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「……諒くん、愛してる。本当に愛してる」
「篠崎……」
抱っこの要領で湯船に浸かる。そう言えば篠崎もいつの間にか裸になっていた。トイレにいる間にシャワーを浴びたのかもしれない。何も気付かなかった。自分がそれほど緊張していたことに今更ながら気付く。
「大事にする。痛いことも怖いこともしない」
「はい……」
そんなこと、わざわざ口にしなくてももう十分伝わってきている。でも言葉にしてくれるところが好き。言葉にしなくても態度で分かるだろう、と考えないところが好き。
「……ダメだ、限界かもしれない。先に少しだけ触れたい」
嬉しい。今日は嬉しいことがいっぱいだ。篠崎が抱きたいと言ってくれて、触れたいと言ってくれる。
「嬉しいです。僕も触れたい」
「先に一度イこうか」
「はい……一緒がいい」
お湯の中でくるりと身体を反転させて向かい合う。お互い体温が上がって、顔がうっすらと上気している。
篠崎の手が後頭部に添えられた。優しく引き寄せられる。身を任せると唇同士が触れた。
「ん……」
気持ちいい。触れるだけのキスも十分気持ちいい。けれどやはり、気持ちいいことを教えてもらったばかりの身体は更なる快感を求めてしまう。
「ンン……」
唇を動かすと、篠崎の唇が開いた。そして食まれる。嬉しい。求めているものを分かってくれて、そして与えてもらえる。
「んっ……」
篠崎の舌が下唇を撫でる。あぁ、入れてもらえる。舌で咥内を撫でてもらえる。嬉しい。気持ちいい――
「っは……」
「大丈夫か」
「熱い……」
「出よう」
ざば、と水しぶきを立てて、安西を抱いたまま篠崎が立ち上がった。浮力があるなら分かるけれど、こうして空気中でも簡単に抱き上げられてしまう。嬉しくて恥ずかしくて、素直になれない。
「僕も男なのに」
「ん? 俺のことを抱き上げたいのか」
「……それはちょっと……」
どう考えても無理だ。
篠崎はくつくつと笑った。
「篠崎……」
抱っこの要領で湯船に浸かる。そう言えば篠崎もいつの間にか裸になっていた。トイレにいる間にシャワーを浴びたのかもしれない。何も気付かなかった。自分がそれほど緊張していたことに今更ながら気付く。
「大事にする。痛いことも怖いこともしない」
「はい……」
そんなこと、わざわざ口にしなくてももう十分伝わってきている。でも言葉にしてくれるところが好き。言葉にしなくても態度で分かるだろう、と考えないところが好き。
「……ダメだ、限界かもしれない。先に少しだけ触れたい」
嬉しい。今日は嬉しいことがいっぱいだ。篠崎が抱きたいと言ってくれて、触れたいと言ってくれる。
「嬉しいです。僕も触れたい」
「先に一度イこうか」
「はい……一緒がいい」
お湯の中でくるりと身体を反転させて向かい合う。お互い体温が上がって、顔がうっすらと上気している。
篠崎の手が後頭部に添えられた。優しく引き寄せられる。身を任せると唇同士が触れた。
「ん……」
気持ちいい。触れるだけのキスも十分気持ちいい。けれどやはり、気持ちいいことを教えてもらったばかりの身体は更なる快感を求めてしまう。
「ンン……」
唇を動かすと、篠崎の唇が開いた。そして食まれる。嬉しい。求めているものを分かってくれて、そして与えてもらえる。
「んっ……」
篠崎の舌が下唇を撫でる。あぁ、入れてもらえる。舌で咥内を撫でてもらえる。嬉しい。気持ちいい――
「っは……」
「大丈夫か」
「熱い……」
「出よう」
ざば、と水しぶきを立てて、安西を抱いたまま篠崎が立ち上がった。浮力があるなら分かるけれど、こうして空気中でも簡単に抱き上げられてしまう。嬉しくて恥ずかしくて、素直になれない。
「僕も男なのに」
「ん? 俺のことを抱き上げたいのか」
「……それはちょっと……」
どう考えても無理だ。
篠崎はくつくつと笑った。
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