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30.★誰にも渡したくない
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「あー……可愛い。好きだよ。心も、体も、全部僕だけのものになって」
「んっ、あ、あ、あぁっ!」
耳元で囁く声がぞくりと頭を痺れさせて、限界まで張りつめていた快感がぱちんと弾ける。
ひときわ大きく跳ねたジゼルは汗の伝う胸を上下させて酸素を補給した。
弛緩した体が怠い。快感で溢れた涙をリュートの指が拭って、優しいキスが降ってくる。
うっとりと瞼を閉じたジゼルだが、肌に当たる布の感覚にムッと眉を顰めた。
あられもなく豊かな白い胸はこぼれているし、捲り上げられたネグリジェはもう衣類の役目を果たしていない。
なのにリュートはまだ着衣のままだ。
彼が纏う夜着のシャツを捲ろうとしたジゼルの指を、すかざすリュートが握り込む。
「今はあの傷跡を見ないでほしい」
そう言って彼はジゼルの不満を塞ぐように口づけた。
リュートのキスはズルい。キスだって今日が初めてだし、彼以外としたことはないので比べようがないけれど、とにかくズルい。
だってとてつもなく幸せな気分になって、際限なく求めてしまうから。
ただ食むようにくちびるを吸われることがこんなに心地良いだなんて知らなかった。
傷跡はもう、うっすらとしか残っていないのに今更どうして気にするの?
あれは誰が付けたものなの?
それに自分だけ脱がされているのもズルいとか、色々と話したいことがあるのに思考はずるずる流されていく。
「深入りするつもりなんかなかったのに、綺麗なジゼルを汚したくなかったのに。ごめん、やっぱり誰にも渡したくない」
キスの合間、吐息混じりの囁きが間近で聞こえる。
誰にも渡さないでほしい。何より自分を優先してほしい。
リュートに執着させたくて押しかけた身としては大成功である。
ジゼルは蕩けながらも頬が緩むのを自覚した。
「嬉しい……。絶対に忘れないでね。必ず帰ってきてね。私だって、誰にも渡さないわ」
締まらない笑顔のまま囁きかけ、今度は自分からキスをする。
すると返された口づけと同時に、蜜口へ硬い異物が僅かにめり込むのを感じた。
押し当てられた熱の感触にジゼルの体が強張る。
正真正銘清らかな乙女である彼女だが、これが何なのかくらい察しはついた。
思わず身を構えてしまう。
「なるべく優しくしたいけど……。好きだよ、君だけだ。ずっとジゼルだけが宝物だった。どうか僕を受け入れて」
「ん……っ」
元より拒否する気なんかこれっぽっちもない。
返事をする余裕もなく、こくこく頷くことしか出来ないジゼルの目には、切なく歪んだリュートとの表情が映る。
それだけでとてつもなく嬉しい気持ちがこみ上げるものの、強く押しつけられた熱杭は指とは比べものにならない質量だった。めりめり貫いてくる痛みは想像を絶している。
「いっ……、あ、あっ!」
掌中の珠のように育てられたジゼルは痛みに慣れていない。
危険を伴う魔獣退治は遠距離で応戦するし、ああ見えて過保護なジェイドの側で行うゆえに怪我などそう負うものではないのだ。
どうしても苦痛に上がる声を押し殺し、強くシーツを握りしめた。
泣き叫んで逃げてしまいたいほどの激痛だけど、この痛みを与えているのはリュートであって、彼が浸食している証だと思えば何とか耐えることができる。
「大丈夫?」
ゆっくりと埋めこんでいくリュートの顔も苦しそうで、上がった息が妙に艶めかしい。
大丈夫じゃないけど、止めてほしくはない。
「うん」と頷けば、余裕のないキスで声も吐息も封じられてしまった。
熱い粘膜が触れて、吸いついては舌を擦り合わせる。
ただそれだけでホッと体が緩んで、心が満たされていく。
「すごくつらそうだね、ごめん」
「だ、大丈夫……。だって、これでリュートは私のもの……」
つい本音が零れ出たが、一瞬目を瞬いたリュートは綻ぶように笑ったので問題はないと思う。
涙を浮かべながらジゼルも笑ってみせると、唐突に強く抱きしめられた。
それと同時に、ぐっと押し進められた腰が密着する。
信じられないくらいの激痛が走り、思わず出そうになった悲鳴はまたもや口づけで食べられる。
好きだとか可愛いとか簡単に口に出す癖に、いつもどこか一線を引いていたリュートの強引な仕草が嬉しい。
痛みと歓喜でぽろぽろ涙を零しながら、ジゼルは熱く執拗なキスを受け止めた。
だけど頭をふわふわさせてくれるキスはまるで禁断の薬のようで、体を引き裂くほどの痛みが少しマシになった気がする。
「んっ、あ、あ、あぁっ!」
耳元で囁く声がぞくりと頭を痺れさせて、限界まで張りつめていた快感がぱちんと弾ける。
ひときわ大きく跳ねたジゼルは汗の伝う胸を上下させて酸素を補給した。
弛緩した体が怠い。快感で溢れた涙をリュートの指が拭って、優しいキスが降ってくる。
うっとりと瞼を閉じたジゼルだが、肌に当たる布の感覚にムッと眉を顰めた。
あられもなく豊かな白い胸はこぼれているし、捲り上げられたネグリジェはもう衣類の役目を果たしていない。
なのにリュートはまだ着衣のままだ。
彼が纏う夜着のシャツを捲ろうとしたジゼルの指を、すかざすリュートが握り込む。
「今はあの傷跡を見ないでほしい」
そう言って彼はジゼルの不満を塞ぐように口づけた。
リュートのキスはズルい。キスだって今日が初めてだし、彼以外としたことはないので比べようがないけれど、とにかくズルい。
だってとてつもなく幸せな気分になって、際限なく求めてしまうから。
ただ食むようにくちびるを吸われることがこんなに心地良いだなんて知らなかった。
傷跡はもう、うっすらとしか残っていないのに今更どうして気にするの?
あれは誰が付けたものなの?
それに自分だけ脱がされているのもズルいとか、色々と話したいことがあるのに思考はずるずる流されていく。
「深入りするつもりなんかなかったのに、綺麗なジゼルを汚したくなかったのに。ごめん、やっぱり誰にも渡したくない」
キスの合間、吐息混じりの囁きが間近で聞こえる。
誰にも渡さないでほしい。何より自分を優先してほしい。
リュートに執着させたくて押しかけた身としては大成功である。
ジゼルは蕩けながらも頬が緩むのを自覚した。
「嬉しい……。絶対に忘れないでね。必ず帰ってきてね。私だって、誰にも渡さないわ」
締まらない笑顔のまま囁きかけ、今度は自分からキスをする。
すると返された口づけと同時に、蜜口へ硬い異物が僅かにめり込むのを感じた。
押し当てられた熱の感触にジゼルの体が強張る。
正真正銘清らかな乙女である彼女だが、これが何なのかくらい察しはついた。
思わず身を構えてしまう。
「なるべく優しくしたいけど……。好きだよ、君だけだ。ずっとジゼルだけが宝物だった。どうか僕を受け入れて」
「ん……っ」
元より拒否する気なんかこれっぽっちもない。
返事をする余裕もなく、こくこく頷くことしか出来ないジゼルの目には、切なく歪んだリュートとの表情が映る。
それだけでとてつもなく嬉しい気持ちがこみ上げるものの、強く押しつけられた熱杭は指とは比べものにならない質量だった。めりめり貫いてくる痛みは想像を絶している。
「いっ……、あ、あっ!」
掌中の珠のように育てられたジゼルは痛みに慣れていない。
危険を伴う魔獣退治は遠距離で応戦するし、ああ見えて過保護なジェイドの側で行うゆえに怪我などそう負うものではないのだ。
どうしても苦痛に上がる声を押し殺し、強くシーツを握りしめた。
泣き叫んで逃げてしまいたいほどの激痛だけど、この痛みを与えているのはリュートであって、彼が浸食している証だと思えば何とか耐えることができる。
「大丈夫?」
ゆっくりと埋めこんでいくリュートの顔も苦しそうで、上がった息が妙に艶めかしい。
大丈夫じゃないけど、止めてほしくはない。
「うん」と頷けば、余裕のないキスで声も吐息も封じられてしまった。
熱い粘膜が触れて、吸いついては舌を擦り合わせる。
ただそれだけでホッと体が緩んで、心が満たされていく。
「すごくつらそうだね、ごめん」
「だ、大丈夫……。だって、これでリュートは私のもの……」
つい本音が零れ出たが、一瞬目を瞬いたリュートは綻ぶように笑ったので問題はないと思う。
涙を浮かべながらジゼルも笑ってみせると、唐突に強く抱きしめられた。
それと同時に、ぐっと押し進められた腰が密着する。
信じられないくらいの激痛が走り、思わず出そうになった悲鳴はまたもや口づけで食べられる。
好きだとか可愛いとか簡単に口に出す癖に、いつもどこか一線を引いていたリュートの強引な仕草が嬉しい。
痛みと歓喜でぽろぽろ涙を零しながら、ジゼルは熱く執拗なキスを受け止めた。
だけど頭をふわふわさせてくれるキスはまるで禁断の薬のようで、体を引き裂くほどの痛みが少しマシになった気がする。
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