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しおりを挟む少なくとも勃起が収まるまでは膝を抱えていようと思った。もうバレてしまっているし、むしろ心配をかけてしまっているのだけれど自分でも扱いに困っているから、自分でも見えないようにしてしまいたい。篠崎も襲ってくるなんてことはしないから安心だった。よかった、篠崎で。優しい人で。
「諒くん」
「はい?」
篠崎の様子はいつもと変わらない。豹変することもない。
「嫌だったらいいんだが、もう一度キスをしてもいいだろうか」
「はい」
キスは気持ちいい。好きって伝わってくる気がして、気持ちがぽかぽかする。
篠崎の手が頬を包む。それが耳にスライドしていく。これが篠崎のキスの仕方なのかな、と思っていると顔が近くへ来た。あぁ、触れる――目を閉じたら、唇が触れた。何も見えないせいで他が敏感になる。頬からすぐ近くの篠崎の体温を感じる。キスの時間が長い。さっきは一瞬触れるだけだったのに、今はじっと触れ合わせたまま。嬉しい。気持ちいい。ずっとこうしていたい。
ふと、唇が動いた。微かにだけれど、食むように動いた気がする。けれどそれからどうということもない。触れ合う部位を直したのだろうか。なんだろう、と思っていると唇が離れた。瞼を上げる。篠崎の穏やかな顔。寂しいな、と思った。名残惜しい。
「もっと……」
ねだってしまったのは無意識だった。けれど純粋な本心。もっとキスして欲しい。
「うん……」
篠崎の声が色っぽい。あぁ、篠崎はこんなセックスをするのかな、と思った。こんな風に優しく触れて、身体中を愛するのかな――。
唇に触れた、篠崎のそれ。先ほどと同じように、少しだけ食むように動いた。やっぱり気のせいじゃない。気持ちいい。もっとしてほしい。もっと唇を擦ってほしい。
「ぁ……きもち……」
つい、離れていった唇を視線で追ってしまう。
「とろんてしてる……」
「ぁ……見ないで……」
恥ずかしくて顔を伏せる。けれど、甘い空気に絆されたのか頬に手を寄せられるだけで素直に顔を上げてしまう。
「いいこ……可愛い顔をよく見せて」
「やだぁ……」
勃起がぴく、と動いてしまう。恥ずかしい。興奮していると認めざるを得なかった。
「……ベッドに行こうか」
「え……」
「大丈夫、いつもみたいに横になるだけだよ」
「ほんと?」
「本当」
ベッド、その単語が少し怖い。けれど篠崎なら信じられる。篠崎は無理矢理したりしない。
頷くと手を引かれた。勃起が恥ずかしくて少しだけ前屈みになってしまう。篠崎が前を歩いてくれて良かった。
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