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2.銀色魔女と灰色猫の甘い日常②
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sideイリス
ハルの作ってくれたケーキとクッキーを食べながら久しぶりにお友達とゆっくりした時間を過ごしてる。
カルアちゃんは私と違って優秀な薬の魔女。
うちにあるお薬も全部彼女が作ったもの。
ちなみにハルは「男同士の話!」とかご機嫌なシキくんに連れられて行った。
「それにしても、いつの間にハルとそういう関係になってたの? まさか子どものうちから手出してないわよね?」
「まさか! そんなことしないよ! 私だってこうなるなんて思ってなかったし……」
子どものうちから、って……カルアちゃんは私を何だと思ってるんだろ。
今まで色んな恋人の話を愚痴ってきたから聞くのがちょっと怖い。
「そうよね、ならいいけど。驚いたわ。こないだ頼まれた避妊薬の相手がハルとは思わなかったもの。もうハルもすっかり大きくなったものね。なんだか懐かしいわ」
ハルの小さな頃を知ってるカルアちゃんには少し照れくさくて、恋人になったことをまだ言えてなかった。
それにハルと出会う以前も薬をお願いしてたから、今回だって特に相手について言及されなかった。
カルアちゃんは私よりずっと若くてまだ見た目は少女だけど、魔女の成長は遅いからハルより年上だったりする。
この国は色んな種族がいるから見た目だけで判断出来ない。
しばらくお互いの近況や魔女界隈での噂話で持ちきりだったけど、そういえば次の満月は数年に一度のパワームーンだねなんて話になったところで、カルアちゃんが少し言いにくそうに見上げてきた。
美少女なカルアちゃんはとっても可愛いから、その顔に私も思わずキュンとする。
シキくんが溺愛するのもよくわかる。
「あのね、妖魔ってその、満月の夜……激しいでしょ? もし困ってることがあるなら、体力回復の薬とか分けてあげるから言ってくれれば……」
「へ?」
「あ! 変な事言っちゃったわね……。ハルも、そうなのかなって……」
気まずそうに目線を逸らしたカルアちゃんはお茶をこくりと口にした。
「えっと……あの、どちらかと言えば私がハルを襲っちゃうから……それは心配ないかなぁ」
えへへと告白したら、飲み込む直前だったお茶を吹き出しかけたカルアちゃんがむせてる。
いつも冷静なカルアちゃんにしては珍しい。
「は?」
「いやあの、ハルが可愛すぎて、つい……」
「あんたまさか無理矢理……」
「や! それは違う! と思う……。ちゃんと相思相愛! なはず……」
思う、とか、はず、とか我ながら少し悲しくなってきた。
え? 間違ってないよね?
ハルから告白されたのにおかしいわ。
「そ、そうよね、ハルの方が体格もいいし、妖魔は力も強いし。まさか無理矢理なんてあるはずないわよね」
ブツブツ呟くカルアちゃん。
それにしても回復薬が必要なくらい求められるのは羨ましい。
もしかして私がおかしい?
確かに今までの彼氏にこんなに盛ったことない。
まさかハルの言う通り、ご先祖に淫魔がいて、急に先祖返りしたとか……。
ま、それはどうでもいいか。
なんだかお互い気まずくて乾いた笑いでお菓子を摘む。
そこにちょうどタイミング良く、シキくんとハルが部屋に戻ってきた。
やたらと楽しそうなシキくんとは逆にハルは何だか青褪めてる。
「あー、面白かった! カルア、そろそろ帰ろ」
「え、もう帰っちゃうの? 泊まってくれてもいいのよ?」
せっかく久しぶりに会えたんだからもっとゆっくりして欲しい。
けどシキくんは首を振ってハルを指さす。
「んー、ちびっ子が落ち込んじゃったし今日は帰るよ。イリス、またゆっくり話そう」
落ち込む? 何をしていたのかしら。
ハルに近付いてみたら目を逸らされてしまった。
「え、ハルどうしたの? もしかしてシキくんに苛められた?」
「何でも……」
ハルの目の前で手を振ってみるけど、なんか虚ろだ。
「苛めてないない! 先輩としてアドバイスしただけ」
シキくんは明るく否定するけど、昔からハルを揶揄って遊んでるのは知ってる。
カルアちゃんも疑わし気な目でシキくんを見てる。
「カルアまで俺を疑うの? 酷いな」
「日頃の行いよ。ハルどうしたの?」
「別になんでもないって。イリス、ちょっと話そう」
「う、うん? いいけど……」
カルアちゃんと顔を見合わせるけど、よくわからないのでどうしようもない。
「そうね、そろそろ帰るわ。また今度ね。ハル、シキが何かしたなら必ず言うのよ」
シキくんが文句を言ってるけど、カルアちゃんにとってハルはいつまでも小さな頃のイメージが抜けないんだと思う。
まだ成長途中のカルアちゃんはハルの頭に手が届かないので、ポンポンと腕を軽く叩いて下から覗き込んでる。
けれど、何でもないとしか言わないハルの様子を気にしつつ、シキくんに手を引かれて帰って行った。
ハルが目に見えて落ち込むだなんて、何があったんだろ。
「ハル、話って……」
ついとシャツの裾を引いたら、ハルは眉と三角お耳を下げてるし、あーとか、うーとか言葉にならない声でうだうだしてる。
いつも遠慮なしに色々言ってくるハルなのに、よっぽどの事があったんだわ。
シキくんには今度お説教よ。
うまく躱されそうだけど。
「ハル、意地悪されたの? シキくんには私がビシッと言っとくから」
いい子いい子、と昔の癖で高い位置にある頭を撫でる。
私より小さかったのに。あのハルがこんなに大きくなるなんて。
けれどハルに手を掴まれて、すぐに下ろされてしまう。
「違う。子ども扱いすんなって」
「じゃあどうしたの?」
「あのさ……正直に答えて。気とか遣わなくていいから」
両肩を掴んで覗き込んでくるハルはすごく真剣な顔してる。
よくわからないけど、とりあえずハルの顔は好き。
こんなに格好良く育って私も嬉しい。
「う、うん。どうしたの?」
「えっとさ……。あー……ああ! もう!」
急に抱き上げられて悲鳴を上げた私を気にせず、ハルが向かった先はいつもの寝室。
少し荒くベッドに降ろされたけど全く意味がわからない。
「えーと、どうしたの?」
それでもハルの整った顔に見下ろされて、ドキドキする。
なんだろ? お昼の続き?
だったら嬉しい! よし来い!
シキくんが何を言ったのか知らないけど、とりあえず感謝しとこ。
ハルから求めてくるなんて珍しいもの。
「イリス……」
「なあに? ハル♡ 」
「俺ってさ……」
「うん♡」
真剣な顔で見下ろしてくるハルも素敵♡ どうしよう、何されてもいい。むしろ好きにしてほしい。
「下手?」
ん? んんん? なんですって?
まるで死刑宣告でも受けたような顔してるハルの言った事がすぐには理解出来なくて、ぱちくりと目を瞬いてしまう。
「なんのこと?」
「シキが、イリスがそんなに盛るのって満足してないからだって。お前下手なんじゃないの?
って……」
「は、はあああぁ?! な、なんて話してんの?! 馬鹿?! 馬鹿なの?!」
いつもと逆にハルに馬鹿を連呼してしまった。
いつも馬鹿馬鹿酷い、と思ってたけどハルの気持ちがよくわかる。
馬鹿だから馬鹿なんだわ。他に言いようがないのね。
「俺だって話すつもりなかったけど! なんか気付いたら誘導されてて!」
あの策士猫……!
真面目でピュアなハルに何を言ってくれてるの?
カルアちゃんに言いつけてやるわ!
「そ、そんなわけないでしょ! ハルは飲み込みが早くてとっても上手よ!」
なんのフォローかわからないけど、とりあえずハルの自信を取り戻さなくっちゃ。
実際ハルとは相性も良くて最高だし。
「じゃあなんでいつもリードしようとすんの?」
「したいからよ。だってハル可愛いんだもの」
素直に答える。けどハルはムッとする。
「俺だってしたい。イリス、今日は何もしないで」
「何も……って?」
手を繋ぐようにハルの長い指が絡んでシーツに押さえつけられる。
あ、こういうの好き。すごく弱い。
おまけにゆっくりキスされて、また見下ろされる。
「俺に集中して」
か、顔が良い……♡
可愛いハルが大好きだけど、格好良いハルも大好き。何よりハルから求められてる感が最高なんだけど。
「ひゃい……♡ ハルさまぁ♡ 好きにして♡」
「……アホだろ」
ハルの作ってくれたケーキとクッキーを食べながら久しぶりにお友達とゆっくりした時間を過ごしてる。
カルアちゃんは私と違って優秀な薬の魔女。
うちにあるお薬も全部彼女が作ったもの。
ちなみにハルは「男同士の話!」とかご機嫌なシキくんに連れられて行った。
「それにしても、いつの間にハルとそういう関係になってたの? まさか子どものうちから手出してないわよね?」
「まさか! そんなことしないよ! 私だってこうなるなんて思ってなかったし……」
子どものうちから、って……カルアちゃんは私を何だと思ってるんだろ。
今まで色んな恋人の話を愚痴ってきたから聞くのがちょっと怖い。
「そうよね、ならいいけど。驚いたわ。こないだ頼まれた避妊薬の相手がハルとは思わなかったもの。もうハルもすっかり大きくなったものね。なんだか懐かしいわ」
ハルの小さな頃を知ってるカルアちゃんには少し照れくさくて、恋人になったことをまだ言えてなかった。
それにハルと出会う以前も薬をお願いしてたから、今回だって特に相手について言及されなかった。
カルアちゃんは私よりずっと若くてまだ見た目は少女だけど、魔女の成長は遅いからハルより年上だったりする。
この国は色んな種族がいるから見た目だけで判断出来ない。
しばらくお互いの近況や魔女界隈での噂話で持ちきりだったけど、そういえば次の満月は数年に一度のパワームーンだねなんて話になったところで、カルアちゃんが少し言いにくそうに見上げてきた。
美少女なカルアちゃんはとっても可愛いから、その顔に私も思わずキュンとする。
シキくんが溺愛するのもよくわかる。
「あのね、妖魔ってその、満月の夜……激しいでしょ? もし困ってることがあるなら、体力回復の薬とか分けてあげるから言ってくれれば……」
「へ?」
「あ! 変な事言っちゃったわね……。ハルも、そうなのかなって……」
気まずそうに目線を逸らしたカルアちゃんはお茶をこくりと口にした。
「えっと……あの、どちらかと言えば私がハルを襲っちゃうから……それは心配ないかなぁ」
えへへと告白したら、飲み込む直前だったお茶を吹き出しかけたカルアちゃんがむせてる。
いつも冷静なカルアちゃんにしては珍しい。
「は?」
「いやあの、ハルが可愛すぎて、つい……」
「あんたまさか無理矢理……」
「や! それは違う! と思う……。ちゃんと相思相愛! なはず……」
思う、とか、はず、とか我ながら少し悲しくなってきた。
え? 間違ってないよね?
ハルから告白されたのにおかしいわ。
「そ、そうよね、ハルの方が体格もいいし、妖魔は力も強いし。まさか無理矢理なんてあるはずないわよね」
ブツブツ呟くカルアちゃん。
それにしても回復薬が必要なくらい求められるのは羨ましい。
もしかして私がおかしい?
確かに今までの彼氏にこんなに盛ったことない。
まさかハルの言う通り、ご先祖に淫魔がいて、急に先祖返りしたとか……。
ま、それはどうでもいいか。
なんだかお互い気まずくて乾いた笑いでお菓子を摘む。
そこにちょうどタイミング良く、シキくんとハルが部屋に戻ってきた。
やたらと楽しそうなシキくんとは逆にハルは何だか青褪めてる。
「あー、面白かった! カルア、そろそろ帰ろ」
「え、もう帰っちゃうの? 泊まってくれてもいいのよ?」
せっかく久しぶりに会えたんだからもっとゆっくりして欲しい。
けどシキくんは首を振ってハルを指さす。
「んー、ちびっ子が落ち込んじゃったし今日は帰るよ。イリス、またゆっくり話そう」
落ち込む? 何をしていたのかしら。
ハルに近付いてみたら目を逸らされてしまった。
「え、ハルどうしたの? もしかしてシキくんに苛められた?」
「何でも……」
ハルの目の前で手を振ってみるけど、なんか虚ろだ。
「苛めてないない! 先輩としてアドバイスしただけ」
シキくんは明るく否定するけど、昔からハルを揶揄って遊んでるのは知ってる。
カルアちゃんも疑わし気な目でシキくんを見てる。
「カルアまで俺を疑うの? 酷いな」
「日頃の行いよ。ハルどうしたの?」
「別になんでもないって。イリス、ちょっと話そう」
「う、うん? いいけど……」
カルアちゃんと顔を見合わせるけど、よくわからないのでどうしようもない。
「そうね、そろそろ帰るわ。また今度ね。ハル、シキが何かしたなら必ず言うのよ」
シキくんが文句を言ってるけど、カルアちゃんにとってハルはいつまでも小さな頃のイメージが抜けないんだと思う。
まだ成長途中のカルアちゃんはハルの頭に手が届かないので、ポンポンと腕を軽く叩いて下から覗き込んでる。
けれど、何でもないとしか言わないハルの様子を気にしつつ、シキくんに手を引かれて帰って行った。
ハルが目に見えて落ち込むだなんて、何があったんだろ。
「ハル、話って……」
ついとシャツの裾を引いたら、ハルは眉と三角お耳を下げてるし、あーとか、うーとか言葉にならない声でうだうだしてる。
いつも遠慮なしに色々言ってくるハルなのに、よっぽどの事があったんだわ。
シキくんには今度お説教よ。
うまく躱されそうだけど。
「ハル、意地悪されたの? シキくんには私がビシッと言っとくから」
いい子いい子、と昔の癖で高い位置にある頭を撫でる。
私より小さかったのに。あのハルがこんなに大きくなるなんて。
けれどハルに手を掴まれて、すぐに下ろされてしまう。
「違う。子ども扱いすんなって」
「じゃあどうしたの?」
「あのさ……正直に答えて。気とか遣わなくていいから」
両肩を掴んで覗き込んでくるハルはすごく真剣な顔してる。
よくわからないけど、とりあえずハルの顔は好き。
こんなに格好良く育って私も嬉しい。
「う、うん。どうしたの?」
「えっとさ……。あー……ああ! もう!」
急に抱き上げられて悲鳴を上げた私を気にせず、ハルが向かった先はいつもの寝室。
少し荒くベッドに降ろされたけど全く意味がわからない。
「えーと、どうしたの?」
それでもハルの整った顔に見下ろされて、ドキドキする。
なんだろ? お昼の続き?
だったら嬉しい! よし来い!
シキくんが何を言ったのか知らないけど、とりあえず感謝しとこ。
ハルから求めてくるなんて珍しいもの。
「イリス……」
「なあに? ハル♡ 」
「俺ってさ……」
「うん♡」
真剣な顔で見下ろしてくるハルも素敵♡ どうしよう、何されてもいい。むしろ好きにしてほしい。
「下手?」
ん? んんん? なんですって?
まるで死刑宣告でも受けたような顔してるハルの言った事がすぐには理解出来なくて、ぱちくりと目を瞬いてしまう。
「なんのこと?」
「シキが、イリスがそんなに盛るのって満足してないからだって。お前下手なんじゃないの?
って……」
「は、はあああぁ?! な、なんて話してんの?! 馬鹿?! 馬鹿なの?!」
いつもと逆にハルに馬鹿を連呼してしまった。
いつも馬鹿馬鹿酷い、と思ってたけどハルの気持ちがよくわかる。
馬鹿だから馬鹿なんだわ。他に言いようがないのね。
「俺だって話すつもりなかったけど! なんか気付いたら誘導されてて!」
あの策士猫……!
真面目でピュアなハルに何を言ってくれてるの?
カルアちゃんに言いつけてやるわ!
「そ、そんなわけないでしょ! ハルは飲み込みが早くてとっても上手よ!」
なんのフォローかわからないけど、とりあえずハルの自信を取り戻さなくっちゃ。
実際ハルとは相性も良くて最高だし。
「じゃあなんでいつもリードしようとすんの?」
「したいからよ。だってハル可愛いんだもの」
素直に答える。けどハルはムッとする。
「俺だってしたい。イリス、今日は何もしないで」
「何も……って?」
手を繋ぐようにハルの長い指が絡んでシーツに押さえつけられる。
あ、こういうの好き。すごく弱い。
おまけにゆっくりキスされて、また見下ろされる。
「俺に集中して」
か、顔が良い……♡
可愛いハルが大好きだけど、格好良いハルも大好き。何よりハルから求められてる感が最高なんだけど。
「ひゃい……♡ ハルさまぁ♡ 好きにして♡」
「……アホだろ」
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