【R18】聖女の推しは少年騎士!

ドゴイエちまき

文字の大きさ
上 下
11 / 12

11.★可愛いものは可愛い

しおりを挟む
「あんっ♡ いいよ♡ 出して♡♡」
「えっ、それは……っ。あ、ほんとヤバ……!」
「だって……、あ、あんっ♡  リオンの赤ちゃんなら、絶対に可愛いもの♡」
 
 しかしそんなアンジェリカの愚策はリオンの力技によって阻止されることになる。

 絡みつく足を急ぎ外したリオンは、あまりの早技に驚くアンジェリカのお腹に精を吐き出した。
 見た目よりずっと怪力の彼はアンジェリカの提案には乗ってくれなかったのだ。
 
 それどころか体を離した直後、恐るべき速さで服を着替えたリオンは、猛スピードで避妊薬を手に入れてきた。
 どうやらたいていの宿泊施設では商品として扱っているケースが多いらしい。

 全速力で戻ってきたリオンに薬を飲まされ、アンジェリカは四つも年下の彼から今現在お説教を食らっている。
 せっかく並んでベッドに腰かけてるのに、色気もなにもあったものじゃない。

「いい考えだと思ったのにぃ……」
「アンジェリカ様はもっと自分を大切にしてください。俺だったからよかったけど……あれ? よかったのか……?」

 自問自答を始めたリオンに、そっと肩を寄せたアンジェリカはしおらしく腕に巻きついた。
 びくりと跳ねたリオンに構わず、こてんと肩に頭を乗せる。
 
「だってね、リオンはこれから背も伸びて、顔も大人になっていって、きっと狙う女があとからあとから湧いて出てくると思うのよね。だから今のうちに……」

 いじらしく訴えてみせるが、リオンの呆れた瞳とため息が心に刺さった。それはもう痛いほどの冷静な視線だった。
 
「そういうのがアホだって言うんです」
「ひどいわ! 好きな人を誰にも渡したくない可愛い乙女心なのに!」
「可愛くないです! 恐ろしいです!」

 アンジェリカ自身、家族というものに憧れはある。
 だけど確かに同意を得ずに「あなたの子よ♡」は少し……いや、かなり怖いかもしれない。

 それでも、むうっと膨れるアンジェリカにリオンは自らの頭を押さえる。一度アンジェリカから離れ、じっと合わせてくる綺麗な青い瞳は真剣だった。
 
「あの……、さっきのタイミングじゃ信じられないかもだけど……。俺、本当にアンジェリカ様が好きです。ずっと好きでした。だから俺がちゃんと大人になるまで、待っていてくれますか?」

 少し不安そうに見上げる猫のような瞳はアンジェリカの機嫌を回復させるには十分だった。
 これが計算ではないのだから、将来が末恐ろしい。
 一瞬で笑顔になったアンジェリカは勢いよくリオンを抱きしめた。

「もちろんよ! リオンより可愛い子なんかいないもの! 早く大人になってほしいけど、ずっと可愛いままでもいてほしい……。複雑ぅ……」

 自分勝手な呟きで、ぎゅうぎゅう抱きしめるアンジェリカに今度はリオンが不機嫌な顔をする。

「可愛いって言われても嬉しくないです」
「だって可愛いんだもん」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

ちょいぽちゃ令嬢は溺愛王子から逃げたい

なかな悠桃
恋愛
ふくよかな体型を気にするイルナは王子から与えられるスイーツに頭を悩ませていた。彼に黙ってダイエットを開始しようとするも・・・。 ※誤字脱字等ご了承ください

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

侍女から第2夫人、そして……

しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。 翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。 ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。 一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。 正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。 セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

処理中です...