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しおりを挟む服を洗濯かごに放り投げ、下着だけを持って浴室に入る。お湯になるのも待たずに水のままシャワーを頭から被った。
――大きかった。大人の立派な性器。安西だって大人だけれど、排泄とお風呂以外では一切触れられることのなかったそれとは全く別物だった。驚いた。あんなに違うのかと。
篠崎の性器を思い出す。じわじわと恐怖心が芽生えた。だって、本当に安西のものとは違うのだ。安西のものだって剥けば亀頭は顔を出す。けれど篠崎のは最初から顔を出していた。色だって、長さ、太さだって全然違う。そこに感じた経験の差。安西のもののような未熟さなんて欠片もないそれ。どれほどの経験があるのかは分からないけれど――そうだ、篠崎とするとなったら当然安西が受け身だろう。あの大きなものを自分が受け入れるなんてできるのだろうか。血の気が引く。無理だ、絶対に。怖い。
あんな立派なものを持つ篠崎に、覆い被さられて、腰を振られるなんて――。ダメだやっぱり怖い。篠崎が無理強いすることはないだろうとは思う。でも、もし――だって一緒に寝てほしいと頼んだ同級生だってそんな素振りは全くなかったのだ。むしろ普通に友人として仲がいいと思っていた。だから頼んだのだ。中学生にもなって一人で眠れないから一緒に寝てほしいなんて、信頼していない相手には決して言えない。それでも言える相手だった。なのに――。
あぁでも――それでも篠崎は……篠崎の手は心地よかった。股間を撫でられるという行為自体は同じだったのに全然違った。篠崎の腕の中なら安心できた。篠崎は――……
「諒?」
ノックの音。びくりと跳ねた身体を抱き締めるように腕を抱える。一呼吸してから出しっぱなしだったシャワーを止めた。
「はい」
「開けてもいいか」
「えっ、えと、……はい」
大丈夫、風呂だ。一緒に入ったことだってある風呂だ。あんなことの後で少し恥ずかしいけれど、冷水を浴びたことで安西も少しは落ち着いている。
カチャと小さな音を立てて控えめにドアが開けられる。
顔を出した篠崎は服を着ていた。一緒に浴びるのかと思ったのにそうではないらしい。そのことに胸を撫で下ろす。
「下着は?」
「え?」
「下着だよ。汚したら俺が洗うと言っておいただろう」
「あ……」
床に視線をやる。時間が経ってしまったので洗面器でお湯に浸しておいたのだ。
「あぁ、もう洗ってしまったか?」
「い、いえ、まだ……」
「じゃあ俺が洗おう」
「や、自分で……」
「諒くんのお世話をしたいな」
なんで篠崎は安西の喜ぶ言葉を知っているのだろう。そうやって甘やかす。だから安西も甘えてしまうのだ。だって篠崎に甘えるととても気持ちよくなれると知ってしまったから。心もーー身体も。
「……お願いします……」
洗面器ごと渡すと満足気に微笑まれた。
「洗っておくから、温まって出ておいで。着替えは置いておいたよ」
篠崎はそう言ってドアを閉めた。
シャワーに向き直り、気付く。
(篠崎、一度もおちんちん見なかった……)
視線が外れたのは洗面器を見たときだけだ。きっとそのときに視界には入っているのだろうけれど、篠崎は故意に見ることは一度もなかった。
「……優しい……」
やはり抱かれたい、と思った。
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