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第5章 私兵
2 つけてきたのは…誰?
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ガフェルおっちゃんが私の所に来る少し前…マーサおばちゃんとルリーラ夫人、マギーは、庭でお茶会を
楽しんでいた。
「それじゃあ…フィリーは大丈夫なのね?」
マギーが心配そうに問えば、
「ええ、ウチの人の話じゃあ、体の方はいたって健康だそうですよ。
ただ…精神的に疲れてしまったのは、本当だろうから…って」
マーサおばちゃんは、静かにほほ笑みながら言う。
マギーは胸をなでおろしたようで、ホッとした表情を浮かべた。
だが…。
「あの…恩赦した人たちって…どこにいるんでしょうか…?(マギー)」
今度は途端に…不安そうな顔になる。
「さあ?私はそう言う事は、全く関わっていないから…(マーサ)」
おっとりした態度を崩さず、言う。
「マーサさんも十分注意してください!!
あの人たちは…フィリーを襲った人たちなんですから…」
いつも…引っ込んでばかりのマギーが、珍しく前のめりになっている。
まあ、襲われた場面を近くで目撃したのだから、当たり前かもしれないが。
「そう聞いているんだけど…私は病気で寝ている所しか、見ていないからねぇ」
ちょっと…押され気味なマーサおばちゃん。
「マギー、落ち着きなさいな。
ここは仮にもファルメニウス公爵家なのだから、優秀な護衛騎士はごまんといるわ」
だがそう言うルリーラの雰囲気も…どことなく落ち着かない。
「で、でも…あの時も、護衛騎士や王立騎士団の包囲網をかいくぐって…フィリーを襲って
いたから…。
恩赦したからって、それが…全部無かったことになるわけじゃないでしょう?
心の中までは…見えないし…」
マギーは…不安げに、ルリーラの方を見る。
「そうよねぇ、まあ…だいたい普段は牢屋か…自室で待機…じゃないかしら。
そもそも恩赦した人間なんて、非常時以外はあまり起用してはいけないものだと思うの
だけど…(ルリーラ)」
ルリーラが…ちょっと複雑な顔をしつつ、少し…顔色を悪くして言う。
何かを…思い出しているようにも見える。
そんな所に、ガフェルおっちゃんが来たんよ。
「おう、オレちょっと行ってくるわ」
「あら、行ってらっしゃい…って、お屋敷に行くんじゃないの?」
私が居る場所と、公爵邸本宅は逆方向。
「ああ、嬢ちゃんは今、庭で気分転換してるんだと。
だから、そっちに行ってくる」
おっちゃんはそう言うと、足早に去ろうとする。
まあ、婦女子のお茶会に交じりたい人じゃないからなぁ。
そしたら…。
「あ、あの!!私もご一緒してもいいですか!!」
マギーが再度…身を乗り出してきた。
「いや…嬢ちゃんは、疲れているから誰とも会いたくないって、言っているんだぞ」
おっちゃんは…そう言う患者も、たくさん見てきたんだろうなぁ。
「お、お邪魔はしませんので…、フィリーが心配で…。
新聞には恩赦したって書かれただけで、どういう処遇になるのかも、全く分からないし…」
「しかしなぁ…」
おっちゃんは渋い顔だ。
この人は患者の意志が最優先って、わかっているからなぁ。
「そう言わずに…お願いできませんか?
マギーは友人として、オルフィリア公爵夫人の事を、本当に心配しているのです」
ルリーラ夫人が、穏やかに言う。
「フィリーには…本当にお世話になりっぱなしで…だから、少しでも返したくて…。
傍にいて、話し相手や…不安な事を聞いてあげたいんです」
「いや、ダメだ。
嬢ちゃんに、しばらく誰とも会いたくないって、言われているんだ。
恩返しをしたいなら、嬢ちゃんの希望を聞いてやれや」
ガフェルおっちゃんは、さすがに間違わない人だ。
「じゃ、じゃあ、話をするんじゃなく、元気な姿を見るだけでいいですから!!」
「別に、今でなくてもいいだろう?
今後、会う機会はいくらでもあるんじゃないか?」
おっちゃん少し、イライラしてきている。
まあ、私でもそうなったと思うよ。
「こっちでお話続けませんか?
その人、仕事には本気で熱を入れているから…、あまり人と一緒にはやらないんです」
おばちゃん、ナイスフォロー。
「でもあなた…。
お二人も心配しているみたいだから、帰ってきたらまた、フィリーちゃんの様子を報告して
くれませんか?」
「まあ、それならいいぜ」
そうなるよね。
いい夫婦だよ、全く。
しかし…マギーは、
「お願いします!!迷惑は本当にかけませんから!!」
何だか…いつものマギーとは別人のように、食い下がる。
おっちゃんついに…、
「うるっせーな!!
そう言っていることが、すでに迷惑なんだってわかんねーのか!!
わかんねーなら、黙ってろ!!」
そう吐き捨てると、くるりと背を向け、行ってしまった。
「ごめんなさいねぇ…、うちの人…言い方がきついから…」
すかさずおばちゃんのフォローが入るが、マギーはそれが終わらぬうちに、駆け出してしまう。
「マギー!!待ちなさい!!」
ルリーラ夫人も後を追う。
…というワケで、ガフェルおっちゃんの後をつける…になったようだ。
「嬢ちゃーん、診察に来たぞ~!!」
「はーい、おっちゃーん!!」
私はガフェルおっちゃんの、威勢のいい声が特に好きだ。
ジェードがつけてきている…と言ったのは、正しいようで、ここに来たのはおっちゃん一人に見える。
別に害意が無いなら、私はいいやと思った。
デバガメだったら、他にもいるし。
私の診察が終わると、
「ガフェル先生―――――――――っ!!」
みんなおっちゃんに寄って行く。
「おー、お前ら、随分と元気になったじゃないか。
結局ここに戻ってきたのかい?」
「居心地良いんで~」
「だよなぁ~、貴族の屋敷とは思えないなぁ」
おっちゃんも…色々あったんだろうなぁ。
「しかし良かったよ。
皆楽しそうで。
嬢ちゃん暫く、外出ないのか?」
「そのつもり~。さすがに疲れたも~ん。
皆と一緒に色々やるの、楽しいからね~。いい休暇よぉ」
「まー、いいんじゃね?
嬢ちゃんは働き過ぎだし、色々やりすぎだ」
「まあね~」
致し方ないとはいえ、ルベンディン侯爵家の仮面舞踏会から始まって、今まで殆ど目まぐるしく
動く羽目になったからなぁ…。
「みんなとの連携も取りたいし、このまましばらくの間は、ファルメニウス公爵家を出ないで
いいように、しようと思っているよぉ~」
ティタノ陛下っていう、口実もあるしね~。
あと…デバガメさん達に聞こえるように、私がみんなと仲いいのも見せたいから…ね。
「わーい、じゃあアタシ達、しばらく奥様と一緒なのね~」
「そうよ~」
あ~、自然と笑顔になるなぁ。
「頑張りますから、ぜひ見ててください!!」
「オレも!!」
みんな口々に、自分の出来ることを言ってくれたり、練習してくれたり…。
本当にいい奴らと巡り会えたもんさ。
それに…私の勘が間違ってないって、私の魂が言っているから。
襲われたのなんざ、もう遠い昔の…テレビのモニターの中の、別の誰か…な感覚に私はなって
いたんだと思う。
もちろん…王立騎士団だって近衛騎士団だって、いい人たち沢山いるけど…ここにいる6人は
やっぱり特別だ。
私だけに仕えてくれる人たちだから。
でも…。
「フィリー!!!騙されちゃダメ!!!」
ああん?この声って…。
何でマギーがここにいるんだ?ルリーラ夫人も?
ガフェルおっちゃんつけてきたのって、この2人かよ…。
「あ~、スマン嬢ちゃん…つけられているとは、思わなかった」
まあ、ファルメニウス公爵家の敷地内だからねぇ。
「わかってるよ、おっちゃん…。
おっちゃんはちゃんと、ダメって言ったんでしょ?」
私は項垂れるおっちゃんに、笑顔を向ける。
しかし…どうしたんだろう?
上位の夫人…つまり私が会いたくない…と言ったら、普通帰るのが礼儀って…貴族社会に
生きてきて、知らないハズないのに…。
「お二人とも、一体どうされたのですか?
私はお会いするのは無理ですと、使用人を通じて申し上げたはずですが?」
私はマギー達の方を向きつつ、6人に私の前に出ないよう言った。
「無事でよかった、フィリー…。
早くこっちに来て!!人を呼びましょう!!」
いや、だから…何故そうなる?わけがわからない…。
私の質問に答えてくれんか?
「私はどうしてお二人がここにいるのか…と、聞いているのです!!」
おっちゃんが許可してないし、ジェードがつけてきてる…って言ってたんだから、そうなんだろう
けど…自分で答えさせないとね。
「ご、ごめんなさい、でも…フィリーが心配で…」
「答えになっていませんよ」
「え…」
何だか…いつもの調子が出ないな…。疲れているのかな…?
「心配だから、何なんですか?」
私の語尾は、どうしても強くなる。
「申し訳ございません、オルフィリア公爵夫人…。
ガフェル先生が、あなたの所に診察に伺うと聞いて…、アナタの様子だけでも知りたいと思い、
来てしまいました…」
ルリーラ夫人は、丁寧にお辞儀をした。
「でしたら…もう知れたでしょう?今すぐお帰りください」
無礼を先に働いたのはそっちだからね。
そっけなくしたって、構わんさ。
ひとまず帰って欲しい…頭と神経、ティタノ陛下に使いすぎたせいで、あまり…考えられない。
「フィ、フィリーも一緒に…」
マギーの必死さは…本当に私の身を案じての事と、わかるのだが…。
「私は誰とも会いたくない…と、申し上げたと何度言わせるのですか?
さっさと帰ってください」
とにかく今日は帰って欲しい…。
「で、でも、元気そうだし…それに…ここに居たら危ないわ!!
だから私たちと一緒に…」
ファルメニウス公爵家にいる限り、私に危険なんてない…。
なのに何で…。
「危なくありませんよ。護衛はしっかりいますから」
「え?」
マギーは、きょろきょろとあたりを見回している。
ヤバいな…本当に、頭の回転が遅くなっている…。
いつも…直ぐに思いつくようなことが、思いつかない…。
だから…誰とも会いたくなかったのに…。
楽しんでいた。
「それじゃあ…フィリーは大丈夫なのね?」
マギーが心配そうに問えば、
「ええ、ウチの人の話じゃあ、体の方はいたって健康だそうですよ。
ただ…精神的に疲れてしまったのは、本当だろうから…って」
マーサおばちゃんは、静かにほほ笑みながら言う。
マギーは胸をなでおろしたようで、ホッとした表情を浮かべた。
だが…。
「あの…恩赦した人たちって…どこにいるんでしょうか…?(マギー)」
今度は途端に…不安そうな顔になる。
「さあ?私はそう言う事は、全く関わっていないから…(マーサ)」
おっとりした態度を崩さず、言う。
「マーサさんも十分注意してください!!
あの人たちは…フィリーを襲った人たちなんですから…」
いつも…引っ込んでばかりのマギーが、珍しく前のめりになっている。
まあ、襲われた場面を近くで目撃したのだから、当たり前かもしれないが。
「そう聞いているんだけど…私は病気で寝ている所しか、見ていないからねぇ」
ちょっと…押され気味なマーサおばちゃん。
「マギー、落ち着きなさいな。
ここは仮にもファルメニウス公爵家なのだから、優秀な護衛騎士はごまんといるわ」
だがそう言うルリーラの雰囲気も…どことなく落ち着かない。
「で、でも…あの時も、護衛騎士や王立騎士団の包囲網をかいくぐって…フィリーを襲って
いたから…。
恩赦したからって、それが…全部無かったことになるわけじゃないでしょう?
心の中までは…見えないし…」
マギーは…不安げに、ルリーラの方を見る。
「そうよねぇ、まあ…だいたい普段は牢屋か…自室で待機…じゃないかしら。
そもそも恩赦した人間なんて、非常時以外はあまり起用してはいけないものだと思うの
だけど…(ルリーラ)」
ルリーラが…ちょっと複雑な顔をしつつ、少し…顔色を悪くして言う。
何かを…思い出しているようにも見える。
そんな所に、ガフェルおっちゃんが来たんよ。
「おう、オレちょっと行ってくるわ」
「あら、行ってらっしゃい…って、お屋敷に行くんじゃないの?」
私が居る場所と、公爵邸本宅は逆方向。
「ああ、嬢ちゃんは今、庭で気分転換してるんだと。
だから、そっちに行ってくる」
おっちゃんはそう言うと、足早に去ろうとする。
まあ、婦女子のお茶会に交じりたい人じゃないからなぁ。
そしたら…。
「あ、あの!!私もご一緒してもいいですか!!」
マギーが再度…身を乗り出してきた。
「いや…嬢ちゃんは、疲れているから誰とも会いたくないって、言っているんだぞ」
おっちゃんは…そう言う患者も、たくさん見てきたんだろうなぁ。
「お、お邪魔はしませんので…、フィリーが心配で…。
新聞には恩赦したって書かれただけで、どういう処遇になるのかも、全く分からないし…」
「しかしなぁ…」
おっちゃんは渋い顔だ。
この人は患者の意志が最優先って、わかっているからなぁ。
「そう言わずに…お願いできませんか?
マギーは友人として、オルフィリア公爵夫人の事を、本当に心配しているのです」
ルリーラ夫人が、穏やかに言う。
「フィリーには…本当にお世話になりっぱなしで…だから、少しでも返したくて…。
傍にいて、話し相手や…不安な事を聞いてあげたいんです」
「いや、ダメだ。
嬢ちゃんに、しばらく誰とも会いたくないって、言われているんだ。
恩返しをしたいなら、嬢ちゃんの希望を聞いてやれや」
ガフェルおっちゃんは、さすがに間違わない人だ。
「じゃ、じゃあ、話をするんじゃなく、元気な姿を見るだけでいいですから!!」
「別に、今でなくてもいいだろう?
今後、会う機会はいくらでもあるんじゃないか?」
おっちゃん少し、イライラしてきている。
まあ、私でもそうなったと思うよ。
「こっちでお話続けませんか?
その人、仕事には本気で熱を入れているから…、あまり人と一緒にはやらないんです」
おばちゃん、ナイスフォロー。
「でもあなた…。
お二人も心配しているみたいだから、帰ってきたらまた、フィリーちゃんの様子を報告して
くれませんか?」
「まあ、それならいいぜ」
そうなるよね。
いい夫婦だよ、全く。
しかし…マギーは、
「お願いします!!迷惑は本当にかけませんから!!」
何だか…いつものマギーとは別人のように、食い下がる。
おっちゃんついに…、
「うるっせーな!!
そう言っていることが、すでに迷惑なんだってわかんねーのか!!
わかんねーなら、黙ってろ!!」
そう吐き捨てると、くるりと背を向け、行ってしまった。
「ごめんなさいねぇ…、うちの人…言い方がきついから…」
すかさずおばちゃんのフォローが入るが、マギーはそれが終わらぬうちに、駆け出してしまう。
「マギー!!待ちなさい!!」
ルリーラ夫人も後を追う。
…というワケで、ガフェルおっちゃんの後をつける…になったようだ。
「嬢ちゃーん、診察に来たぞ~!!」
「はーい、おっちゃーん!!」
私はガフェルおっちゃんの、威勢のいい声が特に好きだ。
ジェードがつけてきている…と言ったのは、正しいようで、ここに来たのはおっちゃん一人に見える。
別に害意が無いなら、私はいいやと思った。
デバガメだったら、他にもいるし。
私の診察が終わると、
「ガフェル先生―――――――――っ!!」
みんなおっちゃんに寄って行く。
「おー、お前ら、随分と元気になったじゃないか。
結局ここに戻ってきたのかい?」
「居心地良いんで~」
「だよなぁ~、貴族の屋敷とは思えないなぁ」
おっちゃんも…色々あったんだろうなぁ。
「しかし良かったよ。
皆楽しそうで。
嬢ちゃん暫く、外出ないのか?」
「そのつもり~。さすがに疲れたも~ん。
皆と一緒に色々やるの、楽しいからね~。いい休暇よぉ」
「まー、いいんじゃね?
嬢ちゃんは働き過ぎだし、色々やりすぎだ」
「まあね~」
致し方ないとはいえ、ルベンディン侯爵家の仮面舞踏会から始まって、今まで殆ど目まぐるしく
動く羽目になったからなぁ…。
「みんなとの連携も取りたいし、このまましばらくの間は、ファルメニウス公爵家を出ないで
いいように、しようと思っているよぉ~」
ティタノ陛下っていう、口実もあるしね~。
あと…デバガメさん達に聞こえるように、私がみんなと仲いいのも見せたいから…ね。
「わーい、じゃあアタシ達、しばらく奥様と一緒なのね~」
「そうよ~」
あ~、自然と笑顔になるなぁ。
「頑張りますから、ぜひ見ててください!!」
「オレも!!」
みんな口々に、自分の出来ることを言ってくれたり、練習してくれたり…。
本当にいい奴らと巡り会えたもんさ。
それに…私の勘が間違ってないって、私の魂が言っているから。
襲われたのなんざ、もう遠い昔の…テレビのモニターの中の、別の誰か…な感覚に私はなって
いたんだと思う。
もちろん…王立騎士団だって近衛騎士団だって、いい人たち沢山いるけど…ここにいる6人は
やっぱり特別だ。
私だけに仕えてくれる人たちだから。
でも…。
「フィリー!!!騙されちゃダメ!!!」
ああん?この声って…。
何でマギーがここにいるんだ?ルリーラ夫人も?
ガフェルおっちゃんつけてきたのって、この2人かよ…。
「あ~、スマン嬢ちゃん…つけられているとは、思わなかった」
まあ、ファルメニウス公爵家の敷地内だからねぇ。
「わかってるよ、おっちゃん…。
おっちゃんはちゃんと、ダメって言ったんでしょ?」
私は項垂れるおっちゃんに、笑顔を向ける。
しかし…どうしたんだろう?
上位の夫人…つまり私が会いたくない…と言ったら、普通帰るのが礼儀って…貴族社会に
生きてきて、知らないハズないのに…。
「お二人とも、一体どうされたのですか?
私はお会いするのは無理ですと、使用人を通じて申し上げたはずですが?」
私はマギー達の方を向きつつ、6人に私の前に出ないよう言った。
「無事でよかった、フィリー…。
早くこっちに来て!!人を呼びましょう!!」
いや、だから…何故そうなる?わけがわからない…。
私の質問に答えてくれんか?
「私はどうしてお二人がここにいるのか…と、聞いているのです!!」
おっちゃんが許可してないし、ジェードがつけてきてる…って言ってたんだから、そうなんだろう
けど…自分で答えさせないとね。
「ご、ごめんなさい、でも…フィリーが心配で…」
「答えになっていませんよ」
「え…」
何だか…いつもの調子が出ないな…。疲れているのかな…?
「心配だから、何なんですか?」
私の語尾は、どうしても強くなる。
「申し訳ございません、オルフィリア公爵夫人…。
ガフェル先生が、あなたの所に診察に伺うと聞いて…、アナタの様子だけでも知りたいと思い、
来てしまいました…」
ルリーラ夫人は、丁寧にお辞儀をした。
「でしたら…もう知れたでしょう?今すぐお帰りください」
無礼を先に働いたのはそっちだからね。
そっけなくしたって、構わんさ。
ひとまず帰って欲しい…頭と神経、ティタノ陛下に使いすぎたせいで、あまり…考えられない。
「フィ、フィリーも一緒に…」
マギーの必死さは…本当に私の身を案じての事と、わかるのだが…。
「私は誰とも会いたくない…と、申し上げたと何度言わせるのですか?
さっさと帰ってください」
とにかく今日は帰って欲しい…。
「で、でも、元気そうだし…それに…ここに居たら危ないわ!!
だから私たちと一緒に…」
ファルメニウス公爵家にいる限り、私に危険なんてない…。
なのに何で…。
「危なくありませんよ。護衛はしっかりいますから」
「え?」
マギーは、きょろきょろとあたりを見回している。
ヤバいな…本当に、頭の回転が遅くなっている…。
いつも…直ぐに思いつくようなことが、思いつかない…。
だから…誰とも会いたくなかったのに…。
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