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第八章 冒険編 狂乱の王子ヴァルベルト
リーマ VS トサリ
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「“ウォーターキャノン”!!」
「ハズレー」
リーマは現在、トサリとの戦闘を繰り広げていた。だが、リーマの魔法は一発も当たってはいなかった。
「それなら!!“ウインドカッター”!!」
リーマの魔導書から、目に見えない風の刃が生み出され、トサリ目掛けて飛んで行った。
「ハズレー」
しかし、その刃をトサリは意図も容易く避けた。
「くっ、“スネークフレイム”!!」
リーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、トサリに放たれる。
「はい、ハズレー」
だがしかし、またしてもトサリは意図も容易くリーマの魔法を避けた。
「そんなこれも駄目なの……?」
「才能が無いんじゃ無いのー?」
「!!馬鹿に出来るのも今だけですよ!!“ウインドカッター”“ウインドカッター”“ウインドカッター”“ウインドカッター”!!!」
馬鹿にされ、頭に血が上ったリーマはこれでもかという程、いくつもの風の刃を生み出しトサリに向かって放つ。
「ハズレー、ハズレハズレ、ハズレー」
「こんな……こんな事って……」
当たらない。トサリは余裕の表情で迫り来る風の刃達を避けた。
「ほらほら、どうしたどうした?その程度で終わりなのかよ?」
「…………!!」
するとリーマは、突然トサリに向かって走り出した。
「おっ、まだ何か隠し持っているのか?いいぜ、来いよ。俺にお前の全てをぶつけろ!!」
「(遠距離の魔法は駄目、連続で放っても避けられてしまう……。だったら、私が唯一持っている音魔法を近距離でなら!!)」
リーマは、トサリに近づくと鼻から大きく息を吸い込む。そして…………。
「きゃあああああ!!!」
リーマの口から、爆音が放たれる。耳を引き裂く様な強烈な高音。
「ひゅー、凄いな!そんな高音の声を出せるのかよ!?」
「な、何で…………?」
しかし、トサリには効いていなかった。まるで、予期していたかの様に指で耳を塞いでいたのだ。
「お前、魔法の才能だけはピカイチだな。だけど……それじゃあ俺は倒せない……ぜ!!」
「しまっ……きゃあ!!」
不意を突かれ、リーマの腹にトサリの蹴りが叩き込まれる。
「へへ、この調子なら案外早く決着がつきそうだな」
「うぅ…………」
痛みに耐えながらお腹を押さえるリーマ。
「冥土の土産に教えてやるよ。どうして俺がお前の魔法を避けられたのか……」
「……ど、どう言う意味ですか?」
完全に勝ちを確信したトサリは、リーマに自分が何故避けられるのかを語り始めた。
「俺は元々、魔王軍の偵察部隊に所属していたんだ……どうしてだと思う?」
「……それは、実力があったからじゃ無いんですか……?」
「いや違う。実際、俺の実力は魔王軍の中でも一、二を争う程低かった」
「!!?」
リーマはショックを受けていた。自分の魔法を容易く避けるトサリが、魔王軍ではかなり下の実力である事に。
「だが、そんな俺にはある一つの能力が備わっていた。何だか分かるか……?」
「…………」
「俺はな……“相手の心を読む事が出来るんだよ”」
「!!!」
衝撃の事実。トサリは相手の心を読む事が出来ると言って来たのだ。だが、それならば一連の出来事にも納得が行った。魔法を何処にどう飛ばすか、次はどんな魔法を放つのか。心が読めるのだとしたら、それらを避けるのは非常に容易い。
「その能力のお陰で俺は、魔王様直々のご指名によって偵察部隊で、かなりの地位を築く事が出来たんだ。だけどそれも束の間、ヴァルベルト様の事を監視する様に命じられて命令通り見張っていたんだが……これがもうビックリな訳よ!あの人、心の中はエルっていう女性で一杯で他の事は考えていなかったんだよ。いやー、あの時は狂気すら感じたね……まぁ、そんなこんなで俺は監視中にヴァルベルト様に見つかって、結果眷属になってしまった訳さ」
「…………」
トサリが長々と自身の過去を語っている中、リーマは黙ってその話を聞くしか無かった。何故なら、もし他の事を考えてしまったらトサリに読み取られてしまうからだ。その為、リーマはトサリの話を黙って聞くしか無い。
「だが後悔はしていないぜ。お陰で実力不足だった俺も、ここまで強くなれたんだからな!」
「…………」
「ふむふむ成る程、『心が読めるのなら頭を空っぽにして攻撃すればいい』……か。古臭い手を使うんだなー」
「!!?」
読まれてしまった。喋っている間なら、心も読み取りにくいのでは無いかと淡い希望を抱いたが、無駄に終わった。
「諦めな。俺はどんな心の声も聞き逃したりはしないぜ」
「…………なら逆に考えてやりますよ……」
「はぁー?」
突然訳の分からない事を言い始めたリーマ。
「“トルネード”!!」
するとリーマは、魔導書から巨大な竜巻を生み出してトサリに向かって放った。しかし、その速度はかなり遅くあくびが出てしまう程だった。
「おいおい、何をするかと思えばこんな竜巻を生み出したからって、心が読める俺にとっては容易く…………はぁ!!?」
余裕の態度を示していたトサリは、リーマの心を読んで驚愕した。
「ふふふ、さすが心を読めるだけはありますね」
「お前、正気か!!?こんな事をすればお前だって只ではすまないぞ!!」
「あなたを倒せるのなら本望です」
「ち、ち、ちくしょー!!」
突然走りだし逃げ出そうとするトサリ。それは“トルネード”を放った後にリーマが考えた事が原因だった。
「逃がしませんよ!!“スネークフレイム”!」
リーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、トサリに……では無くリーマが生み出した竜巻に向かって放たれた。
「(例え心が読まれているとしても、この部屋全体を覆い尽くす程の魔法を放てば、避ける事は出来ないでしょ!!)」
これこそが、トサリがリーマの心から読み取った考え。自分をも巻き込む風と炎の強大な合体魔法が放たれる。
「全てを焼き尽くせ“フレイムテンペスト”!!!」
風と炎、二つの魔法が混じり合い部屋全体に炎を纏った巨大な炎の嵐が巻き起こった。
「がぁああああああ!!!」
「くっ…………」
身は焼け、骨は砕ける。次第に嵐は収まり、そこにあったのは心は読めたが避ける事が出来なかったトサリの無惨な死体。そして、水魔法で体を覆いギリギリ生き残ったリーマだった。
「や……やっ……た……」
しかし無傷では無かった。辛うじて命を留めただけで全身には大きな火傷、骨の大部分は砕け散り立っているのが奇跡であった。
「は、早く……マオさん……達に…………追い……つ……か……ない…………と」
激痛に耐え、足を引きずりながらも必死に真緒達の後を追い掛けるリーマ。全ては仲間達の為に…………。
「ハズレー」
リーマは現在、トサリとの戦闘を繰り広げていた。だが、リーマの魔法は一発も当たってはいなかった。
「それなら!!“ウインドカッター”!!」
リーマの魔導書から、目に見えない風の刃が生み出され、トサリ目掛けて飛んで行った。
「ハズレー」
しかし、その刃をトサリは意図も容易く避けた。
「くっ、“スネークフレイム”!!」
リーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、トサリに放たれる。
「はい、ハズレー」
だがしかし、またしてもトサリは意図も容易くリーマの魔法を避けた。
「そんなこれも駄目なの……?」
「才能が無いんじゃ無いのー?」
「!!馬鹿に出来るのも今だけですよ!!“ウインドカッター”“ウインドカッター”“ウインドカッター”“ウインドカッター”!!!」
馬鹿にされ、頭に血が上ったリーマはこれでもかという程、いくつもの風の刃を生み出しトサリに向かって放つ。
「ハズレー、ハズレハズレ、ハズレー」
「こんな……こんな事って……」
当たらない。トサリは余裕の表情で迫り来る風の刃達を避けた。
「ほらほら、どうしたどうした?その程度で終わりなのかよ?」
「…………!!」
するとリーマは、突然トサリに向かって走り出した。
「おっ、まだ何か隠し持っているのか?いいぜ、来いよ。俺にお前の全てをぶつけろ!!」
「(遠距離の魔法は駄目、連続で放っても避けられてしまう……。だったら、私が唯一持っている音魔法を近距離でなら!!)」
リーマは、トサリに近づくと鼻から大きく息を吸い込む。そして…………。
「きゃあああああ!!!」
リーマの口から、爆音が放たれる。耳を引き裂く様な強烈な高音。
「ひゅー、凄いな!そんな高音の声を出せるのかよ!?」
「な、何で…………?」
しかし、トサリには効いていなかった。まるで、予期していたかの様に指で耳を塞いでいたのだ。
「お前、魔法の才能だけはピカイチだな。だけど……それじゃあ俺は倒せない……ぜ!!」
「しまっ……きゃあ!!」
不意を突かれ、リーマの腹にトサリの蹴りが叩き込まれる。
「へへ、この調子なら案外早く決着がつきそうだな」
「うぅ…………」
痛みに耐えながらお腹を押さえるリーマ。
「冥土の土産に教えてやるよ。どうして俺がお前の魔法を避けられたのか……」
「……ど、どう言う意味ですか?」
完全に勝ちを確信したトサリは、リーマに自分が何故避けられるのかを語り始めた。
「俺は元々、魔王軍の偵察部隊に所属していたんだ……どうしてだと思う?」
「……それは、実力があったからじゃ無いんですか……?」
「いや違う。実際、俺の実力は魔王軍の中でも一、二を争う程低かった」
「!!?」
リーマはショックを受けていた。自分の魔法を容易く避けるトサリが、魔王軍ではかなり下の実力である事に。
「だが、そんな俺にはある一つの能力が備わっていた。何だか分かるか……?」
「…………」
「俺はな……“相手の心を読む事が出来るんだよ”」
「!!!」
衝撃の事実。トサリは相手の心を読む事が出来ると言って来たのだ。だが、それならば一連の出来事にも納得が行った。魔法を何処にどう飛ばすか、次はどんな魔法を放つのか。心が読めるのだとしたら、それらを避けるのは非常に容易い。
「その能力のお陰で俺は、魔王様直々のご指名によって偵察部隊で、かなりの地位を築く事が出来たんだ。だけどそれも束の間、ヴァルベルト様の事を監視する様に命じられて命令通り見張っていたんだが……これがもうビックリな訳よ!あの人、心の中はエルっていう女性で一杯で他の事は考えていなかったんだよ。いやー、あの時は狂気すら感じたね……まぁ、そんなこんなで俺は監視中にヴァルベルト様に見つかって、結果眷属になってしまった訳さ」
「…………」
トサリが長々と自身の過去を語っている中、リーマは黙ってその話を聞くしか無かった。何故なら、もし他の事を考えてしまったらトサリに読み取られてしまうからだ。その為、リーマはトサリの話を黙って聞くしか無い。
「だが後悔はしていないぜ。お陰で実力不足だった俺も、ここまで強くなれたんだからな!」
「…………」
「ふむふむ成る程、『心が読めるのなら頭を空っぽにして攻撃すればいい』……か。古臭い手を使うんだなー」
「!!?」
読まれてしまった。喋っている間なら、心も読み取りにくいのでは無いかと淡い希望を抱いたが、無駄に終わった。
「諦めな。俺はどんな心の声も聞き逃したりはしないぜ」
「…………なら逆に考えてやりますよ……」
「はぁー?」
突然訳の分からない事を言い始めたリーマ。
「“トルネード”!!」
するとリーマは、魔導書から巨大な竜巻を生み出してトサリに向かって放った。しかし、その速度はかなり遅くあくびが出てしまう程だった。
「おいおい、何をするかと思えばこんな竜巻を生み出したからって、心が読める俺にとっては容易く…………はぁ!!?」
余裕の態度を示していたトサリは、リーマの心を読んで驚愕した。
「ふふふ、さすが心を読めるだけはありますね」
「お前、正気か!!?こんな事をすればお前だって只ではすまないぞ!!」
「あなたを倒せるのなら本望です」
「ち、ち、ちくしょー!!」
突然走りだし逃げ出そうとするトサリ。それは“トルネード”を放った後にリーマが考えた事が原因だった。
「逃がしませんよ!!“スネークフレイム”!」
リーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、トサリに……では無くリーマが生み出した竜巻に向かって放たれた。
「(例え心が読まれているとしても、この部屋全体を覆い尽くす程の魔法を放てば、避ける事は出来ないでしょ!!)」
これこそが、トサリがリーマの心から読み取った考え。自分をも巻き込む風と炎の強大な合体魔法が放たれる。
「全てを焼き尽くせ“フレイムテンペスト”!!!」
風と炎、二つの魔法が混じり合い部屋全体に炎を纏った巨大な炎の嵐が巻き起こった。
「がぁああああああ!!!」
「くっ…………」
身は焼け、骨は砕ける。次第に嵐は収まり、そこにあったのは心は読めたが避ける事が出来なかったトサリの無惨な死体。そして、水魔法で体を覆いギリギリ生き残ったリーマだった。
「や……やっ……た……」
しかし無傷では無かった。辛うじて命を留めただけで全身には大きな火傷、骨の大部分は砕け散り立っているのが奇跡であった。
「は、早く……マオさん……達に…………追い……つ……か……ない…………と」
激痛に耐え、足を引きずりながらも必死に真緒達の後を追い掛けるリーマ。全ては仲間達の為に…………。
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