負けず嫌いはあだになる？！

閨の練習相手４

（はぁ……食べすぎた……）

　満腹感までリアル。そういえばシチューの温度が徐々に冷めていく様子も、カトラリーの重さもまるで本物のようだった。

（どういう技術なんだろう……）

　まったく見当もつかないが、プレイ後のアンケートはあるだろう。リアリティは二重丸。レオンの性格はバツ二つ。

（レオン……顔だけはいいのに……）

　ため息をつきながら、指定された引き出しを開ける。

（マジでこれを着ろって……？）

　膝上十センチのロングキャミソール。いくつか取り出してみるが、色やレースの違いはあっても形はほとんど同じだった。

（これって……裸の上にそのまま着るの?）

　体型は、自分の意志で変えられるはず。だからそこまで気にはならない。しかしこれまで彼氏ができたことも、できる予定だったこともない。いったいどうやって着るのかがわからない。
　下の段を開けてみる。そこには上下セットになった下着が何組も片づけられていた。

（色を合わせて下に着ればいいのか……）

　よく分からないけれど、ロングキャミソールだけを着て、やる気満々と誤解されるよりはいいだろう。
　タオルを探し出し、浴室に入る。

（私の体型は……）

　服を脱ぐ前に、目を閉じて理想を取り入れた自分の体型を想像してみる。胸は大きすぎなくていい。それより色や形を大事にしたい。お腹も痩せぎすというよりは、割れない程度の腹筋があった方がいい。
　よしと決めて目を開ける。服を脱ぐと、しかしそこにあったのは見慣れた自分の体型だった。

（うそでしょ……）

　しかもたっぷり食べたので、胃の辺りがポコッと出ている。

（えっ……最悪なんだけど）

　意識の根底についてしまっているのだろうか。人に見せることがないとは言え、老後のためにムダ毛をすべて脱毛しておいたことだけが幸いか。

　アリスは手早く体を清めると、食べ物が少しでも腸に流れるよう、右を下にして横になった。