ひとまず一回ヤりましょう、公爵様 7

木野 キノ子

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第5章 私兵

9 フィリー…再始動!!

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「みなさ~ん、ご心配をおかけしました~。
オルフィリア・ファルメニウスは元気になりましたので、またよろしくお願いいたしま~す」

私は今日、王立騎士団に来ている。
大ホールの中に集まった団員の皆さんは、元気な私の姿を見て、大歓声を上げてくれた…。
素直に嬉しい。

「それでこちらが…」

私は後ろにいた6人の方を向き、

「この度私の私兵となった…フィリー軍団で~す」

……やっぱ、歓声よりもざわめきの方が大きいな。
まあでも、それは個々人の考え方ゆえ、今は仕方ない。

私は皆を一人一人紹介した。
ジェードの事は知っている人もいるけれど、私の私兵になったことは、周知されてないからね。

「あ、そうそう、テオルド卿」

「なんですかな?オルフィリア公爵夫人」

「ローエン閣下に伝書鳩飛ばす様に頼まれているなら…、ちょっと伝えて欲しい事があるんだけど」

テオルドがかなりぎょっとする。

「わかっていらっしゃいましたか…」

「そりゃーね。
王立騎士団でそういうことを頼むなら、アナタが一番適任だろうから」

すると素直に認め、

「どういう風にお伝えしますか?」

と、聞いてきたから、

「ん~、ローエン閣下一人だけで来るなら、会います…と」

「わかりました」

意気揚々としてる…。
まあ、ともすれば罰則を喰らう事だからなぁ…。
あのじい様だったら、自分が悪いって言うだろうけど。

「さてと…皆さん、紹介は終わりましたが…何かありますか?」

私は質問を受け付けることにした。連携することもあるだろうからね。

「あ、あの…彼らは…そもそも裏社会で…犯罪を犯すことで食べてきた人間なのですか?」

ああ、やっぱり出たか…。
この質問。
トランペストは恩赦の時に、私に対しての罪は公表したが、他のことはしていないからね。
私の答えは…、

「ええ、そうよ。
そもそも闇世界だ、裏社会だはそう言うものだってこと…王立騎士団内に居れば、多少はわかる
ハズだけど」

どうしたって犯罪者と関われば、一部そういう人間がいるからね。

「オ、オルフィリア公爵夫人は…平気なのですか…?」

「…彼らをそばに置くことが…という質問なら、全く気にならないわね。
私がしっかりと吟味して、ギリアムとも話した結果、彼らを恩赦して雇用することにしたから」

やっぱりかなり…ざわざわしているな~。
まあ、王立騎士団は、いわば正義の味方だからね…。

そのトップであるギリアムの妻…私の私兵が元犯罪者じゃ、色々言いたくなるのもわかるわ。
でもさぁ…騎士騎士したのはいらないのよ。
そう言う人間を扱う事に関しちゃ…ギリアムの方が私よりずっとうまいからね。

「あ、あの…そちらの人の仮面は…取らないのですか?」

ああ、この質問も来たか…。
顔見せに仮面被っているんじゃ、そうなるわな。

「……スペードに関しては…顔の傷がジェード以上に酷くてね…。
皆を驚かせない配慮だから、取ることに支障がないワケじゃないわ。
それを踏まえて見てくれるなら、今すぐとるけど」

「お…、お願いします…」

私はスペードに

「取ってちょうだい」

とだけ。
スペードは黙って外す。

ざわめきが大きい…。
やっぱりかなりの…衝撃みたいね。
私だって見た時は…内心驚いたから…。

「もういいわ」

スペードは再度仮面を被る。

「他に質問はないかしら?」

「あ…あの…今後は彼らを、護衛として連れて歩かれるのですか?」

「もちろんよ。
私兵というのは、護衛騎士と一緒の扱い。
これから私の護衛の中心になるのは、ここにいる6人よ」

これは…暗に連携するときは、彼らの下に付けってことなのよね。
わかる人とわからない人がいるだろうけど…、その辺はおいおい様子を見ていこう。

「そっ、それでしたら…」

「なに?」

「彼らと、腕試しのための…演習を行っても?」

「もちろんいいわ。
そもそも王立騎士団もそうだけど、ファルメニウス公爵家も完全実力本位主義よ。
実力がない人間を、置いておくつもりはないからね」

ざわめきとどよめきがピークだな…。
これで…彼らを倒せば、自分が私の下に付ける…って、バカな考えする人間も、一定数出そうね。

私が思案に暮れていると、大広間の扉がかなりの勢いで空く。
その先にいたのは…ローエンじい様だ。

さすが、じい様。早いね…。

私の姿をロックオンすると、凄い速度で迫ってきて、

「この度は!!
わしの妻と孫の妻が…大変なご無礼を働き、申し訳ありませんでした――――――――――っ!!」

平伏する。
……うん、皆さまの前でしっかりと謝罪できるのは、このじい様のいい所なんだよな…。

私はいい区切りなので、

「皆さん!!急遽のお客様が参りましたので、今日はこの辺で閉めさせていただきます!!
何かあれば、ギリアムの方までどうぞ!!」

ああ、皆さまのひきつる感覚が伝わってくる。
私ならまだしも、ギリアムには何も言えんだろうからなぁ。

ひとまず…私はギリアムの執務室にみんなと移る。
もちろん師団長たちとテオルドもローエンじい様も一緒。

私は…回復した頭で色々考えた事を、話し出す。

「私は…マーガレット夫人やルリーラ夫人の気持ちも、正直分かるのです。
しかしそれを差し引いても…あの2人はやりすぎでした。
だから今後しばらくは…最低限度のお付き合いのみに、させていただきます」

「おっしゃること、いちいちごもっともです」

いつものじい様からは、信じられんくらい小さくなっとる。

「2人には何が悪かったのか、ローエン卿からお話になったかと思いますが…、一応確認させて
下さい」

「はい…」

じい様よ…私はアンタが好きだが、致し方なし。

「まず…最初にオルフィリア公爵夫人が具合が悪いゆえ、誰とも会いたくない…と、知っていたにも
関わらず、顔を出したこと。
そして…私兵をどうするかは、オルフィリア公爵夫人の考えること…。
相応しい場所とて、オルフィリア公爵夫人の考えること…。
2人の態度は…完全な越権行為です」

つらつらじい様が並べた内容は、

「本来ならば…首をその場で飛ばされても仕方ない事も、付け加えます」

正にその通り!!だった。

「そこまでわかっておいでなら…なぜ翌日にあの2人を連れてこられたのですか?
ギリアムは私以上にこういった事には、厳しいの、よくご存じでは?」

「申し訳ございません…どうしても気持ちが収まらないようでしたので、来させました…。
もちろんオルフィリア公爵夫人がいらしていれば、すぐ帰ると言う事で…」

まあ…この人もニョーボを凄く愛しているからなぁ。
その辺はむしろ、好感度高いんやが…。

「まあ…過ぎたことを言っても仕方ないですが…、ひとまずあの2人に言ったことは、私は
忠実に守ります。
ただ一つ…。
これはフェイラ嬢やルイーズ嬢にもそうしたのですが、時間が経った時に…その人の状態を見て
また付き合いを見直すことは、私はしています。
ですがこの問題を、すぐに解決したいとまた押し掛けるようならば…、仲良くなれないことは、
申し上げておきます」

「わかりました…再度しっかりと言い聞かせます」

何か…ちっさくなってるなぁ、じい様…。
でも、ケイシロンの問題だから、これ以上介入する気は無い。

「オルフィリア公爵夫人…一つお耳に入れたいことがあるのですが…」

テオルド卿が出たが、

「……もし20年ちょっと前に起きた事件の事でしたら…知っておりますので省いてください。
それも加味したうえでの、決定ですので」

「ご存知でしたか…」

あ~、やっぱりフォルトと同じか…。
テオルド卿は当時者の一人でもあるから…なぁ。

んで私は、この話し合いが終わると、フィリー軍団と一緒にファルメニウス公爵家に帰った。

帰ってすぐにフォルトが、

「奥様…面会の希望が来ております」

「誰?」

「クァーリア伯爵夫人とジュリア侯爵夫人です…」

なるほどね。
私が元気になって、活動を始めたこと、早速つかんだか。

「二人一緒であることを了承してくださるなら、明日会いますと伝えて。
ダメならしばらく先」

「わかりました」

すると翌日…二人はすぐにやってきた。
だから私は、その当時の話をした。
2人には…フィリー軍団も紹介しておきたかったから、丁度良かった。
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