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第二章 黒幕

6 とりあえずうまくまとまった…まとめた… ※

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まあでも、前世のことは話せないから、ひとまず…。

「ギリアム様…」

私はギリアムに、優しいまなざしを向けて、

「私は本当に大丈夫ですよ。
そもそも傷付いたら、ギリアム様に一番に言いますし…。
ここにいる皆さんのような、頼もしい味方も付いているのですから、怖い
物などないです」

にっこりと笑う。

結局この後、やり取りは少しあったが、ギリアムは渋々私の提案を受けて
くれた。

そして話も全て終わったかな…と、思った時、

「あ…あの、オルフィリア嬢…」

「なんでしょう?リグルド卿」

「フェイラの事…これからどうしていけば…」

まあ、だよねぇ。
この国で一番、眼をつけられちゃいけない相手に、眼をつけられちゃったからなぁ。

「それは、我々で考えることだ!!」

テオルド卿が横から口を出す。

これは本当に難しいよね…。
やったことがやったことだから、私が全面的に守ってやるなんて、割が合わないし…。
だいたいフェイラって…天真爛漫って言えば、聞こえはいいんだけど、考えなしに
行動しちゃうともいえるからなぁ。
そのうかつさって、社交界じゃ致命的ともいえるしなぁ。

「僭越ながら…」

おりょ、ジュリア。

「フレイヤ伯爵夫人の伝手を使えませんか?」

「フレイヤの…ですか?」

「フレイヤ伯爵夫人には、数回しかお会いしていませんが、大変しっかりした
抜け目のない人物でした。
レイチェルのことも好意的に見てくださって…。
だから、私があまり会えない立場になっても、大丈夫だと思えました」

余談だが、レイチェルがまだホッランバック家に嫁ぐ前は、レイチェルとジュリアは
頻繁に家を行き来して、親交を深めていた。
しかし、かたや王立騎士団の副団長の妻、かたや近衛騎士団の副団長の妻となって
しまったため、ベンズ卿の役割の関係もあり、あまり会えなくなってしまったのだ。

「おそらくご自身の死期を悟った時…こういった時のための準備をしていたのでは
ないでしょうか?」

するとテオルド卿が考え込んで、

「確かに…あり得ますね…。
わかりました、家に帰ったら色々調べてみます」

「そうしてください」

おお、凄くうまくまとまった。

「オルフィリア嬢~」

今度はレオニール卿か。

「じゃあ、えっと…。
修正は今からすぐにやりますが…、オルフィリア嬢をバカにする奴らは、本当に
野放しでいいんですか?」

「ええ、あまり急激に消しすぎると…また黒幕が変なことしてくる可能性あるからね。
普通の感覚を持った人間なら…真実を知れば、そんなに口汚く罵れないと思いますから」

「なんだかそれでは…黒幕のいいようにしてやっているようで、悔しいです…」

「あら、それは違いますわ、ギリアム様」

私のあっけらかんとした声に、全員がこっちを向く。

「黒幕たちだって、自分たちの思惑の半分も成し遂げられなくて、内心歯噛みしてる
と思いますよ」

「な…なぜ…」

ギリアムは本当に、こういう事には疎いね。

「だってそうでしょう?
まず…そうですね。
黒幕たちは、私のドレスをちょっとずつはいでいくことで、私に恥辱と屈辱を与える
つもりだったんでしょうが…。
私、ドレス一瞬で脱ぎ捨てましたからね~、いろんな意味で興ざめですよ」

そう、何を隠そう、このヘドネ。
少しの期間だが、ストリップ小屋でバイト経験がある。
エッチがメインじゃないからこそ、すぐにやめたけど。
でも入った当時、ベテランから言われたんだよね。
お客さんの客層や、その場の雰囲気を読んで、脱ぐ速度とか、どこで溜めを作るか、
調整できるようになったら一人前…って。
脱げって言われて、一秒ですっぽんぽんじゃ、大抵の客は楽しめんよ、多分。

「んで、ベンズ卿を組み込もうにも、私がまたも最速で、ベンズ卿から短刀ひったくって
自分自身でドレス跡形もなく、小間切れにしましたから~」

ブライト小侯爵、目が点になってたが、黒幕(実行犯含む)も、もれなくそうだった
ろうね。

「オルフィリア嬢、そこまで計算を…?」

ジュリアが聞いてきたから、

「まさかぁ~。
あの時は、レイチェル助けるのに必死だっただけですよ。
だから、結果オーライです」

これは本当。
人の命がかかってるって時点で、頭真っ白。

「本当に…ありがとうございます」

デイビス卿があんまり深々と頭を下げるから、

「あんまり買い被らないでくださいよ。
私だって万人に、同じことができる自信はありません。
レイチェル本人は良い人だし、デイビス卿も王立騎士団で頑張ってくださっている
からってのも、大きいですよ」

ちょっと言いたくなった。

「いえ…たとえそうであったとしても、助けられた方は、心から恩に着るものです。
どうもありがとうございました」

「その通りです、オルフィリア嬢。
レイチェルの従姉として、御礼申し上げます」

なんか余計、こしょったくなった。
うーむ。

「でもやっぱり、オルフィリア嬢は凄いです!!」

おりょ、ガイツ卿、ヴァッヘン卿…いきなりどした?

「恐怖と恥辱にまみれながらも…それを全く感じさせず、弱いものを守るために、
自らブライト小侯爵の前に立つなんて…」

はい?

「そうですよ!!
ドレスをすべてはがされて、下着姿のまま、ブライト小侯爵に立ち向かって、一歩も
譲らず、言い負かしたって聞きました。
内心どれだけ怖くて、恥ずかしかったかと思うと…本当に胸が痛みます」

え~っと…。

「真実を知った上で、あなたを悪く言う人間が居たら…そいつは人の心が無いんです!!」

デイビス卿まで参戦した…。

……どーしよか。
ま…ほっとこか…。

恥辱ってもんは、全然感じない一件やったけど…、そんな事言ったところで、私の得には
ならんだろーし。
一応今世、決まった相手しか男を知らない淑女やけ…適度な勘違いはしてもらったほうが、
いいやろな。

ひとまず今日の話し合いは、これにてお開きとなった。


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さて帰りの馬車の中のベンズ卿とジュリア。
なぜかベンズ卿が脂汗をかいて、ジュリアから物凄く…不穏な空気が漂っている。

「これで分かりましたでしょう?あなた…」

静かな口調が、また、迫力を醸し出している。
ベンズ卿がびくりとする。

「わたくしが常々…もう少し愛想を良くしてくださいと、散々申し上げた訳が」

「あ…いや…それは…」

「まあ、いいですよ」

「な、なに?」

「オルフィリア嬢におっしゃっていただいたおかげで、あなたもご自覚されたよう
ですので」

「う、うむ、それは…」

「今晩からみっちりと…練習していただけますね?」

ジュリアは笑顔だが…眼が笑っていない。

「そ、それは…」

「していただけますね?」

「……」

「どうなのですか?」

「……わ、わかった…」

ベンズ卿が脂汗だらけでそう言うと、ようやっとジュリアの雰囲気は普通に戻った。

こうして馬車は、一路コウドリグス侯爵家へと戻っていった。


----------------------------------------------------------------------------------


「じゃ、オレも今日は帰るよ」

「お疲れさまでした、ローカス卿」

見送る私。

「別にこの程度で疲れてなどいないだろう?」

やっぱり機嫌の悪いギリアムが突っかかる。

「うっせーよ」

あ~もう、せっかく綺麗にまとまるところだったのにぃ~。

「あ…そうだ、ローカス卿」

「ん?何です?オルフィリア嬢」

「あの…忙しくない時…と言うのは、あまりないかもしれませんが…」

「まあなぁ」

「あの施設…太陽の家に、足を運んでいただけませんか?
子供たちがあれから、ローカス卿に会いたがっておりまして…」

そう言えば、施設の名前言ってなかったな…。
色々あって、それどころじゃなくなっちゃったし。

「お、そうなのか?
じゃあ、せっかくだし今度、時間作ってお邪魔するわ」

「わあ、ありがとうございます。
子供たち、喜びます」

私はこの提案に、少々の裏を持っているのだが、それは今は内緒だ。

「まあ、オレもあの子たちに助けられたからな~」

そんなことをにこやかに話し、ローカス卿は帰っていった。


ちょこっと宣伝
※この後、フィリーとギリアムが、ファルメニウス公爵家に帰ってからの一幕、
ワンコとウサギを足して×10した男…も、一つよろしく。
エロのみ集の方に掲載。
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