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5.★計画どおり
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呼吸は乱れるし、顔というより全身が熱い。
とろんと蕩ける瞳を向けた遥花はしおらしく頷いてみせる。
「サキュバスの食事といえば決まってるでしょ? お兄ちゃん、あたしを助けて。それともあたしがその辺の適当な男に声をかけてもいいの?」
「それは……ダメだ。ダメに決まってる」
「でしょ? だからお兄ちゃんしかいないの。ね、お願い」
上目遣いのあざとい角度で見上げるのは遥花の常套手段だ。こうすると義兄はいつも折れてくれる。
困ったように唸る奏多は一度瞼を閉じ、大きなため息をつく。
「……今日だけだからな。なにか対処法を考えよう」
吐息混じりの声はいつもよりずっと小さかった。
しかし奏多の声を聞き逃す遥花ではない。なにより物理的に近い距離にいるおかげではっきりと耳に届いた。
(計画どおり……!)
思わず悪い顔をしそうになった遥花は表情を見られないように、顔を伏せる。
あとは奏多を翻弄して夢中にさせるだけ。
こちとら長年の想いを拗らせていたため処女ではあるが、エロ漫画で培った知識だけは豊富なのだ。
(それにサキュバスだから大丈夫! 多分。だってエッチのエキスパートなんだもん)
自信とはたいてい根拠のないものである。
はやる気持ちが抑えられない遥花の頬に指が添えられる。
触れる奏多の指も熱い。引き寄せられるよう重なったくちびるはやけに慎重だった。
しっとり合わさるだけの、戸惑いを含むキス。
数秒だけの触れあいはすぐに離れてしまった。残念に思う遥花はそれを追うように、奏多の薄いくちびるを舐めてみる。
「うん、おいしい……」
比喩でもなく、単純にそう思った。不思議な甘さは全身を満たして渇きを潤してくれる気がする。
そんな遥花の様子に一瞬ぱちくりと目を瞬いた奏多は、おかしそうに笑いだす。
「第一声がそれか」
「だっておいしいんだもん。ねえ、お兄ちゃん。あたし、すっごくお腹すいてるの」
「まだまだ色気より食い気だな、遥花は」
見慣れた笑顔を見せる奏多からは緊張が薄れたようだ。大きな手が再び頬に触れて、囁く声が耳をくすぐる。
なにより、まっすぐ見つめる視線は遥花の心臓を痛いほど跳ねさせた。思っていた以上の熱情は体温を上昇させてしまうほどである。
そんな愛おしそうな目をするなんて反則だ。急に込み上げる緊張で心音が余計に加速していく。
「可愛い妹の腹は満たしてやらないとな。ほら、口開けろ」
どれくらい? なんて聞く間もなかった。
やや強引に重なったキスはさっきの迷いなど欠片も感じられない。
ざらりと舌が触れ合い、遥花は小さな声をあげる。
当たり前のように入り込んだ舌は驚くほど器用に口内を舐め尽くす。隙間もないほどとろとろに舐められ、全身がやわく蕩けさせられる。
不慣れな舌はたやすく絡め取られ、交わる唾液が心も体も潤していく。
夢中で繰り返されるキスは遥花を貪り尽くすようだった。執拗に求めるくちびるは奏多の情欲をダイレクトに伝えてくれる。
与えられる唾液は大好きな練乳みたいに甘くて、遥花はこくりと飲み込んだ。
とろんと蕩ける瞳を向けた遥花はしおらしく頷いてみせる。
「サキュバスの食事といえば決まってるでしょ? お兄ちゃん、あたしを助けて。それともあたしがその辺の適当な男に声をかけてもいいの?」
「それは……ダメだ。ダメに決まってる」
「でしょ? だからお兄ちゃんしかいないの。ね、お願い」
上目遣いのあざとい角度で見上げるのは遥花の常套手段だ。こうすると義兄はいつも折れてくれる。
困ったように唸る奏多は一度瞼を閉じ、大きなため息をつく。
「……今日だけだからな。なにか対処法を考えよう」
吐息混じりの声はいつもよりずっと小さかった。
しかし奏多の声を聞き逃す遥花ではない。なにより物理的に近い距離にいるおかげではっきりと耳に届いた。
(計画どおり……!)
思わず悪い顔をしそうになった遥花は表情を見られないように、顔を伏せる。
あとは奏多を翻弄して夢中にさせるだけ。
こちとら長年の想いを拗らせていたため処女ではあるが、エロ漫画で培った知識だけは豊富なのだ。
(それにサキュバスだから大丈夫! 多分。だってエッチのエキスパートなんだもん)
自信とはたいてい根拠のないものである。
はやる気持ちが抑えられない遥花の頬に指が添えられる。
触れる奏多の指も熱い。引き寄せられるよう重なったくちびるはやけに慎重だった。
しっとり合わさるだけの、戸惑いを含むキス。
数秒だけの触れあいはすぐに離れてしまった。残念に思う遥花はそれを追うように、奏多の薄いくちびるを舐めてみる。
「うん、おいしい……」
比喩でもなく、単純にそう思った。不思議な甘さは全身を満たして渇きを潤してくれる気がする。
そんな遥花の様子に一瞬ぱちくりと目を瞬いた奏多は、おかしそうに笑いだす。
「第一声がそれか」
「だっておいしいんだもん。ねえ、お兄ちゃん。あたし、すっごくお腹すいてるの」
「まだまだ色気より食い気だな、遥花は」
見慣れた笑顔を見せる奏多からは緊張が薄れたようだ。大きな手が再び頬に触れて、囁く声が耳をくすぐる。
なにより、まっすぐ見つめる視線は遥花の心臓を痛いほど跳ねさせた。思っていた以上の熱情は体温を上昇させてしまうほどである。
そんな愛おしそうな目をするなんて反則だ。急に込み上げる緊張で心音が余計に加速していく。
「可愛い妹の腹は満たしてやらないとな。ほら、口開けろ」
どれくらい? なんて聞く間もなかった。
やや強引に重なったキスはさっきの迷いなど欠片も感じられない。
ざらりと舌が触れ合い、遥花は小さな声をあげる。
当たり前のように入り込んだ舌は驚くほど器用に口内を舐め尽くす。隙間もないほどとろとろに舐められ、全身がやわく蕩けさせられる。
不慣れな舌はたやすく絡め取られ、交わる唾液が心も体も潤していく。
夢中で繰り返されるキスは遥花を貪り尽くすようだった。執拗に求めるくちびるは奏多の情欲をダイレクトに伝えてくれる。
与えられる唾液は大好きな練乳みたいに甘くて、遥花はこくりと飲み込んだ。
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