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第十章 冒険編 反撃の狼煙
初代勇者の実態
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「一度、君とは腰を据えてじっくり話したいと思っていたんだ」
「は、はぁ……」
初代勇者と二代目勇者、二人は互いに腰を下ろして話をしていた。何故、こんな事になったのか、いまいち分からず真緒は混乱していた。
エジタスの魔法によって、仲間達と離れ離れになってしまった真緒。転移した先で待っていたのは、今や後世に伝説として語り継がれる存在。真緒と同じ異世界からの転移者、初代勇者“サイトウコウスケ”だった。
二千年前、初代勇者は初代魔王と供にエジタスの手によって、命を落とした。つまり二人にとってエジタスは、自身を死に追いやった仇の様な存在……の、筈なのだが、初代魔王と同じ様に初代勇者であるサイトウコウスケは、恨みを晴らす所か、供に手を取り合い仲良くしている。八英雄に数えられているのが、良い証拠だ。
以上の観点から、初代勇者は敵側である事が伺える。勿論、真緒もその事は理解していた為、コウスケを目にした時は空かさず武器を構えた。だが、どうやらコウスケに戦う意志は無く、話がしたいと言い出した。
その場に腰を下ろし、真緒にも「立って話すも何だし、座ったらどうだい?」と、声を掛けて来た。これはさすがの真緒も反応に困ったが、これまで戦って来た者達の様な敵意や殺意は感じられなかった為、真緒は大人しく武器を仕舞い、腰を下ろした。そして現在の状況となったのだ。
「エジタスさんから君の事は、よく聞かされたよ。でもその様子じゃ、どうやら決別したみたいだね」
「…………あの人は、人の道から大きく外れてしまった。命を弄ぶエジタスのやり方に、もう耐えられないんです。私が愛し……尊敬していた人は、もういないんです」
「…………」
「いえ、最初からそんなのいなかったんです。一年前の戦いでその本性は分かっていた筈なのに、私はずっと過去を引き摺っていた。上手く行けば、また皆と一緒に楽しく過ごせる……そんな甘い考えを持っていたんです」
真緒の行動をいつも邪魔するのは、エジタスに対する恋心。もっと早くに目が覚めていれば、もしかしたらこの様な事態になるのを防げていたかもしれない。そう考えると、悔やんでも悔やみきれない。
真緒が分かりやすく落ち込んでいると、コウスケが口を開く。
「聞いてた以上に優しいね。けど、愚かだとも言える」
「え?」
優しい言葉と一緒に辛辣な言葉が聞こえ、真緒は思わず聞き返してしまった。
「そう言えば、さっき構えていた剣。あれ、僕のだよね?」
「えっ、あっ、そ、そうです……」
「何処で手に入れたの?」
「えっと……カルド王国の武器屋で……」
「そっか……僕が亡くなった魔王城から、そんな遠くまで流れ着いたのか。扱いづらかっただろう? 呪いとか掛けてあったから……」
「……あの実はその事で、ずっと聞きたかったんですが……」
「何だい?」
「どうして自分の剣に呪いなんか掛けたんですか?」
それは一年前、真緒が初めて純白の剣を手にした時から気になっていた事だった。何故、初代勇者は自身の剣に呪いを掛けたのか。既に故人であったあの時は、二度と解けない謎だと思っていたが、今目の前に呪いを掛けた本人がいる。このチャンスを逃す訳にはいかない。
「どうして呪いを掛けたか?」
「教えて下さい」
「君は戦いを楽しいと感じるかい?」
「え?」
「僕は感じていた。命の削り合いをしていると、生きているって実感する事が出来たんだ。相手の攻撃を受けて、自分の皮膚から血が流れると、全身がゾクゾクしたんだ。けど……」
話の途中だったが、真緒は何一つ理解出来なかった。しかしそんな中で唯一分かったのは、今の話は全て過去形である事だ。コウスケの話はまだ続く。
「いつしか僕の体や心は、只の戦いでは楽しいと感じなくなっていた。純白の剣を使う度、僕の体はより強く成長していた。そのせいで、生半可な攻撃じゃ傷一つ負わなくなっていたんだ……」
悲しそうに語るコウスケだが、聞いている真緒は同情も共感も出来なかった。呆然と聞き続けるしか無かった。
「旅の終着点……魔王城の一歩手前まで来る頃には、僕は作業感覚で魔族と戦っていた。平和と幸せの為だ。贅沢は言ってられない。けど、心の何処かでこう感じていたんだ。“物足りない”って……」
「まさか……それで剣に呪いを!?」
「あぁ、肉体でのダメージが期待出来ないのなら、今度は精神的なダメージに期待するしかない。自分自身を追い詰める為、僕は純白の剣に呪いを掛けたのさ……」
「そんな……そんなのどうかしてますよ!? 常軌を逸しています!!」
そのあまりに気持ち悪いコウスケの秘密に、真緒は思わず立ち上がってしまう。
「おいおい、その言い方はあんまりじゃないか。別にMという訳じゃない。僕だって痛いのは嫌だ。けど、痛いっていう事は生きているという事の証明でもある訳だから、それに快感を……いや、違うな。幸せを……これも違うな。どう言い換えてもM寄りな言葉になってしまうな……兎も角、僕は好きで痛みを負いたい訳じゃ無いんだ。只、必要な事だから負いたいんだよ」
よく回る舌だ。聞いても無い事をペラペラと喋る。アーメイデから聞いていた話とは、かなり印象が違う。
「(いや、これがこの人の本来の性格なのかもしれない)」
初代勇者の実態。自身が生きているという実感を追い求める者。その為なら、他者の都合などお構い無し。より強い痛み、より強い刺激を常に求めていた。
「平凡な毎日……刺激の無い日常……退屈だった。このまま大人になって、結婚して、子供を作って、お爺ちゃんになって、最後は身内に看取られながら死ぬのかと思っていた。けどあの日、この世界に転移した運命の日、僕の人生は百八十度変わったんだ。君にもこの気持ちが分かるだろう? 同じ転移者として?」
「……すみませんが、一ミリも理解出来ません。あなたの言う平凡な毎日や、刺激の無い日常を退屈だなんて思いません。寧ろ、羨ましい位です。出来る事なら、私もそんな生活を送りたかった……」
しかし、もう過ぎ去ってしまった過去には戻れない。今の生活を受け入れるしか無い。真緒は静かに剣を抜き、コウスケに向けた。
「初代勇者であり、八英雄の一人であるサイトウコウスケ!! エジタスの手先として、あなたをここで倒します!!」
世界を救う勇者として、同じ転移者として、真緒はコウスケを倒さなければならないと思った。
「……そっか……それが君の答えなんだね。同じ転移者同士、仲良く出来ると思ったんだけど……残念だよ」
そう言うとコウスケは、ゆっくりと剣を引き抜く。それは真緒の純白の剣と全く同じ形状をしていた。
「そ、その剣は!?」
「これかい? これも同じ純白の剣だよ」
「!!?」
「あれ? もしかして世界に一本しか無いと思った? その認識は少し間違っているね。元々、純白の剣は僕とエジタスさんの二人で作った物なんだ」
「つ、作った……!!?」
「凄いよね。あの人は正に物作りの神だよ。そんな神が教えてくれたんだ。『私はいつも物を作る時はスペアを用意しておく』ってね」
「スペア……」
純白の剣のスペア。真緒でさえ、未だに使いこなせていない節があるというのに、それを本来の持ち主であるコウスケが使えば、いったいどれだけの力となるのか、想像も付かなかった。
「それじゃあ始めようか。勇者VS勇者……どちらが強いか、ハッキリさせようじゃないか」
「っ!!!」
初代勇者サイトウコウスケとの戦いは、静かに始まるのであった。
「は、はぁ……」
初代勇者と二代目勇者、二人は互いに腰を下ろして話をしていた。何故、こんな事になったのか、いまいち分からず真緒は混乱していた。
エジタスの魔法によって、仲間達と離れ離れになってしまった真緒。転移した先で待っていたのは、今や後世に伝説として語り継がれる存在。真緒と同じ異世界からの転移者、初代勇者“サイトウコウスケ”だった。
二千年前、初代勇者は初代魔王と供にエジタスの手によって、命を落とした。つまり二人にとってエジタスは、自身を死に追いやった仇の様な存在……の、筈なのだが、初代魔王と同じ様に初代勇者であるサイトウコウスケは、恨みを晴らす所か、供に手を取り合い仲良くしている。八英雄に数えられているのが、良い証拠だ。
以上の観点から、初代勇者は敵側である事が伺える。勿論、真緒もその事は理解していた為、コウスケを目にした時は空かさず武器を構えた。だが、どうやらコウスケに戦う意志は無く、話がしたいと言い出した。
その場に腰を下ろし、真緒にも「立って話すも何だし、座ったらどうだい?」と、声を掛けて来た。これはさすがの真緒も反応に困ったが、これまで戦って来た者達の様な敵意や殺意は感じられなかった為、真緒は大人しく武器を仕舞い、腰を下ろした。そして現在の状況となったのだ。
「エジタスさんから君の事は、よく聞かされたよ。でもその様子じゃ、どうやら決別したみたいだね」
「…………あの人は、人の道から大きく外れてしまった。命を弄ぶエジタスのやり方に、もう耐えられないんです。私が愛し……尊敬していた人は、もういないんです」
「…………」
「いえ、最初からそんなのいなかったんです。一年前の戦いでその本性は分かっていた筈なのに、私はずっと過去を引き摺っていた。上手く行けば、また皆と一緒に楽しく過ごせる……そんな甘い考えを持っていたんです」
真緒の行動をいつも邪魔するのは、エジタスに対する恋心。もっと早くに目が覚めていれば、もしかしたらこの様な事態になるのを防げていたかもしれない。そう考えると、悔やんでも悔やみきれない。
真緒が分かりやすく落ち込んでいると、コウスケが口を開く。
「聞いてた以上に優しいね。けど、愚かだとも言える」
「え?」
優しい言葉と一緒に辛辣な言葉が聞こえ、真緒は思わず聞き返してしまった。
「そう言えば、さっき構えていた剣。あれ、僕のだよね?」
「えっ、あっ、そ、そうです……」
「何処で手に入れたの?」
「えっと……カルド王国の武器屋で……」
「そっか……僕が亡くなった魔王城から、そんな遠くまで流れ着いたのか。扱いづらかっただろう? 呪いとか掛けてあったから……」
「……あの実はその事で、ずっと聞きたかったんですが……」
「何だい?」
「どうして自分の剣に呪いなんか掛けたんですか?」
それは一年前、真緒が初めて純白の剣を手にした時から気になっていた事だった。何故、初代勇者は自身の剣に呪いを掛けたのか。既に故人であったあの時は、二度と解けない謎だと思っていたが、今目の前に呪いを掛けた本人がいる。このチャンスを逃す訳にはいかない。
「どうして呪いを掛けたか?」
「教えて下さい」
「君は戦いを楽しいと感じるかい?」
「え?」
「僕は感じていた。命の削り合いをしていると、生きているって実感する事が出来たんだ。相手の攻撃を受けて、自分の皮膚から血が流れると、全身がゾクゾクしたんだ。けど……」
話の途中だったが、真緒は何一つ理解出来なかった。しかしそんな中で唯一分かったのは、今の話は全て過去形である事だ。コウスケの話はまだ続く。
「いつしか僕の体や心は、只の戦いでは楽しいと感じなくなっていた。純白の剣を使う度、僕の体はより強く成長していた。そのせいで、生半可な攻撃じゃ傷一つ負わなくなっていたんだ……」
悲しそうに語るコウスケだが、聞いている真緒は同情も共感も出来なかった。呆然と聞き続けるしか無かった。
「旅の終着点……魔王城の一歩手前まで来る頃には、僕は作業感覚で魔族と戦っていた。平和と幸せの為だ。贅沢は言ってられない。けど、心の何処かでこう感じていたんだ。“物足りない”って……」
「まさか……それで剣に呪いを!?」
「あぁ、肉体でのダメージが期待出来ないのなら、今度は精神的なダメージに期待するしかない。自分自身を追い詰める為、僕は純白の剣に呪いを掛けたのさ……」
「そんな……そんなのどうかしてますよ!? 常軌を逸しています!!」
そのあまりに気持ち悪いコウスケの秘密に、真緒は思わず立ち上がってしまう。
「おいおい、その言い方はあんまりじゃないか。別にMという訳じゃない。僕だって痛いのは嫌だ。けど、痛いっていう事は生きているという事の証明でもある訳だから、それに快感を……いや、違うな。幸せを……これも違うな。どう言い換えてもM寄りな言葉になってしまうな……兎も角、僕は好きで痛みを負いたい訳じゃ無いんだ。只、必要な事だから負いたいんだよ」
よく回る舌だ。聞いても無い事をペラペラと喋る。アーメイデから聞いていた話とは、かなり印象が違う。
「(いや、これがこの人の本来の性格なのかもしれない)」
初代勇者の実態。自身が生きているという実感を追い求める者。その為なら、他者の都合などお構い無し。より強い痛み、より強い刺激を常に求めていた。
「平凡な毎日……刺激の無い日常……退屈だった。このまま大人になって、結婚して、子供を作って、お爺ちゃんになって、最後は身内に看取られながら死ぬのかと思っていた。けどあの日、この世界に転移した運命の日、僕の人生は百八十度変わったんだ。君にもこの気持ちが分かるだろう? 同じ転移者として?」
「……すみませんが、一ミリも理解出来ません。あなたの言う平凡な毎日や、刺激の無い日常を退屈だなんて思いません。寧ろ、羨ましい位です。出来る事なら、私もそんな生活を送りたかった……」
しかし、もう過ぎ去ってしまった過去には戻れない。今の生活を受け入れるしか無い。真緒は静かに剣を抜き、コウスケに向けた。
「初代勇者であり、八英雄の一人であるサイトウコウスケ!! エジタスの手先として、あなたをここで倒します!!」
世界を救う勇者として、同じ転移者として、真緒はコウスケを倒さなければならないと思った。
「……そっか……それが君の答えなんだね。同じ転移者同士、仲良く出来ると思ったんだけど……残念だよ」
そう言うとコウスケは、ゆっくりと剣を引き抜く。それは真緒の純白の剣と全く同じ形状をしていた。
「そ、その剣は!?」
「これかい? これも同じ純白の剣だよ」
「!!?」
「あれ? もしかして世界に一本しか無いと思った? その認識は少し間違っているね。元々、純白の剣は僕とエジタスさんの二人で作った物なんだ」
「つ、作った……!!?」
「凄いよね。あの人は正に物作りの神だよ。そんな神が教えてくれたんだ。『私はいつも物を作る時はスペアを用意しておく』ってね」
「スペア……」
純白の剣のスペア。真緒でさえ、未だに使いこなせていない節があるというのに、それを本来の持ち主であるコウスケが使えば、いったいどれだけの力となるのか、想像も付かなかった。
「それじゃあ始めようか。勇者VS勇者……どちらが強いか、ハッキリさせようじゃないか」
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