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6.アホですか!
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「うん、水分と同時に栄養補給も出来るのよね。リオン疲れてそうだからちょうど良いと思って。私もたくさん歩いて疲れちゃったし」
「アホですか! これ、催淫剤入りじゃないですか!」
催淫剤。つまり媚薬。性欲を増進させる作用をもつ薬剤。
リオンの言葉を頭の中で分析したアンジェリカはポンと手を叩いた。
知識としてぼんやりと知ってはいるが、世間知らずなアンジェリカには思いもつかなかったアイテムだ。
「これが噂の……! でも大丈夫よ。ちょっと体がポカポカするくらいだし……?」
だけど言われてみれば段々と体の奥からムズムズするような気がする。
それに不安そうな顔をしているリオンの顔も体もほんのり赤い。
どうしたことかいつもより更に可愛く見えて、アンジェリカはずいと顔を近づけた。
「そうね。あとは、少し……ほんの少しだけ悪戯してみたいとか、泣かせてみたいとか……。はあっ……、なんか体の奥がこそばゆいというか……変な感じがするぅ」
「え、ちょっと……。めっちゃ効いてません?」
はあはあ息が荒い自覚はあるし、きゅんきゅんした感覚もさっきより大きく感じる。
なによりリオンの潤んだ瞳がたまらなく悪戯心を刺激した。
(ぐ……ぐう、かわ……! 国宝級、むしろ人類の宝!)
近い距離で見つめたまま未成熟な頬に手を添えると、ビクリと肩が跳ねる。
驚きに開かれた瞳は丸く、戸惑う表情にゾクリとした妙な感覚を覚えた。
「アンジェリカ様! ち、近い……! んむっ……」
考えるより先に勝手に体は動いて、間近にあったくちびるはすぐに重なる。
聖女は清い身でないといけない。
そんなアンジェリカにとって、初めてのキスは信じられないくらい甘美だった。
ただ合わせるだけなのに、身も心も溶けてしまいそう。
しばし放心していたリオンだが、華奢な肩を強く掴んで抵抗の意志を示した。
体はアンジェリカより小さくても力は強い。
驚き、小さな声をあげたアンジェリカをそのまま引き剥がし、肩で息をするリオンはよほど驚いているらしい。
真っ赤に染まった顔に、大きく開いた目からは涙が滲んでいる。
初めて見る表情。アンジェリカの残りわずか過ぎる理性が綺麗さっぱり吹っ飛んだ。
「可愛い、可愛すぎる……っ! もうたまんない。私のものにしていい? いいよね? だって大好きなんだもの」
動悸はうるさいし、体の奥がきゅんきゅん締め付けられるような初めての感覚。
再び、ずいと迫るアンジェリカにリオンはベッドの端まで後ずさった。
もう背中を壁に貼りつかせているが、アンジェリカは再び近い距離でじっと視線を合わせる。
「ちょ、ちょ、ちょっと! 落ち着きましょう!」
アンジェリカ自身、突如芽生えた感情に戸惑っていた。
「アホですか! これ、催淫剤入りじゃないですか!」
催淫剤。つまり媚薬。性欲を増進させる作用をもつ薬剤。
リオンの言葉を頭の中で分析したアンジェリカはポンと手を叩いた。
知識としてぼんやりと知ってはいるが、世間知らずなアンジェリカには思いもつかなかったアイテムだ。
「これが噂の……! でも大丈夫よ。ちょっと体がポカポカするくらいだし……?」
だけど言われてみれば段々と体の奥からムズムズするような気がする。
それに不安そうな顔をしているリオンの顔も体もほんのり赤い。
どうしたことかいつもより更に可愛く見えて、アンジェリカはずいと顔を近づけた。
「そうね。あとは、少し……ほんの少しだけ悪戯してみたいとか、泣かせてみたいとか……。はあっ……、なんか体の奥がこそばゆいというか……変な感じがするぅ」
「え、ちょっと……。めっちゃ効いてません?」
はあはあ息が荒い自覚はあるし、きゅんきゅんした感覚もさっきより大きく感じる。
なによりリオンの潤んだ瞳がたまらなく悪戯心を刺激した。
(ぐ……ぐう、かわ……! 国宝級、むしろ人類の宝!)
近い距離で見つめたまま未成熟な頬に手を添えると、ビクリと肩が跳ねる。
驚きに開かれた瞳は丸く、戸惑う表情にゾクリとした妙な感覚を覚えた。
「アンジェリカ様! ち、近い……! んむっ……」
考えるより先に勝手に体は動いて、間近にあったくちびるはすぐに重なる。
聖女は清い身でないといけない。
そんなアンジェリカにとって、初めてのキスは信じられないくらい甘美だった。
ただ合わせるだけなのに、身も心も溶けてしまいそう。
しばし放心していたリオンだが、華奢な肩を強く掴んで抵抗の意志を示した。
体はアンジェリカより小さくても力は強い。
驚き、小さな声をあげたアンジェリカをそのまま引き剥がし、肩で息をするリオンはよほど驚いているらしい。
真っ赤に染まった顔に、大きく開いた目からは涙が滲んでいる。
初めて見る表情。アンジェリカの残りわずか過ぎる理性が綺麗さっぱり吹っ飛んだ。
「可愛い、可愛すぎる……っ! もうたまんない。私のものにしていい? いいよね? だって大好きなんだもの」
動悸はうるさいし、体の奥がきゅんきゅん締め付けられるような初めての感覚。
再び、ずいと迫るアンジェリカにリオンはベッドの端まで後ずさった。
もう背中を壁に貼りつかせているが、アンジェリカは再び近い距離でじっと視線を合わせる。
「ちょ、ちょ、ちょっと! 落ち着きましょう!」
アンジェリカ自身、突如芽生えた感情に戸惑っていた。
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