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「……もうこんな時間か。寝れそうかな?」
「……寝れそうにないから、仕事してきてください」
 だって嬉しくて。もう勃起は落ち着いて性的興奮はないけれど、とにかく気分が高揚しているのだ。本当はこのままいちゃいちゃして過ごしたいけれど篠崎は仕事が残っている。安西が寝た後にも仕事をしているのを知っているから。
「だめだ。一緒にいたい」
「けど、」
「寝れそうにないならもっとキスをしようか」
「え?」
「だめかな」
「してほしい……けどまた起っちゃうかも……」
 篠崎のように抜いたわけではない。もしかしたらさっきの勃起は誤作動だったのかもしれないけれど、もうまた勃起してしまったらどうしたらいいか分からなくなってしまう。
「起ったら辛い?」
「……わかりません……」
「そうか」
 篠崎は変わらず頭を撫でてくれている。もしかしたらもう癖みたいなものなのかもしれない。
「……けどキスはしてほしい……」
「キス好き?」
「好き……唇、はむってするの……」
 さっきの篠崎の唇の動き。どう形容したらいいか分からなくて子供のような言葉になってしまった。
「あぁ、これかな」
 そう言って唇を塞がれた。さっきまではゆっくり、心の準備をさせるように近付いていたのに今度はすごくスムーズだった。これが本当の篠崎のキス――?
 むに、と触れた唇が擦れた。そして離れていく。
「ぁ、きもちぃ……」
「可愛い……」
 篠崎の指がもっとと求める安西の唇をなぞる。
「ぁ……きもち、もっと……」
 指でされても気持ち良かった。きっと唇の表面を擦られるのが好きなのだ、と自分でも分かる。
「うん、沢山しよう……」
 あぁまただ。また、篠崎の声に艶が……
「ん……」
 唇同士が何度も触れては離れ、触れては離れと繰り返される。気持ち良くて、また頭がぽーっとなってしまう。
「諒……可愛い……」
「ぁ……」
 篠崎の声がいやらしい。腰に響く、と思ったらまた勃起してしまった。さっきのは誤作動じゃなかったのか。
「しの……」
「ん?」
「また……」
「起った?」
「……はい……」
「大丈夫、怖くないよ」
 そう言って安心させるように頬を撫でてくれる。その心地よさに目を閉じて訊いた。
「ん……ぼくえっちできるようになりますか」
「できなくてもいいよ」
「や、した……」
 自分の言葉に愕然とした。
(したいって……言おうとした?)
 前は篠崎に捨てられたくないからできるようになりたいと思っていただけだったはずなのに、今は自分がしたいって――
「諒?」
「なんでもないです、仕事してきてください」
 甘えていたのに突然突き放すように言えば一人でするのかと思われるかもしれない。射精したくて余裕がないのか、と。けれどどう思われてもよかった。だって戸惑いが大きくて。キスから始まって、突然の勃起。いつの間にか自ら篠崎とのセックスを望んでいた。
「……分かった。じゃあひと段落したら来るよ。もし眠くなったら遠慮しないで呼びにおいで」
 はい、と小さく返した。
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