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第一章 観劇
15 付き合う人間の選別…大事!!
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私はギリアムの机の上の書類の山や、フォルトを見て、
「お仕事…お忙しいですか…」
悲しいフリ…っと。
「そ…そんなことは…」
そんな時、私たちのやり取りを見ていたフォルトが、
「ギリアム様…急ぎの仕事は私の方でかたずけておきます。
今はフィリー様のおそばに…」
と言ってくれた。
さすが、年の功!!
「わ、わかった、では、少し空ける…」
ギリアムは私を抱きかかえて(姫ダッコ)、夫婦の寝室へと消えていくのだった。
(この続きは、エロ集のほうで)
---------------------------------------------------------------------------------
朝―――――――――
いーかげん、慣れてくれんかのぉ、ギリアム君。
私は横でシーツを被ってミノムシになっているギリアムを横目で見つつ、ため息をつく。
「ギリアム…私の希望を叶えてくださっただけなのに、何でそんなに落ち込むんですか?」
返事はない。
「……私が悪いんですか?」
ちょっとメソメソ、ウソ泣きしてみたら、
「ちちち、違います!!」
シーツから飛び出てきた。
うん、だったら最初から、被らんでええ。
「あ、アナタは何も悪くありません!!すべて堪え性のない、私が…」
ここまで言ったギリアムの口を、自分の唇でふさぐ。
「私は幸せです…ギリアムは違うのですか?」
笑う私を見て、
「う…で…でも…」
まだバツが悪そうな顔をするから、
「し・あ・わ・せ・で・す」
笑顔に青筋たっちまっただろーが。
「わ…わかりました…」
ようやっと、落ち着いた…ったく。
「じゃあ、お話ししたいのですが、いいですか?」
「え…は、はあ、なんでしょうか?」
私は座り、ギリアムの眼を見て、
「今回の一件で…デイビス卿に何かしらのバツを与えない事。
もしデイビス卿が自分から被ると言ってきたら、ギリアムの権限で止めて
ください」
「え…それは…」
「お願いいたします」
頭を下げる。
ギリアムは難しい顔をしてしまった。
「…デイビス卿は…、王立騎士団にはなくてはならない人材です、しかし…」
やっぱり何らか、処罰する気かーい。
そうはさせんぞ。
「じゃあ逆に、ギリアムがデイビス卿の立場だったら…私に参加してほしいと
お願いせずにいられますか?」
「そ…それは…」
「どうなんですか?」
「……無理です」
すっごい小さい声で、ボソッと言った。
「で…ですが…」
眉間にしわを寄せ、
「今回の事…もし何も処罰を与えないとするなら、今後他の人間も、あなたに
こう言ったことを持ち込んでしまいます」
まあ、それはそうだろうね。
でもさ…それも狙いの一つでもある。
だから…、
「それの何が、いけないのですか?」
が、私の答えさ。
「あ、あなたの負担…危険な目にだって…」
「ファルメニウス公爵家の女房になるなら、危険な目なんて、いくらでもあうと
思いますよ」
「う…」
実際、ファルメニウス公爵家の妻になって、過去に命を狙われた人、いたかんね。
どうしたって、地位が高くなりゃー、そういう危険性ははらむもんよ。
「今回の件…もし何らかの処罰を与えれば、そう言った時に守ってくれる人も
守ってくれなくなっちゃいますよ?」
「うう…」
「人は命令でやるのと、自らやるのとでは…僅差ではありますが、行動に違いが
出ます。
この僅差が命取りになることもある…こんなことは、あなたの方がよくわかっている
でしょう?ギリアム」
何にも言えなくなっちゃったね。
でも、それってわかってるってことだから、いい事よ。
「だから…私はこの事例を選別のために利用することにしました」
「選別…ですか?」
「ええ…テオルド卿・リグルド卿しかり、デイビス卿しかり…。
今までもこれからも、王立騎士団で立派にしっかりと勤め上げてくださると思ったからこそ、
私は力を貸しました。
そのことをわかっている人間か、わかっていない人間か…。
付き合う人の選別は大事ですから」
「なるほど…」
ようやっと、納得してくれたね。
よかよか。
「ああ、あと…。
今回私を襲った人たちへの処分は…保留でお願いします」
「は、はぁ?
それはダメです!!
しっかり対処を…」
「何もするなと言っているわけではありません。
逆に、私をひどい目に合わせたんだから、きっつーい仕置きをしてやろうと思っています」
薬で朦朧としてようが、してなかろうが、人に害を与えたら、処罰はされるべき!!
覚悟しとけ!!
「だ、だったら、協力します!!
でも…ならなぜ、保留にしろと?」
「お仕置きするタイミングを、私の自由にさせて欲しいからです」
私は少し考えて、この件をうまく利用できそうだと思ったのさ。
「それは別に…あなたのお好きなように…。
でも、いつ頃になるかだけ、聞かせてください」
「勿論…今、フィリアム商会の方で計画していることがあるの…ご存じですよね」
「ええ」
「私がそれに、かなり力を入れていることも」
「もちろんです。
私もあなたの考えには賛成ですから、協力は惜しみません」
「だったら…」
私は彼らへのお仕置きの方法と、その時期について、大まかに説明した。
すると…。
「なるほど…。
確かにその方が…こちらの利にもなりますね…。
あの法案は…絶対通さねばならないと、私も思っていますから…」
「ええ。
ですので、それまでは…何卒動かないでください、ギリアム」
「わかりました。
では、そのように手配しましょう」
大変だったけど…大変だっただけの成果は、これで出そうだ…。
私はひそかに、胸をなでおろした。
「お仕事…お忙しいですか…」
悲しいフリ…っと。
「そ…そんなことは…」
そんな時、私たちのやり取りを見ていたフォルトが、
「ギリアム様…急ぎの仕事は私の方でかたずけておきます。
今はフィリー様のおそばに…」
と言ってくれた。
さすが、年の功!!
「わ、わかった、では、少し空ける…」
ギリアムは私を抱きかかえて(姫ダッコ)、夫婦の寝室へと消えていくのだった。
(この続きは、エロ集のほうで)
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朝―――――――――
いーかげん、慣れてくれんかのぉ、ギリアム君。
私は横でシーツを被ってミノムシになっているギリアムを横目で見つつ、ため息をつく。
「ギリアム…私の希望を叶えてくださっただけなのに、何でそんなに落ち込むんですか?」
返事はない。
「……私が悪いんですか?」
ちょっとメソメソ、ウソ泣きしてみたら、
「ちちち、違います!!」
シーツから飛び出てきた。
うん、だったら最初から、被らんでええ。
「あ、アナタは何も悪くありません!!すべて堪え性のない、私が…」
ここまで言ったギリアムの口を、自分の唇でふさぐ。
「私は幸せです…ギリアムは違うのですか?」
笑う私を見て、
「う…で…でも…」
まだバツが悪そうな顔をするから、
「し・あ・わ・せ・で・す」
笑顔に青筋たっちまっただろーが。
「わ…わかりました…」
ようやっと、落ち着いた…ったく。
「じゃあ、お話ししたいのですが、いいですか?」
「え…は、はあ、なんでしょうか?」
私は座り、ギリアムの眼を見て、
「今回の一件で…デイビス卿に何かしらのバツを与えない事。
もしデイビス卿が自分から被ると言ってきたら、ギリアムの権限で止めて
ください」
「え…それは…」
「お願いいたします」
頭を下げる。
ギリアムは難しい顔をしてしまった。
「…デイビス卿は…、王立騎士団にはなくてはならない人材です、しかし…」
やっぱり何らか、処罰する気かーい。
そうはさせんぞ。
「じゃあ逆に、ギリアムがデイビス卿の立場だったら…私に参加してほしいと
お願いせずにいられますか?」
「そ…それは…」
「どうなんですか?」
「……無理です」
すっごい小さい声で、ボソッと言った。
「で…ですが…」
眉間にしわを寄せ、
「今回の事…もし何も処罰を与えないとするなら、今後他の人間も、あなたに
こう言ったことを持ち込んでしまいます」
まあ、それはそうだろうね。
でもさ…それも狙いの一つでもある。
だから…、
「それの何が、いけないのですか?」
が、私の答えさ。
「あ、あなたの負担…危険な目にだって…」
「ファルメニウス公爵家の女房になるなら、危険な目なんて、いくらでもあうと
思いますよ」
「う…」
実際、ファルメニウス公爵家の妻になって、過去に命を狙われた人、いたかんね。
どうしたって、地位が高くなりゃー、そういう危険性ははらむもんよ。
「今回の件…もし何らかの処罰を与えれば、そう言った時に守ってくれる人も
守ってくれなくなっちゃいますよ?」
「うう…」
「人は命令でやるのと、自らやるのとでは…僅差ではありますが、行動に違いが
出ます。
この僅差が命取りになることもある…こんなことは、あなたの方がよくわかっている
でしょう?ギリアム」
何にも言えなくなっちゃったね。
でも、それってわかってるってことだから、いい事よ。
「だから…私はこの事例を選別のために利用することにしました」
「選別…ですか?」
「ええ…テオルド卿・リグルド卿しかり、デイビス卿しかり…。
今までもこれからも、王立騎士団で立派にしっかりと勤め上げてくださると思ったからこそ、
私は力を貸しました。
そのことをわかっている人間か、わかっていない人間か…。
付き合う人の選別は大事ですから」
「なるほど…」
ようやっと、納得してくれたね。
よかよか。
「ああ、あと…。
今回私を襲った人たちへの処分は…保留でお願いします」
「は、はぁ?
それはダメです!!
しっかり対処を…」
「何もするなと言っているわけではありません。
逆に、私をひどい目に合わせたんだから、きっつーい仕置きをしてやろうと思っています」
薬で朦朧としてようが、してなかろうが、人に害を与えたら、処罰はされるべき!!
覚悟しとけ!!
「だ、だったら、協力します!!
でも…ならなぜ、保留にしろと?」
「お仕置きするタイミングを、私の自由にさせて欲しいからです」
私は少し考えて、この件をうまく利用できそうだと思ったのさ。
「それは別に…あなたのお好きなように…。
でも、いつ頃になるかだけ、聞かせてください」
「勿論…今、フィリアム商会の方で計画していることがあるの…ご存じですよね」
「ええ」
「私がそれに、かなり力を入れていることも」
「もちろんです。
私もあなたの考えには賛成ですから、協力は惜しみません」
「だったら…」
私は彼らへのお仕置きの方法と、その時期について、大まかに説明した。
すると…。
「なるほど…。
確かにその方が…こちらの利にもなりますね…。
あの法案は…絶対通さねばならないと、私も思っていますから…」
「ええ。
ですので、それまでは…何卒動かないでください、ギリアム」
「わかりました。
では、そのように手配しましょう」
大変だったけど…大変だっただけの成果は、これで出そうだ…。
私はひそかに、胸をなでおろした。
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