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最終章 笑顔の絶えない世界

こうして化物は生まれた(結)

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 「ババァアアアアア!!!」



 エジタスが小屋に辿り着くと、小屋は炎に包まれて燃え上がっており、その前ではオモトとワーフ、二人を取り囲む様に大量の魔族が立っていた。



 「はぁ……はぁ……はぁ……」



 『ワフッ…………』



 既に二人は満身創痍、傷だらけの体で何とか立っていた。特にオモトの傷は酷く、腕一本が無くなっていた。



 「まさか……あなたが直々に来るとは……思っていなかったよ……」



 二人を取り囲む魔族達、その中でも一際目立つ存在、他の魔族達よりも一回り大きく、頭の左右から生える捻れた二本の角、短髪に彫りの深い顔でとても男らしい見た目であった。



 「魔王“サタニア・クラウン・ヘラトス”!!!」



 魔王サタニアは、二人の前に歩み出ると、その冷たい眼差しで二人を見下ろした。



 「何も不思議がる事では無い。いくら老いさらばえ様とも、元魔王軍第一部隊隊長の貴様を倒すのだ……我以外に、適任者はいないであろう……それ程までに、我は貴様の実力を買っていたのだ……」



 「それはそれは……深いお心遣いに感謝の意を送るよ……御丁寧に、私の大切な小屋まで燃やしてくれたんだからね」



 魔王サタニアに対して、最大限の嫌味を込めて送ったオモト。



 「もう貴様に、帰る場所は存在しない…………しかしだ、貴様がどうしても罪滅ぼしをしたいと言うのであれば、もう一度魔王軍への入隊を許可する。勿論、第一部隊隊長として…………」



 「罪滅ぼし?私があなた達に、罪を犯した覚えは無いんだけどね?」



 「…………」



 すると魔王サタニアは、オモトの腹部に重たい蹴りを放った。



 「おげぇ!!」



 重たい蹴りを、まともに食らったオモトは、腹部を押さえながらその場で悶え苦しむ。



 「ババァ……くそっ!!動け!!動けよ!!」



 その頃、エジタスはオモトを助け様と必死に足を動かそうとした。しかし、足は動かなかった。今までに感じた事の無い恐怖、八歳という若さを持つエジタスには耐えられない恐怖だった。



 「惚けるな……貴様が亜人や人間を秘密裏に逃がしている事は分かっている……」



 エジタスが悪戦苦闘している間も、魔王サタニアとオモトの会話は続く。



 「三年前にも……言っただろう……私は……知らないよ……」



 「この者を見ても、同じ事が言えるかな?」



 「どーも」



 「!!!」



 魔王サタニアの小脇から出て来た、一人の亜人。その亜人の顔を見て、オモトは驚きの表情を隠せなかった。



 「この亜人は、以前貴様に助けられたと証言している」



 「ど、どうして…………?」



 「んー、まぁ、何と言うか……“金”ですわ」



 「“金”?」



 助けた筈の亜人の言葉に、オモトは首を傾げた。



 「この亜人を見つけ出した際、貴様の情報を提供する代わりに、それなりの報酬を約束したのだよ。そうしたら、あっさりと掌を返した」



 「そんな…………」



 「まぁ、そう言う訳ですわ。魔族なのに、他の種族を助けようとするあんたが悪いんですよ?」



 「……何だよ……それ……」



 エジタスは信じられなかった。命を助けて貰ったのにも関わらず、その命の恩人を裏切るだなんて、考えられなかった。



 「魔王様……」



 すると、横から魔王サタニアに声を掛ける者が現れた。



 「後にしろ……」



 「ですが、大至急お知らせしたい事が…………」



 「…………何だ?」



 「ご子息が……生まれました」



 「!!!……そうか、すぐに戻る」



 そう言いながら、魔王サタニアは倒れているオモトに歩み寄る。



 「事情が変わった。貴様には悪いが、魔王軍に戻る道は無くなった」



 「そうかい……それは願ったり叶ったりだよ……」



 「……亜人よ……」



 「は、はい!!」



 すると、魔王サタニアは亜人の肩に手を乗せた。



 「貴様に栄誉を与えよう。この裏切り者を殺せ……見事達成したら、魔王軍への入隊を許可しよう」



 「ほ、本当ですか!?」



 「あぁ、魔王の名に掛けて約束しよう……」



 「必ず、必ず成し遂げて見せましょう!!」



 「……良い結果を期待しているぞ」



 「はい!!」



 「…………城へ戻るぞ」



 そう言うと、魔王サタニアは数人の魔族を連れてその場を去って行った。



 「…………さて、それじゃあ魔王様のご期待に添える様に、さっさと殺すとしようか……」



 魔王サタニアが去った後、残った亜人と魔族達は満身創痍のオモトに止めを刺そうと近づく。



 「させるかぁあああああ!!!」



 「「!!?」」



 その瞬間、エジタスがオモトと亜人の間に割り込んで来た。魔王サタニアがいなくなった事で、恐怖が消えて動ける様になった。



 「エ、エジタス……戻って来たのかい……」



 「何だ……この気持ち悪い化物は……?」



 「ババァ……死なれたら困るんだよ……今日は、ババァと俺が初めて喧嘩した記念日なんだから、勝手に記念日を命日に変えるな」



 「エジタス…………」



 「退けよ……この化物が!!!」



 「…………」



 亜人の攻撃に、エジタスは指をパチンと鳴らした。するとその瞬間、エジタスの姿が消えた。



 「なっ、消えた!?」



 「こっちだよ!!」



 「がはぁ!!?」



 そして、瞬く間に亜人の背後に姿を現し、そのがら空きの背中を蹴り飛ばした。



 「……他人の好意を踏みにじる外道が……死んで償え」



 「こいつ……嘗めやがって……おい!!その化物を殺せ!!」



 注意力が散漫だった。天才と言ってもまだ八歳、圧倒的な経験不足。亜人に気を取られた事で、周りにいた魔族に捕まってしまった。



 「し、しまっ……ぐはぁ!?」



 「エジタス!!」



 捕まれたエジタスは、そのまま投げ飛ばされて、小屋の壁に叩き付けられた。



 「…………」



 「エジタス!!しっかりしなさい!!エジタス!!」



 叩き付けられた衝撃により、意識を失ってしまったエジタス。オモトが必死に呼び掛けるも、反応は無かった。



 「邪魔は入ったが……問題無かったな……さっさと殺して、魔王様にご報告しよう……」



 『グルルルルル……ガァアアア!!』



 「!!?」



 すると、ワーフが唸り声を上げて亜人の腕に噛み付いた。



 「痛ででででで!!!この糞犬!!」



 『キャイン!!』



 しかし健闘虚しく、ワーフは亜人に振り払われてしまった。そして、ワーフの腹部を何度も蹴り付ける。



 「糞犬!!糞犬!!糞犬!!」



 『………………』



 何度も、何度も、何度も蹴られた。血反吐を吐いて、動かなくっても蹴り続けた。何度も、何度も、何度も…………。



 「止めなさい!!」



 「はぁ……はぁ……んー、何だよ?」



 「狙いは私でしょ!?これ以上、大切な二人を……家族を傷付けないで!!」



 「二人?……もしかして、あの化物の事を言ってるのか?」



 亜人は、血反吐を吐いたワーフを見た後、気を失っているエジタスを見ながら指差した。



 「この子は、化物じゃない!!誰よりも優しく、思いやりに溢れた子……化物って言うのは……あなたの事よ!!」



 オモトは、ふらふらになりながらも必死に立ち上がる。そして、亜人に向かって指を差した。



 「…………はぁ?」



 「人を蔑み、平気で命を奪う醜い心。あなたこそが、本当の化け物よ!!」



 「…………殺せ」







***







 「…………ん……んん……」



 気を失っていたエジタスは、酷い悪臭で目を覚ました。



 「あ……れ……俺……」



 意識が朦朧とする。現状を思い出そうと、周囲を見回す。そこには、腹部を蹴られ続けて息絶えたワーフと、亜人と複数の魔族に暴行を加えられているオモトであった。



 「!!!……バ、ババァ……!!」



 エジタスは、目覚めたばかりで上手く動かせない体を死に物狂いで動かし、体を引きずりながら、ほふく前進の様にオモトへと近づいた。



 「んぁ?こいつ……まだ生きていたのか……」



 「ババァ……ババァ……」



 生きていた事に驚かれながらも、エジタスは倒れているオモトを揺さぶり、必死に呼び掛ける。



 「…………エ、ジタス……」



 「ババァ!!」



 エジタスの呼び掛けに、僅かながら反応を見せるオモト。しかし、両目から血が流れていた。度重なる暴行によって失明していた。



 「戻って……来て……くれたのね……」



 「喋るな!!傷に障るだろう!!」



 「戻ってくれると思ってた……だって、あなたは……優しい子だもの……」



 そう言いながらオモトは、両手でエジタスの顔に触れると、その両頬を優しく撫でた。



 「エジタス……人を恨んじゃ駄目よ……これから辛い事が沢山あるだろうけど……笑顔でいてね……笑顔でいれば、自然と幸せは訪れる……笑顔でいてね……」



 「分かった!!笑顔でいるから!!死ぬな!!お前に死なれたら俺は……!!」



 エジタスが言い掛けたその時、オモトがエジタスを強く抱き締める。



 「可愛いエジタス……私は……あなたの事を愛しているわ……」



 「ババァ……ババァ!!おい、ババァ!!目を覚ませ!!勝手に死ぬな!!なぁ、頼む!!目を開けてくれ!!」



 体が冷たくなっていく。必死に揺さぶるも、既に事切れていた。



 「お前に死なれたら……俺は……笑顔でいられない……」



 エジタスは、オモトを優しく地面に寝かした。そして、見開かれたオモトの眼をそっと閉じた。端から見れば、寝ているだけの様にも見えるであろう。



 「ババァ…………ババァ……」



 エジタスは悔しさと悲しさから、両手で自らの顔に指を立てる。十本の指が顔に食い込み、血が流れ出る。しかし、涙は出なかった。



 「おいおい、せっかく良い所だったのに邪魔するなよな…………まぁいいや、お前も死ね」



 そう言うと、亜人はエジタスの体目掛けて蹴り付けようとする。







 愛とは何か……。







 友情とは何か……。







 信頼とは何か……。







 考えれば考えるほど分からなくなっていく。



 愛も、友情も、信頼も、全てはまやかしだ。愛があるなら、何故戦争が起きる?友情があるなら、何故虐めや差別が存在する?信頼があるなら、何故裏切りがある?



 只のひねくれ者なのだろうか。深く考えすぎなのか……。



 分からない。分からない、分からない、分からない、わからない、わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない…………。























 あ……そうか、愛とか友情とか信頼とかじゃない。根本的に間違っていた……。







          そう、







    皆が笑顔になれば良いんだ。







 「……そうだ……笑顔になれば良いんだ……」



 「!!?」



 だがしかし、亜人が放った蹴りはエジタスの右手によって、受け止められてしまった。いや、それよりも驚くべき事が起こっていた。亜人の足を掴んだエジタスの右腕が、何十倍にも巨大化していた。



 「な、何だよこれは!?」



 「皆が笑顔になれば良いんだ……」



 「ぐぁあああああ!!!」



 何十倍にも巨大化した右腕が、亜人の足を握り潰した。亜人の骨が砕ける音が聞こえる。



 「あ、足が……足が……!!!」



 “殺しなさい……殺しなさい……殺しなさい……殺しなさい……”



 「そうだ……躊躇う必要など無い……こいつらは、世界の平和を脅かす害悪……死んだ方が世の中の為だ……」



 「何をしているんだ!!殺せ!!こいつを殺すんだ!!」



 押し潰された足を押さえながら、亜人は魔族達に指示を出した。指示に従い、魔族達はエジタス目掛けて一斉に襲い掛かった。



 「…………」



 すると、エジタスの右腕だけで無く、左腕も巨大化した。巨大化した両腕で襲い掛かる魔族を粉砕して行く。ある者は殴られた事により内蔵が破裂し、またある者は全身の骨をへし折られた。



 「な、何なんだよ……こいつ……」



 次々と魔族が殺されるのを見て、亜人はその場から逃げ出そうとする。



 「…………ひぃ!?」



 「…………」



 しかし、既に目の前には両腕が巨大化したエジタスが立っていた。恐怖のあまり、亜人は腰が抜けてしまった。



 「来るな!!来るな化物!!」



 腰を抜かしながら亜人は片手を振り回し、エジタスから離れる様に後退りをし始めた。



 「化物……か……そうだな……お前の言う通りだ……」



 「!!!」



 エジタスが足を踏み出したその瞬間、エジタスの右足が巨大化する。また、同じ様に左足も巨大化する。両腕、両足に合わせて体も巨大化したエジタスは、舌を垂れ下ろしながら息を吐いて近づいて行く。そして更に、エジタスの全身を白い物体が包み込み始める。白い物体の正体、それは“骨”だった。骨が巨大化したエジタスの全身に合わせて、まるで鎧の様に包み込んだ。



 「俺は……“化物”だ…………」



 「た、助けて…………」



 恐怖で体が硬直してしまった亜人目掛けて、エジタスは何度も拳を叩き込んだ。何度も、何度も、何度も、何度も…………日が暮れるまで、何度も叩き込んだ。







***







 「…………」



 辺りはすっかり暗くなっていた。木々の隙間から漏れ出る月の明かりが、変わり果てたエジタスを照らした。骨の鎧は、亜人の返り血で真っ赤に染まっていた。その亜人本人も、原型が分からなくなる程、拳を叩き込んだ事で肉片になっていた。拳を散々叩き込み、気分が落ち着いたエジタスは、瞬く間に元の姿へと戻って行った。



 “やりましたね。見事、復讐を果たせたじゃありませんか”



 「……お前は誰だ……?」



 エジタスは、頭の中から響き渡る声に対して、何者か尋ねた。



 “私はあなた……あなたは私……私は……あなたの心の内側、憎しみと殺意によって生まれた、もう一人のあなたなのです”



 「そうか……それなら教えてやるもう一人の俺……これは復讐じゃ無い……」



 “…………と言うと?”



 「ババァが死んだのは……こいつのせいじゃ無い……ババァが死んだのは……この世界のせいだ……」



 “…………ほぅ”



 頭の中にいるもう一人のエジタスは、興味深そうに聞き入る。



 「……見た目が悪いだけで虐められ、差別を受け、裏切られる……良い事をしたのに報われない……可笑しいと思わないか?……悪いのはこいつじゃ無い……悪いのは、そうした考えに至らせてしまうこの世の中だ……」



 “成る程……成る程……素晴らしい……流石はもう一人の私……それで、これからどうするのですか?”



 「……ババァは言った……いつの日か、この世界を“笑顔の絶えない世界”にしたいと……俺は……ババァの意思を引き継ぐ!!この世界を……笑顔の絶えない世界にするんだ!!」



 そう言うとエジタスは、オモトの遺体に歩み寄る。そして、オモトの皮膚を無理矢理剥がして、頭蓋骨を取り出した。



 “何を……しているのですか?”



 エジタスの常軌を逸した行動に、思わず頭の中にいる、もう一人のエジタスが問い掛ける。



 「これから……笑顔の絶えない世界の為に行動を移す……だが、見ての通り俺は化物だ。それに口が悪い。これでは誰も近づいて来てくれない……そこで、お前の出番だ……」



 “私?”



 エジタスは、指の骨を鋭く尖らせるとオモトの頭蓋骨を削り始めた。削られた頭蓋骨は次第に形になり、最終的に、いやらしい目付きと、口角を限界まで伸ばしたにやけた口の仮面が出来上がった。



 「この仮面は境界線だ。この仮面を被っている間、お前が行動する……そして、この仮面が外れた時は俺が行動するんだ……」



 “何となく……理解はしましたけど……それより、こんな仮面で良いんですか……凄く不気味ですよ?”



 「これで良いんだ……これは願いでもある……ババァと一緒に、この世界が……笑顔の絶えない世界になるのを見届ける……その時、世界中の人々がこんな笑みを浮かべて欲しい……」



 そう言うとエジタスは、ゆっくりとオモトの頭蓋骨で作った仮面を被った。



 「う~ん、そう言う事でしたら、納得ですけど……何だか、道化師っぽくないですか~?」



 “良いじゃないか……道化師……笑顔の絶えない世界を実現させる次いでに、世界に笑顔を届ける道化師……今日からお前は、道楽の道化師だ!!”



 「道楽の道化師……良い響きですね~。それなら、決め台詞も考えませんと……道楽の道化師……エジタス……!!」



 何を思い付いたのか、エジタスは咳払いをし息を整えると、両手を拡げ顔の横にやり、小刻みに振る。



 「ど~も初めまして“道楽の道化師”エジタスと申しま~す」



 “道楽の道化師エジタス……良いじゃないか…………俺は化物として……”



 「私は道楽の道化師として……」



 「“この世界を……笑顔の絶えない世界にする!!!”」



 道化師と化物。二人の叫びが、森中に響き渡る。こうして化物は生まれた。































 「ふむ……貴様がエジタスか……」



 「はい、これからよろしくお願いしますね…………サタニアさん」



 それからエジタスは二千年の間ずっと、仮面を被り続けるのであった。
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