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11.★可愛いものは可愛い
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「あんっ♡ いいよ♡ 出して♡♡」
「えっ、それは……っ。あ、ほんとヤバ……!」
「だって……、あ、あんっ♡ リオンの赤ちゃんなら、絶対に可愛いもの♡」
しかしそんなアンジェリカの愚策はリオンの力技によって阻止されることになる。
絡みつく足を急ぎ外したリオンは、あまりの早技に驚くアンジェリカのお腹に精を吐き出した。
見た目よりずっと怪力の彼はアンジェリカの提案には乗ってくれなかったのだ。
それどころか体を離した直後、恐るべき速さで服を着替えたリオンは、猛スピードで避妊薬を手に入れてきた。
どうやらたいていの宿泊施設では商品として扱っているケースが多いらしい。
全速力で戻ってきたリオンに薬を飲まされ、アンジェリカは四つも年下の彼から今現在お説教を食らっている。
せっかく並んでベッドに腰かけてるのに、色気もなにもあったものじゃない。
「いい考えだと思ったのにぃ……」
「アンジェリカ様はもっと自分を大切にしてください。俺だったからよかったけど……あれ? よかったのか……?」
自問自答を始めたリオンに、そっと肩を寄せたアンジェリカはしおらしく腕に巻きついた。
びくりと跳ねたリオンに構わず、こてんと肩に頭を乗せる。
「だってね、リオンはこれから背も伸びて、顔も大人になっていって、きっと狙う女があとからあとから湧いて出てくると思うのよね。だから今のうちに……」
いじらしく訴えてみせるが、リオンの呆れた瞳とため息が心に刺さった。それはもう痛いほどの冷静な視線だった。
「そういうのがアホだって言うんです」
「ひどいわ! 好きな人を誰にも渡したくない可愛い乙女心なのに!」
「可愛くないです! 恐ろしいです!」
アンジェリカ自身、家族というものに憧れはある。
だけど確かに同意を得ずに「あなたの子よ♡」は少し……いや、かなり怖いかもしれない。
それでも、むうっと膨れるアンジェリカにリオンは自らの頭を押さえる。一度アンジェリカから離れ、じっと合わせてくる綺麗な青い瞳は真剣だった。
「あの……、さっきのタイミングじゃ信じられないかもだけど……。俺、本当にアンジェリカ様が好きです。ずっと好きでした。だから俺がちゃんと大人になるまで、待っていてくれますか?」
少し不安そうに見上げる猫のような瞳はアンジェリカの機嫌を回復させるには十分だった。
これが計算ではないのだから、将来が末恐ろしい。
一瞬で笑顔になったアンジェリカは勢いよくリオンを抱きしめた。
「もちろんよ! リオンより可愛い子なんかいないもの! 早く大人になってほしいけど、ずっと可愛いままでもいてほしい……。複雑ぅ……」
自分勝手な呟きで、ぎゅうぎゅう抱きしめるアンジェリカに今度はリオンが不機嫌な顔をする。
「可愛いって言われても嬉しくないです」
「だって可愛いんだもん」
「えっ、それは……っ。あ、ほんとヤバ……!」
「だって……、あ、あんっ♡ リオンの赤ちゃんなら、絶対に可愛いもの♡」
しかしそんなアンジェリカの愚策はリオンの力技によって阻止されることになる。
絡みつく足を急ぎ外したリオンは、あまりの早技に驚くアンジェリカのお腹に精を吐き出した。
見た目よりずっと怪力の彼はアンジェリカの提案には乗ってくれなかったのだ。
それどころか体を離した直後、恐るべき速さで服を着替えたリオンは、猛スピードで避妊薬を手に入れてきた。
どうやらたいていの宿泊施設では商品として扱っているケースが多いらしい。
全速力で戻ってきたリオンに薬を飲まされ、アンジェリカは四つも年下の彼から今現在お説教を食らっている。
せっかく並んでベッドに腰かけてるのに、色気もなにもあったものじゃない。
「いい考えだと思ったのにぃ……」
「アンジェリカ様はもっと自分を大切にしてください。俺だったからよかったけど……あれ? よかったのか……?」
自問自答を始めたリオンに、そっと肩を寄せたアンジェリカはしおらしく腕に巻きついた。
びくりと跳ねたリオンに構わず、こてんと肩に頭を乗せる。
「だってね、リオンはこれから背も伸びて、顔も大人になっていって、きっと狙う女があとからあとから湧いて出てくると思うのよね。だから今のうちに……」
いじらしく訴えてみせるが、リオンの呆れた瞳とため息が心に刺さった。それはもう痛いほどの冷静な視線だった。
「そういうのがアホだって言うんです」
「ひどいわ! 好きな人を誰にも渡したくない可愛い乙女心なのに!」
「可愛くないです! 恐ろしいです!」
アンジェリカ自身、家族というものに憧れはある。
だけど確かに同意を得ずに「あなたの子よ♡」は少し……いや、かなり怖いかもしれない。
それでも、むうっと膨れるアンジェリカにリオンは自らの頭を押さえる。一度アンジェリカから離れ、じっと合わせてくる綺麗な青い瞳は真剣だった。
「あの……、さっきのタイミングじゃ信じられないかもだけど……。俺、本当にアンジェリカ様が好きです。ずっと好きでした。だから俺がちゃんと大人になるまで、待っていてくれますか?」
少し不安そうに見上げる猫のような瞳はアンジェリカの機嫌を回復させるには十分だった。
これが計算ではないのだから、将来が末恐ろしい。
一瞬で笑顔になったアンジェリカは勢いよくリオンを抱きしめた。
「もちろんよ! リオンより可愛い子なんかいないもの! 早く大人になってほしいけど、ずっと可愛いままでもいてほしい……。複雑ぅ……」
自分勝手な呟きで、ぎゅうぎゅう抱きしめるアンジェリカに今度はリオンが不機嫌な顔をする。
「可愛いって言われても嬉しくないです」
「だって可愛いんだもん」
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