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9.★一生の印
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一瞬呼吸が止まり、体がひくひくと痙攣する。汗が吹き出して体に力が入らない。
なにが起きたのかわからなかった。自分ですることはあってもこんなに深い絶頂感は初めてだ。
「おにぃ……、あたし……、ひゃあっ!」
余韻に浸る間もなくずるりと一度引き抜かれた腰が再びねじ込まれ、すぐに抽送が開始される。
大きく響く水音と高い嬌声。さっきよりも早く激しい腰使いは、絶えずまぶたの奥を瞬かせる。
「ひっ、あ、やだ、おにぃ、待って……っ」
「待たない。好きにしていいんだろ? 全部ぐちゃぐちゃで、すっげー可愛いよ、遥花」
「や、あっ、も、あたまおかしくなっちゃう……っ」
初めてなのに、こんなに何度も絶頂を味わうことになるなんて。止まない快感はいっそ恐怖を感じるほどだった。
許してと泣きじゃくっても奏多は三日月のように目を細めるだけ。いつもならケンカをしてもすぐに許してくれるのに。こんな顔も初めて見るものだ。
それでも、名前を呼ばれたり可愛いと囁く声はあまりにも艶っぽくて、同時に幸せも覚える。
こんなに近い距離で奏多の体温を感じられる今が夢のようだ。
「は……、あっ、遥花……っ」
「ひうっ! あ、ああっ!」
何度目かの絶頂と共に体の最奥で熱い飛沫が弾けた。温かなものが体に染み渡る不思議な感覚。
強くしがみつく遥花を、奏多の腕が抱き止めてくれる。
熱くて、整わない呼吸は苦しいのに、それを上回る多幸感で全身が満たされる。
同じく息の荒い奏多の肩にこつんと額をくっつけると、優しく髪を撫でられた。
「はあ……、おにぃ……好き。あたし嬉しくて死んじゃう」
「はいはい、俺も好きだから生きろ」
「うう、好き。一生生きるぅ」
「遥花はアホの子で可愛いなぁ」
よしよしと撫でる手のひらはまだ熱いけど、優しい手は昔から変わらない義兄のもの。
「そうなの。あたし、可愛いでしょ。お兄ちゃんに可愛いって言ってほしくて毎日がんばってるんだもん」
「お前の頑張りは推しのためだろうが」
「それはもちろんだけど、お兄ちゃんにとって一番可愛くありたいの! なのによそ見ばっかり……」
不満げに膨れた口はすぐに塞がれてしまった。
さっきの荒々しい交わりが嘘のような優しく労わるようなキス。
ほんの短い口づけは、胸をふわふわする多幸感で満たしてしまう。ついでにいつの間にか空腹も満たされている。
機嫌を直した遥花はでれっと緩む頬が落ちないように、目の前にある逞しい胸板にぴたりと寄せた。
「仕方ないだろ。よそ見しなきゃお前に手を出してしまいそうだったから……まあ、結局こうなったわけだが」
手を出してくれてよかったのに。なんて遠回りをする人だろう。ぷうっと膨れた遥花はぐりぐりと額を擦り付ける。
「許せないけど、許してあげる。だから一生お世話してね。お兄ちゃんがいないとあたし死んじゃうもん。お兄ちゃんじゃなきゃ無理」
お腹が満たされたのはきっと精気や精力といったものを取り込めたからだろう。詳しくは知らないが、遥花が持つ偏った知識ではそうなのだ。
好きでもない男からそんなものを摂取するなんておぞましくて仕方がない。想像するだけで嘔吐を催してしまいそうになる。
「遥花が飽きるほど世話してやるよ。可愛い妹の面倒を見るのは兄の役目だからな。お前は一生、俺だけ見とけ」
そこで、一度区切った奏多は「そうだ」と思いついたように呟く。
「ちゃんと印付けておくか。よし、午後から買いに行くぞ」
そう言って目を細める顔は昨日までは見れなかった特別な表情。与えられるキスも甘くて優しい。
「印?」
こてんと首を傾げる遥花の左手を掬った奏多は薬指に軽く噛み付く。
そこに銀のリングが光るまであと数時間。
なにが起きたのかわからなかった。自分ですることはあってもこんなに深い絶頂感は初めてだ。
「おにぃ……、あたし……、ひゃあっ!」
余韻に浸る間もなくずるりと一度引き抜かれた腰が再びねじ込まれ、すぐに抽送が開始される。
大きく響く水音と高い嬌声。さっきよりも早く激しい腰使いは、絶えずまぶたの奥を瞬かせる。
「ひっ、あ、やだ、おにぃ、待って……っ」
「待たない。好きにしていいんだろ? 全部ぐちゃぐちゃで、すっげー可愛いよ、遥花」
「や、あっ、も、あたまおかしくなっちゃう……っ」
初めてなのに、こんなに何度も絶頂を味わうことになるなんて。止まない快感はいっそ恐怖を感じるほどだった。
許してと泣きじゃくっても奏多は三日月のように目を細めるだけ。いつもならケンカをしてもすぐに許してくれるのに。こんな顔も初めて見るものだ。
それでも、名前を呼ばれたり可愛いと囁く声はあまりにも艶っぽくて、同時に幸せも覚える。
こんなに近い距離で奏多の体温を感じられる今が夢のようだ。
「は……、あっ、遥花……っ」
「ひうっ! あ、ああっ!」
何度目かの絶頂と共に体の最奥で熱い飛沫が弾けた。温かなものが体に染み渡る不思議な感覚。
強くしがみつく遥花を、奏多の腕が抱き止めてくれる。
熱くて、整わない呼吸は苦しいのに、それを上回る多幸感で全身が満たされる。
同じく息の荒い奏多の肩にこつんと額をくっつけると、優しく髪を撫でられた。
「はあ……、おにぃ……好き。あたし嬉しくて死んじゃう」
「はいはい、俺も好きだから生きろ」
「うう、好き。一生生きるぅ」
「遥花はアホの子で可愛いなぁ」
よしよしと撫でる手のひらはまだ熱いけど、優しい手は昔から変わらない義兄のもの。
「そうなの。あたし、可愛いでしょ。お兄ちゃんに可愛いって言ってほしくて毎日がんばってるんだもん」
「お前の頑張りは推しのためだろうが」
「それはもちろんだけど、お兄ちゃんにとって一番可愛くありたいの! なのによそ見ばっかり……」
不満げに膨れた口はすぐに塞がれてしまった。
さっきの荒々しい交わりが嘘のような優しく労わるようなキス。
ほんの短い口づけは、胸をふわふわする多幸感で満たしてしまう。ついでにいつの間にか空腹も満たされている。
機嫌を直した遥花はでれっと緩む頬が落ちないように、目の前にある逞しい胸板にぴたりと寄せた。
「仕方ないだろ。よそ見しなきゃお前に手を出してしまいそうだったから……まあ、結局こうなったわけだが」
手を出してくれてよかったのに。なんて遠回りをする人だろう。ぷうっと膨れた遥花はぐりぐりと額を擦り付ける。
「許せないけど、許してあげる。だから一生お世話してね。お兄ちゃんがいないとあたし死んじゃうもん。お兄ちゃんじゃなきゃ無理」
お腹が満たされたのはきっと精気や精力といったものを取り込めたからだろう。詳しくは知らないが、遥花が持つ偏った知識ではそうなのだ。
好きでもない男からそんなものを摂取するなんておぞましくて仕方がない。想像するだけで嘔吐を催してしまいそうになる。
「遥花が飽きるほど世話してやるよ。可愛い妹の面倒を見るのは兄の役目だからな。お前は一生、俺だけ見とけ」
そこで、一度区切った奏多は「そうだ」と思いついたように呟く。
「ちゃんと印付けておくか。よし、午後から買いに行くぞ」
そう言って目を細める顔は昨日までは見れなかった特別な表情。与えられるキスも甘くて優しい。
「印?」
こてんと首を傾げる遥花の左手を掬った奏多は薬指に軽く噛み付く。
そこに銀のリングが光るまであと数時間。
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