48 / 75
3-26
しおりを挟む明るい。眩しい。そっと目を開ける。目の間には逞しい胸があった。裸だ。
「っ!」
昨夜のことを思い出し一気に覚醒した。恥ずかしい――昨夜は結局三回も射精したのだ。二回目は安西からもっととねだった。それが終わって、口移しで水を飲ませてもらったときにそのままキスで気持ち良くされてしまって、もう出ないと言ったのに篠崎が強引に――とても良かった。とてもかっこよかった。強引な篠崎はとにかく男らしくて、雄臭くて。
もし昨夜の強引な篠崎がベッドでの本性なのだとしたら、篠崎は一体今までどれほど我慢をしてくれていたのだろう。
ドキドキする。そう言えば出会ったときだって子供扱いして安西をからかっていた。きっといじめるのが好きな人なのだ。安西とは、逆の――
「諒」
「っ」
「たぬき寝入りかな」
起きていたのか。
「おはよう、諒」
「……おは……す」
「聞こえないな。顔を見て言ってくれるか」
(やっぱり意地悪だ!)
もしかしたら昨日ので本音で接していいと思ってくれたのかもしれない。それならーー嬉しい。
「……意地悪……」
「嫌だったか」
「……篠崎ってエスパーなんですか」
「え?」
篠崎が笑っている。身体が揺れている。
「だって、僕が虐められるのが好きって、なんで知ってるんですか」
「そうなのか」
わざとらしい棒読みだった。
「いじわる……」
「可愛くてついな」
「可愛くないです」
「可愛いよ。俺を喜ばせようと恥ずかしいことを言ってくれる健気なところも、恥ずかしいところまで全て見せてくれようとする献身さも」
「っ!!」
なんでそこまで知っているのだろう。篠崎に喜んでほしい、気持ち良くなってほしいと思ったことまで気付かれているなんて。
「身体はどうだ」
「……おちんちん、ひりひりします」
「見せてごらん」
「やっ!」
カーテンが閉められているとは言え、隙間からは朝日が差し込んでいる。健全な光の中で恥ずかしいところを見せるなんて。
「諒?昨日はいいこで見せられただろう」
「……だって」
昨日は快感と興奮で頭がぼーっとしていたのだ。脳は正常な働きをしていなかった。だから、なのに。だから今は寝起きとは言え覚醒しているから無理なのに――そのはずなのに。
「……篠崎が見て……」
「自分からは見せられない?」
「恥ずかしい……」
自分で見て、そう言うのだって爆発しそうなほどの羞恥心を押し殺して言葉にしているのだ。自分で曝け出すなんて――。
1
お気に入りに追加
243
あなたにおすすめの小説


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開


ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる