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しおりを挟む腰骨に篠崎の手が触れた。それから太ももへ下がり、ゆっくりと上がってくる。
「アッ……」
「諒……」
「大丈夫……」
起ち上がったそこを、篠崎がゆっくりと撫でた。下から上へ。上から下へ。
触れるか触れないかの優しさで、しかも布越しなのに。ぞくりとするほどの快感だった。
「あ、しのざきっ、」
「怖い?」
「あっ、」
確かに怖かった。でも触れられる怖さじゃなくて、自分の知らない快感への恐怖。
「しのざきっ、しのっ、」
「うん、大丈夫、俺だよ、大丈夫……怖くないよ」
篠崎の手が止まる。裏筋を手のひらでそっと包まれた。
「んっ、ぁっ」
手は動いていないのに、ビクビクとまるで射精直前のようにおちんちんが揺れる。
「怖いかな?」
「気持ちっ……」
「良かった……もっと可愛い声を聞かせてくれ」
「やっ、やあっ」
恥ずかしい。可愛い声、なんて。AVなんて観たことないけれど、女の人としながらでも男の人はこんな声を出してしまうのだろうか。
「おちんちん、ちゃんといいこいいこしような」
「あっ、」
布越しに触れられる裏筋を包むようにして手を置かれているだけ、それだけでこんなに気持ちがいいのにいいこいいこなんてされたら――。
「いいこ……おちんちん、ちゃんと勃起できてる……」
なんでこんなに気持ちいいのだろう。あんなに嫌だったのに。
「諒、諒……可愛いよ、可愛い……」
「ゃぁ…」
「おちんちんも可愛い。久しぶりなのに一生懸命勃起して……」
「ぁ、ゃ、だめ…」
「ん?」
「ィっちゃ……」
もうギリギリだった。おちんちんを褒められて、撫でられるだけで。けどそれだけじゃない。篠崎の声、言葉――全てが興奮材料だった。
「うん、いいよ。久しぶりに解放してあげてみようか」
「ゃ、こわ」
射精の瞬間が怖い。あの頭が真っ白になる感覚が怖い。
「……うん、じゃあ俺に掴まって」
「ぁ、ぁ…」
怖い、けれどイきたい。相反する気持ちで揺れる。どうしたらいいか分からなくて、けれど篠崎の言うことを聞いていれば大丈夫だと思えて首に腕を回す。
「いいこ……」
服越しに裏スジを撫でられる。それだけで腰は揺れ、解放を求める。
「おちんちん、見せてくれるかな」
「ぇ……?」
見られたことはある。落ち込んでいるときに一緒にお風呂に入ってもらったことがあったから。けれどそのときはこんな状態じゃなかった。だって今ははしたなく勃起してしまっているのだ。それに下着は夢精で汚れてしまったまま。
「勃起できたところを見てみたいな」
恥ずかしいのに、篠崎の言うことを聞きたかった。そうしたらきっと――
「ぁ……ほめて……くれる……?」
「ああ、たくさん撫でよう」
褒めてほしかった。もっと、もっといいこと褒められ撫でられたい。
「自分で脱げるかな」
「ゃ、して…」
さすがに自ら脱いで曝すなんてできそうにない。
「いいのか?怖くないか」
「へいき……けど、はずかし……」
だって、篠崎の大きさと全然違う。篠崎がおちんちんと形容するのも納得な、小さな未熟なおちんちんなのだ。でもそんなことに悩んだことなんて一度もなかった。どうせ使わないから。そう思ってきた。
「わかった」
だから、皮だって――
「あっ、待っ……」
「ん?」
よかった。篠崎が強引な人じゃなくて。強引な人だったらきっと一息に脱がされていただろう。篠崎は勃起に引っかからないよう、ウエストの前の部分を持ち上げてくれていた。
「どうした」
「あ、その……」
「うん?」
篠崎がズボンから手を離す。そしてハグ。
「大丈夫、言ってごらん。怖くないし、恥ずかしくないよ」
「あ……の……おちんちん……」
「うん」
「皮、が……」
「あぁ」
「えと……」
「子供の頃のままなんだろう?大丈夫、見せてごらん」
アメリカでは衛生面からすぐに手術してしまうと聞いたことがある。篠崎に汚いと思われてしまう、それが嫌なのに篠崎は気にした様子がない。もしかしたら何となく分かっていたのかもしれない。
「怖かったらちゃんと言うんだよ」
また言い聞かせるように言って、ズボンと下着を下ろした。空気に触れる。
「ぁ……」
「可愛い……それに綺麗だ」
「え……」
「ピンク色だ」
「あ……や、」
恥ずかしい。
皮が被っていて、小さくて、ピンク色。本当に子供のおちんちんだ。
「可愛い……こんなに可愛いのに健気に勃起して震えてる」
「ゃ……」
「いいこ。ちゃんと勃起できてる」
篠崎がそっと触れた。直接、おちんちんに。人に直接触れられるなんて初めてだ。ぴく、と動いてしまった。
「可愛い。大丈夫だよ、怖くない」
篠崎はおちんちんを見つめたまま言う。おちんちんに話しかけているのだ。そう思うと恥ずかしいのに、嬉しかった。ちゃんとおちんちんを大事にしてくれている。
「ぁ、ぁぁ……だめ……」
「ん?」
篠崎が裏筋をそっと撫でる。
「出ちゃ……」
握られてすらないのに。扱かれてすらない。それなのに、もうイってしまいそうだった。
「うん、怖くないよ、大丈夫、一緒にいるから出してごらん」
「や……しのざきの手、よごしちゃ……」
イっていいと言いながら篠崎は手をどかそうとしなかった。それどこか包むように握ってしまう。
「諒くんの精液は汚いものじゃないよ」
「ぁ…」
優しく握った手が上下する。くちゅ、と濡れた音がした。
「あ、あ!!や、こわっ、」
「大丈夫……ほら、ぎゅうしよう」
篠崎が安西を見た。目が合う。優しい目。色欲に操られていない、いつもの目。そのことに安心した。大丈夫、篠崎はちゃんと自分を見てくれている。
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