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第7章 事後
5 フィリーの提案
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私は…その日フィリアム商会に向かっていたのだが、途中ではたと気づいた。
ツァリオ閣下に…一つ大事なことを、言い忘れていた…と。
それで…行く道の途中にアカデミーがあったから、ちょっと伝言を頼んだ。
アカデミーに出るって、知ってたからね。
そしたら…、中に通してくれるよう。
フィリアム商会の仕事は、後回しでも大丈夫だったから、アカデミーを見てみたいとも思い、
中に入ることにした。
で、会議室に通された。
ツァリオ閣下だけかと思いきや…、結構な人数がいるぞ、オイ。
「ようこそおいでくださいました、オルフィリア公爵夫人」
ツァリオ閣下は笑顔で迎えてくれたが…他の人たちは微妙そう…。
まあ、そうだろうなぁ…。
文の人間とは…殆ど接点が無いからなぁ。
「いいえ、こちらこそ…。お招きいただき、ありがとうございます。
私が今日来たのは…、制服選抜の事で、言い忘れたことがあったからです」
「ほう…なんですかな?」
「今回の一件を持って…フィリアム商会を選ぶことは、おやめください」
私の言葉に…ツァリオ閣下より、後ろの皆様方が驚いてら。
「理由をお聞きしても?」
「フィリアム商会以外の商会は…みな、多かれ少なかれキンラク商会とつながりがあります。
サバクアシは材料費の安さから、一気に広がりました。
使っていない商会はウチぐらいだと思われます」
実際これ…そうなんだよね。
服でも靴でも小物でも…全部じゃないにしろ、大抵一つは出しているんだ。
「キンラク商会が死の商人と揶揄されたことで…、サバクアシを使うかどうかは迷いどころ
だと思いますが…、今までの付き合い上、簡単にはバッサリ切れない場合もあります」
特にキンラク商会は…バックが王家だからな…。
「ただ逆に言えば…、材料を仕入れる以外で、キンラク商会とのつながりはない場合もあります。
そういった商会まで、いっしょくたにしてしまうのは…いかがなものかと思いまして…」
難しい判断だが、総括部の総意だからさ。
すると…。
「お初にお目にかかります…オルフィリア公爵夫人…。
私は、ウジェヤ・メグィドルド侯爵と申します…。
発言を許可頂いて、よろしいでしょうか?」
「もちろん!!
ああ、他の方も、形式ばった挨拶は抜きにして、意見を言ってくださっていいですよ」
そもそも、そういう場だろう、ここは。
「制服選抜の件…オルフィリア公爵夫人でしたら、どういった方法で、選抜すればよいと思い
ますか?
キンラク商会の一件があるので、何とも難しい所でして…」
私は…ちょっと思案するフリをする。
ツァリオ閣下はその手の質問は、当然すると思っていたから、準備はして来た。
「あくまで私なら…で、答えますと…。生徒に選んでもらいます」
「え?」
「今までは…会議を開いて決めていたようですが、実際に使うのは子供たちでしょう?」
「確かに…その通りです…」
きらびやかなピシッとした服って…すごく動きにくいんだよね。
前世の世界の中・高の制服ですら…私は動きにくくて、どうしても着なきゃいけない時以外、
ジャージで過ごしたのを覚えている。
「各商会に…試着用の服を、何着か出してもらって…子供たちに着てもらって、実際に動いて
もらうのはどうですか?
そうすれば、具合がだいたいわかります」
「ふむ…確かに…。いい案ではありますな…。
子供たちの投票で決めるなら、公平性もありますし…」
ツァリオ閣下が褒めてくれた。
「その案で行くのに、反対の者はいるか?」
だれも挙手しなかったので、決まりの様だ。
「それを言いにわざわざ?」
「ええ…あまりにも忙しかったので、すっかり失念していたと、道行く途中で気づきました」
「それは…素晴らしい行動力ですな」
ツァリオ閣下は…色眼鏡がとれたのもあるけれど、私に随分と好意的になってくれた。
「あの…オルフィリア公爵夫人…もう一つお聞きしても?」
「何でしょう?ウジェヤ卿…」
「臨時評議会で決まりました新法に関して、答えの出ない問題で、今まで唸っていたのです。
オルフィリア公爵夫人のご意見をお聞きしたく…」
「ウジェヤ卿!!それは今度にしろ!!」
「あら、いいですよ、私は…。
あの新法については、様々な意見が出てきて当然と思っております。
早速気になることがあれば、教えていただきたいです」
私がにこやかに言うと…。
ウジェヤ卿とツァリオ閣下は、先ほど話していたことを、私に説明してくれた。
「なるほど…支援を受けたがらない、生活困窮者ですか…」
「ええ…やはり貴族には、そういった者がいますので…。
その問題をどうしていくか…」
まあ…前世の世界にだって、生活保護を受けられる状態でも、プライドが邪魔して
受けられなかった人、いるからなぁ。
でもさぁ…。
「そんな方を、助ける必要がある…と、なぜ思うのですか?」
「は?」
これは…ウジェヤ卿だけじゃなく、ツァリオ閣下もは?のようだった。
「私が聞いた限りで…そう言う方を、生活困窮者と認定するのは、いかがなものでしょう?
貴族としての体裁を、死んでも守りたいと言うなら、それはその方の自由では?
だからギリアムは…評議会で死ねばいいと、端的に言ったんですよ?」
「そ、そんな簡単な問題では…」
「問題を複雑化しようとするのは、人間の…特に頭の良い方の悪い癖ですよ?」
ちょっと前の、ツァリオ閣下みたいにね。
「私は今でこそ…新品のドレスと宝石に身を包んで、皆さまにこうして意見する立場に
おりますが…、私の過去はご存知ですよね。
私の両親は、朝早くから夜遅くまで働いて…私を食べさせてくれました。
そんな両親に少しでも楽をさせたくて…私もできることは何でもやったし、子供でも使って
くれるところがあれば、働きに出ました。
それでも…ご飯が食べられない日もあったんですよ?
私が…貴族の救済も入れたのは、過去の私のような目に遭っている子供がいるかもしれないと
思ったからです」
これは…本当にそう。
大人の精神持ってても、きつかったんだから、本当の子供だったらって考えたら…。
「贅沢品が買えなければ、貴族じゃないだの、一回でも施しを受けたら恥だのと言っている輩には、
本気で、じゃあ死ねば?という言葉しか出ません。
ギリアムも私や私の父母に話を聞いていたからこそ、そういう考えになったんです」
あ…皆様が絶句しとる。
「それに…そもそも生活困窮者が、幸せか不幸せかも、他人が決める事ではないと思いますが?」
「そ、それは一体…」
ツァリオ閣下とここにいる皆さま…本当にわからなそう…。
まあ…この人たちまず、生活費に困ったことなんて、なかったろうからなぁ。
「私は…慈善事業などとてもできない時代…沢山のホームレスの方と知り合いました。
その方々は…確かに嘆いている人もいましたが、中には自分は今、とても幸せだと言っている
方もいましたよ?強がりではなく、本当に…ね」
「またどうして…?」
「その人は…親が裕福だったこともあり、社会的地位の高い役職に無難につけたそうです。
しかし…その重責はすさまじかった…と言っていました。
だから、逃げたのだと。
逃げたことは、親や周りにすまないと思っている…。
でも食うや食わずの生活をしている今の方が…、何の気兼ねも無くて幸せだと。
自分には…これがあっているんだ…と」
「私は…その人がとても嬉しそうに笑いながらこの話をしてくれたこと…、今でも覚えて
います。だから…」
「救済とて、人から見て困窮しているから、受けさせなければ…というのは、周りの傲慢だと
思います…。
ただ、救済措置がある事を知らないのは、大問題です。
そしてそれを…バカにする人間は、それ以上にどうしようもないです。
だから…この法案が通り、施行されてすぐ、ファルメニウス公爵家とフィリアム商会の情報網を
総結集して、国中にいきわたるようにしました。
そして…本当に必要かどうか、その本人に判断してもらう仕組みを作りました。
改良は必要かと思いますが…、それはやりながらの話です」
ここでツァリオ閣下がピクリとして、
「その仕組みとやら、教えて頂いても?」
「ご希望なら…後でフィリアム商会から資料を届けさせます。
ここで説明するには、時間がかかりすぎるので…」
「よろしくお願いします」
今度の法案について話す時に、持っていこうかと思っていたんだけど…。
まあ、早くても問題はない。
頭が超良い人の意見も聞きたいし。
ここで私は閃いた。
「あの…ツァリオ閣下…。
私…色々な話をしましたが…、救済措置を受けるか否か…困窮の話をもっと分かりやすく、
皆様にわかってもらえる、実用的な方法があります…。
さらにこれを実践して、困窮者をバカに出来たら…私は逆にたいしたものだと思います」
「ほう?それは?」
ツァリオ閣下が興味津々で近づいてきた。
「寄宿舎に軟禁して、仕事をこなしながら、水だけで…そうですね、1週間ほど過ごして
頂くことですね」
「は…?」
そこにいた皆様の…顎が外れた。
「え~っと、餓死って人間の死にざまの中で、特に辛いんですよ。
ご飯が食べられない、でも仕事はしなきゃいけない…誰も助けてくれない…」
「その状態で、救済措置を受けたくないならば、それはその人の自由だと思います。
先ほど死ねばいい…と言いましたが、実際に飢餓を経験されている方は少ないと
お見受けしましたので…、そこまで辛いのに受けたくないなら、まあいいんじゃない…って
思えると思うんです。
それに、そういう状態でなぜ受けたがらないのか…様々な事を推論するのにも、役に立つかと。
なにより困窮者をバカにするなら、さらに日数を増やしてやってみろと言えばいいかと。
まあ、あくまで方法の1つとお受け取り下さい」
「ふむ…なるほど…」
ツァリオ閣下の目が…この時光っていたことは…私以外に見えなかったようだ…。
うん。
ツァリオ閣下に…一つ大事なことを、言い忘れていた…と。
それで…行く道の途中にアカデミーがあったから、ちょっと伝言を頼んだ。
アカデミーに出るって、知ってたからね。
そしたら…、中に通してくれるよう。
フィリアム商会の仕事は、後回しでも大丈夫だったから、アカデミーを見てみたいとも思い、
中に入ることにした。
で、会議室に通された。
ツァリオ閣下だけかと思いきや…、結構な人数がいるぞ、オイ。
「ようこそおいでくださいました、オルフィリア公爵夫人」
ツァリオ閣下は笑顔で迎えてくれたが…他の人たちは微妙そう…。
まあ、そうだろうなぁ…。
文の人間とは…殆ど接点が無いからなぁ。
「いいえ、こちらこそ…。お招きいただき、ありがとうございます。
私が今日来たのは…、制服選抜の事で、言い忘れたことがあったからです」
「ほう…なんですかな?」
「今回の一件を持って…フィリアム商会を選ぶことは、おやめください」
私の言葉に…ツァリオ閣下より、後ろの皆様方が驚いてら。
「理由をお聞きしても?」
「フィリアム商会以外の商会は…みな、多かれ少なかれキンラク商会とつながりがあります。
サバクアシは材料費の安さから、一気に広がりました。
使っていない商会はウチぐらいだと思われます」
実際これ…そうなんだよね。
服でも靴でも小物でも…全部じゃないにしろ、大抵一つは出しているんだ。
「キンラク商会が死の商人と揶揄されたことで…、サバクアシを使うかどうかは迷いどころ
だと思いますが…、今までの付き合い上、簡単にはバッサリ切れない場合もあります」
特にキンラク商会は…バックが王家だからな…。
「ただ逆に言えば…、材料を仕入れる以外で、キンラク商会とのつながりはない場合もあります。
そういった商会まで、いっしょくたにしてしまうのは…いかがなものかと思いまして…」
難しい判断だが、総括部の総意だからさ。
すると…。
「お初にお目にかかります…オルフィリア公爵夫人…。
私は、ウジェヤ・メグィドルド侯爵と申します…。
発言を許可頂いて、よろしいでしょうか?」
「もちろん!!
ああ、他の方も、形式ばった挨拶は抜きにして、意見を言ってくださっていいですよ」
そもそも、そういう場だろう、ここは。
「制服選抜の件…オルフィリア公爵夫人でしたら、どういった方法で、選抜すればよいと思い
ますか?
キンラク商会の一件があるので、何とも難しい所でして…」
私は…ちょっと思案するフリをする。
ツァリオ閣下はその手の質問は、当然すると思っていたから、準備はして来た。
「あくまで私なら…で、答えますと…。生徒に選んでもらいます」
「え?」
「今までは…会議を開いて決めていたようですが、実際に使うのは子供たちでしょう?」
「確かに…その通りです…」
きらびやかなピシッとした服って…すごく動きにくいんだよね。
前世の世界の中・高の制服ですら…私は動きにくくて、どうしても着なきゃいけない時以外、
ジャージで過ごしたのを覚えている。
「各商会に…試着用の服を、何着か出してもらって…子供たちに着てもらって、実際に動いて
もらうのはどうですか?
そうすれば、具合がだいたいわかります」
「ふむ…確かに…。いい案ではありますな…。
子供たちの投票で決めるなら、公平性もありますし…」
ツァリオ閣下が褒めてくれた。
「その案で行くのに、反対の者はいるか?」
だれも挙手しなかったので、決まりの様だ。
「それを言いにわざわざ?」
「ええ…あまりにも忙しかったので、すっかり失念していたと、道行く途中で気づきました」
「それは…素晴らしい行動力ですな」
ツァリオ閣下は…色眼鏡がとれたのもあるけれど、私に随分と好意的になってくれた。
「あの…オルフィリア公爵夫人…もう一つお聞きしても?」
「何でしょう?ウジェヤ卿…」
「臨時評議会で決まりました新法に関して、答えの出ない問題で、今まで唸っていたのです。
オルフィリア公爵夫人のご意見をお聞きしたく…」
「ウジェヤ卿!!それは今度にしろ!!」
「あら、いいですよ、私は…。
あの新法については、様々な意見が出てきて当然と思っております。
早速気になることがあれば、教えていただきたいです」
私がにこやかに言うと…。
ウジェヤ卿とツァリオ閣下は、先ほど話していたことを、私に説明してくれた。
「なるほど…支援を受けたがらない、生活困窮者ですか…」
「ええ…やはり貴族には、そういった者がいますので…。
その問題をどうしていくか…」
まあ…前世の世界にだって、生活保護を受けられる状態でも、プライドが邪魔して
受けられなかった人、いるからなぁ。
でもさぁ…。
「そんな方を、助ける必要がある…と、なぜ思うのですか?」
「は?」
これは…ウジェヤ卿だけじゃなく、ツァリオ閣下もは?のようだった。
「私が聞いた限りで…そう言う方を、生活困窮者と認定するのは、いかがなものでしょう?
貴族としての体裁を、死んでも守りたいと言うなら、それはその方の自由では?
だからギリアムは…評議会で死ねばいいと、端的に言ったんですよ?」
「そ、そんな簡単な問題では…」
「問題を複雑化しようとするのは、人間の…特に頭の良い方の悪い癖ですよ?」
ちょっと前の、ツァリオ閣下みたいにね。
「私は今でこそ…新品のドレスと宝石に身を包んで、皆さまにこうして意見する立場に
おりますが…、私の過去はご存知ですよね。
私の両親は、朝早くから夜遅くまで働いて…私を食べさせてくれました。
そんな両親に少しでも楽をさせたくて…私もできることは何でもやったし、子供でも使って
くれるところがあれば、働きに出ました。
それでも…ご飯が食べられない日もあったんですよ?
私が…貴族の救済も入れたのは、過去の私のような目に遭っている子供がいるかもしれないと
思ったからです」
これは…本当にそう。
大人の精神持ってても、きつかったんだから、本当の子供だったらって考えたら…。
「贅沢品が買えなければ、貴族じゃないだの、一回でも施しを受けたら恥だのと言っている輩には、
本気で、じゃあ死ねば?という言葉しか出ません。
ギリアムも私や私の父母に話を聞いていたからこそ、そういう考えになったんです」
あ…皆様が絶句しとる。
「それに…そもそも生活困窮者が、幸せか不幸せかも、他人が決める事ではないと思いますが?」
「そ、それは一体…」
ツァリオ閣下とここにいる皆さま…本当にわからなそう…。
まあ…この人たちまず、生活費に困ったことなんて、なかったろうからなぁ。
「私は…慈善事業などとてもできない時代…沢山のホームレスの方と知り合いました。
その方々は…確かに嘆いている人もいましたが、中には自分は今、とても幸せだと言っている
方もいましたよ?強がりではなく、本当に…ね」
「またどうして…?」
「その人は…親が裕福だったこともあり、社会的地位の高い役職に無難につけたそうです。
しかし…その重責はすさまじかった…と言っていました。
だから、逃げたのだと。
逃げたことは、親や周りにすまないと思っている…。
でも食うや食わずの生活をしている今の方が…、何の気兼ねも無くて幸せだと。
自分には…これがあっているんだ…と」
「私は…その人がとても嬉しそうに笑いながらこの話をしてくれたこと…、今でも覚えて
います。だから…」
「救済とて、人から見て困窮しているから、受けさせなければ…というのは、周りの傲慢だと
思います…。
ただ、救済措置がある事を知らないのは、大問題です。
そしてそれを…バカにする人間は、それ以上にどうしようもないです。
だから…この法案が通り、施行されてすぐ、ファルメニウス公爵家とフィリアム商会の情報網を
総結集して、国中にいきわたるようにしました。
そして…本当に必要かどうか、その本人に判断してもらう仕組みを作りました。
改良は必要かと思いますが…、それはやりながらの話です」
ここでツァリオ閣下がピクリとして、
「その仕組みとやら、教えて頂いても?」
「ご希望なら…後でフィリアム商会から資料を届けさせます。
ここで説明するには、時間がかかりすぎるので…」
「よろしくお願いします」
今度の法案について話す時に、持っていこうかと思っていたんだけど…。
まあ、早くても問題はない。
頭が超良い人の意見も聞きたいし。
ここで私は閃いた。
「あの…ツァリオ閣下…。
私…色々な話をしましたが…、救済措置を受けるか否か…困窮の話をもっと分かりやすく、
皆様にわかってもらえる、実用的な方法があります…。
さらにこれを実践して、困窮者をバカに出来たら…私は逆にたいしたものだと思います」
「ほう?それは?」
ツァリオ閣下が興味津々で近づいてきた。
「寄宿舎に軟禁して、仕事をこなしながら、水だけで…そうですね、1週間ほど過ごして
頂くことですね」
「は…?」
そこにいた皆様の…顎が外れた。
「え~っと、餓死って人間の死にざまの中で、特に辛いんですよ。
ご飯が食べられない、でも仕事はしなきゃいけない…誰も助けてくれない…」
「その状態で、救済措置を受けたくないならば、それはその人の自由だと思います。
先ほど死ねばいい…と言いましたが、実際に飢餓を経験されている方は少ないと
お見受けしましたので…、そこまで辛いのに受けたくないなら、まあいいんじゃない…って
思えると思うんです。
それに、そういう状態でなぜ受けたがらないのか…様々な事を推論するのにも、役に立つかと。
なにより困窮者をバカにするなら、さらに日数を増やしてやってみろと言えばいいかと。
まあ、あくまで方法の1つとお受け取り下さい」
「ふむ…なるほど…」
ツァリオ閣下の目が…この時光っていたことは…私以外に見えなかったようだ…。
うん。
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