

「何とかなるもんよ」と友人たちはいとも簡単に伴侶を得て、親となっている。
 一度は伴侶を持ったが上手くいかず離婚という結果になった友人もいるが、少なくとも一度は結婚を決断し飛び込んだのだから私より遥かに勇者である。

 仲睦まじい両親の下に生まれたにもかかわらず私は結婚に夢を持ったことがない。子供が欲しいと思ったこともない。このことを友人に話したときに言われた言葉は衝撃的だった。

「この男の子供を産みたいと思えるような男に出会ってないからよ」

 この言葉を聞いた時、「なるほど!」と思ったことを強烈に覚えている。単に出会ってないだけなのか。だったらこの先そんな男に出逢えば結婚したいとか子供が欲しいと思えるようになるのだろうか。(結婚しなくても子供は作れるが)

 友人とのあの会話から長い年月が経ったが、そんな男にはまだ出会えていない。
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