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しおりを挟む翌朝――
「ん……」
身体が重い。首に何かが――息苦しい。
「しのざき……?」
違和感は篠崎だった。篠崎が首筋にキスをしていたのだ。だから息苦しかったのか。
「おはよう」
「おはようございます……」
篠崎は睡眠時間が短い。安西が寝た後も仕事をしていたはずなのに、もう起きている。でもどうやらまだパジャマのままのようだ。よかった、大きく寝過ごしたわけではないらしい。
「篠崎……どうしたんですか」
普段なら仕事で疲れているだろうと起きるまでは寝かせておいてくれるのに。何か予定があっただろうか。
「諒くん、朝立ちしてるよ」
「え?」
目は一瞬で覚めた。そして篠崎が起こしてきた理由も分かった。
昨夜子供のようにぐずって勃起と騒いでいたから、起こしてくれたのだろう。
「ほら」
「あっ」
篠崎の手がそこを撫でた。本当だ。勃起している。
「分かるか?」
「はい……すごい……」
「うん、すごいな。ちゃんと勃立ちできてる」
言ってしまえば、ただの朝立ちだ。性的興奮によるものではなく、生理的なもの。つまり安西の意思とは全く関係のない勃起だ。けれど篠崎は優しい瞳で見つめてくれる。そして微笑んでくれる。安西があんなに望んだ勃起ができたことを、篠崎も喜んでくれている。
「勃起できたご褒美によしよししような」
「あっん、待っ……」
寝起きで頭がついていかない。だって昨夜あんなに望んでもできなかった勃起を、まさか寝起きでしているなんて思っていなかったのだ。でも篠崎の手はずっとそこを包むように置かれている。その感触も含め、勃起をリアルに感じられた。
「夜、あんなにしたがってた勃起だよ。見てみようか」
「やっ」
確かに望んでいた。けれど実際見るとなると少し怖い。まるで関節が突然反対に曲がったような、そんなレベルの身体の動きなのだ。安西にしてみれば。
「大丈夫。怖くない、な?」
篠崎がそっと勃起を撫でた。それだけでそこは疼いてしまう。だってまだしっかりとあの快感を覚えている。
「はい……あの、篠崎も一緒に」
見てください、と最後までは言えなかった。
「うん、一緒に見よう」
まるで精通を喜ぶ親のようだ――今時そんな家庭もないだろうけれど。でもそんなことを思ってしまうくらい篠崎は喜んでくれていたのだ。まるで自分のことのように。
篠崎の手がズボンのウエスト部分からそっと差し入れられる。でも顔はちゃんと安西の顔の近くにある。安西の顔の横に肘をつき、身体を支えている。普段からそうだ。何か新しいことや安西が慣れないことをするときは怖くないように近くにいてくれる。そして表情を確認しながらゆっくりと進めてくれる。
「ぁっ……」
篠崎の手が下着のゴムを越えた。下腹部に篠崎の指先が触れる。このままいけば、いつか勃起に辿り着いてしまう。
「ぁ……しの、しのざき」
「うん、大丈夫……可愛いよ」
普通の人より小さいせいで、ゆっくり進む手はなかなか勃起に辿り着かない。怖い。恥ずかしい。つい身構えてしまう。だって勃起の経験がなさ過ぎて、勃起したときの亀頭がどの辺りにあるのか分からないのだ。先日だって、羞恥と恐怖と混乱で自分の勃起を目にしたかどうかすら覚えていない。
「ぁ……あ……」
「大丈夫……怖くないよ」
篠崎の身体を支えている手が安西の頭を撫でる。優しい手つき。篠崎に興奮の気配は感じられない。
「しのざき……」
昨日は熱望した勃起でも、いざすると恐怖に竦む。でも怖いと思ったら萎えてしまう。必死に篠崎のパジャマを掴んだ。
「大丈夫……触れるよ」
篠崎はそこを全く見ていないのに、どこまで進んだら勃起に触れるか分かっているようだった。これもやはり経験値の差なのだろう。
「ほら、勃起できてる」
「ぁ……」
亀頭に触れた指先。いや、正確には亀頭ではない。亀頭を覆う、皮。
「いいこだ……ちゃんと勃起できているよ。少し久しぶりだから怖いかな」
「ぁ……あ……」
少しずつ触れる部分が広がっていく。篠崎の指はカリの辺りを撫でている。
「見てみようか」
「……怖い」
「大丈夫、一緒だよ」
何も言わずにいると、篠崎の手が下着から抜かれた。触れるものがなくなった勃起が寂しいと感じる。
「諒」
「……見て……」
返事はなかった。ただ優しくキスをされた。今度は唇だった。
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