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第八章 冒険編 狂乱の王子ヴァルベルト
そして少女は目覚めた
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深紅の鎧。ヴァルベルトの身を包むその鎧は、只血液が定着化した訳では無かった。本物の鎧の様に頭、胸、手、足とそれぞれ適した形に変形していた。そして何より、鎧には模様が刻み込まれていた。胸と手の甲の二ヶ所に、まるで蝙蝠が翼を広げているかの様な模様であった。
「この姿こそが、我の真の力を引き出す為に最も適した姿だ」
頭から足の爪先まで、余す所無く鎧に身を包んだその姿は、まさに完全武装と他なら無かった。
「さぁ、始めるとしよう……結末が分かりきった戦いを!」
「!!!」
そう言うとヴァルベルトは、大きく翼を羽ばたかせ負傷している真緒目掛けて、勢いよく滑空した。
「くそっ!そうはさせるか!!スキル“ロックオン”」
ヴァルベルトの体に、ターゲットマーカーが表示される。フォルスは真緒を守ろうと素早く弓矢を構えて放つが、放たれた矢は深紅の鎧に弾かれてしまった。
「何!?」
「愚かだな!!この深紅の鎧は、鋼より固く、鉄よりも壊れにくいのだ!その様な矢ごときで傷つけられると思ったか!?」
「そんな!マオ!!避けるんだー!!」
「うっ……!!」
フォルスに言われた通り、避けようとする真緒だったが一度に高いダメージを負ってしまった為、思う様に体が動かずまた痛みで膝をついてしまった。
「ふははは!痛みで動く事すら出来まい!!これで終わりにしてくれる!!」
「マオーー!!」
ヴァルベルトは、飛びながら持っていた剣を振り上げ、真緒に向かって振り下ろした。
「いけませんね~、こんな危ない刃物を無防備な人に向けるだなんて……」
「し、師匠!!?」
「エジタスさん!!」
「き、貴様!いつの間に!?」
振り下ろした剣は真緒に当たる直前、転移して来たエジタスによって受け止められていた。
「う、動かない……!!いったい何処にそんな力が!!?」
ヴァルベルトは振りほどこうと剣に力を込めるが、剣はエジタスに掴まれたままビクともしなかった。
「ご退場願いま~す」
「ぐはぁ!!」
すると今度はエジタスが、ヴァルベルトを剣から振りほどこうと腹を蹴り飛ばした。突然の蹴りに反応出来なかったヴァルベルトは、思わず剣から手を離してしまいそのまま後方へと吹っ飛ばされてしまった。
「全く……こんな所で殺られてはいけませんよ~マオさん」
「師匠……ありがとうございます」
「ここでしばらく休んでいて下さい。私はフォルスさんと一緒にあそこにいる“彼”と少し遊んで来るので……行きますよ!!フォルスさん!!」
「ああ!!」
フォルスとエジタスは、真緒とリーマを背にしてヴァルベルトの所まで歩き出した。
「…………先程は油断してしまった。だが、次はそうは行かん……ここで貴様らを倒「はいはい、大口は程々にして下さいね」」
こちらに向かって歩いていた筈のエジタスが、突如ヴァルベルトの背後に現れ、持っていたナイフで刺そうとして来た。
「!!!」
しかしその不意打ちを、腕の傷口から流れ出る血液で作り出した深紅の槍で、咄嗟に防いだ。
「ほぉ~、反射神経は良い様ですね……しかし、危機管理能力はそこまで高くはありませんね。ちゃんと前を見ないと危ないですよ?」
「何!?」
エジタスの言葉に、思わず前に顔を向けると目線の先には、フォルスが弓矢を構えて立っていた。
「さっきは弾かれてしまったが、今度は貫いて見せる!“ウインド”」
フォルスの矢に風がまとわりつく……。強い力に、カタカタと震える弓矢をしっかりと指で押さえる。
「食らえ!!“ブースト”」
弓から放たれた矢は、途中風魔法の力を受けて一気に加速する。
「完全に捉えた!!行けー!!」
フォルスが放った矢が、ヴァルベルトに当たると思われたその瞬間、高音が響き渡り風魔法が付与された矢は弾かれてしまった。
「な、何だと!?」
「…………凄まじい連携だった。しかし、我の魔法の方が一枚上手だ」
ヴァルベルトの左手には、円形型の盾が装備されていた。真っ赤に光輝くその盾こそが、フォルスの矢が弾かれてしまった原因である。
「“深紅の盾”血の濃度を凝縮させて作る事で、通常よりも遥かに防御力の高い盾だ。そして、この盾の最も優れた点は……」
そう言うとヴァルベルトは、後ろにいたエジタスに盾を薙ぎ払った。
「へっ?」
薙ぎ払われた盾は、エジタスの腹部を切り裂き吹き飛ばした。
「こうして鋭利な武器としても、扱う事が出来る所だ」
「エジタスさん!!」
「師匠!!」
「もぉ~、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ~単なるかすり傷です」
そう言うエジタスの腹部は、小さく斬られており少し血が流れ出ていた。
「ほほお……貴様も中々の反射神経を持っている様だな」
「(…………久々ですね傷を負うのは…………少し安心しましたよ。私にもちゃんと、赤い血が流れている……)」
エジタスは斬られた腹部を押さえ、手に付着した血を見ながらそう思った。
「いや~しかし、こうなると二人係でも厳しいですね~」
「私も一緒に……うっ!!」
「無理するな!!お前は痛みが和らぐのを待つんだ!!」
危機的状況。真緒も一緒に戦う為立ち上がろうとするが、痛みが治まっておらず膝をついてしまう。
「とは言ったものの……これは長くは持ちそうに無いな……」
「さて……先に鳥人から片付けるとするか!」
するとヴァルベルトは、翼を広げ空中に飛びながらフォルスへと襲い掛かる。
「くそっ!!せめて……せめて翼の怪我が治っていれば……!!」
フォルスの翼は、ヴァルベルトとの戦闘の際に突然伸びた深紅の槍に貫かれ、負傷していた。
「諦めてたまるか!!“三連弓”“三連弓”“三連弓”“三連弓”!!!」
フォルスは何度も、何度も、何度も、迫り来るヴァルベルト目掛けて矢を放った。しかし、それも全て深紅の盾で弾かれてしまった。
「…………っ!!」
「諦めろ!!もう貴様らを助ける存在はいない!!」
「ここまでか…………」
「フォルスさん!!」
死を覚悟したフォルス。ヴァルベルトの槍がフォルス目掛けて貫こうとしたその瞬間!!
「ぐはぁ!?」
「「!!?」」
突如として、何者かの攻撃によりヴァルベルトは横へと吹き飛ばされた。
「ぐっ…………次から次へと我の邪魔をしよって……今度はいったい誰だ!?」
「そ、そんな……どうして……?」
「こ、こんな事が本当にあるのか……?」
そこに立っていた人物は、真緒達にとって予期せぬ人物であった。この戦いにおいて、決して参加する事の出来ない人物であった。
「グルルルル…………」
その者は、低いうなり声をあげ口からは涎と泡が流れ出ていた。柱を彷彿とさせる巨大な手足。三メートルを越えるその体格はかつての面影を全く感じさせない。しかし、その食欲だけは変わらない人物であった。
「「ハナコ!!?」」
「グォオオオオオオオオオオオ!!!!!」
真緒達の危機を救ったのは“ブラッドグリズリー”事、熊人のハナコであった。
「この姿こそが、我の真の力を引き出す為に最も適した姿だ」
頭から足の爪先まで、余す所無く鎧に身を包んだその姿は、まさに完全武装と他なら無かった。
「さぁ、始めるとしよう……結末が分かりきった戦いを!」
「!!!」
そう言うとヴァルベルトは、大きく翼を羽ばたかせ負傷している真緒目掛けて、勢いよく滑空した。
「くそっ!そうはさせるか!!スキル“ロックオン”」
ヴァルベルトの体に、ターゲットマーカーが表示される。フォルスは真緒を守ろうと素早く弓矢を構えて放つが、放たれた矢は深紅の鎧に弾かれてしまった。
「何!?」
「愚かだな!!この深紅の鎧は、鋼より固く、鉄よりも壊れにくいのだ!その様な矢ごときで傷つけられると思ったか!?」
「そんな!マオ!!避けるんだー!!」
「うっ……!!」
フォルスに言われた通り、避けようとする真緒だったが一度に高いダメージを負ってしまった為、思う様に体が動かずまた痛みで膝をついてしまった。
「ふははは!痛みで動く事すら出来まい!!これで終わりにしてくれる!!」
「マオーー!!」
ヴァルベルトは、飛びながら持っていた剣を振り上げ、真緒に向かって振り下ろした。
「いけませんね~、こんな危ない刃物を無防備な人に向けるだなんて……」
「し、師匠!!?」
「エジタスさん!!」
「き、貴様!いつの間に!?」
振り下ろした剣は真緒に当たる直前、転移して来たエジタスによって受け止められていた。
「う、動かない……!!いったい何処にそんな力が!!?」
ヴァルベルトは振りほどこうと剣に力を込めるが、剣はエジタスに掴まれたままビクともしなかった。
「ご退場願いま~す」
「ぐはぁ!!」
すると今度はエジタスが、ヴァルベルトを剣から振りほどこうと腹を蹴り飛ばした。突然の蹴りに反応出来なかったヴァルベルトは、思わず剣から手を離してしまいそのまま後方へと吹っ飛ばされてしまった。
「全く……こんな所で殺られてはいけませんよ~マオさん」
「師匠……ありがとうございます」
「ここでしばらく休んでいて下さい。私はフォルスさんと一緒にあそこにいる“彼”と少し遊んで来るので……行きますよ!!フォルスさん!!」
「ああ!!」
フォルスとエジタスは、真緒とリーマを背にしてヴァルベルトの所まで歩き出した。
「…………先程は油断してしまった。だが、次はそうは行かん……ここで貴様らを倒「はいはい、大口は程々にして下さいね」」
こちらに向かって歩いていた筈のエジタスが、突如ヴァルベルトの背後に現れ、持っていたナイフで刺そうとして来た。
「!!!」
しかしその不意打ちを、腕の傷口から流れ出る血液で作り出した深紅の槍で、咄嗟に防いだ。
「ほぉ~、反射神経は良い様ですね……しかし、危機管理能力はそこまで高くはありませんね。ちゃんと前を見ないと危ないですよ?」
「何!?」
エジタスの言葉に、思わず前に顔を向けると目線の先には、フォルスが弓矢を構えて立っていた。
「さっきは弾かれてしまったが、今度は貫いて見せる!“ウインド”」
フォルスの矢に風がまとわりつく……。強い力に、カタカタと震える弓矢をしっかりと指で押さえる。
「食らえ!!“ブースト”」
弓から放たれた矢は、途中風魔法の力を受けて一気に加速する。
「完全に捉えた!!行けー!!」
フォルスが放った矢が、ヴァルベルトに当たると思われたその瞬間、高音が響き渡り風魔法が付与された矢は弾かれてしまった。
「な、何だと!?」
「…………凄まじい連携だった。しかし、我の魔法の方が一枚上手だ」
ヴァルベルトの左手には、円形型の盾が装備されていた。真っ赤に光輝くその盾こそが、フォルスの矢が弾かれてしまった原因である。
「“深紅の盾”血の濃度を凝縮させて作る事で、通常よりも遥かに防御力の高い盾だ。そして、この盾の最も優れた点は……」
そう言うとヴァルベルトは、後ろにいたエジタスに盾を薙ぎ払った。
「へっ?」
薙ぎ払われた盾は、エジタスの腹部を切り裂き吹き飛ばした。
「こうして鋭利な武器としても、扱う事が出来る所だ」
「エジタスさん!!」
「師匠!!」
「もぉ~、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ~単なるかすり傷です」
そう言うエジタスの腹部は、小さく斬られており少し血が流れ出ていた。
「ほほお……貴様も中々の反射神経を持っている様だな」
「(…………久々ですね傷を負うのは…………少し安心しましたよ。私にもちゃんと、赤い血が流れている……)」
エジタスは斬られた腹部を押さえ、手に付着した血を見ながらそう思った。
「いや~しかし、こうなると二人係でも厳しいですね~」
「私も一緒に……うっ!!」
「無理するな!!お前は痛みが和らぐのを待つんだ!!」
危機的状況。真緒も一緒に戦う為立ち上がろうとするが、痛みが治まっておらず膝をついてしまう。
「とは言ったものの……これは長くは持ちそうに無いな……」
「さて……先に鳥人から片付けるとするか!」
するとヴァルベルトは、翼を広げ空中に飛びながらフォルスへと襲い掛かる。
「くそっ!!せめて……せめて翼の怪我が治っていれば……!!」
フォルスの翼は、ヴァルベルトとの戦闘の際に突然伸びた深紅の槍に貫かれ、負傷していた。
「諦めてたまるか!!“三連弓”“三連弓”“三連弓”“三連弓”!!!」
フォルスは何度も、何度も、何度も、迫り来るヴァルベルト目掛けて矢を放った。しかし、それも全て深紅の盾で弾かれてしまった。
「…………っ!!」
「諦めろ!!もう貴様らを助ける存在はいない!!」
「ここまでか…………」
「フォルスさん!!」
死を覚悟したフォルス。ヴァルベルトの槍がフォルス目掛けて貫こうとしたその瞬間!!
「ぐはぁ!?」
「「!!?」」
突如として、何者かの攻撃によりヴァルベルトは横へと吹き飛ばされた。
「ぐっ…………次から次へと我の邪魔をしよって……今度はいったい誰だ!?」
「そ、そんな……どうして……?」
「こ、こんな事が本当にあるのか……?」
そこに立っていた人物は、真緒達にとって予期せぬ人物であった。この戦いにおいて、決して参加する事の出来ない人物であった。
「グルルルル…………」
その者は、低いうなり声をあげ口からは涎と泡が流れ出ていた。柱を彷彿とさせる巨大な手足。三メートルを越えるその体格はかつての面影を全く感じさせない。しかし、その食欲だけは変わらない人物であった。
「「ハナコ!!?」」
「グォオオオオオオオオオオオ!!!!!」
真緒達の危機を救ったのは“ブラッドグリズリー”事、熊人のハナコであった。
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