75 / 81
75.★泣きたくなるほど好き
しおりを挟む
今自分を抱いているのは紛れもなく愛しくてたまらない男。それを噛み締めるよう、ジゼルは喘ぎながら何度も恋しい名を呼ぶ
「あっ、あ、リュート、あん、りゅう……っ」
「ジゼル……。あー……好き。可愛い。本当に敵わないな」
そう言い、嬉しそうに微笑んだリュートはもう一度口付け、滾る自身を強く押し付けた。
穿つ腰は速くなっていき、肌を打つ音も大きくなっていく。
奥を突かれるたび、目の前が白く瞬くようだった。
浮き上がったつま先は頼りなく宙を掻いた。もっと深く繋がりたい。無意識に足はリュートの腰を強く引き寄せる。
そうすると、いっそう体内の距離が縮まった。止まらない抽送は何度も深い部分を打ち付ける。与えられる快感で、くらくらと眩暈がするようだ。
「あ、あっ、あ! や、奥、だめ、だめぇ……!」
「だめ? 痛い? どこがいいか教えて」
耳元で囁く声が隘路をひくつかせる。いやらしい蜜がとめどなく溢れ出るおかげで、淫靡な音が大きく響いた。
「あん、ちが……っ、それ、おかしくなっちゃう……!」
「そっか、よかった。おかしくなっていいよ。気持ちよさそうな顔、可愛い……。はぁっ、僕も、すぐイきそ……っ」
息は上がって、甘えるような声も抑えらえない。ぴんと伸びたつま先から頭の先まで、びりびりとした強い快楽に支配されているようだ。
吐息混じりの声で名を呼ばれると、心に連動した蜜路がどうしようもなく波打つ。
「ん……っ!」
受け止めきれないほどの快感は、もはや声すら出せなかった。しかも口付けられながら、ぐりぐりと執拗に最奥を突き上げられ、あっという間に視界が真っ白に染まる。
強くしがみつくジゼルの奥深くに熱い飛沫が迸り、再び甘い絶頂の波に飲み込まれていく。更に擦り付けられる雄芯を受け入れる蜜路は、歓喜に震えるようだった。
のしかかるリュートの重みが泣きたくなるほど愛しい。すんと鼻を鳴らせば、彼自身の匂いがする。
(嬉しい、好き。この匂いも、すごく好き)
ぼうっとする頭に浮かんだのはそんなこと。リュートの背に腕を回したまま、ジゼルはくすくすと幸せな笑みをこぼした。
***
今日も薄桃色の月明かりがさす、リュートの部屋。
対面する彼の膝に座ったジゼルは、さっきから優しいキスを繰り返している。
こうやって夜に押し掛けるのも、もはや日課に近くなっていた。
おかげで、この部屋にはルゥ専用の丸いベッドも用意している。幸い、そこが気に入ったらしいルゥは今日もご機嫌な顔で丸まっていた。
薄明りの中でジゼルを見つめる瞳は澄んだ涼しい青と、燃えるような緋色。
左目を覆い隠していた長い前髪はすっかり綺麗に整えられて、いつでも両の瞳が見えるようになった。
リュートが客人としてではなく正式にジゼルの婿候補として紹介されてから、はや一月が経とうとしている。
念のため以前より国境の守りを強固にしているが、ユスシアの動きはない。
もちろん、フェリクもメイリーンも訪れる気配はなかった。都合の悪いものを隠蔽し、遠ざけるあの国はきっと、この先もイブリスをないものとして扱うのだとジゼルはそう予測している。
(もしかすると王家への不信感を払しょくするためにしくて、それどころではないのかもしれないけどね)
なんせあの場に居合わせた者は、王に瓜二つなリュートの姿を見てしまったのだから。
リュートの存在を知るのはフェリクとメイリーン。そして数名の重鎮のみらしい。
たったそれだけの人数で対策を練らねばならないのも自業自得だとジゼルは思う。
ユスシアから戻った翌日。
謁見の間にてリュートの話を聞くジェイドの表情は渋々といった体で、眉間に皺を寄せる父の姿にジゼルは冷や冷やしていた。
事前にリュートから、ただ見守っていて欲しいと言われていたので、援護したい気持ちをうずうずと抑えるのもまた一苦労だった。
だがすべてを聞き終えたジェイドは不機嫌な顔のまま、
「ふーん、まあいいけど。帰るとこもないみたいだし? お前の剣をイブリスのものに出来るなら損はねぇし。はじめからそう言えばいいものを、もったいぶりやがって」
と、二人が驚くほどあっさりとリュートの帰還を許可したのだった。
「あっ、あ、リュート、あん、りゅう……っ」
「ジゼル……。あー……好き。可愛い。本当に敵わないな」
そう言い、嬉しそうに微笑んだリュートはもう一度口付け、滾る自身を強く押し付けた。
穿つ腰は速くなっていき、肌を打つ音も大きくなっていく。
奥を突かれるたび、目の前が白く瞬くようだった。
浮き上がったつま先は頼りなく宙を掻いた。もっと深く繋がりたい。無意識に足はリュートの腰を強く引き寄せる。
そうすると、いっそう体内の距離が縮まった。止まらない抽送は何度も深い部分を打ち付ける。与えられる快感で、くらくらと眩暈がするようだ。
「あ、あっ、あ! や、奥、だめ、だめぇ……!」
「だめ? 痛い? どこがいいか教えて」
耳元で囁く声が隘路をひくつかせる。いやらしい蜜がとめどなく溢れ出るおかげで、淫靡な音が大きく響いた。
「あん、ちが……っ、それ、おかしくなっちゃう……!」
「そっか、よかった。おかしくなっていいよ。気持ちよさそうな顔、可愛い……。はぁっ、僕も、すぐイきそ……っ」
息は上がって、甘えるような声も抑えらえない。ぴんと伸びたつま先から頭の先まで、びりびりとした強い快楽に支配されているようだ。
吐息混じりの声で名を呼ばれると、心に連動した蜜路がどうしようもなく波打つ。
「ん……っ!」
受け止めきれないほどの快感は、もはや声すら出せなかった。しかも口付けられながら、ぐりぐりと執拗に最奥を突き上げられ、あっという間に視界が真っ白に染まる。
強くしがみつくジゼルの奥深くに熱い飛沫が迸り、再び甘い絶頂の波に飲み込まれていく。更に擦り付けられる雄芯を受け入れる蜜路は、歓喜に震えるようだった。
のしかかるリュートの重みが泣きたくなるほど愛しい。すんと鼻を鳴らせば、彼自身の匂いがする。
(嬉しい、好き。この匂いも、すごく好き)
ぼうっとする頭に浮かんだのはそんなこと。リュートの背に腕を回したまま、ジゼルはくすくすと幸せな笑みをこぼした。
***
今日も薄桃色の月明かりがさす、リュートの部屋。
対面する彼の膝に座ったジゼルは、さっきから優しいキスを繰り返している。
こうやって夜に押し掛けるのも、もはや日課に近くなっていた。
おかげで、この部屋にはルゥ専用の丸いベッドも用意している。幸い、そこが気に入ったらしいルゥは今日もご機嫌な顔で丸まっていた。
薄明りの中でジゼルを見つめる瞳は澄んだ涼しい青と、燃えるような緋色。
左目を覆い隠していた長い前髪はすっかり綺麗に整えられて、いつでも両の瞳が見えるようになった。
リュートが客人としてではなく正式にジゼルの婿候補として紹介されてから、はや一月が経とうとしている。
念のため以前より国境の守りを強固にしているが、ユスシアの動きはない。
もちろん、フェリクもメイリーンも訪れる気配はなかった。都合の悪いものを隠蔽し、遠ざけるあの国はきっと、この先もイブリスをないものとして扱うのだとジゼルはそう予測している。
(もしかすると王家への不信感を払しょくするためにしくて、それどころではないのかもしれないけどね)
なんせあの場に居合わせた者は、王に瓜二つなリュートの姿を見てしまったのだから。
リュートの存在を知るのはフェリクとメイリーン。そして数名の重鎮のみらしい。
たったそれだけの人数で対策を練らねばならないのも自業自得だとジゼルは思う。
ユスシアから戻った翌日。
謁見の間にてリュートの話を聞くジェイドの表情は渋々といった体で、眉間に皺を寄せる父の姿にジゼルは冷や冷やしていた。
事前にリュートから、ただ見守っていて欲しいと言われていたので、援護したい気持ちをうずうずと抑えるのもまた一苦労だった。
だがすべてを聞き終えたジェイドは不機嫌な顔のまま、
「ふーん、まあいいけど。帰るとこもないみたいだし? お前の剣をイブリスのものに出来るなら損はねぇし。はじめからそう言えばいいものを、もったいぶりやがって」
と、二人が驚くほどあっさりとリュートの帰還を許可したのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
104
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる