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6.★あと戻りできない
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「おにい、おいし……。んう、んっ……」
勝手にもれる甘い声も吐息も、重なるキスで全て飲み込まれてしまう。
奏多に抱きついていた体は、いつの間にかころんと押し倒されていた。
いつも冷静な奏多の荒く乱れた息、火照った顔と潤む瞳。額には汗が滲んで、それを雑にぬぐう仕草にさえ下腹部がずくんと疼く。
まるで夢みたい。ぼうっとする遥花は気怠い腕を伸ばす。触れた精悍な頬はしっとり汗ばんでいて、その感触がとてつもなく嬉しかった。
ずっとずっと欲しかった人。どれだけアピールしても、必要以上にべたべたしても、軽くかわす奏多に腹を立てた日は少なくはない。
「好き……おにぃ。ずっと……一生、あたしだけのものになって」
ぽつりと呟いた声は心からのものだった。
だけど奏多は肯定をしない。軽く触れたキスは了承なのか、なだめるためなのか、それすらわからない。
こうやって流すなんてズルい。
そう思っても、ここでやめてほしくはなかった。最後までちゃんと奏多のものにしてほしい。
汗がにじむ首にしがみついた遥花は、切なく痛んだ胸を固い胸板に押し付ける。
すでにTシャツは脱ぎ捨てられ、密着する肌は吸い付くような感覚がする。大きく響く鼓動と一緒に、どうしようもなく重い恋心もすべて伝わればいいのに。
「お兄ちゃ……、あっ、あ!」
首に口づけられ、熱く濡れた舌でべろりと舐められる。びくんと小さく肩が震えて、奏多は何度も同じ位置を舐めては軽く噛み付く。
それだけで体は小刻みに跳ねるのに、ぷっくり勃ち上がった乳嘴を摘まれ、遥花は大きな声をあげた。
「ひゃあっ!」
その声に口角を上げた奏多は舌で豊かな膨らみを舐め上げる。そのまま頂きを咥え、敏感な先端に軽く歯が立てられる。
びくんと大げさに跳ねた腰は回された腕で抱き止められてしまった。
片腕だけで抱かれているのに、がっちりと逃げられない強さはよりいっそう遥花の熱を高揚させていく。
「おにぃ……好き、好き」
「はあっ……、あんま可愛いこと言ってんなよ。俺がどれだけ……」
熱い吐息が肌に落ちる。こんなに近い距離で囁かれるのも初めてのことだった。
奏多の体温はいつも温かだけど、溶かされてしまいそうなほど熱いなんて知らなかった。
それに遥花を見下ろす視線だって初めて見る。熱情を宿す目は切ないほど遥花の胸をじりじりと焦がして、昨日よりずっと奏多しか見えなくなっている。
「だって好きなんだもん。お兄ちゃん、あたしの気持ち知ってるよね。好きなの、ずっと好き」
乱れる息のまま紡ぐ言葉は思っていたよりずっと甘い響きを持っていた。奏多の頬に指を沿わせると、こくりと喉仏が動く。
「ダメだ……それ以上言うな。あともどり出来なくなる」
苦い口調とは反比例して、その声は眩暈がするほど艶があった。
あともどりってなに?
もしかして、明日からまたなにごともなかったかのように過ごすということだろうか。
「そんなの、させないよ」
奏多の頭を引き寄せ、遥花からくちびるを重ねる。さっき散々貪られたおかげで少しだけコツはわかった。
舌が触れ合うとくすぐったい快感がとろりと溢れ出す。
勝手にもれる甘い声も吐息も、重なるキスで全て飲み込まれてしまう。
奏多に抱きついていた体は、いつの間にかころんと押し倒されていた。
いつも冷静な奏多の荒く乱れた息、火照った顔と潤む瞳。額には汗が滲んで、それを雑にぬぐう仕草にさえ下腹部がずくんと疼く。
まるで夢みたい。ぼうっとする遥花は気怠い腕を伸ばす。触れた精悍な頬はしっとり汗ばんでいて、その感触がとてつもなく嬉しかった。
ずっとずっと欲しかった人。どれだけアピールしても、必要以上にべたべたしても、軽くかわす奏多に腹を立てた日は少なくはない。
「好き……おにぃ。ずっと……一生、あたしだけのものになって」
ぽつりと呟いた声は心からのものだった。
だけど奏多は肯定をしない。軽く触れたキスは了承なのか、なだめるためなのか、それすらわからない。
こうやって流すなんてズルい。
そう思っても、ここでやめてほしくはなかった。最後までちゃんと奏多のものにしてほしい。
汗がにじむ首にしがみついた遥花は、切なく痛んだ胸を固い胸板に押し付ける。
すでにTシャツは脱ぎ捨てられ、密着する肌は吸い付くような感覚がする。大きく響く鼓動と一緒に、どうしようもなく重い恋心もすべて伝わればいいのに。
「お兄ちゃ……、あっ、あ!」
首に口づけられ、熱く濡れた舌でべろりと舐められる。びくんと小さく肩が震えて、奏多は何度も同じ位置を舐めては軽く噛み付く。
それだけで体は小刻みに跳ねるのに、ぷっくり勃ち上がった乳嘴を摘まれ、遥花は大きな声をあげた。
「ひゃあっ!」
その声に口角を上げた奏多は舌で豊かな膨らみを舐め上げる。そのまま頂きを咥え、敏感な先端に軽く歯が立てられる。
びくんと大げさに跳ねた腰は回された腕で抱き止められてしまった。
片腕だけで抱かれているのに、がっちりと逃げられない強さはよりいっそう遥花の熱を高揚させていく。
「おにぃ……好き、好き」
「はあっ……、あんま可愛いこと言ってんなよ。俺がどれだけ……」
熱い吐息が肌に落ちる。こんなに近い距離で囁かれるのも初めてのことだった。
奏多の体温はいつも温かだけど、溶かされてしまいそうなほど熱いなんて知らなかった。
それに遥花を見下ろす視線だって初めて見る。熱情を宿す目は切ないほど遥花の胸をじりじりと焦がして、昨日よりずっと奏多しか見えなくなっている。
「だって好きなんだもん。お兄ちゃん、あたしの気持ち知ってるよね。好きなの、ずっと好き」
乱れる息のまま紡ぐ言葉は思っていたよりずっと甘い響きを持っていた。奏多の頬に指を沿わせると、こくりと喉仏が動く。
「ダメだ……それ以上言うな。あともどり出来なくなる」
苦い口調とは反比例して、その声は眩暈がするほど艶があった。
あともどりってなに?
もしかして、明日からまたなにごともなかったかのように過ごすということだろうか。
「そんなの、させないよ」
奏多の頭を引き寄せ、遥花からくちびるを重ねる。さっき散々貪られたおかげで少しだけコツはわかった。
舌が触れ合うとくすぐったい快感がとろりと溢れ出す。
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