4 / 9
4.☆しっぽはダメ
しおりを挟む
カーテンのおかげで薄暗いけど、端正な顔が怪訝に歪んでいるのはしっかりはっきり認識できる。
しかしそれも気にしない遥花は奏多の両頬を包みこむ。そのままゆっくり近づけた顔は大きな手により阻止されてしまった。
「アホなこと言ってないで出て行きなさい。そのツノもいつものコスプレだろ? 今度はなんのキャラなんだ?」
「ひっどーい! しっぽもあるし、ツノだって本物なんだから! 触ってみてよ」
ほら、とツノを示すと躊躇なく触った奏多は「おお……」と感心した声を出す。すりすり触る指は少しくすぐったい。
「生温かい。すごいな、素材は何だ?」
「言い方……。素材なんてわかんない。あたしの体の一部なんだもん」
作り物だとしたら、こっちが知りたいくらいだ。反論しても奏多は本気にとらえてくれない。
なら、こっちならどうだ。
細いのにごつごつした義兄の指を握り、遥花はしっぽへと誘導する。
どこにもくっつけた跡のないしっぽなら信じてもらえるだろう。
そう思い握らせてみた途端、ぞくりと背中が震えた。
「ひっ……、なに、それ……」
握られたしっぽから伝わるのは性的な快感だった。
自分で触れた時にはここまで明確な感覚はなかったのに。
戸惑う遥花は目を白黒させるけれど、そんな義妹の反応に首を傾げる奏多はよくわかっていないようだ。
「凝ってるな、本物みたいだ。自分で作ったのか?」
「ひゃんっ!」
感触を確かめるよう、奏多は親指の腹で擦り上げる。
それだけの動作なのに頭の先まで強い快感が走って、遥花はびくびくと腰を震わせた。
「遥花?」
「あ、や、だめ、お兄ちゃ……。しっぽ、ヤバ……」
瞳は潤んで、声もやたらと甘ったるい。すがるように奏多のシャツを握る。快感を堪えるよう指に力が入って布地にきつくシワが寄った。
困惑する奏多の目が一瞬熱情を宿したように見えたけれど、すぐに視線は逸らされてしまった。
「あのなぁ、なりきるのはいいけどエロいキャラはやめなさい。そっち方面にいくのも遥花の自由だけど、兄ちゃんは許さないからな」
「ちが……本物だってぇ……。ほらぁ」
力なくしっぽを左右に振ると驚いた奏多の手が離れる。
だけど握られていた感覚は消えない。しっぽの先からじんじん疼いて、体中に伝染していくようだ。
ぱたりと胸に倒れ込んだ遥花の耳に、呆然とした声が届いた
「本物……? まさか、変異化したのか?」
そういや先週部長も猫耳が生えて……、などいらない情報をぶつぶつ呟く奏多にとっても変異化は身近なものだ。
すぐに理解した義兄はもう一度遥花のツノをじっと眺める。
「うん、そうみたい。あたしの体、変わっちゃった。だからね、お兄ちゃんがほしいの。お腹も空いちゃったし、このままじゃあたし死んじゃうよぉ」
「死!?」
大きな声で驚きをあらわにした奏多は、しなだれかかっていた遥花ごと飛び起きる。
大げさに言ってみたけれど空腹を感じるのは本当だし、漫画やラノベで読むサキュバスはたいていそうと決まっている。
なによりしっぽを触れられたせいで完全にスイッチが入ってしまった。
しかしそれも気にしない遥花は奏多の両頬を包みこむ。そのままゆっくり近づけた顔は大きな手により阻止されてしまった。
「アホなこと言ってないで出て行きなさい。そのツノもいつものコスプレだろ? 今度はなんのキャラなんだ?」
「ひっどーい! しっぽもあるし、ツノだって本物なんだから! 触ってみてよ」
ほら、とツノを示すと躊躇なく触った奏多は「おお……」と感心した声を出す。すりすり触る指は少しくすぐったい。
「生温かい。すごいな、素材は何だ?」
「言い方……。素材なんてわかんない。あたしの体の一部なんだもん」
作り物だとしたら、こっちが知りたいくらいだ。反論しても奏多は本気にとらえてくれない。
なら、こっちならどうだ。
細いのにごつごつした義兄の指を握り、遥花はしっぽへと誘導する。
どこにもくっつけた跡のないしっぽなら信じてもらえるだろう。
そう思い握らせてみた途端、ぞくりと背中が震えた。
「ひっ……、なに、それ……」
握られたしっぽから伝わるのは性的な快感だった。
自分で触れた時にはここまで明確な感覚はなかったのに。
戸惑う遥花は目を白黒させるけれど、そんな義妹の反応に首を傾げる奏多はよくわかっていないようだ。
「凝ってるな、本物みたいだ。自分で作ったのか?」
「ひゃんっ!」
感触を確かめるよう、奏多は親指の腹で擦り上げる。
それだけの動作なのに頭の先まで強い快感が走って、遥花はびくびくと腰を震わせた。
「遥花?」
「あ、や、だめ、お兄ちゃ……。しっぽ、ヤバ……」
瞳は潤んで、声もやたらと甘ったるい。すがるように奏多のシャツを握る。快感を堪えるよう指に力が入って布地にきつくシワが寄った。
困惑する奏多の目が一瞬熱情を宿したように見えたけれど、すぐに視線は逸らされてしまった。
「あのなぁ、なりきるのはいいけどエロいキャラはやめなさい。そっち方面にいくのも遥花の自由だけど、兄ちゃんは許さないからな」
「ちが……本物だってぇ……。ほらぁ」
力なくしっぽを左右に振ると驚いた奏多の手が離れる。
だけど握られていた感覚は消えない。しっぽの先からじんじん疼いて、体中に伝染していくようだ。
ぱたりと胸に倒れ込んだ遥花の耳に、呆然とした声が届いた
「本物……? まさか、変異化したのか?」
そういや先週部長も猫耳が生えて……、などいらない情報をぶつぶつ呟く奏多にとっても変異化は身近なものだ。
すぐに理解した義兄はもう一度遥花のツノをじっと眺める。
「うん、そうみたい。あたしの体、変わっちゃった。だからね、お兄ちゃんがほしいの。お腹も空いちゃったし、このままじゃあたし死んじゃうよぉ」
「死!?」
大きな声で驚きをあらわにした奏多は、しなだれかかっていた遥花ごと飛び起きる。
大げさに言ってみたけれど空腹を感じるのは本当だし、漫画やラノベで読むサキュバスはたいていそうと決まっている。
なによりしっぽを触れられたせいで完全にスイッチが入ってしまった。
10
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる