ひとまず一回ヤりましょう、公爵様3

木野 キノ子

文字の大きさ
上 下
15 / 43
第一章 観劇

15 付き合う人間の選別…大事!!

しおりを挟む
私はギリアムの机の上の書類の山や、フォルトを見て、

「お仕事…お忙しいですか…」

悲しいフリ…っと。

「そ…そんなことは…」

そんな時、私たちのやり取りを見ていたフォルトが、

「ギリアム様…急ぎの仕事は私の方でかたずけておきます。
今はフィリー様のおそばに…」

と言ってくれた。
さすが、年の功!!

「わ、わかった、では、少し空ける…」

ギリアムは私を抱きかかえて(姫ダッコ)、夫婦の寝室へと消えていくのだった。
(この続きは、エロ集のほうで)


---------------------------------------------------------------------------------


朝―――――――――

いーかげん、慣れてくれんかのぉ、ギリアム君。

私は横でシーツを被ってミノムシになっているギリアムを横目で見つつ、ため息をつく。

「ギリアム…私の希望を叶えてくださっただけなのに、何でそんなに落ち込むんですか?」

返事はない。

「……私が悪いんですか?」

ちょっとメソメソ、ウソ泣きしてみたら、

「ちちち、違います!!」

シーツから飛び出てきた。
うん、だったら最初から、被らんでええ。

「あ、アナタは何も悪くありません!!すべて堪え性のない、私が…」

ここまで言ったギリアムの口を、自分の唇でふさぐ。

「私は幸せです…ギリアムは違うのですか?」

笑う私を見て、

「う…で…でも…」

まだバツが悪そうな顔をするから、

「し・あ・わ・せ・で・す」

笑顔に青筋たっちまっただろーが。

「わ…わかりました…」

ようやっと、落ち着いた…ったく。

「じゃあ、お話ししたいのですが、いいですか?」

「え…は、はあ、なんでしょうか?」

私は座り、ギリアムの眼を見て、

「今回の一件で…デイビス卿に何かしらのバツを与えない事。
もしデイビス卿が自分から被ると言ってきたら、ギリアムの権限で止めて
ください」

「え…それは…」

「お願いいたします」

頭を下げる。

ギリアムは難しい顔をしてしまった。

「…デイビス卿は…、王立騎士団にはなくてはならない人材です、しかし…」

やっぱり何らか、処罰する気かーい。
そうはさせんぞ。

「じゃあ逆に、ギリアムがデイビス卿の立場だったら…私に参加してほしいと
お願いせずにいられますか?」

「そ…それは…」

「どうなんですか?」

「……無理です」

すっごい小さい声で、ボソッと言った。

「で…ですが…」

眉間にしわを寄せ、

「今回の事…もし何も処罰を与えないとするなら、今後他の人間も、あなたに
こう言ったことを持ち込んでしまいます」

まあ、それはそうだろうね。
でもさ…それも狙いの一つでもある。
だから…、

「それの何が、いけないのですか?」

が、私の答えさ。

「あ、あなたの負担…危険な目にだって…」

「ファルメニウス公爵家の女房になるなら、危険な目なんて、いくらでもあうと
思いますよ」

「う…」

実際、ファルメニウス公爵家の妻になって、過去に命を狙われた人、いたかんね。
どうしたって、地位が高くなりゃー、そういう危険性ははらむもんよ。

「今回の件…もし何らかの処罰を与えれば、そう言った時に守ってくれる人も
守ってくれなくなっちゃいますよ?」

「うう…」

「人は命令でやるのと、自らやるのとでは…僅差ではありますが、行動に違いが
出ます。
この僅差が命取りになることもある…こんなことは、あなたの方がよくわかっている
でしょう?ギリアム」

何にも言えなくなっちゃったね。
でも、それってわかってるってことだから、いい事よ。

「だから…私はこの事例を選別のために利用することにしました」

「選別…ですか?」

「ええ…テオルド卿・リグルド卿しかり、デイビス卿しかり…。
今までもこれからも、王立騎士団で立派にしっかりと勤め上げてくださると思ったからこそ、
私は力を貸しました。
そのことをわかっている人間か、わかっていない人間か…。
付き合う人の選別は大事ですから」

「なるほど…」

ようやっと、納得してくれたね。
よかよか。

「ああ、あと…。
今回私を襲った人たちへの処分は…保留でお願いします」

「は、はぁ?
それはダメです!!
しっかり対処を…」

「何もするなと言っているわけではありません。
逆に、私をひどい目に合わせたんだから、きっつーい仕置きをしてやろうと思っています」

薬で朦朧としてようが、してなかろうが、人に害を与えたら、処罰はされるべき!!
覚悟しとけ!!

「だ、だったら、協力します!!
でも…ならなぜ、保留にしろと?」

「お仕置きするタイミングを、私の自由にさせて欲しいからです」

私は少し考えて、この件をうまく利用できそうだと思ったのさ。

「それは別に…あなたのお好きなように…。
でも、いつ頃になるかだけ、聞かせてください」

「勿論…今、フィリアム商会の方で計画していることがあるの…ご存じですよね」

「ええ」

「私がそれに、かなり力を入れていることも」

「もちろんです。
私もあなたの考えには賛成ですから、協力は惜しみません」

「だったら…」

私は彼らへのお仕置きの方法と、その時期について、大まかに説明した。
すると…。

「なるほど…。
確かにその方が…こちらの利にもなりますね…。
あの法案は…絶対通さねばならないと、私も思っていますから…」

「ええ。
ですので、それまでは…何卒動かないでください、ギリアム」

「わかりました。
では、そのように手配しましょう」

大変だったけど…大変だっただけの成果は、これで出そうだ…。

私はひそかに、胸をなでおろした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

隠された第四皇女

山田ランチ
ファンタジー
 ギルベアト帝国。  帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。  皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。 ヒュー娼館の人々 ウィノラ(娼館で育った第四皇女) アデリータ(女将、ウィノラの育ての親) マイノ(アデリータの弟で護衛長) ディアンヌ、ロラ(娼婦) デルマ、イリーゼ(高級娼婦) 皇宮の人々 ライナー・フックス(公爵家嫡男) バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人) ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝) ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長) リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属) オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟) エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟) セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃) ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡) 幻の皇女(第四皇女、死産?) アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補) ロタリオ(ライナーの従者) ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長) レナード・ハーン(子爵令息) リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女) ローザ(リナの侍女、魔女) ※フェッチ   力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。  ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

処理中です...