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盲目乙女は拗らせ剣士に愛されたい
14.☆剣と触手と後悔
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※R15
クロウに言われた通り、キアラは大人しく宿で待つつもりだった。ここ数日の気まずさが拭えないし、恐らく自分が行っても足手まといになる魔物だろう。そう思いはしたが、何となく胸騒ぎを感じたキアラはこっそり町を抜け出し、少し遅れて森へと向かった。
森の中はひやりと涼しく、クロウに寄り添ったあの森を彷彿させる。見慣れた景色に少し気分は落ち着くけども、あの森の清涼な空気と違う。嗅いだ事のない甘ったるいような変な匂いがする。何となくあまり肺に入れない方が良い気がして、キアラは少し呼吸を控えめに進むことにした。いつ現れるかわからない魔物にしばらくビクビクしながら歩いて行くと、微かに何かを打ちつけるような音が聞こえて来る。
きっと兄さんが戦ってる!
叱られるとわかっていたが、自分の知らないところでクロウに何かある方が、断然怖かった。キアラが駆けつけると少し先でクロウが蔓から身を翻し、一心に避けている様が目に入った。防戦一方な様子に引っかかりを覚えてよく見ると、クロウは剣を握っていない。
「兄さん!」
咄嗟に呪文を唱えて鋭い風で魔物を斬りつけたが、焦りで集中する事が出来ず、思った通りの威力が出せなかった。振り返り、目を見張ったクロウが来るなと叫ぶ。だけど今更魔物が見逃してくれるはずもなく、複数の細い蔓がキアラに向かってくる。
必死に風を起こして応戦するが、未熟なキアラに全てを切り払えるわけもなく、あっという間に拘束されてしまった。ぬめりとした細い蔦が体を這い回る感触が不快で、鳥肌が立つほど気持ち悪い。なんとか逃げようと手足を振り回して暴れても、その度に蔦は余計に食い込んで、動きを封じようとしてくる。
抵抗しながらキアラが視線を動かすと、クロウが剣を取り戻した様子が見えた。ホッとしたと同時に拘束されている体が宙に浮かび、魔物に抱えられるようにして森の奥へと連れ去られてしまった。
きっとクロウは自分を助けに来る。迷惑をかけることしかできない身が呪わしい。連れ去られながらもずっと蔦に抵抗していると、人の指ほどの太さの蔓が無理やり口腔に侵入してきた。キアラが戸惑う間もなく、蔓はとろりとした甘い液体を流し始める。
直感的に飲んではいけないと感じ取ったキアラは必死に唾液と共に口の外へと流し出し、気持ち悪さを堪えて、思いっきり蔓を噛み切って吐き出す。それでも液体を完全に吐き出せるわけがない。口内に残る液を飲み込んでしまい、頭がくらりとしてくる。抵抗する力も奪われ、目的地に到着したと思われる魔物がキアラを下ろしたが、更に蔦を絡ませてきた。
弱々しく身を捩って抵抗しながらも、キアラは体の異変に気付いて青褪めた。妙に呼吸が速く、やたらと火照る気がする。蔦がうねる度に敏感に体が跳ねて、おかしな疼きが込み上げてくる。
「や、なにこれっ……ひぁあっ! やめっ!」
思い通りに動かない体を捩っていると、服の上を蠢いていた蔓が、隙間から徐々に中に入り込んでいく。細い蔓が柔らかな肌を滑る度にキアラは体を震わせ、嫌悪感とは裏腹に戸惑う様な嬌声が勝手に口から漏れてしまった。
本来この魔物は獲物を蔦で縛り上げゆっくりと毒素を送り、時間をかけて生きたまま養分を吸い取っていく。だが今は瀕死の状態だ。獲物であるキアラの動きをいち早く、完全に封じ込めたいらしい。
しかも魔力を感知する事ができるのか、武器がなくても応戦できる魔法使いには、特に念入りに毒を与える。あらゆる生き物に有効なこの毒液はなぜか人間には媚薬作用があり、特に女性や子どもに絶大な効果を発する。それ故に町を守る為ともう一つ。、非人道的な業者が捕獲する前に、クロウは発生後、なるべくすぐに始末する事にしていた。
絶対に置いて行くと決めてたとはいえ、キアラに魔物の特性を教えていなかったのは、完全にクロウの落ち度だった。
◆◇
急いでポーチから魔法石を一つ取り出して握り込む。不思議と温かな光で体力を回復させたクロウは、邪魔な枝を器用に躱しながら飛び跳ねた植物を追った。森育ちのクロウにとって木々の間を駆けることは手慣れたもので、障害物を物ともせず、驚くほどのスピードで駆け抜けていく。
魔物はきっと最後の力を振り絞って、クロウから離れて体力を回復させる気だろう。けれど、なんと言っても瀕死だ。そう遠くまでは行ってないだろうと焦る気持ちを何とか落ち着かせて、魔物が落とした体液を目印に追ってゆく。しばらく駆けるとクロウの読み通り、そう離れていない場所で蠢く蔓を発見した。
「キアラ!」
駆け寄ったクロウが背後から刃を振るうと、避けることも出来なかった魔物は斬られた勢いでそのまま簡単に転げていく。皮肉にもクロウから全力で逃げたおかげで魔物の体力も尽きかけていたらしい。覇気は全くない。視線を動かすと魔物の影になっていたキアラが視界に入り、クロウの思考は一瞬停止した。
身体中をベトベトの液体に纏われたキアラは、ぐったりと横たわっている。衣服が乱れ、荒い呼吸と共に上下するたわわな胸元や、白い太ももが乱雑にあらわになっていて、小さな口から漏れる弱々しい喘ぎが艶かしくクロウの耳に届く。魔物に取り込まれていないということは、まだ養分として体力を吸収されてはいない。けれども、手離したくないと、やっとキアラへの好意を自覚したばかりのクロウに、目の前の光景は到底許せるものではない。
「死ね」
今まで感じたことのない憎しみが怒りに直結し、クロウはかろうじて生きている魔物に思いっきり刃を突き立てる。そのままピクピクと蠢く蔓の塊を、渾身の力で真っ直ぐ斬り裂いた。先程の攻防で本体を巻いていた固い蔦はすっかり再生速度が格段に落ちていて、いとも簡単に斬り捨てることが出来た。
露わになった核を両断し、魔物だった塊が崩れ落ちるのを見届けたクロウはキアラに走り寄る。膝を突いて強く抱き寄せると、華奢な体がびくりと跳ねた。
媚薬作用という厄介な毒ではあるけども、体力を吸われない限り命に関わるものではない。それでも、苦しげに喘ぐキアラを目の当たりにして、悔やみきれないほどの後悔がクロウに押し寄せてくる。
「ごめん! 僕がちゃんと伝えていれば……」
「に、いさ……はぁっ、ごめ……なさっ……あっ」
キアラの口から漏れる艶っぽい声からクロウはなるべく意識を切り離して、くたりとした弱々しい体を抱き上げた。討伐にあたり、クロウはこの森の地理を把握している。早く液体を洗い流さねばと泉への最短ルートを脳内で組み立てた。
過ごしやすい季節には多少腕に覚えのある町の人たちが山の恵みを採取しに来るため、森には共用の小屋がいくつかある。そこには共用のマントやシーツ、ブランケットなどが常備してあり、借りた人がそのまま持ち帰り、洗濯してから返す。という仕組みになっている。
途中小屋に寄ってフード付きのマントを借りたクロウは、キアラを落とさない様にしっかりと抱いて、足速に泉へと向かった。
◆◇
木々に囲まれた場所にある小さな泉の岸にそっとキアラを下ろしたクロウは、少し離れた場所で背を向けていた。
けれど、ベトベトに濡れた衣類を脱ぐだけで敏感に反応する体を恥じ入りながらも、張り付いて上手く脱げないとキアラにお願いされ、なるべく見ないように脱衣を手伝った。
そのまま液体まみれのキアラの服を受取り、クロウは離れた場所でゆすいで水気を絞る。陽に当てていればすぐに乾くだろう。
なるべく離れているとはいえ、守れる距離にはいる。何となしに気になって、ちらりとキアラの様子を盗み見れば、やっぱりいつもと様子が違う。丁寧に泉で身を清めて、口中に残る液体も濯ぎ、出来る範囲で毒液を取り除いてみたが、直接飲み込んでしまったこともあり、キアラの疼きは止まらないようだ。
この手の魔物から排出される毒は即効性はあるが毒性自体は薄く、時間を置いて体から抜いていく事がほとんどだ。一度快楽を放ってしまえばすぐに疼きは治ると聞いたことがあるが、ただでさえ自分のせいで苦しんでいるキアラにそんな事を試せるはずもない。クロウは一瞬過った案を頭から追い出した。
解毒薬を探しに町へ連れて帰るか思案していると、マントで身を包んだキアラがそばに寄って来た。なるべく見ないように抱きかかえたクロウに、驚いたキアラが腕の中で強張った。
「あ、歩けるよ……」
「危ないから」
クロウが触れたせいか、小さな甘い声が混じる吐息が耳に入る。少し見下ろせば、赤いくちびるが目に入って、強引に口付けた感触を思い出してしまった。
魔物が塗りつけた毒の犠牲になっているキアラに欲情するなんて、最低すぎる。ひとまずさっき寄った小屋で休ませよう。クロウは思考を切り替えて急ぎ足で泉を後にする。
だけど、なるべく意識を逸らそうとしているが、粘液まみれのキアラと密着していたおかげで、少なからずクロウにも媚薬の影響が出てきている。こんな状態のキアラを人の目に晒す事に抵抗があるし、このまま長時間二人きりで一緒にいるのも大変よろしくない。危険要因は取り除いたから、おそらく森は安全だ。
いっそここでキアラだけを休ませて、一人で町へ解毒剤を取りに行くか……いやこんな状態の女の子を置いて行けないだろう……
ため息を吐いて小屋の簡素なベッドにキアラを横たえると、首に巻きついた腕に強く引っ張られる。バランスを崩したクロウは抱きしめるような体勢で、キアラの上に突っ伏してしまった。
クロウに言われた通り、キアラは大人しく宿で待つつもりだった。ここ数日の気まずさが拭えないし、恐らく自分が行っても足手まといになる魔物だろう。そう思いはしたが、何となく胸騒ぎを感じたキアラはこっそり町を抜け出し、少し遅れて森へと向かった。
森の中はひやりと涼しく、クロウに寄り添ったあの森を彷彿させる。見慣れた景色に少し気分は落ち着くけども、あの森の清涼な空気と違う。嗅いだ事のない甘ったるいような変な匂いがする。何となくあまり肺に入れない方が良い気がして、キアラは少し呼吸を控えめに進むことにした。いつ現れるかわからない魔物にしばらくビクビクしながら歩いて行くと、微かに何かを打ちつけるような音が聞こえて来る。
きっと兄さんが戦ってる!
叱られるとわかっていたが、自分の知らないところでクロウに何かある方が、断然怖かった。キアラが駆けつけると少し先でクロウが蔓から身を翻し、一心に避けている様が目に入った。防戦一方な様子に引っかかりを覚えてよく見ると、クロウは剣を握っていない。
「兄さん!」
咄嗟に呪文を唱えて鋭い風で魔物を斬りつけたが、焦りで集中する事が出来ず、思った通りの威力が出せなかった。振り返り、目を見張ったクロウが来るなと叫ぶ。だけど今更魔物が見逃してくれるはずもなく、複数の細い蔓がキアラに向かってくる。
必死に風を起こして応戦するが、未熟なキアラに全てを切り払えるわけもなく、あっという間に拘束されてしまった。ぬめりとした細い蔦が体を這い回る感触が不快で、鳥肌が立つほど気持ち悪い。なんとか逃げようと手足を振り回して暴れても、その度に蔦は余計に食い込んで、動きを封じようとしてくる。
抵抗しながらキアラが視線を動かすと、クロウが剣を取り戻した様子が見えた。ホッとしたと同時に拘束されている体が宙に浮かび、魔物に抱えられるようにして森の奥へと連れ去られてしまった。
きっとクロウは自分を助けに来る。迷惑をかけることしかできない身が呪わしい。連れ去られながらもずっと蔦に抵抗していると、人の指ほどの太さの蔓が無理やり口腔に侵入してきた。キアラが戸惑う間もなく、蔓はとろりとした甘い液体を流し始める。
直感的に飲んではいけないと感じ取ったキアラは必死に唾液と共に口の外へと流し出し、気持ち悪さを堪えて、思いっきり蔓を噛み切って吐き出す。それでも液体を完全に吐き出せるわけがない。口内に残る液を飲み込んでしまい、頭がくらりとしてくる。抵抗する力も奪われ、目的地に到着したと思われる魔物がキアラを下ろしたが、更に蔦を絡ませてきた。
弱々しく身を捩って抵抗しながらも、キアラは体の異変に気付いて青褪めた。妙に呼吸が速く、やたらと火照る気がする。蔦がうねる度に敏感に体が跳ねて、おかしな疼きが込み上げてくる。
「や、なにこれっ……ひぁあっ! やめっ!」
思い通りに動かない体を捩っていると、服の上を蠢いていた蔓が、隙間から徐々に中に入り込んでいく。細い蔓が柔らかな肌を滑る度にキアラは体を震わせ、嫌悪感とは裏腹に戸惑う様な嬌声が勝手に口から漏れてしまった。
本来この魔物は獲物を蔦で縛り上げゆっくりと毒素を送り、時間をかけて生きたまま養分を吸い取っていく。だが今は瀕死の状態だ。獲物であるキアラの動きをいち早く、完全に封じ込めたいらしい。
しかも魔力を感知する事ができるのか、武器がなくても応戦できる魔法使いには、特に念入りに毒を与える。あらゆる生き物に有効なこの毒液はなぜか人間には媚薬作用があり、特に女性や子どもに絶大な効果を発する。それ故に町を守る為ともう一つ。、非人道的な業者が捕獲する前に、クロウは発生後、なるべくすぐに始末する事にしていた。
絶対に置いて行くと決めてたとはいえ、キアラに魔物の特性を教えていなかったのは、完全にクロウの落ち度だった。
◆◇
急いでポーチから魔法石を一つ取り出して握り込む。不思議と温かな光で体力を回復させたクロウは、邪魔な枝を器用に躱しながら飛び跳ねた植物を追った。森育ちのクロウにとって木々の間を駆けることは手慣れたもので、障害物を物ともせず、驚くほどのスピードで駆け抜けていく。
魔物はきっと最後の力を振り絞って、クロウから離れて体力を回復させる気だろう。けれど、なんと言っても瀕死だ。そう遠くまでは行ってないだろうと焦る気持ちを何とか落ち着かせて、魔物が落とした体液を目印に追ってゆく。しばらく駆けるとクロウの読み通り、そう離れていない場所で蠢く蔓を発見した。
「キアラ!」
駆け寄ったクロウが背後から刃を振るうと、避けることも出来なかった魔物は斬られた勢いでそのまま簡単に転げていく。皮肉にもクロウから全力で逃げたおかげで魔物の体力も尽きかけていたらしい。覇気は全くない。視線を動かすと魔物の影になっていたキアラが視界に入り、クロウの思考は一瞬停止した。
身体中をベトベトの液体に纏われたキアラは、ぐったりと横たわっている。衣服が乱れ、荒い呼吸と共に上下するたわわな胸元や、白い太ももが乱雑にあらわになっていて、小さな口から漏れる弱々しい喘ぎが艶かしくクロウの耳に届く。魔物に取り込まれていないということは、まだ養分として体力を吸収されてはいない。けれども、手離したくないと、やっとキアラへの好意を自覚したばかりのクロウに、目の前の光景は到底許せるものではない。
「死ね」
今まで感じたことのない憎しみが怒りに直結し、クロウはかろうじて生きている魔物に思いっきり刃を突き立てる。そのままピクピクと蠢く蔓の塊を、渾身の力で真っ直ぐ斬り裂いた。先程の攻防で本体を巻いていた固い蔦はすっかり再生速度が格段に落ちていて、いとも簡単に斬り捨てることが出来た。
露わになった核を両断し、魔物だった塊が崩れ落ちるのを見届けたクロウはキアラに走り寄る。膝を突いて強く抱き寄せると、華奢な体がびくりと跳ねた。
媚薬作用という厄介な毒ではあるけども、体力を吸われない限り命に関わるものではない。それでも、苦しげに喘ぐキアラを目の当たりにして、悔やみきれないほどの後悔がクロウに押し寄せてくる。
「ごめん! 僕がちゃんと伝えていれば……」
「に、いさ……はぁっ、ごめ……なさっ……あっ」
キアラの口から漏れる艶っぽい声からクロウはなるべく意識を切り離して、くたりとした弱々しい体を抱き上げた。討伐にあたり、クロウはこの森の地理を把握している。早く液体を洗い流さねばと泉への最短ルートを脳内で組み立てた。
過ごしやすい季節には多少腕に覚えのある町の人たちが山の恵みを採取しに来るため、森には共用の小屋がいくつかある。そこには共用のマントやシーツ、ブランケットなどが常備してあり、借りた人がそのまま持ち帰り、洗濯してから返す。という仕組みになっている。
途中小屋に寄ってフード付きのマントを借りたクロウは、キアラを落とさない様にしっかりと抱いて、足速に泉へと向かった。
◆◇
木々に囲まれた場所にある小さな泉の岸にそっとキアラを下ろしたクロウは、少し離れた場所で背を向けていた。
けれど、ベトベトに濡れた衣類を脱ぐだけで敏感に反応する体を恥じ入りながらも、張り付いて上手く脱げないとキアラにお願いされ、なるべく見ないように脱衣を手伝った。
そのまま液体まみれのキアラの服を受取り、クロウは離れた場所でゆすいで水気を絞る。陽に当てていればすぐに乾くだろう。
なるべく離れているとはいえ、守れる距離にはいる。何となしに気になって、ちらりとキアラの様子を盗み見れば、やっぱりいつもと様子が違う。丁寧に泉で身を清めて、口中に残る液体も濯ぎ、出来る範囲で毒液を取り除いてみたが、直接飲み込んでしまったこともあり、キアラの疼きは止まらないようだ。
この手の魔物から排出される毒は即効性はあるが毒性自体は薄く、時間を置いて体から抜いていく事がほとんどだ。一度快楽を放ってしまえばすぐに疼きは治ると聞いたことがあるが、ただでさえ自分のせいで苦しんでいるキアラにそんな事を試せるはずもない。クロウは一瞬過った案を頭から追い出した。
解毒薬を探しに町へ連れて帰るか思案していると、マントで身を包んだキアラがそばに寄って来た。なるべく見ないように抱きかかえたクロウに、驚いたキアラが腕の中で強張った。
「あ、歩けるよ……」
「危ないから」
クロウが触れたせいか、小さな甘い声が混じる吐息が耳に入る。少し見下ろせば、赤いくちびるが目に入って、強引に口付けた感触を思い出してしまった。
魔物が塗りつけた毒の犠牲になっているキアラに欲情するなんて、最低すぎる。ひとまずさっき寄った小屋で休ませよう。クロウは思考を切り替えて急ぎ足で泉を後にする。
だけど、なるべく意識を逸らそうとしているが、粘液まみれのキアラと密着していたおかげで、少なからずクロウにも媚薬の影響が出てきている。こんな状態のキアラを人の目に晒す事に抵抗があるし、このまま長時間二人きりで一緒にいるのも大変よろしくない。危険要因は取り除いたから、おそらく森は安全だ。
いっそここでキアラだけを休ませて、一人で町へ解毒剤を取りに行くか……いやこんな状態の女の子を置いて行けないだろう……
ため息を吐いて小屋の簡素なベッドにキアラを横たえると、首に巻きついた腕に強く引っ張られる。バランスを崩したクロウは抱きしめるような体勢で、キアラの上に突っ伏してしまった。
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