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21.★特別扱い
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「あっ、やだぁっ……、ここ、外……」
「ん、俺んち行く? 同族しか入れたことないけど、アイネならいいよ。だってアイネは俺の『彼女』だもんな」
「勝手に、決めないで……っ!」
この手を離さないといけないのに、錯覚するほど優しく抱かれてしまいたい。
服の上から這う指は簡単に熱を呼び起こす。
おまけに囁くように名前を呼ばれるだけで、背中がぞくぞくと期待に震えた。彼から与えられた快感を体はしっかり覚えている。
しがみつく藍音にもう一度口付けたナツは満足そうに目を細めた。
***
部屋に着いた途端に引き寄せられ、噛み付くようなキスされたのは覚えている。だけどそこからどうやってベッドまで辿り着いたのか藍音には全く思い出せない。
おまけにいつの間にか、というかいつも通りというか、体を隠すものは細いリボンで結ばれた白のショーツのみだ。ナツだってもう既に下着しか身につけていない。
強引にこじ開けた口内を舐められ、唐突に舌を吸われ、キスに応えるだけで精一杯だった。激しく執拗に求める口づけは飢えを満たすようで、こんなに余裕のない姿を見るのは初めてかもしれない。
瞳は赤く燃えるようだし、もう見慣れたツノだって始めから無防備に晒されている。
いつもより早足のナツに連れられて辿り着いたのは、藍音が見上げるほどの高層マンションだった。
なぜこんな場所にと浮かんだ疑問符は「俺んち」の一言で解決され、あんぐりと口を開いてしまった。
(顔も声も良いし、背も高いし、良い体してるし、なんかすごいとこ住んでるし、えっちも上手だし……。これはまさにスパダリという生き物では?)
しかも黒と木材のシンプルな家具で揃えた部屋だって藍音の好きなインテリアだ。おまけに良い匂いがする。
非の打ち所がない。悪魔こわい。
途切れたキスの合間に部屋を見渡し、そんなことをぼんやり考えていた藍音の首筋にチリッとした痛みが走った。驚いて首に当てた手のひらは、ずいと覗き込んだナツの手によってシーツに戻される。
「何考えてんの? 妬けるじゃん。俺に集中しろよ」
「今、なんで……あっ、あ、まって……!」
なんで痕を付けたの? そう聞こうとしたのに首へのキスが再開され、同時に胸が掬われる。食い込み揺らす指は優しく、じわじわと体の奥から湧き出る快感で藍音の体が緩やかにくねる。
熱い舌が首を舐めるたび甘い声が漏れて、強く吸われればびくりと肩が震える。
何度も繰り返される愛撫は今までと明らかに違っていた。もう何度も抱かれているけど、ナツの手はいつも優しい。
だけどこんなにも丁寧に扱われることは初めてだ。しかも独占欲を示す所有印をナツが刻むなんて。
「あっ、やだ……、いつもと、ちが……っ、なんで、痕……」
「俺なりの特別扱いをわかってもらおうかと。初めてやってみたけど気に入った?」
特別。ナツはよくこの言葉を使うけれど、何がどう特別なのか藍音にはよくわからなかった。
「ナツくんの、特別って……軽い。信じられないよ」
「それは酷くない? アイネは始めから特別扱いしてるのに。名前だって教えてやっただろ」
名前に関しては今でも不思議だが、気まぐれなナツは理由を教えてくれない。おそらく本当に「なんとなく」なんだと思う。
始めなんて全く相手にしてくれなかったし、笑ってもくれなかったけど。
つい思考を過去に飛ばし、スンと白けた藍音の体がびくんと大きく跳ね上がった。
ずらしたショーツの隙間から浅く差し込まれた指がくちゅくちゅ音を立てて入口をかき混ぜる。
「ん、俺んち行く? 同族しか入れたことないけど、アイネならいいよ。だってアイネは俺の『彼女』だもんな」
「勝手に、決めないで……っ!」
この手を離さないといけないのに、錯覚するほど優しく抱かれてしまいたい。
服の上から這う指は簡単に熱を呼び起こす。
おまけに囁くように名前を呼ばれるだけで、背中がぞくぞくと期待に震えた。彼から与えられた快感を体はしっかり覚えている。
しがみつく藍音にもう一度口付けたナツは満足そうに目を細めた。
***
部屋に着いた途端に引き寄せられ、噛み付くようなキスされたのは覚えている。だけどそこからどうやってベッドまで辿り着いたのか藍音には全く思い出せない。
おまけにいつの間にか、というかいつも通りというか、体を隠すものは細いリボンで結ばれた白のショーツのみだ。ナツだってもう既に下着しか身につけていない。
強引にこじ開けた口内を舐められ、唐突に舌を吸われ、キスに応えるだけで精一杯だった。激しく執拗に求める口づけは飢えを満たすようで、こんなに余裕のない姿を見るのは初めてかもしれない。
瞳は赤く燃えるようだし、もう見慣れたツノだって始めから無防備に晒されている。
いつもより早足のナツに連れられて辿り着いたのは、藍音が見上げるほどの高層マンションだった。
なぜこんな場所にと浮かんだ疑問符は「俺んち」の一言で解決され、あんぐりと口を開いてしまった。
(顔も声も良いし、背も高いし、良い体してるし、なんかすごいとこ住んでるし、えっちも上手だし……。これはまさにスパダリという生き物では?)
しかも黒と木材のシンプルな家具で揃えた部屋だって藍音の好きなインテリアだ。おまけに良い匂いがする。
非の打ち所がない。悪魔こわい。
途切れたキスの合間に部屋を見渡し、そんなことをぼんやり考えていた藍音の首筋にチリッとした痛みが走った。驚いて首に当てた手のひらは、ずいと覗き込んだナツの手によってシーツに戻される。
「何考えてんの? 妬けるじゃん。俺に集中しろよ」
「今、なんで……あっ、あ、まって……!」
なんで痕を付けたの? そう聞こうとしたのに首へのキスが再開され、同時に胸が掬われる。食い込み揺らす指は優しく、じわじわと体の奥から湧き出る快感で藍音の体が緩やかにくねる。
熱い舌が首を舐めるたび甘い声が漏れて、強く吸われればびくりと肩が震える。
何度も繰り返される愛撫は今までと明らかに違っていた。もう何度も抱かれているけど、ナツの手はいつも優しい。
だけどこんなにも丁寧に扱われることは初めてだ。しかも独占欲を示す所有印をナツが刻むなんて。
「あっ、やだ……、いつもと、ちが……っ、なんで、痕……」
「俺なりの特別扱いをわかってもらおうかと。初めてやってみたけど気に入った?」
特別。ナツはよくこの言葉を使うけれど、何がどう特別なのか藍音にはよくわからなかった。
「ナツくんの、特別って……軽い。信じられないよ」
「それは酷くない? アイネは始めから特別扱いしてるのに。名前だって教えてやっただろ」
名前に関しては今でも不思議だが、気まぐれなナツは理由を教えてくれない。おそらく本当に「なんとなく」なんだと思う。
始めなんて全く相手にしてくれなかったし、笑ってもくれなかったけど。
つい思考を過去に飛ばし、スンと白けた藍音の体がびくんと大きく跳ね上がった。
ずらしたショーツの隙間から浅く差し込まれた指がくちゅくちゅ音を立てて入口をかき混ぜる。
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