【R18】聖女の推しは少年騎士!

ドゴイエちまき

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4.推しが可愛い

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 それから一呼吸置いてアンジェリカを一瞥した彼は納得し切れない表情のまま、
「わかりました。俺はソファを使います」
 と、観念したようだ。
 
 やけに切なく視線を逸らしたリオンはいつもより大人びていて、思わずときめいたアンジェリカは動悸を刻む胸に手を置く。

(たまに見せる表情がまたどうにも堪らないのよねぇ。可愛いわ、可愛いだけじゃなくてなんだろう、うん、とにかく好き!)

 そんなアンジェリカの心の内など知らないリオンは慌てて笑顔を作ってみせた。
 静かになったアンジェリカに気を遣ってくれたのだろう。リオンは幼いながらも気遣いの出来る少年だ。

「あ、えっと! 俺も家族がいないから、アンジェリカ様にそう言ってもらえて嬉しいです」
「そ、そう? そうだ! お姉ちゃんて呼んでもいいのよ?」
「それはちょっと……。うん、機会があれば」
「そう……」

 誤魔化すように顔を背けたリオンは荷物を下ろし、マントを脱ぐ。
 いつものアンジェリカなら垂涎ものな光景だが、同じように大人しくマントを壁の衣装掛けに引っ掛けた。

 さっきの切ない表情がなんとなく気になってしまったからだ。
 家族という言葉を軽く、しかも言い訳に使用してしまったことに後ろめたさを感じる。
 なんとなくじっと見つめるアンジェリカにリオンがきょとんと首を傾げた。
 
 そんな表情をするとリオンは更に幼く見える。
 おかげで危うく悶え転げそうになったアンジェリカは、自らの頬を思いっきり両手でサンドした。

 バチンと派手に音が響き、それを見ていたリオンが慌てて駆け寄ってくる。
 心配そうに下から覗き見る表情は更にアンジェリカの萌えを刺激した。
 
(くっ……、あざと可愛すぎていっそ怖い……!)
 
「なにをしてるんですか! 大丈夫ですか?」
「うぐ、可愛い……可愛いの暴力……。いやそうじゃなくて、あの、あのね。リオンがよければ私たち家族にならない?」

「へっ?!」
「いつでもお姉ちゃんて呼んでいいからね。可愛いリオンが弟になってくれたら、私も嬉しいわ」

 予想以上に驚いているリオンに今度はアンジェリカが首を傾げる。
 しばし両者が固まり、数秒の時間が過ぎていく。
 徐々に理解したらしいリオンは居心地悪そうに頭を掻いた。

「あ、あー……。びっくりした……。そっか、アンジェリカ様も淋しいですよね。俺でよければいつでも弟だと思ってくださいね」
 
(ピュアか!!!!!)

 どこか恥ずかしそうに笑うリオンの破壊力は抜群だった。
 感情が昂り涙ぐむアンジェリカにおろおろするリオンを誤魔化し、とりあえず落ち着くために備え付けの狭い浴室へと向かう。
 煩悩を落とすつもりで少し熱めの湯を被り、アンジェリカは大きなため息をついた。
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