46 / 300
番外編 一方その頃
初代勇者の遺産
しおりを挟む
カルド王の自室は、ベッドに椅子、小さな円形テーブル、そしてドレッサーと他の部屋と比べて、とても地味で質素な内装であった。一国の王として如何なものかと思われるが、この内装を望んだのは他でもない王自身だ。カルド王は……。『私に贅沢は肌に合わない。必要最低限の家具があれば十分だ。贅沢は他の似合う者が使うべきなのだ』と述べており、断固として贅沢三昧するのを拒絶した。そんなカルド王は現在、例の円形テーブルで書類にサインをしていた。
「全く、このような提案書などサインではなく判子で事足りると思うのだがな……」
カルド王の主な仕事は、国をより良くする為に、国民の提案する書類を採用するかしないかを見極める事、そして定期的に他国の王達と会合をする事である。
「…………」
カルド王が書類のサインに集中していると、扉をノックする音が聞こえてきた。
「誰だ?」
カルド王の声に反応するように扉が開いた。そこにいたのは聖一だった。
「失礼します」
「何だお前か……」
「今、お時間よろしいでしょうか?」
聖一はアポなしで訪ねて来た為、予定を伺った。
「ああ、丁度書類にサインするのに飽きてきた所だ。それで、私に何の用だ?」
「はい、国王とお話がしたく訪ねました」
「私と話だと?……まぁ、立って話されるのも何だ、ここに座るがいい」
カルド王は自分の向かい側の椅子を指し示した。
「分かりました」
言われた通りに聖一はカルド王の目の前に座った。
「それで、私に話とは何だ?」
「実は、明日にでも魔王討伐に向かうことを言い渡されました」
「ほう……てっきりシーリャの方から聞かされると思っていたが、まさかお前から聞く事になるとはな」
「いえ、僕も今さっきシーリャから聞かされたので、これから伝えに来るかと思います」
「そうか……」
心底嫌な表情を浮かべながら、片手で頭を支えるカルド王。
「僕がお話ししたい事は、国王であるあなたにお願いがあるのです」
「……面白い、申してみるがいい」
「この度、魔王討伐に行くにあたってその許可と、城にある宝物殿のユニーク武器を一つ頂けないでしょうか?」
宝物殿。それは以前、シーリャとの話の中で聞いていた。国王がまだ修行していた頃に、世界各地のありとあらゆる武器をかき集め、コレクションしている場所であると……。
「討伐許可だけではなく、宝物殿の武器まで欲しいと……少し、図に乗っているのではないか?小僧……」
空気が変わった。先程よりも温度が下がり、背筋が凍るほどのプレッシャーがのし掛かる空間に変化した。
「はい、乗っています。だからこそ僕は、両方欲しいのです」
しかし聖一は、その重苦しい空気に押し潰される事無く、涼しい顔でカルド王に要求してきた。
「……ふ、ふふふ、ふふはははは!!」
突如、笑い出したカルド王。
「私の圧を受けても尚欲するその強欲、気に入った!よかろうお前の願い聞き入れてやろう」
「本当ですか!?」
「但し、この私に勝ったらの話だ」
カルド王の目付きが鋭くなった。そしてまたしても部屋の空気が変わる。今度のは緊張が走るような張り詰めた感覚である。
「勝ったら……ということは何処かで決闘を行うのですか?」
「いや、違うな。戦うといっても肉弾戦では無い、頭脳戦だ」
そう言うとカルド王は、席から立ち上がりドレッサーの引き出しからある物を持ち出して来た。それは聖一にとって、いや元の世界では当たり前の物であった。
「これは……“チェス”?」
「ほう、知っていたか。流石異世界から来ただけはあるな」
台に駒、元の世界と全く同じ形と色をしていた。
「これは、約二千年前に転移してきた初代勇者がもたらした遺産の一つだ」
「初代勇者が……?」
「初代勇者は魔王軍の進行を防ぐ為に呼び出されたのだが、この世界には無い知識で娯楽や武器などを教え回り、それを元に作られた一つがこの娯楽道具の“チェス”という訳だ」
「そんな事があったのですか……」
「だが私は、この“チェス”を単なる娯楽道具とは思っていない」
「どういう事ですか?」
カルド王は書類を片付け、チェスをテーブルの上に置いた。
「この“チェス”は実際の戦争を仮定して行われる。……言わば、戦略のデモンストレーションだと私は考えている。つまりこれで負けることは、その作戦で実際の戦争を行えば確実に敗北するという訳だ」
「成る程、言われてみれば確かにそう思えてきました」
カルド王のチェスに対する考察が的を射ていて、感心させられる聖一。
「では早速始めるとしよう。先攻と後攻、どちらがいい?」
「それでは先攻で」
「よかろう」
こうして、二人の戦いは静かに幕を開けた。
***
「ふーむ、なかなかやるではないか」
「ええ、元いた世界で少しばかり嗜んでいたんですよ」
あれからしばらく時間が経ち状況的には、カルド王がポーン三つにクイーンとビショップが残っており、聖一はポーン一つにナイト、ルーク、と五分五分であった。
「ならば、これならどうだ?」
しかしここでカルド王がありえない行動に出る。
「これは……どういうつもりですか?」
聖一のルークの目の前にカルド王は自身のキングを置いたのだ。
「王とは下の者達を導く責任がある。それは国を治める立場としては当然の責務なのだ。つまりこうして敵の目の前に立ち、行動を示さなければならないのだ。さて、ここでお前に問いかけよう」
「……何でしょうか?」
「この状況、お前だったらどうする?」
「僕だったら……普通に取りますね」
聖一はルークでカルド王のキングを取った。
「成る程、だがそれが罠だとしたらどうする?王自身が囮だとしたらお前は、殺されているぞ」
カルド王の目は真剣そのものであった。それに対して聖一は淡々と答える
「いえ、僕だったらそれすらも看破してみせるでしょう」
「傲慢だな……その考えはいつか身を滅ぼす事になるぞ」
「確かにそうかもしれませんが、一つ申し上げてもよろしいですか?」
「……何だ?」
「これは“チェス”です。実際の戦争で深く考えてはいけないと思いますよ」
「…………ふふははははは!!」
聖一の言葉に思わず笑ってしまったカルド王。
「そうだな!その通りだ!いくら戦略的なデモンストレーションだとしても、あくまでもこれは娯楽道具!どうやら、勝負でもユーモアのセンスでも、私は負けてしまった様だな!!あっははははは!!」
ツボに入ったのか、笑い続けるカルド王。
「お前の勝ちだ。約束通り、討伐の許可と宝物殿から好きな武器を一つ進呈しよう」
「ありがとうございます」
カルド王は暫く笑い続けた後と、聖一に魔王討伐許可と武器を一つ進呈することになった。
「全く、このような提案書などサインではなく判子で事足りると思うのだがな……」
カルド王の主な仕事は、国をより良くする為に、国民の提案する書類を採用するかしないかを見極める事、そして定期的に他国の王達と会合をする事である。
「…………」
カルド王が書類のサインに集中していると、扉をノックする音が聞こえてきた。
「誰だ?」
カルド王の声に反応するように扉が開いた。そこにいたのは聖一だった。
「失礼します」
「何だお前か……」
「今、お時間よろしいでしょうか?」
聖一はアポなしで訪ねて来た為、予定を伺った。
「ああ、丁度書類にサインするのに飽きてきた所だ。それで、私に何の用だ?」
「はい、国王とお話がしたく訪ねました」
「私と話だと?……まぁ、立って話されるのも何だ、ここに座るがいい」
カルド王は自分の向かい側の椅子を指し示した。
「分かりました」
言われた通りに聖一はカルド王の目の前に座った。
「それで、私に話とは何だ?」
「実は、明日にでも魔王討伐に向かうことを言い渡されました」
「ほう……てっきりシーリャの方から聞かされると思っていたが、まさかお前から聞く事になるとはな」
「いえ、僕も今さっきシーリャから聞かされたので、これから伝えに来るかと思います」
「そうか……」
心底嫌な表情を浮かべながら、片手で頭を支えるカルド王。
「僕がお話ししたい事は、国王であるあなたにお願いがあるのです」
「……面白い、申してみるがいい」
「この度、魔王討伐に行くにあたってその許可と、城にある宝物殿のユニーク武器を一つ頂けないでしょうか?」
宝物殿。それは以前、シーリャとの話の中で聞いていた。国王がまだ修行していた頃に、世界各地のありとあらゆる武器をかき集め、コレクションしている場所であると……。
「討伐許可だけではなく、宝物殿の武器まで欲しいと……少し、図に乗っているのではないか?小僧……」
空気が変わった。先程よりも温度が下がり、背筋が凍るほどのプレッシャーがのし掛かる空間に変化した。
「はい、乗っています。だからこそ僕は、両方欲しいのです」
しかし聖一は、その重苦しい空気に押し潰される事無く、涼しい顔でカルド王に要求してきた。
「……ふ、ふふふ、ふふはははは!!」
突如、笑い出したカルド王。
「私の圧を受けても尚欲するその強欲、気に入った!よかろうお前の願い聞き入れてやろう」
「本当ですか!?」
「但し、この私に勝ったらの話だ」
カルド王の目付きが鋭くなった。そしてまたしても部屋の空気が変わる。今度のは緊張が走るような張り詰めた感覚である。
「勝ったら……ということは何処かで決闘を行うのですか?」
「いや、違うな。戦うといっても肉弾戦では無い、頭脳戦だ」
そう言うとカルド王は、席から立ち上がりドレッサーの引き出しからある物を持ち出して来た。それは聖一にとって、いや元の世界では当たり前の物であった。
「これは……“チェス”?」
「ほう、知っていたか。流石異世界から来ただけはあるな」
台に駒、元の世界と全く同じ形と色をしていた。
「これは、約二千年前に転移してきた初代勇者がもたらした遺産の一つだ」
「初代勇者が……?」
「初代勇者は魔王軍の進行を防ぐ為に呼び出されたのだが、この世界には無い知識で娯楽や武器などを教え回り、それを元に作られた一つがこの娯楽道具の“チェス”という訳だ」
「そんな事があったのですか……」
「だが私は、この“チェス”を単なる娯楽道具とは思っていない」
「どういう事ですか?」
カルド王は書類を片付け、チェスをテーブルの上に置いた。
「この“チェス”は実際の戦争を仮定して行われる。……言わば、戦略のデモンストレーションだと私は考えている。つまりこれで負けることは、その作戦で実際の戦争を行えば確実に敗北するという訳だ」
「成る程、言われてみれば確かにそう思えてきました」
カルド王のチェスに対する考察が的を射ていて、感心させられる聖一。
「では早速始めるとしよう。先攻と後攻、どちらがいい?」
「それでは先攻で」
「よかろう」
こうして、二人の戦いは静かに幕を開けた。
***
「ふーむ、なかなかやるではないか」
「ええ、元いた世界で少しばかり嗜んでいたんですよ」
あれからしばらく時間が経ち状況的には、カルド王がポーン三つにクイーンとビショップが残っており、聖一はポーン一つにナイト、ルーク、と五分五分であった。
「ならば、これならどうだ?」
しかしここでカルド王がありえない行動に出る。
「これは……どういうつもりですか?」
聖一のルークの目の前にカルド王は自身のキングを置いたのだ。
「王とは下の者達を導く責任がある。それは国を治める立場としては当然の責務なのだ。つまりこうして敵の目の前に立ち、行動を示さなければならないのだ。さて、ここでお前に問いかけよう」
「……何でしょうか?」
「この状況、お前だったらどうする?」
「僕だったら……普通に取りますね」
聖一はルークでカルド王のキングを取った。
「成る程、だがそれが罠だとしたらどうする?王自身が囮だとしたらお前は、殺されているぞ」
カルド王の目は真剣そのものであった。それに対して聖一は淡々と答える
「いえ、僕だったらそれすらも看破してみせるでしょう」
「傲慢だな……その考えはいつか身を滅ぼす事になるぞ」
「確かにそうかもしれませんが、一つ申し上げてもよろしいですか?」
「……何だ?」
「これは“チェス”です。実際の戦争で深く考えてはいけないと思いますよ」
「…………ふふははははは!!」
聖一の言葉に思わず笑ってしまったカルド王。
「そうだな!その通りだ!いくら戦略的なデモンストレーションだとしても、あくまでもこれは娯楽道具!どうやら、勝負でもユーモアのセンスでも、私は負けてしまった様だな!!あっははははは!!」
ツボに入ったのか、笑い続けるカルド王。
「お前の勝ちだ。約束通り、討伐の許可と宝物殿から好きな武器を一つ進呈しよう」
「ありがとうございます」
カルド王は暫く笑い続けた後と、聖一に魔王討伐許可と武器を一つ進呈することになった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~
厘/りん
ファンタジー
ある休日、家族でお昼ご飯を食べていたらいきなり異世界へ転移した。俺(長男)カケルは日本と全く違う異世界に動揺していたが、父と母の様子がおかしかった。なぜか、やけに落ち着いている。問い詰めると、もともと父は異世界人だった(らしい)。信じられない!
☆第4回次世代ファンタジーカップ
142位でした。ありがとう御座いました。
★Nolaノベルさん•なろうさんに編集して掲載中。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】では、なぜ貴方も生きているのですか?
月白ヤトヒコ
恋愛
父から呼び出された。
ああ、いや。父、と呼ぶと憎しみの籠る眼差しで、「彼女の命を奪ったお前に父などと呼ばれる謂われは無い。穢らわしい」と言われるので、わたしは彼のことを『侯爵様』と呼ぶべき相手か。
「……貴様の婚約が決まった。彼女の命を奪ったお前が幸せになることなど絶対に赦されることではないが、家の為だ。憎いお前が幸せになることは赦せんが、結婚して後継ぎを作れ」
単刀直入な言葉と共に、釣り書きが放り投げられた。
「婚約はお断り致します。というか、婚約はできません。わたしは、母の命を奪って生を受けた罪深い存在ですので。教会へ入り、祈りを捧げようと思います。わたしはこの家を継ぐつもりはありませんので、養子を迎え、その子へこの家を継がせてください」
「貴様、自分がなにを言っているのか判っているのかっ!? このわたしが、罪深い貴様にこの家を継がせてやると言っているんだぞっ!? 有難く思えっ!!」
「いえ、わたしは自分の罪深さを自覚しておりますので。このようなわたしが、家を継ぐなど赦されないことです。常々侯爵様が仰っているではありませんか。『生かしておいているだけで有難いと思え。この罪人め』と。なので、罪人であるわたしは自分の罪を償い、母の冥福を祈る為、教会に参ります」
という感じの重めでダークな話。
設定はふわっと。
人によっては胸くそ。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる