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10.★淫魔こわい
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「あ、や、だめ……っ! それ、へんなのぉ……っ! あ、だめ、いっちゃ、いっ……!」
藍音の反応が大きくなるたび早まっていく律動。強すぎる快感はあっという間に絶頂へと押し上げて、がくがく震える藍音をナツはやっぱり楽しそうに見下ろしている。
だけど彼の息も上がっていて、張り付く長い前髪も、顎から伝い落ちる汗も、妙に心をくすぐった。
(今日限りなんだからちゃんと覚えとかなきゃ。もう会えないのかなぁ……)
我ながら馬鹿だと思いつつ、ぼうっと見惚れてしまった。整わない呼吸で上下する胸は、あらゆる意味で動悸が早い。
惚ける藍音の頬にかかる髪を掬ったナツは妖艶に笑い、蕩けたままの瞳を覗き込んできた。
「きもちいかった?」
「ん……」
「そっか、んじゃ続きな」
問いに頷いた藍音を眺め、ニィッと垂れ目を緩めたナツは再び引いた腰を押し込んだ。最奥に感じる熱に背中がそり返る。
痺れるような感覚が残る体は、深い挿入だけでまた強い快感に飲み込まれそうになる。
「やんっ! え、あ、うそうそうそっ! やだあっ」
「嘘じゃないって。落ち着こうな、アイネ。俺まだイってないし」
軽く擦られるだけで幾度も絶頂が押し寄せる。自分の体なのに制御なんか出来なかった。
経験したことのない快感が怖い。泣き喘ぐ藍音を揺さぶり続けるナツの視線は熱く、求められているような錯覚が切なく胸を締め付ける。
「あっ、やだあ……っ、も、きもちいのやだあぁ……っ」
「なんで? 気持ちいいならいいじゃん」
溺れるほどの快楽から逃れたいのは本心だった。だけどもっと抱きしめて欲しいし、朝まで一緒にいて欲しい。
だってこれは一夜限りの恋。一分一秒でも長く触れられたいなんて思ってしまうから。藍音の心に応える体はもっと、とナツを求めて締め付け離さない。
「逃げたいのに逃げられなくて悔しい? でも悪魔に抱かれたいって望んだのはお前だろ。その顔、可愛いな。アイネ」
「やあっ、あ、あ、あっ、だめ、いっ……!」
激しく突き上げられ、喘ぐ声がより一層甘く高くなる。熱っぽい吐息と伝う汗。
中からの快感はもちろんだけど、五感で感じるナツの存在がたまらなく全身を震わせる。
押し寄せる甘い波はあっという間に藍音をさらっていく。
泣いても何度許しを乞うてもなかなか解放してもらえず、気が付けばもうすっかり夜は明けていた。
淫魔こわい……などと恐怖にも似た感情を抱いたまでは覚えているけど、いつの間に眠ったのかわからないし、隣にまだナツがいることが何となく不思議だった。
「朝にはいないかと思ったのに……」
「日光で溶けると思った?」
「そういうんじゃないけど……。さっさと置いて帰っちゃうのかと……」
「いつもはそうだけど、思ってたより可愛いかったからなんとなく。天使なんて貴重だし」
「じゃあまた会ってくれる?」
「あー……。やだとか言ってたのにハマった?」
揶揄うような口調に昨夜の快感を思い出し、藍音は羞恥と気まずさで頬を染める。
抗えない快楽は正直怖かった。あんなに泣かされたのは初めてだ。
だけどまた会いたい。だってすっかり心は捕まってしまったから。心地良い声で名前を呼ばれて、可愛いなんて言われて、あんなに激しく抱かれてしまったら単純な藍音には割り切ることなど出来ない。
つくづくワンナイトなんか向いていない性格だと思い知ってしまった。
「会いたいの……」
ぽつりと溢れた本音。だけどナツの視線は逸らされる。
藍音の反応が大きくなるたび早まっていく律動。強すぎる快感はあっという間に絶頂へと押し上げて、がくがく震える藍音をナツはやっぱり楽しそうに見下ろしている。
だけど彼の息も上がっていて、張り付く長い前髪も、顎から伝い落ちる汗も、妙に心をくすぐった。
(今日限りなんだからちゃんと覚えとかなきゃ。もう会えないのかなぁ……)
我ながら馬鹿だと思いつつ、ぼうっと見惚れてしまった。整わない呼吸で上下する胸は、あらゆる意味で動悸が早い。
惚ける藍音の頬にかかる髪を掬ったナツは妖艶に笑い、蕩けたままの瞳を覗き込んできた。
「きもちいかった?」
「ん……」
「そっか、んじゃ続きな」
問いに頷いた藍音を眺め、ニィッと垂れ目を緩めたナツは再び引いた腰を押し込んだ。最奥に感じる熱に背中がそり返る。
痺れるような感覚が残る体は、深い挿入だけでまた強い快感に飲み込まれそうになる。
「やんっ! え、あ、うそうそうそっ! やだあっ」
「嘘じゃないって。落ち着こうな、アイネ。俺まだイってないし」
軽く擦られるだけで幾度も絶頂が押し寄せる。自分の体なのに制御なんか出来なかった。
経験したことのない快感が怖い。泣き喘ぐ藍音を揺さぶり続けるナツの視線は熱く、求められているような錯覚が切なく胸を締め付ける。
「あっ、やだあ……っ、も、きもちいのやだあぁ……っ」
「なんで? 気持ちいいならいいじゃん」
溺れるほどの快楽から逃れたいのは本心だった。だけどもっと抱きしめて欲しいし、朝まで一緒にいて欲しい。
だってこれは一夜限りの恋。一分一秒でも長く触れられたいなんて思ってしまうから。藍音の心に応える体はもっと、とナツを求めて締め付け離さない。
「逃げたいのに逃げられなくて悔しい? でも悪魔に抱かれたいって望んだのはお前だろ。その顔、可愛いな。アイネ」
「やあっ、あ、あ、あっ、だめ、いっ……!」
激しく突き上げられ、喘ぐ声がより一層甘く高くなる。熱っぽい吐息と伝う汗。
中からの快感はもちろんだけど、五感で感じるナツの存在がたまらなく全身を震わせる。
押し寄せる甘い波はあっという間に藍音をさらっていく。
泣いても何度許しを乞うてもなかなか解放してもらえず、気が付けばもうすっかり夜は明けていた。
淫魔こわい……などと恐怖にも似た感情を抱いたまでは覚えているけど、いつの間に眠ったのかわからないし、隣にまだナツがいることが何となく不思議だった。
「朝にはいないかと思ったのに……」
「日光で溶けると思った?」
「そういうんじゃないけど……。さっさと置いて帰っちゃうのかと……」
「いつもはそうだけど、思ってたより可愛いかったからなんとなく。天使なんて貴重だし」
「じゃあまた会ってくれる?」
「あー……。やだとか言ってたのにハマった?」
揶揄うような口調に昨夜の快感を思い出し、藍音は羞恥と気まずさで頬を染める。
抗えない快楽は正直怖かった。あんなに泣かされたのは初めてだ。
だけどまた会いたい。だってすっかり心は捕まってしまったから。心地良い声で名前を呼ばれて、可愛いなんて言われて、あんなに激しく抱かれてしまったら単純な藍音には割り切ることなど出来ない。
つくづくワンナイトなんか向いていない性格だと思い知ってしまった。
「会いたいの……」
ぽつりと溢れた本音。だけどナツの視線は逸らされる。
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