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過去編 二千年前
才能の開花
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「んー!気持ちの良い朝ね!!」
コウスケに、魔法の扱い方を教えて貰うと約束したその翌日、昨日まで酷く吹き荒れていた嵐は過ぎ去り、晴天の朝となっていた。
「ほんとだね、まるで昨日の嵐が嘘の様に感じるよ」
「さぁ、約束よ。私に魔法の扱い方を教えて!」
一秒でも早く魔法の扱い方を教わりたかった私は、家から出てきたコウスケに詰め寄った。
「あ、あぁ、分かったから少し落ち着いてくれ…………ちょっと近いよ……」
「えっ、あっ、ごめん…………」
コウスケが、興奮する私を落ち着かせてくれたお陰で、私は冷静さを取り戻せた。そして同時に詰め寄った事に対して少し恥ずかしくなってしまった。
「う~ん、お二人供朝から元気一杯ですね~」
「コウスケさん、アーメイデ、おはよう」
「嵐が過ぎ去って良かったわね」
すると、家の方からエジタスと両親の三人が続く様に出て来た。
「おはようごさいます」
「パパ、ママ、おはよう」
私とコウスケは、そんな三人に軽い挨拶を交わした。
「それにしても……これは酷い有り様だな…………」
「本当ね……村の柵が全部吹き飛ばされているわ……」
「あっ…………」
魔法の扱い方を教えて貰えると喜んでいたが、改めて周囲を確認すると村の大半が嵐の被害を受けていた。魔物避けの柵、魔族の接近を確認する為の高台、はたまた家そのものが無惨にも吹き飛ばされていた。
「俺とママは村の復興に取り掛かる」
「夕方位には戻ってくるからね」
「ま、まって……私も手伝うよ」
自分だけが楽する事は出来ない。この村の一員として、村の復興を手伝おうとした。
「何を言っているんだ、お前はコウスケさんに魔法の扱い方を教えて貰うのだろ?」
「そうよ、昨日からずっと楽しみにしてたじゃない。私達の事は気にしなくていいから、教えて貰いなさい」
「で、でも…………」
「「…………」」
両親にだけ辛い作業をさせて、自分だけが楽しい思いをする事は出来なかった。そんな事は私自身が許さなかった。
「……そうだな……それならアーメイデには逸早く魔法の扱い方を教えて貰って、その魔法の力で村の復興を手伝って貰おうかな」
「そう言う事なら任せて!!」
私は父の提案に飛び付いた。そして急いで魔法の扱い方を教わる為、コウスケの袖を引っ張って行く。
「そうと決まれば、早く魔法の扱い方を教わるわよ!!」
「ちょ、ちょっとそんなに強く引っ張らないでよ…………」
「ふふふ、あの子ったらあんなにやる気になっちゃって……」
「それでは、俺達は復興の手伝いに行って来ます」
「はい、頑張って下さいね~」
そう言いながら両親は、私とコウスケのやり取りを見届け終わると、村の復興の手伝いに出掛けた。
***
「えーと、それではこれから魔法の扱い方について、教えて行きたいと思います」
「手っ取り早くお願いね」
両親と分かれた後、私達三人は村から少し離れた原っぱで魔法の扱い方について、教わる事となった。
「まず、魔法には大きく分けて六種類あります。火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法…………」
「そんな基礎的な事は知ってるわよ」
魔法の基礎的な事について話そうとするコウスケに、私は言葉を遮った。
「えっ、そうなの?」
「この世界では魔法は貴重とされている分、その基礎的な情報は広く知れ渡っているのですよ~」
「そ、そうだったんですか……それならそこら辺の説明は、省いても大丈夫そうだね…………」
コウスケは異世界から転移して来た為、魔法について疎かった。その為、魔法の基礎的な所から教えようとしていた。
「それじゃあまず、回復魔法について…………」
「えー、嫌よ。回復魔法なんて地味で目立たないじゃない」
「いやでも、回復魔法は本当に重要で…………」
「そんなのより、もっと分かりやすい魔法を教わりたいのよ。コウスケが昨日、暖炉に火を点けた時みたいな」
当時の私は魔法=カッコいいという認識だった。その為、回復魔法の重要性に気づく事が出来なかった。
「そう…………?それじゃあ、まず君の魔法適性を計らせて貰うよ」
「適性?」
そう言うとコウスケは、持っていた荷物袋から大きな水晶玉を取り出した。
「本来、魔法というのは誰もが持っているものなんだ。問題は、それを扱えるか扱えないか。この水晶玉に触れると、その人がどの属性の魔法を扱えるのか、その適性を計ってくれる道具なのさ。赤色に染まれば火属性、青色に染まれば水属性、緑色に染まれば風属性、茶色に染まれば土属性、白色に染まれば光魔法、黒色に染まれば闇魔法、って具合にね」
「二種類の魔法を持っていた場合は、どうなるのよ?」
「その場合は二色に染まる。因みに俺は、火属性、水属性、光魔法の三色に染まったよ」
「ふーん…………」
自慢気に語るコウスケに少し苛立ちを覚えつつ、私は水晶玉をじっと見つめる。
「魔法の適性を計る為に、いちいち触れないといけないって……何だかめんどくさいわね……もっと簡単な方法は無いの?」
「うーん、今の所はそれが限界みたいだよ」
「そう……不便な世の中ね……」
当時はまだ“鑑定”という高性能なスキルが無かった。その為、魔法の適性や相手の実力差を計るのが困難であった。
「まぁ、それなら仕方ないわね。この水晶玉で我慢してあげる」
「そうしてくれるとありがたいよ」
そして、私は恐る恐る両手で水晶玉に触れてみた。するとその瞬間、水晶玉は眩い光に包まれて赤、青、緑、茶の四色に染まっていた。
「!!!」
「こ、これは…………!!」
「おやおや……まさか、こんな所にこれ程の才能が隠れていたとは…………」
そんな光景に私を含めて、コウスケとエジタスは驚きの表情を浮かべていた。
「これって……いったい?」
「アーメイデ……どうやら君は……火、水、風、土の四属性の魔法を扱える様だ」
「!!…………や、やった……やったぁあああ!!!」
私はあまりの嬉しさに、ガッツポーズまで決めていた。一種類だけでも良かったのに、それが六種類中四種類まで扱えると分かった時の喜びは、今でも鮮明に思い出せる。
「まさか、ここまでの才能を秘めているだなんて…………」
「ふふふ、まぁ、私に掛かれば当然の結果でしょうね」
「恐らくこれは過去に類を見ない、最も魔法の種類を扱える存在と言えますね~」
終始興奮が収まらなかった。そして同時にとても誇らしかった。私には、誰よりも魔法の才能があったのだと……。
「さぁ、さっさと私に魔法の扱い方を教えなさい。この四種類の魔法を扱えるアーメイデ様にね!!」
「あはは、分かったよ。それじゃあまずは、火属性魔法の扱い方から…………」
こうして、魔法の扱い方の修行が始まった。この世で私だけが、四種類の魔法を扱える。その事実が私を持ち上げ、付け上がらせた。この時、私はもっとコウスケの話を基礎的な事から聞くべきだった。慢心などしなければよかった。魔法が扱える様になるという危険性に、気がつくべきだった。選択によっては避けられた筈なのに、私は順調に最悪な結末への道を歩いていた。
コウスケに、魔法の扱い方を教えて貰うと約束したその翌日、昨日まで酷く吹き荒れていた嵐は過ぎ去り、晴天の朝となっていた。
「ほんとだね、まるで昨日の嵐が嘘の様に感じるよ」
「さぁ、約束よ。私に魔法の扱い方を教えて!」
一秒でも早く魔法の扱い方を教わりたかった私は、家から出てきたコウスケに詰め寄った。
「あ、あぁ、分かったから少し落ち着いてくれ…………ちょっと近いよ……」
「えっ、あっ、ごめん…………」
コウスケが、興奮する私を落ち着かせてくれたお陰で、私は冷静さを取り戻せた。そして同時に詰め寄った事に対して少し恥ずかしくなってしまった。
「う~ん、お二人供朝から元気一杯ですね~」
「コウスケさん、アーメイデ、おはよう」
「嵐が過ぎ去って良かったわね」
すると、家の方からエジタスと両親の三人が続く様に出て来た。
「おはようごさいます」
「パパ、ママ、おはよう」
私とコウスケは、そんな三人に軽い挨拶を交わした。
「それにしても……これは酷い有り様だな…………」
「本当ね……村の柵が全部吹き飛ばされているわ……」
「あっ…………」
魔法の扱い方を教えて貰えると喜んでいたが、改めて周囲を確認すると村の大半が嵐の被害を受けていた。魔物避けの柵、魔族の接近を確認する為の高台、はたまた家そのものが無惨にも吹き飛ばされていた。
「俺とママは村の復興に取り掛かる」
「夕方位には戻ってくるからね」
「ま、まって……私も手伝うよ」
自分だけが楽する事は出来ない。この村の一員として、村の復興を手伝おうとした。
「何を言っているんだ、お前はコウスケさんに魔法の扱い方を教えて貰うのだろ?」
「そうよ、昨日からずっと楽しみにしてたじゃない。私達の事は気にしなくていいから、教えて貰いなさい」
「で、でも…………」
「「…………」」
両親にだけ辛い作業をさせて、自分だけが楽しい思いをする事は出来なかった。そんな事は私自身が許さなかった。
「……そうだな……それならアーメイデには逸早く魔法の扱い方を教えて貰って、その魔法の力で村の復興を手伝って貰おうかな」
「そう言う事なら任せて!!」
私は父の提案に飛び付いた。そして急いで魔法の扱い方を教わる為、コウスケの袖を引っ張って行く。
「そうと決まれば、早く魔法の扱い方を教わるわよ!!」
「ちょ、ちょっとそんなに強く引っ張らないでよ…………」
「ふふふ、あの子ったらあんなにやる気になっちゃって……」
「それでは、俺達は復興の手伝いに行って来ます」
「はい、頑張って下さいね~」
そう言いながら両親は、私とコウスケのやり取りを見届け終わると、村の復興の手伝いに出掛けた。
***
「えーと、それではこれから魔法の扱い方について、教えて行きたいと思います」
「手っ取り早くお願いね」
両親と分かれた後、私達三人は村から少し離れた原っぱで魔法の扱い方について、教わる事となった。
「まず、魔法には大きく分けて六種類あります。火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法…………」
「そんな基礎的な事は知ってるわよ」
魔法の基礎的な事について話そうとするコウスケに、私は言葉を遮った。
「えっ、そうなの?」
「この世界では魔法は貴重とされている分、その基礎的な情報は広く知れ渡っているのですよ~」
「そ、そうだったんですか……それならそこら辺の説明は、省いても大丈夫そうだね…………」
コウスケは異世界から転移して来た為、魔法について疎かった。その為、魔法の基礎的な所から教えようとしていた。
「それじゃあまず、回復魔法について…………」
「えー、嫌よ。回復魔法なんて地味で目立たないじゃない」
「いやでも、回復魔法は本当に重要で…………」
「そんなのより、もっと分かりやすい魔法を教わりたいのよ。コウスケが昨日、暖炉に火を点けた時みたいな」
当時の私は魔法=カッコいいという認識だった。その為、回復魔法の重要性に気づく事が出来なかった。
「そう…………?それじゃあ、まず君の魔法適性を計らせて貰うよ」
「適性?」
そう言うとコウスケは、持っていた荷物袋から大きな水晶玉を取り出した。
「本来、魔法というのは誰もが持っているものなんだ。問題は、それを扱えるか扱えないか。この水晶玉に触れると、その人がどの属性の魔法を扱えるのか、その適性を計ってくれる道具なのさ。赤色に染まれば火属性、青色に染まれば水属性、緑色に染まれば風属性、茶色に染まれば土属性、白色に染まれば光魔法、黒色に染まれば闇魔法、って具合にね」
「二種類の魔法を持っていた場合は、どうなるのよ?」
「その場合は二色に染まる。因みに俺は、火属性、水属性、光魔法の三色に染まったよ」
「ふーん…………」
自慢気に語るコウスケに少し苛立ちを覚えつつ、私は水晶玉をじっと見つめる。
「魔法の適性を計る為に、いちいち触れないといけないって……何だかめんどくさいわね……もっと簡単な方法は無いの?」
「うーん、今の所はそれが限界みたいだよ」
「そう……不便な世の中ね……」
当時はまだ“鑑定”という高性能なスキルが無かった。その為、魔法の適性や相手の実力差を計るのが困難であった。
「まぁ、それなら仕方ないわね。この水晶玉で我慢してあげる」
「そうしてくれるとありがたいよ」
そして、私は恐る恐る両手で水晶玉に触れてみた。するとその瞬間、水晶玉は眩い光に包まれて赤、青、緑、茶の四色に染まっていた。
「!!!」
「こ、これは…………!!」
「おやおや……まさか、こんな所にこれ程の才能が隠れていたとは…………」
そんな光景に私を含めて、コウスケとエジタスは驚きの表情を浮かべていた。
「これって……いったい?」
「アーメイデ……どうやら君は……火、水、風、土の四属性の魔法を扱える様だ」
「!!…………や、やった……やったぁあああ!!!」
私はあまりの嬉しさに、ガッツポーズまで決めていた。一種類だけでも良かったのに、それが六種類中四種類まで扱えると分かった時の喜びは、今でも鮮明に思い出せる。
「まさか、ここまでの才能を秘めているだなんて…………」
「ふふふ、まぁ、私に掛かれば当然の結果でしょうね」
「恐らくこれは過去に類を見ない、最も魔法の種類を扱える存在と言えますね~」
終始興奮が収まらなかった。そして同時にとても誇らしかった。私には、誰よりも魔法の才能があったのだと……。
「さぁ、さっさと私に魔法の扱い方を教えなさい。この四種類の魔法を扱えるアーメイデ様にね!!」
「あはは、分かったよ。それじゃあまずは、火属性魔法の扱い方から…………」
こうして、魔法の扱い方の修行が始まった。この世で私だけが、四種類の魔法を扱える。その事実が私を持ち上げ、付け上がらせた。この時、私はもっとコウスケの話を基礎的な事から聞くべきだった。慢心などしなければよかった。魔法が扱える様になるという危険性に、気がつくべきだった。選択によっては避けられた筈なのに、私は順調に最悪な結末への道を歩いていた。
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