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8.★甘い指先

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「ん、んぅ……、ふぅ……」

 自覚すると妙な恥ずかしさがこみ上げてきた。上がる声を抑えるよう、リィラは手の甲を口に押し当てる。
 しかし、その手はシリウスによって、やんわりと剝がされてしまった。

「どうして抑えるんだ?」
「だって……、こんな声、恥ずかしい……」
「恥ずかしい? そんな可愛いことを言われると、もっと攻めてやりたくなる」

 ぞくりとするほど艶のある笑みを浮かべ、シリウスはリィラの白い手に口づける。

「い、意地が悪いぞ……」
「本当に可愛い。いつもの凛とした表情も好きだけど、蕩けた顔はたまらないな」

 首元にかかる銀の髪がくすぐったい。谷間に口づけたシリウスは細い背中に指を沿わせる。

「ひゃ……あっ」

 ぞわりとした感覚に腰が反って、豊かな胸を押しつけるような体勢になってしまった。
 決してわざとではなかったのだが、気づいたリィラは全身を強張らせる。
 だけど腰を引く前に、シリウスの赤い舌が白い乳房を掬うように舐めあげる。
 思わず視線を移せば、やたらと卑猥な光景が目に入った。しかも視線を合わせた彼の目が悪戯っぽく細められる。

 それだけで甘い疼きは増していくのに、シリウスの指が疼く秘所に触れる。布地の上から擦られるだけでじわじわと体内から蜜が溢れる感触がした。
 下着の隙間から指が侵入し、隘路をゆるく撫でられる。
 思わずしがみつくリィラの耳元に、艶っぽい吐息が触れた。

「少しでも痛みがあれば言ってくれ」
「痛み……? あ、あぁ……っ」

 それはどういうことだろう。そんな表現は閨の書物で見たことがないし、聞いたこともない。
 もしかするとセフィドの民には痛みが伴うのだろうか。
 ぼんやり考えるリィラの思考は、すぐにかき乱される。少しずつ体内に侵食する指がそろりと動くたび、ひくんと腰が小さく震える。   

「やだ、変……なにこれ……あ、あ、あっ」

 痛みなんて微塵も感じない。内壁を撫でられるたび腰が反って、リィラは縋るようにシリウスの首に抱きついた。

「痛くはないのか?」
「ん、きもちい……っ」

 目じりに涙が浮かぶのは快楽のせいだ。むしろ体はもっと奥への刺激を求めて、長い指を締めつけている。
 子を残すのは王族の使命であり責務である。それはリィラも例外ではなく、閨の知識はもちろん履修済みだ。身体的な反応だって文字の上では知っている。
 けれども、体の火照りや呼吸が浅くなることなんて知らなかったし、与えられる快感がこんなに強いものともわかっていなかった。

「や、あ……、シリウス……もっと」

 潤む声で名を呼ぶと、応えるようにキスされる。熱くてとろけてしまいそうな口づけを与えられたまま、ソファの上で押し倒された。
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